タラバガニが「カニではない」といわれる本当の理由
『帰れマンデー見っけ隊!!(さかなクンと築地&豊洲へ!プロが行く名店で爆食旅!!)(2026年8月24日)』で登場する魚介の豆知識の中でも驚くのが、タラバガニは生物学上のカニではなく、ヤドカリの仲間という話です。見た目も食べ方もカニそのものですが、脚の構造や腹部を見ると違いがはっきり表れます。「鱈場蟹」という名前の由来やズワイガニとの違いまで詳しく見ていきます。
この記事でわかること
- タラバガニがヤドカリの仲間に分類される理由
- 普通のカニとは違う脚の数と体の特徴
- 「鱈場蟹」という名前が付いた由来
- ズワイガニとの分類上の大きな違い
タラバガニは生物学上ヤドカリの仲間
名前には堂々と「カニ」と付いていますが、タラバガニは生物学上、一般的なカニとは別のグループに分類されます。
国立科学博物館では、タラバガニを十脚目・タラバガニ科の生き物としたうえで、カニの仲間である「短尾下目」ではなく、ヤドカリ類が含まれる異尾下目の仲間と説明しています。
つまり、
- ズワイガニ
- ケガニ
- ガザミ
などとは分類上の位置が異なり、むしろヤドカリに近い仲間です。
見た目だけなら大きなカニそのものなので、「実はヤドカリ」と聞いて驚くのも無理はありません。
ただし、普段の食卓や水産物としてタラバガニを「カニ」と呼ぶこと自体がおかしいわけではありません。昔から定着してきた名前として「タラバガニ」が使われています。
脚を見ると普通のカニとの違いが分かる
タラバガニがヤドカリの仲間だと分かりやすいポイントが脚の構造です。
一般的なカニにはハサミを含めて、外から10本の脚が目立ちます。
一方、タラバガニを見ると、大きく目立つ脚はハサミを含めて8本です。
「タラバガニは脚が2本少ない」という説明を聞くことがありますが、本当に2本なくなったわけではありません。
最後の1対が小さくなり、甲羅の下に折り畳まれるように隠れているのです。北海道も、ヤドカリの仲間であるタラバガニは最後の1対の歩脚が退化して甲殻の下に隠れていると説明しています。
スーパーや鮮魚店で姿のまま売られているタラバガニを見る機会があれば、脚を数えてみると面白いポイントです。
メスのお腹にもヤドカリらしい特徴が残っている
脚だけではありません。
タラバガニの体には、さらにヤドカリとのつながりを感じさせる特徴があります。
国立科学博物館では、メスの腹部がヤドカリと同じように右へねじれていることも、ヤドカリの仲間である特徴として挙げています。
一般的にイメージするヤドカリは、巻き貝の殻に柔らかい腹部を入れて生活しています。
タラバガニは大きな甲羅を持ち、外見も大きく変化していますが、その体にはヤドカリ類と共通する特徴が残っています。
巨大なタラバガニと小さなヤドカリではまったく違う生き物に見えるだけに、分類を知ると見方がかなり変わります。
「タラバ」の名前はタラが獲れる場所に由来する
もう1つ面白いのがタラバガニという名前そのものです。
漢字では「鱈場蟹」と書きます。
「鱈場」とは、文字通りタラが獲れる漁場に関係しています。
タラが獲れる場所で一緒に漁獲されることが多かったことから、「鱈場のカニ」と呼ばれるようになったのが名前の由来です。
つまり名前を分けると、
鱈(タラ)+場(漁場)+蟹(カニ)
という意味になります。
タラの仲間だから「タラバ」なのではありません。
普段何気なく呼んでいる魚介の名前にも、漁師や市場との長い歴史が残されていることが分かります。
英語では「King crab」と呼ばれる大型の甲殻類
タラバガニの英名はKing crabです。
まさに「カニの王様」と呼びたくなるような大型の甲殻類で、大きな個体では脚を広げると約1mに達します。
長寿の個体では寿命が30年以上になることもあります。
北海道周辺では主に、
- 北海道北部の日本海
- オホーツク海沿岸
- 北海道東部の太平洋
などに分布しています。
水深30~360mほどに生息し、産卵期になると沿岸の比較的浅い場所へ移動します。産卵期は4~6月で、産んだ卵から子どもが生まれるまで約1年かかります。
食材として店頭に並んでいる姿だけでは分かりませんが、北海道の冷たい海で長い時間をかけて成長する生き物です。
ズワイガニは本当のカニでタラバガニとは分類が違う
冬の味覚としてタラバガニと並んで人気なのがズワイガニです。
食材として並べて紹介されることが多い2種類ですが、生物学的には大きな違いがあります。
| 比較 | タラバガニ | ズワイガニ |
|---|---|---|
| 大きな分類上の仲間 | ヤドカリ類 | カニ類 |
| 外から目立つ脚 | ハサミを含め8本 | ハサミを含め10本 |
| 体の特徴 | 最後の1対の脚が小さく甲羅の下に隠れる | 4対の歩脚が外から見える |
| 見た目 | 太く大きな脚とトゲのある甲羅 | 細長い脚 |
| 名前 | 鱈場蟹 | ズワイガニ |
最大の違いは、「高級なカニの種類が違う」というだけではなく、そもそも分類されるグループが違うことです。
食卓ではどちらも「カニ」として扱われますが、生き物として観察するとかなり違います。
ハナサキガニも実はヤドカリの仲間
さらに意外なのがハナサキガニです。
北海道を代表するカニとして知られていますが、こちらもタラバガニ科に属する仲間です。
水産研究・教育機構の資料でも、タラバガニとハナサキガニは同じタラバガニ科の仲間として整理されています。
そのため、
タラバガニだけが特殊な「カニのようなヤドカリ」なのではありません。
北海道で食べられる代表的な甲殻類でも、
- タラバガニ
- ハナサキガニ
はヤドカリ側の仲間です。
一方、ズワイガニやケガニなどはカニの仲間になります。
見た目と名前だけでは、生物の分類までは分からない好例です。
アブラガニはタラバガニと特に間違えやすい
タラバガニについて知るなら、もう1種類覚えておきたいのがアブラガニです。
同じタラバガニ属で外見がよく似ています。
国立科学博物館では見分けるポイントとして、甲羅中央付近にある棘の数などを紹介しています。
タラバガニでは、その部分の棘が6本なのに対し、アブラガニでは4本です。また、歩脚の裏側の色にも違いがあります。
どちらも食用になりますが、タラバガニとアブラガニは別の種類です。
水産物として販売する際にも、それぞれの名称を正しく表示することが重要になります。
「カニではない」は食べられないという意味ではない
「タラバガニは本当はカニではない」と聞くと、「それならカニとして売っていいの?」と感じる人もいるかもしれません。
ここでいう「カニではない」は、あくまで生物分類上の話です。
私たちが料理や食材として使ってきた「タラバガニ」という名前とは別の話になります。
北海道では現在も活ガニ、ゆでガニ、冷凍品などとして流通しています。
太くボリュームのある脚が特徴なので、食卓では焼きガニやボイル、鍋などさまざまな形で楽しまれてきました。
分類を知ったからといって味が変わるわけではありませんが、「ヤドカリの仲間」と知ったうえで姿を見ると、隠れた脚など今まで気にしなかった部分にも目が向きます。
タラバガニを見るなら脚の数に注目すると面白い
タラバガニには「カニ」と付いているのに、分類上はヤドカリの仲間。
この少し不思議な関係は、単なる言葉遊びではありません。
大きく見える脚が8本で、残った1対が甲羅の下に隠れていることや、メスの腹部が右へねじれていることなど、体にもヤドカリ類の特徴が残っています。
さらに「鱈場蟹」という名前は、タラが獲れる漁場に由来します。
次にタラバガニを姿のまま見る機会があれば、まず大きな脚を数えてみてください。
豪華な冬の味覚としてだけでなく、**「巨大化したヤドカリの仲間」**という生き物として眺めると、タラバガニの面白さがもう1つ増えます。
参考リンク
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