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富士山八合目救護所は診療費無料!標高3100mで24時間働く医療チーム【朝メシまで。で紹介】

登山・アウトドア

富士山八合目救護所はなぜ無料で診てもらえるのか

『朝メシまで。(真夏の富士山!命を守る仕事人SP)(2026年8月26日)』で密着する標高3100mの医療チーム。その拠点となる富士山八合目富士吉田救護所では、登山中の高山病やケガに対する応急処置を24時間体制で行っています。驚くのは診療費が無料であること。山の上でどうやって医療体制を維持しているのか、救護所が生まれた理由や医療スタッフの働き方まで掘り下げます。

この記事でわかること

  • 富士山八合目救護所の診療費が無料である理由
  • 医師・看護師が24時間対応できる仕組み
  • 救護所が作られた背景と20年以上続く取り組み
  • 高山病になったとき救護所で行われる応急処置

富士山八合目救護所の診療費は無料

富士山八合目富士吉田救護所では、登山者の傷病に対する応急処置の診療費は無料です。

場所は山梨県側の吉田ルート八合目。山小屋「太子舘」の中に併設され、標高は約3100mあります。

2026年度の開設期間は7月11日から9月7日までです。

一般的な病院のように、さまざまな検査や治療を行うための施設ではありません。

役割は、富士登山中に発生した病気やケガに対する応急処置です。

内科・外科の傷病に対応し、その場で対応できない重症者については下山や搬送につなげます。

「山の上に無料の病院がある」と考えるより、山頂付近で体調を崩した登山者を麓の医療につなぐ最後の砦と考えたほうが実態に近いでしょう。

無料診療を支えているのは医療従事者のボランティア

診療費を無料にできる大きな理由が、医療従事者の協力です。

救護所には、

  • 山梨大学医学部附属病院
  • 富士吉田市立病院
  • 山梨県内の医療機関
  • 県外から参加する医療従事者

などから医師や看護師が参加しています。

富士山を安全に登れる環境を守るため、多くの医療関係者が協力してきました。

2025年度の基本的な体制では、医師1人・看護師2人・補助員など1人の計4人を1班とし、3日間ほどのローテーションで勤務していました。

標高3100mという特殊な場所で、スタッフ自身も高所の環境に適応しながら働かなければなりません。

病院から患者が運ばれてくるのを待つ医療ではなく、患者と同じ登山環境の中に医療者が入る点が大きな特徴です。

富士山八合目に救護所が作られたのは2001年

この医療活動は最近始まったものではありません。

きっかけは、八合目以上で高山病やケガをする登山者が多く、救護所を求める声があったことでした。

2001年度に試験的に救護所が開設され、2002年度から本格的な運営が始まりました。

現在は富士吉田市、山梨大学、富士吉田市立病院、山小屋関係者などが協力する体制へ発展しています。

つまり20年以上にわたり、夏の富士山へ医療チームを送り続けていることになります。

毎年同じ場所に救護所があるため当たり前に見えますが、診療設備や医薬品、人員を標高3100mまで準備し、約2か月間医療を途切れさせないこと自体が大きな仕事です。

毎年300~400人が受診して約6割が高山病

八合目救護所では、毎年約300~400人が診療を受けています。

そして受診理由の約6割を占めるのが、疑いを含む高山病です。

その次に多いのが、転倒などによる捻挫や打撲といった外傷です。

富士山は標高3776mですが、吉田ルートでは五合目から登り始める人が多く、短時間で一気に標高を上げることになります。

標高3000m付近まで来ると、

  • 頭痛
  • 吐き気
  • 強い疲労感
  • めまい
  • 息苦しさ

などが表れることがあります。

そこで問題になるのが、「山頂までもう少しだから」と無理をして登ってしまうことです。

八合目救護所は治療するだけでなく、このまま登山を続けてよい状態なのかを判断する場所でもあります。

24時間体制なのは深夜にも登山者が動いているから

普通の診療所なら夜になると患者は減っていきます。

富士山は逆です。

山頂からご来光を見る人たちは、夜中から早朝にかけて山小屋を出発します。

そのため八合目付近では、深夜にも多くの登山者が移動しています。

吉田ルートでは七合目と八合目に救護所が設けられ、開設期間中は24時間対応できる体制が取られています。

夜中に突然、

「頭が痛くて歩けない」

「吐き気が止まらない」

「転倒して足を痛めた」

という登山者が現れても不思議ではありません。

山の上では救急車が玄関まで来てくれるわけではないため、登山者が最も動く時間に医療側も起きている必要があります。

病院と違って検査機器がそろっているわけではない

八合目救護所の難しさは、医師がいても病院と同じ環境ではないことです。

過去の活動記録では、救護所内には診察台や救急カートなど必要な設備が設けられ、診療手順や緊急時の連絡方法もマニュアル化されていました。

しかしCTやMRIなど大型検査機器を置ける場所ではありません。

限られた設備から、

「高山病なのか」

「脱水なのか」

「低体温症なのか」

「外傷なのか」

「すぐ搬送が必要なのか」

を判断しなければなりません。

富士山の救護所で求められるのは、高度な機械だけではなく、患者の状態から危険度を見抜く医師や看護師の判断力です。

外国人登山者への対応も大きな仕事になっている

富士山には海外から訪れる登山者も多くいます。

体調が悪くなれば、症状を正確に伝えるだけでも難しくなります。

頭痛がいつ始まったのか、どのくらい水分を取ったのか、薬を飲んでいるのか、持病があるのか。

診断にはこうした情報が重要です。

さらに高山病の患者本人が「どうしても山頂へ行きたい」と希望することもあります。

医療チームには症状を治療するだけでなく、なぜ登山を中止したほうがいいのかを説明し、安全な下山へつなげる役割があります。

言葉や文化の違う登山者まで受け入れることも、世界中から人が訪れる富士山ならではの医療です。

高山病は薬だけ飲めば登り続けられるわけではない

高山病について特に覚えておきたいのは、「薬をもらえば山頂まで行ける」と考えないことです。

原因には、高い場所で酸素が少なくなることが関係しています。

そのため症状が強くなった場合、重要なのはそれ以上高度を上げないことや下山することです。

山梨県側では、自分に合った余裕のある登山計画を立て、十分な装備を準備し、無理をしないよう呼びかけています。

救護所は「無理をしても最後に助けてもらえる場所」ではありません。

体調が悪くなった段階で登頂を諦められるかどうかも、安全な富士登山では重要になります。

救護所へ来られない患者もいる

もう1つ大きな問題があります。

救護所が八合目にあっても、体調を崩した人が自力で歩けるとは限りません。

登山道で動けなくなれば、その場所から救護所や下山地点まで患者を移動させる必要があります。

つまり富士山の医療は、

救護所で診察する医療チーム

だけでは完結しません。

山岳救助隊、山小屋スタッフ、登山道の安全を守る人たちと連携して初めて成り立ちます。

標高3100mに救護所が置かれている意味は、病院から遠く離れた場所で生まれる「医療の空白」を少しでも短くすることにあります。

24時間の医療を約2か月続けること自体がすごい

富士山八合目救護所で印象的なのは、1人のスーパードクターだけで運営されているわけではないことです。

医師、看護師、補助スタッフ、大学、病院、自治体、山小屋など、多くの人が交代しながら医療をつないでいます。

2026年度も7月11日から9月7日まで約2か月。

その間、標高3100mで登山者の異変を待ち続けます。

何事も起きない夜が一番いい。

それでも何か起きた瞬間には診療できる状態でいなければならない。

「何も起きないために待ち続ける仕事」もまた、富士山の命を守る仕事の1つなのです。


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