浪花家総本店のたい焼きは「薄皮」と塩の効いたあんこが主役
『頂点サマ(衝撃神業10連発&伝説の海女・秘境のチーズ職人に2泊3日見習いSP)(2026年9月3日)』で登場するのが、東京・麻布十番の浪花家総本店です。1909年創業の老舗で、1匹ずつ型で焼き上げる「一丁焼き」を今も守っています。約1mmという薄い皮、8時間かけて炊く十勝産小豆、そして甘さを引き立てる塩。人気の理由は、昔ながらのたい焼きをただ守っているだけではなく、材料と焼き方を細かく変えながら味を残してきたところにあります。
この記事でわかること
- 浪花家総本店のたい焼きが薄皮になる理由
- あんこの甘さを引き立てる味の決め手
- 十勝産小豆を8時間炊く理由と4代目のこだわり
- 一丁焼きと一般的なたい焼きとの違い
味の決め手は「塩」!甘いあんこに塩気を効かせている
(出典:nippon.com「元祖たい焼きの麻布十番 浪花家総本店」)
浪花家総本店のたい焼きで特徴的なのが、あんこのしっかりとした甘さの中に残る塩気です。
材料は非常にシンプルで、小豆、砂糖、塩などを使って作られています。塩を加えることで甘さを弱めるのではなく、むしろ小豆と砂糖の甘さをはっきり感じさせる味に仕上げています。
そのため、単純に砂糖を控えた「あっさり系のたい焼き」とは少し方向性が違います。
小豆の濃さ、砂糖の甘さ、塩気、焦げた薄皮の香ばしさを一緒に食べたときに完成するたい焼きです。
甘いものを食べているのに、もうひと口食べたくなる。その理由の1つが、この塩気にあります。
皮は約1mmまで薄くして主役のあんこを味わわせる
たい焼きというと、ふわっとした生地の中にあんこが入っているものを想像する人も多いでしょう。
浪花家総本店では逆です。
皮はあくまであんこを包むための存在として、極限まで薄く焼き上げます。
生地にも複雑な味付けをせず、基本は小麦粉を水で溶いたシンプルなもの。高温で一気に焼くことで、表面がパリッと香ばしく仕上がります。
食べた瞬間にまず薄皮が割れ、その直後にたっぷりのあんこが出てくる構造です。
つまり浪花家総本店のたい焼きは、ケーキのような生地を楽しむお菓子というより、焼いた薄皮であんこを食べる和菓子に近い存在です。
4代目店主の神戸将守さんも、たい焼きを「きんつば」のように仕上げる考えを語っています。
十勝産なら何でもいいわけではなく産地まで選び直した
あんこに使われるのは北海道十勝産小豆です。
前日に仕込み、約8時間かけて炊き上げます。麻布十番商店街でも「1日1釜、8時間かけて炊き上げた小豆」が浪花家総本店の特徴として紹介されています。
ただし、興味深いのは「十勝産」というブランドだけで選んでいないことです。
4代目の神戸将守さんが店を継いだ後、小豆の品種改良が進み、昔よりアクが少なく上品な味の小豆が増えていきました。
ところが浪花家が求めていたのは、上品さだけではありませんでした。
昔のたい焼きにあった野性味のある力強い小豆の味です。
そこで神戸さんは十勝平野の地図まで用意し、地域ごとの小豆を食べ比べながら、自分が記憶していた昔のあんこの味に近い小豆へ変更しました。
100年以上続く店というと「昔と同じ材料を使い続ける」イメージがありますが、実際には逆でした。
材料そのものが変化するから、昔の味を残すために材料を変える。
浪花家総本店が長く続いている理由がよく分かるエピソードです。
1匹ずつ焼く「一丁焼き」は職人の手から離れない
(出典:nippon.com「元祖たい焼きの麻布十番 浪花家総本店」)
もう1つの大きな特徴が一丁焼きです。
複数のたい焼きを鉄板でまとめて焼くのではなく、たい焼き1匹分の型を使い、職人が1匹ずつ火にかけて焼きます。
たい焼き好きの間では、こうした一丁焼きを「天然物」、複数を同時に焼くタイプを「養殖物」と呼ぶこともあります。
神戸さんは一丁焼きを魚の「一本釣り」に例えています。
1匹ずつ焼くことで火の入り方を見ながら調整でき、それぞれをきれいに仕上げられるからです。
一方で、職人にとっては簡単ではありません。
重い型を持ちながら、生地を流し、あんこを入れ、火に当て、ひっくり返す作業を繰り返します。
神戸さん自身も父親と同じ味に焼けるようになるまで、毎日焼き続けて約3年かかったと語っています。
薄皮1枚にも、焼き手の経験がそのまま表れる製法です。
1909年創業、たい焼きの形は「今川焼」から生まれた
浪花家総本店の創業は1909年(明治42年)。
初代の神戸清次郎さんが大阪出身だったことから、故郷の「浪花」にちなんで店名が付けられました。
現在ではたい焼きの老舗として知られていますが、日本で広く親しまれる魚型のお菓子には、今川焼を別の形で売ろうとした歴史があります。
初代は、当時高級魚だった鯛をかたどれば縁起もよく、人々に喜ばれると考え、鯛の形へとつながっていきました。
「鯛を食べられなくても、たい焼きなら食べられる」。
庶民のおやつとして広がっていった背景を知ると、豪華な具材ではなく、小麦粉とあんこというシンプルな材料を突き詰めてきた理由も見えてきます。
「およげ!たいやきくん」と浪花家総本店には深い関係がある
浪花家総本店を調べると、必ずと言っていいほど出てくるのが「およげ!たいやきくん」です。
1975年に発売され大ヒットした楽曲で、店でたい焼きを焼く「おじさん」のモデルとして浪花家総本店が知られるようになりました。
4代目の神戸将守さんは、曲が大ヒットした当時について、開店前から客が並び、全国にたい焼き店が増えるほどの大きなブームだったと振り返っています。
現在の人気がテレビやSNSから突然生まれたわけではなく、浪花家総本店は昭和のたい焼きブームそのものとも深く関わってきた店です。
たい焼きだけでなく「焼きそば」も名物になっている
浪花家総本店でもう1つ覚えておきたいのが焼きそばです。
店内ではたい焼きのほか、焼きそば、お汁粉、あんみつ、かき氷なども提供されています。
焼きそばにも独特の作り方があります。
鉄の中華鍋でラードを熱し、揚げ玉を焦げる寸前まで炒めて、ラードへ香りとうま味を移すのがポイントです。具材を豪華にするのではなく、油の香りまで料理の味として使います。
たい焼きも焼きそばも共通しているのは、材料を増やして豪華にする方向ではないことです。
少ない材料を、火加減と手仕事でおいしくする。
浪花家総本店を長く支えているのは、この考え方なのかもしれません。
麻布十番の店舗では焼きたてを食べるのがおすすめ
(出典:nippon.com「元祖たい焼きの麻布十番 浪花家総本店」)
浪花家総本店は東京都港区麻布十番1-8-14にあります。
麻布十番駅から近く、店の2階には甘味を楽しめるスペースもあります。
持ち帰ったたい焼きは、オーブントースターで温め直す方法が案内されています。
電子レンジだけで温めるより、表面を再び焼くことで、特徴である薄皮の香ばしさを戻しやすくなります。
そして初めて食べるなら、できれば焼きたてを味わいたいところです。
浪花家総本店のたい焼きのおいしさは、あんこだけではありません。
約1mmの薄皮がパリッと割れ、熱いあんこの甘さと塩気、小豆の香りが続く。
1909年から続くたい焼きが今も支持される理由は、このシンプルな組み合わせを100年以上かけて磨き続けてきたことにあります。
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