阿部智介さんと七山診療所|家で暮らすことを支える地域医療
佐賀県唐津市七山地区で、地域の暮らしに寄り添う医師として注目されているのが阿部智介さんです。
『NNNドキュメント’26「やっぱ、家がよかね〜“いきかた”に寄り添う医師〜」(2026年6月22日)』でも取り上げられ注目されています 。
住み慣れた家で過ごしたいという願いに、医療はどう向き合えるのか。七山診療所と在宅医療の背景を知ると、地域で生きることの意味が見えてきます。
この記事でわかること
・阿部智介さんがどんな医師なのか
・七山診療所と佐賀県唐津市七山地区の関係
・「やっぱ、家がよかね」に込められた意味
・在宅医療や地域医療がなぜ大切なのか
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阿部智介さんとは何者?佐賀県唐津市七山地区で唯一の医師
阿部智介さんは、佐賀県唐津市の山あいにある七山地区で地域医療を担う医師です。
七山地区は自然に囲まれた中山間地域で、人口は多くなく、高齢化も進んでいます。大きな病院が近くにいくつもある都市部とは違い、体調が悪くなったときにすぐ専門病院へ行ける環境ではありません。
だからこそ、地域にいる医師の存在はとても大きいものになります。
阿部さんは、診療所で患者を待つだけではなく、必要があれば家まで出向きます。いわゆる往診や在宅医療です。
印象的なのは、白衣ではなくジャージー姿で地域を回る姿です。医師というより、近所の人に会いに行くような距離感があります。
これは単なる服装の話ではありません。患者にとって「病院の先生が来た」という緊張より、「いつもの先生が来てくれた」という安心感が大切だからです。
阿部さんの医療は、病気だけを見る医療ではなく、その人がどこで暮らし、誰と過ごし、何を大切にしているのかまで見る医療です。

七山診療所はどこ?阿部智介さんが往診を続ける理由
七山診療所は、佐賀県唐津市七山地区の地域医療を支える診療所です。
七山は、かつて医師がいない時期もあった地域です。山あいの集落では、移動手段が限られる高齢者もいます。体調が悪くても、病院まで行くこと自体が大きな負担になる人も少なくありません。
そこで大切になるのが、医師が地域へ入っていくことです。
往診を続ける理由は、単に「通院できない人がいるから」だけではありません。家に行くことで、その人の暮らしが見えるからです。
たとえば、家の中で転びやすい場所はないか。
薬をきちんと飲める環境か。
食事は取れているか。
家族や近所の人とのつながりはあるか。
診察室だけではわからないことが、家にはたくさんあります。
地域医療では、血圧や検査結果だけで判断するのではなく、生活そのものを見ながら支えることが重要になります。阿部さんが往診に力を入れているのは、患者を「病気の人」としてではなく、「そこで暮らしている一人の人」として見ているからです。
「やっぱ、家がよかね」に込められた意味とは?
「やっぱ、家がよかね」という言葉には、とても深い意味があります。
これは、ただ「家が好き」という話ではありません。
長く暮らした家には、その人の人生が詰まっています。家族との思い出、畑や庭、近所の人との関係、いつもの景色、いつもの匂い。病院では安全に治療を受けられますが、その人らしさまで全部守れるとは限りません。
もちろん、病院での治療が必要な場面はあります。命を守るために入院が必要なこともあります。
ただ、病状が落ち着いたあとに「自分の家に戻りたい」と願う人は多くいます。特に高齢になるほど、知らない場所で過ごす不安は大きくなります。
家に戻ることは、単なる場所の移動ではありません。
自分らしい時間を取り戻すことでもあります。
在宅医療の大切さは、ここにあります。
病気を完全に治すことだけが医療ではありません。痛みを和らげること、不安を減らすこと、家族と話す時間をつくること、本人の願いをできるだけ尊重することも医療の大切な役割です。
「やっぱ、家がよかね」という言葉は、家で過ごす安心感と、その人の人生を大切にする医療の考え方を表しているように感じます。
阿部智介さんの父も医師?無医村だった七山との関係
阿部智介さんが七山で医師として働く背景には、父の存在があります。
七山は、かつて医師がいない地域でした。そうした場所に診療所を開き、地域医療を支えてきたのが阿部さんの父です。
阿部さんは、その背中を見て育ちました。
医師になることは、単に資格を取って病院で働くことだけではありません。特に過疎地の医療では、地域の人たちの生活に深く関わる覚悟が求められます。
都会の大病院なら、診療科ごとに多くの医師がいます。検査機器も多く、専門医につなぐ体制も整っています。
一方で、山あいの地域では、ひとりの医師が幅広く見る必要があります。
風邪、生活習慣病、けが、認知症、終末期の相談、家族の不安。地域の医師には、いろいろな相談が集まります。
阿部さんが父の診療所を受け継いだことは、単なる家業の継承ではなく、地域の暮らしを守る役割を引き継いだという意味があります。
ふるさとに戻り、地域の人の命と暮らしを支える。そこには、父から受け継いだ思いと、自分自身の覚悟が重なっています。
在宅医療とは何か?住み慣れた家で最期を過ごす選択
在宅医療とは、通院が難しい人の自宅などに医師や看護師が訪問し、診療やケアを行う医療のことです。
高齢になると、病院へ行くだけでも大変です。車を運転できない、家族が付き添えない、体力が落ちて長時間待つのがつらい。こうした問題は、地方だけでなく全国で起きています。
在宅医療では、医師が定期的に訪問し、体調の確認や薬の調整、痛みの管理、看取りの相談などを行います。
大切なのは、本人と家族が「どこで、どう過ごしたいか」を考えながら進めることです。
ここで重要になるのが、人生会議とも呼ばれる考え方です。
元気なうちから、自分がどんな医療を受けたいか、どこで過ごしたいか、家族に何を伝えておきたいかを話しておくことです。
たとえば、次のようなことです。
・できるだけ家で過ごしたい
・苦痛は少なくしてほしい
・延命治療について家族と話しておきたい
・最期まで好きなものを食べたい
・家族に迷惑をかけたくないと思っている
こうした気持ちは、いざ病気が重くなってからでは話しにくいことがあります。
だからこそ、普段から少しずつ話しておくことが大切です。
在宅医療は、病院に行かない医療ではありません。必要なときには病院とつながりながら、家で過ごす時間を支える医療です。
「家にいたい」という気持ちを、ただのわがままにしないための仕組みともいえます。
阿部智介さんが受賞した「やぶ医者大賞」とは?
阿部智介さんは、地域医療への取り組みが評価され、やぶ医者大賞を受賞しています。
「やぶ医者」と聞くと、一般的には腕の悪い医師という意味に聞こえるかもしれません。しかし、この賞で使われている「やぶ医者」は、その意味とは違います。
もともとは、兵庫県養父市に伝わる名医に由来するとされ、地域に根ざして人々を支えた医師への敬意が込められています。
この賞は、過疎地や地域医療に力を尽くす若手医師をたたえるものです。
阿部さんが評価された理由は、単に診療を続けているからではありません。
地域で暮らす人たちが、最後まで安心して生きられる仕組みづくりに取り組んできたことが大きいです。
特に注目したいのは、医療だけで完結させようとしていない点です。
過疎地では、医師ひとりが頑張るだけでは限界があります。介護、行政、薬局、歯科、地域住民の助け合いが必要になります。
つまり、地域医療とは「先生が患者を診る」だけではなく、地域全体で暮らしを支えることです。
阿部さんの姿が注目されるのは、地方の一人の医師の話に見えて、実は多くの人に関係するテーマだからです。
親が高齢になったとき、どこで暮らすのか。
病院と家、どちらが安心なのか。
家族だけで支えきれないとき、誰に相談すればいいのか。
自分自身は、どんな最期を望むのか。
こうした問いは、誰にとっても他人事ではありません。
阿部智介さんと七山診療所の取り組みを知ることは、地域医療の話にとどまらず、「自分や家族がどう生きたいか」を考えるきっかけになります。
参考リンク
・番組概要 (バングミ)
・関連番組情報 (FBS福岡放送)
・受賞情報 (KARAE/唐重)
・受賞理由 (city.yabu.hyogo.jp)
・地域医療に関する資料 (med.or.jp)
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