能登の海を思わせる青いガラス「能登藍」が生まれる場所
『あさイチ 愛(め)でたいnippon 能登(ガラス工芸に能登の海を)(2026年8月27日)』で気になるのが、七尾市・能登島で作られる「能登藍(のとブルー)」です。ただ青く着色したガラスではなく、能登の土地と結びついた素材から生まれる独特の色合いが特徴。どこで作られているのか、なぜ海のような青になるのか、震災後の工房や体験・購入方法まで詳しく見ていきます。
この記事でわかること
- 「能登藍(のとブルー)」がどこで作られているのか
- 能登の珪藻土とガラスの青色との関係
- 能登島ガラス工房の震災後の歩み
- 吹きガラス体験の料金・予約・アクセス
能登の海を思わせる青いグラスは「能登藍」
青いガラスを手掛けているのは、石川県七尾市の能登島ガラス工房です。
工房のオリジナルカラーとして展開されているのが、能登藍(のとブルー)。
鮮烈な青というより、透明感の中に淡く落ち着いた青が広がるのが特徴です。
商品によっては気泡やガラスの揺らぎが残され、それが光を受けることで、水面や波のように見えます。
例えば「粋~sui~ グラス」は、口元の気泡とゆらめきによって能登の海を感じさせるデザイン。価格は3,300円で、ソーダガラスを使った手作り品です。
均一な青ではないからこそ、海の景色をそのまま器に閉じ込めたような印象があります。
青色の秘密は能登半島で採れる「珪藻土」
能登藍が面白いのは、色だけではありません。
このガラスには能登半島で採れる珪藻土が使われています。
珪藻土とは、海や湖に生息していた植物プランクトン「珪藻」の殻などが長い時間をかけて堆積してできた土です。
能登半島は珪藻土の産地として知られています。
能登藍では、その土地の珪藻土をガラスに混ぜ込むことで、能登の海を思わせる深く優しい藍色を生み出しています。
「能登の海に似せた青」ではなく、能登の土地そのものを材料として取り込んだガラスというところが大きな特徴です。
旅先のお土産としても、その土地とのつながりを感じやすい工芸品です。
能登島ガラス工房は1984年に廃校を活用して誕生
能登島ガラス工房が誕生したのは1984年7月です。
能登島大橋が開通した後、石川県の誘致によって設立されました。
目的には、
- 廃校の活用
- 観光客の誘致
- 地域の雇用促進
- 新しいガラス工芸の開発
などがありました。
2014年には新しい工房へ移転しています。
つまり能登島のガラス工芸は、最初から作品を作るだけの場所ではなく、島に人を呼び、新しい仕事を生み出す地域づくりの一部として始まっています。
約40年を経た現在も、制作、販売、観光体験が同じ場所で続いているところに、この工房らしさがあります。
2024年の能登半島地震後もガラス制作を再開
2024年1月1日の能登半島地震では、能登島も大きな影響を受けました。
能登島ガラス工房では幸い建物や主要な機械に大きな被害はなく、1月20日ごろからガラス制作を再開。
ショップや体験を含む営業も同年3月から再開しました。
その後も通常営業を続けています。
2026年2月の工房への聞き取りでは、来館者は徐々に増えているものの、震災前、特にコロナ禍から回復していた時期と比較すると約7割という状況でした。
作品をオンラインで購入することも応援につながりますが、実際に能登島まで行き、工房を訪れ、体験や買い物を楽しむことも地域への人の流れにつながります。
吹きガラスでは1300℃のガラスから自分だけの器を作れる
能登島ガラス工房は、完成品を見るだけの施設ではありません。
人気なのが吹きガラス体験です。
約1300℃で溶けたガラスを吹き竿の先に巻き取り、風船を膨らませるように息を吹き込んで形を作ります。
体験料金は3,850円から。
所要時間は約15分で、6歳以上が対象です。
短時間ですが、柔らかなガラスが自分の息によって膨らみ、器へ変わっていく工程を体験できるのが魅力です。
市販品を買うだけとは違い、「能登島で自分が作った」という思い出まで持ち帰れます。
子どもと楽しみやすいガラス体験もある
高温のガラスを扱う吹きガラス以外にも複数の体験があります。
主な料金は、
- 吹きガラス体験:3,850円~
- サンドブラスト体験:1,320円~
- アクセサリー体験:1,650円
- お絵描きガラス体験:1,650円
- デコ皿体験:3,850円~
となっています。
お絵描きガラスではコースターを作ることができ、所要時間は約15分に接着時間が加わります。
デコ皿は約60分。
旅行の予定に合わせて、短時間のものからじっくり作るものまで選べます。
家族旅行なら、年齢や集中できる時間に合わせて体験を選ぶと楽しみやすいでしょう。
体験は予約してから訪れる方が安心
体験は空きがあれば当日でも利用できますが、予約優先です。
特に旅行の日程が決まっていて、「絶対に吹きガラスをやりたい」という場合は事前予約がおすすめです。
4人以下なら予約フォームを利用でき、5人以上の場合は電話で申し込みます。
2種類以上の体験を希望する場合も電話予約となります。
吹きガラス体験では高温の設備を使うため、できるだけ肌の露出が少ない服装が推奨されています。
夏の能登旅行では半袖や短パンになりやすいので、体験を予定している人は服装にも注意したいところです。
2026年8月31日から9月4日はメンテナンス予定
2026年夏に訪れる人は日程にも注意が必要です。
8月31日から9月4日までメンテナンス作業が予定されています。
9月1日は終日臨時休業となります。
ガラス工房では高温の炉をはじめ特殊な設備を使用するため、定期的にメンテナンス期間が設けられます。
能登旅行の目的を吹きガラス体験にしている場合は、訪問日の体験実施状況を確認してから予定を組む方が安心です。
和倉温泉から車で約20分、駐車場は無料
能登島ガラス工房の住所は、
石川県七尾市能登島向田町122-53
です。
和倉温泉駅から車で約20分。
公共交通ではバスで「ガラス美術館前」まで約30分です。
駐車場は約260台分あり無料です。
工房周辺には道の駅のとじまなどもあるため、能登島観光の途中に組み込みやすい場所です。
入館そのものは無料なので、「体験まではしないけれど作品を見たい」「能登藍のグラスを買いたい」という人でも立ち寄れます。
「ガラス工房」と「ガラス美術館」は別の施設
初めて行く人が少し迷いやすいのが、能登島ガラス工房と石川県能登島ガラス美術館の違いです。
名前が似ていますが別の施設です。
能登島ガラス工房は、職人が実際にガラスを制作し、体験や作品販売を行っている場所。
周辺にはガラス美術館もあり、バス停名も「ガラス美術館前」となっているため、初めて訪れる人は混同しやすいところです。
工房で吹きガラス体験をしたい場合は、目的地を能登島ガラス工房に設定しておくと迷いにくくなります。
能登藍はオンラインショップでも購入できる
能登まで行けない場合でも、能登藍の一部商品は工房のオンラインショップで購入できます。
グラスだけでもさまざまな形があり、
粋~sui~ グラス:3,300円
ma-sona 一口グラス:3,850円
dotto グラス:4,180円
bai-gi グラス:4,840円
などがあります。
花器、器、酒器なども展開されています。
すべて同じ青でも、形、厚み、気泡、光の入り方によって見え方が変わります。
手仕事のため、色や形、サイズには1点ずつ個体差があります。
そこを工業製品のばらつきではなく、自分だけの能登の海の表情として楽しめるのが手作りガラスの魅力です。
能登藍を長く使うなら急な温度差に注意
能登藍の多くはソーダガラスで、耐熱ガラスではありません。
そのため、熱湯を入れたり、冷えたグラスへ急に熱い飲み物を注いだりすると割れる原因になります。
洗う際も金属たわしやクレンザーなど、傷を付けやすいものは避けます。
見た目が涼しげなので冷茶や水、冷酒などにはよく合います。
日常使いする場合は、商品ごとの用途と注意事項を確認して使うことが大切です。
能登の「土・海・人」が1つのグラスにつながっている
能登藍の魅力は、きれいな青色だけではありません。
能登半島の珪藻土を使う。
能登島の職人がガラスを吹く。
その色を能登の海になぞらえる。
そして出来上がった器を、旅で訪れた人が持ち帰る。
土地、ものづくり、観光が1つのグラスにつながっています。
震災後も火を止めずに制作を再開し、体験やショップを続けている工房だからこそ、能登藍を手にしたときに見えてくる背景もあります。
能登へ出かけるなら海を見るだけでなく、その海を思わせる青を職人がどうガラスへ閉じ込めているのか、実物を光に透かして見たくなる場所です。
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