プサン名物は「港町」と「戦争の記憶」から生まれた料理が面白い
『激突メシあがれ(韓国料理SP)(2026年8月27日)』では、柴田英嗣さんが韓国・プサンを巡り、地元で愛されるソウルフードや海辺のグルメなどを訪ねます。プサンの食を掘り下げると、豚クッパ、ミルミョン、コムジャンオなど、その土地で生まれた理由を持つ料理が豊富です。旅行で何を食べるか迷う人にも役立つよう、味や違い、食べ方、誕生背景をまとめます。
この記事でわかること
- プサンを代表する豚クッパ・ミルミョン・コムジャンオ
- 豚クッパがプサン名物として定着した理由
- 朝鮮戦争とミルミョン誕生の深い関係
- チャガルチ市場周辺で味わえる港町ならではの食文化
プサンで覚えておきたい3つのご当地グルメ
初めてプサンを訪れるなら、まず覚えておきたいのが次の3つです。
- テジクッパ(豚クッパ):豚肉とスープ、ごはんを合わせるプサンの代表料理
- ミルミョン:小麦粉を使った冷たい麺料理
- コムジャンオ:ピリ辛に味付けして焼くヌタウナギ料理
単に「韓国で人気の料理」というだけではありません。
豚クッパはプサンを発祥地とする料理として紹介され、ミルミョンは朝鮮戦争によってプサンへ避難してきた人々の食文化から生まれました。港周辺では魚介を扱う巨大市場が発達し、コムジャンオなども街の食文化に根付いています。
同じ韓国旅行でも、ソウルとは少し違う料理を食べたいなら、この3つは覚えておきたい存在です。
豚クッパはプサンを代表する「ごはん入り豚スープ」
テジクッパ(돼지국밥)は、文字どおり豚肉を使ったクッパです。
豚骨などから取ったスープに豚肉を入れ、ごはんと一緒に食べます。
見た目は白濁した濃厚なスープのお店もあれば、比較的澄んだスープのお店もあり、プサン市内でも味はかなり違います。
プサンには豚クッパ専門店が数多くあり、市の観光情報でもプサンが豚クッパ発祥の地として紹介されています。各店がスープや肉の使い方に独自性を持っているため、「豚クッパ」という1つの料理だけで食べ歩きが成立するほどです。
豚クッパは自分で味を完成させる楽しみがある
豚クッパを初めて食べると、「思っていたより味が薄い」と感じることがあります。
これは店によって、客自身が好みの味に調整できるようにしているためです。
塩気や辛い調味料を加えたり、ニラをたっぷり入れたりして味を変えながら食べるスタイルもプサンらしい楽しみ方です。実際にプサンの豚クッパ店では、ニラをたっぷり入れて食べる方法が地元のスタイルとして紹介されています。
最初から調味料を大量に入れるより、まずスープだけを飲み、その後に少しずつ調整すると違いを楽しめます。
韓国料理=辛いというイメージがありますが、豚クッパそのものは辛くないタイプも珍しくありません。
辛い料理が得意ではない人でも選びやすいプサングルメです。
1杯1万ウォン前後から楽しめる店もある
豚クッパは、比較的手頃に食べられるのも魅力です。
プサンの観光情報に掲載されている専門店を見ると、1杯9,000~10,000ウォン程度の例があります。
一緒に「スユク」と呼ばれる蒸し豚・ゆで豚を注文する店もあります。
1人なら豚クッパ、複数人ならスユクを追加して分けると、豚肉そのものの味も楽しめます。
価格やメニューは変更されるため、旅行時には店頭メニューを確認しておくと安心です。
ミルミョンは冷麺に似ているが麺の材料が違う
プサンでもう1つ外せないのがミルミョン(밀면)です。
見た目は冷麺によく似ています。
冷たいスープに麺、肉、きゅうり、ゆで卵などをのせる店が多く、暑い季節には特に食べたくなる一杯です。
最大の違いは麺。
一般的な冷麺ではそば粉やでんぷんなどが使われますが、ミルミョンでは名前のとおり小麦粉を中心にした麺を使います。
この違いにはプサンの歴史が関係しています。
ミルミョンは朝鮮戦争の避難生活から生まれた
ミルミョンがプサン名物になった背景を知ると、この料理の見方が大きく変わります。
朝鮮戦争が始まると、北部から多くの人々がプサンへ避難しました。
故郷で冷麺を食べていた人たちにとって問題となったのが、材料となるそば粉を手に入れることが難しかったことです。
そこで使われたのが、当時供給されていた小麦粉でした。
小麦粉やさつまいものでんぷんを使って故郷の冷麺を再現しようとしたことから、プサン独自の麺料理へ発展したとされています。
つまりミルミョンは、単に「冷麺を小麦麺に変えた料理」ではありません。
故郷の味を新しい土地で再現しようとした人々の知恵から生まれた料理なのです。
甘辛いビビンミルミョンとの違いも知っておきたい
ミルミョンには、大きく分けて2つの食べ方があります。
冷たいスープに麺を入れるムルミルミョンと、辛いたれを麺に絡めるビビンミルミョンです。
ムルタイプは、冷たいスープと麺の組み合わせを楽しみたい人向き。
ビビンタイプは、辛味と甘味のある濃い味を楽しみたい人に向いています。
プサンの専門店では両方を扱っていることも多いため、2人以上で訪れるなら違う種類を頼んで食べ比べるのも楽しみ方の1つです。
コムジャンオはプサンの市場で味わいたい「焼く海の幸」
港町らしい料理として覚えておきたいのがコムジャンオ(꼼장어)です。
日本語ではヌタウナギなどと呼ばれます。
プサンにはコムジャンオを食べられる店が集まるエリアがあり、チャガルチ市場周辺でも刺身や焼き魚と並ぶ名物として紹介されています。
食べ方には店ごとの違いがありますが、代表的なのが辛い味付けをして焼くタイプ。
熱した鉄板などで焼き上げるため、ジュージューと音を立てながら赤いタレが煮詰まっていきます。
豚肉や牛肉とは違う弾力のある食感が特徴で、辛い韓国料理が好きな人には特に気になる一品です。
コムジャンオの後にポックンパを食べる文化も楽しい
韓国料理では、肉や魚介を食べ終えた後の鍋や鉄板にごはんを入れてポックンパ(炒めごはん)を作ることがあります。
コムジャンオも例外ではありません。
残った辛いタレにごはんを入れ、海苔やごま油などを合わせて炒める食べ方があります。
プサンのコムジャンオ専門エリアでも、味付けしたコムジャンオを食べた後の炒めごはんが楽しみ方の1つとして紹介されています。
「もうお腹いっぱい」と思っていても、最後のポックンパだけは別腹になりやすい組み合わせです。
チャガルチ周辺は「港町プサン」を食で感じられる
魚介料理を楽しみたいなら、覚えておきたいエリアがチャガルチ市場周辺です。
チャガルチ市場はプサンを代表する伝統市場であり、韓国を代表する魚市場の1つでもあります。
周辺には、
- 刺身
- 焼き魚
- コムジャンオ
- 市場料理
- 各種海産物
などを扱う店が集まります。
観光地として整備された部分だけでなく、海産物を売買する市場として今も機能している点が魅力です。
海を眺めるだけではなく、「何が水揚げされ、どう食べられているのか」まで見えるのが港町プサンらしさです。
プサングルメには街の近現代史がそのまま残っている
豚クッパ、ミルミョン、コムジャンオを並べてみると、プサン料理には共通点があります。
それは、街の歴史と人々の暮らしから生まれた料理が多いことです。
特に朝鮮戦争当時、プサンには多くの避難民が集まりました。
食材が十分にそろわない中でも、手に入る材料を使って故郷の味を再現する。その積み重ねから新しい料理が生まれ、やがてプサンを代表する味へと定着していきました。
ミルミョンは、その歴史が非常に分かりやすく残る料理です。
一方、海に面したプサンでは大規模な魚市場や港湾文化が発達し、魚介を焼く、煮る、生で食べるといった多彩な食文化も育ちました。
料理名だけをチェックして食べ歩くのも楽しいですが、「なぜこの料理がプサンにあるのか」を知ってから食べると、旅の印象はかなり変わります。
初めてのプサン旅行なら食べる順番も決めやすい
1日でいくつか味わいたい場合は、料理の重さを考えると組み合わせやすくなります。
朝や昼には豚クッパ。
暑い日の昼食なら、さっぱりしたミルミョン。
夕食には、数人で鉄板を囲みながらコムジャンオを食べ、最後にポックンパ。
こうすると同じ韓国料理でも、スープ、麺、焼き料理という違った食べ方を楽しめます。
韓国旅行というと焼肉やサムギョプサルに目が向きますが、プサンまで行くなら、その土地から生まれた料理を1つ入れてみるのがおすすめです。
豚クッパには街の日常、ミルミョンには戦争と避難の歴史、コムジャンオには港町の食文化があります。
1杯、1皿の背景まで知ると、プサンのグルメ旅は単なる食べ歩き以上の楽しみになります。
参考リンク
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