鮨文の穴子寿司を支える創業以来の「煮詰め」
『帰れマンデー見っけ隊!!(さかなクンと築地&豊洲へ!プロが行く名店で爆食旅!!)(2026年8月24日)』で登場する「さかなクンが絶対に連れて行きたい絶品アナゴ寿司」。豊洲市場には、さかなクンが長年お気に入りとしてきた江戸前穴子で知られる鮨文があります。江戸末期から続く老舗で、穴子に塗る秘伝の「煮詰め」は空襲から守り抜かれたという歴史まで持っています。穴子のおいしさだけでは語り切れない鮨文の物語を詳しく見ていきます。
この記事でわかること
- 鮨文が江戸末期から続く寿司店であること
- 穴子に使う秘伝の「煮詰め」の歴史
- 空襲から煮詰めを守ったエピソード
- さかなクンと鮨文の深いつながり
鮨文はさかなクンが愛する江戸前穴子の老舗
**鮨文(すしぶん)**は、豊洲市場の水産仲卸売場棟3階に店を構える江戸前寿司の老舗です。
その歴史は江戸末期までさかのぼります。築地市場の時代よりさらに前、江戸時代に屋台を引いて寿司を提供していた時代から続いてきた店として知られています。2004年には創業約150年の老舗として紹介されていました。
長い歴史を持つ店の中でも特に知られているのが江戸前穴子です。
ふっくらと煮た穴子に濃厚な「煮詰め」を合わせる鮨文の味は、さかなクンのお気に入りとしても長く知られてきました。2025年には、さかなクン自身が豊洲市場の鮨文の江戸前穴子を「人生最高の一品」として選んでいます。
魚を知り尽くしたさかなクンが特別な1皿として選んでいるところに、鮨文の穴子の存在感が表れています。
名物の穴子を完成させる「煮詰め」とは
江戸前寿司の穴子に欠かせないのが**煮詰め(ツメ)**です。
煮詰めとは、煮穴子などに塗る甘辛いタレのこと。醤油をそのまま付ける寿司とは違い、職人が仕上げとして穴子に塗って提供します。
鮨文の煮詰めは、単なる甘いタレではありません。
あわびやハマグリなどを煮込んで作られ、創業以来受け継がれてきた伝統の味として紹介されています。
穴子そのものを柔らかく仕上げる技術に加えて、長年受け継がれてきた煮詰めを合わせることで鮨文ならではの味になります。
握り寿司は魚の鮮度ばかりに目が向きますが、穴子の場合は「煮る」「握る」「煮詰めを塗る」という職人の仕事まで含めて完成する1貫です。
秘伝の煮詰めは空襲から守られた
鮨文の歴史で特に印象的なのが、戦時中のエピソードです。
創業以来受け継がれてきた秘伝の煮詰めは、空襲の際にも失われませんでした。
本願寺の防空壕へ煮詰めをしまい、戦火から守ったという話が残されています。
店の建物や道具なら、失われたあとに作り直すこともできます。しかし、代々使い続けてきた煮詰めは同じものを簡単に再現できません。
その味を守るために、食材や家財と同じように煮詰めまで避難させたところに、この店が味をどれほど大切にしてきたかが表れています。
現在食べられる穴子寿司の背景には、職人が寿司を握ってきただけではなく、味そのものを次の世代へ残してきた歴史があります。
「継ぎ足しのタレ」は古い液体をそのまま残す意味ではない
老舗のタレについて「創業以来」と聞くと、150年以上前の液体がそのまま残っているように感じるかもしれません。
しかし、一般的な継ぎ足しのタレは、新しい材料を加えながら営業の中で繰り返し使用し、味をつないでいくものです。
鮨文の場合に大切なのも「昔のタレが大量にそのまま残っている」という意味ではなく、店の味を途切れさせず受け継いできたことです。
さらに鮨文では、あわびやハマグリなど魚介の旨みを取り入れてきたことが、煮詰めの特徴につながっています。
だからこそ、穴子だけを別の場所で食べても同じ味にはなりません。
魚の選び方、煮方、シャリ、そして最後に塗る煮詰めまでがそろって鮨文の江戸前穴子になります。
江戸前寿司で穴子が「煮る魚」になった理由
マグロや白身魚は生で握られることが多い一方、江戸前寿司の穴子は煮て提供されるのが代表的なスタイルです。
江戸前寿司には、冷蔵設備がなかった時代に魚介をおいしく保存するため、
- 酢で締める
- 醤油に漬ける
- 煮る
- 蒸す
といった「仕事」を施して提供してきた歴史があります。
穴子もその代表格です。
柔らかくなるよう火を入れ、仕上げに煮詰めを塗ることで、淡泊な白身に甘辛さと魚介の旨みを重ねます。
現代は冷蔵技術が発達していますが、穴子を煮て仕上げる文化は江戸前寿司の味そのものとして残っています。
鮨文が江戸末期から店を続けてきたことを考えると、名物の穴子は寿司文化の歴史まで感じられる1貫です。
築地から豊洲へ移っても受け継がれた味
鮨文は、築地市場の場内で長く営業してきました。
築地時代には早朝から行列ができる寿司店として知られ、天然物へのこだわりを持つ江戸前寿司店として紹介されてきました。
市場が豊洲へ移転した後も営業を続け、現在は豊洲市場6街区・水産仲卸売場棟3階にあります。
江戸から築地、そして豊洲へ。
場所は変わっても、名物の穴子と煮詰めが受け継がれてきたところが鮨文の大きな魅力です。
「昔からある店」というだけではなく、市場そのものが移転する大きな変化を越えて味をつないできた寿司店でもあります。
店内にはさかなクンが描いた魚の壁画がある
鮨文とさかなクンの関係は、単に「好きな寿司店」というだけではありません。
豊洲市場の鮨文には、さかなクンが描いた魚の壁画があります。名物の穴子も以前からさかなクンのお気に入りとして紹介されてきました。
さらに2025年には江戸前穴子を特別な1品として選んでいるため、一時的に訪れた店ではないことが分かります。
魚に詳しい人が繰り返し足を運ぶという背景まで知ると、「さかなクンが連れて行きたい寿司店」という言葉にも重みが出てきます。
鮨文を訪れた際は寿司だけでなく、店内の壁にも目を向けてみたいところです。
鮨文は豊洲市場の水産仲卸売場棟3階
鮨文を訪れる場合、一般的な街中の寿司店とは営業時間が大きく異なります。
場所は東京都江東区豊洲6-5-1 豊洲市場 水産仲卸売場棟3階です。
営業時間は6:30~14:00オーダーストップ。電話番号は03-6633-0300です。
豊洲市場の飲食店は市場の仕事に合わせて朝から営業するため、夕方や夜に行っても食べられません。
また、市場は主に水曜日・日曜日・祝日が休市日となり、飲食店も休みになる場合があります。出かける日は豊洲市場の年間カレンダーも合わせて確認しておくと安心です。
特に休日は人気店に人が集まりやすいため、穴子を目当てにするなら遅い時間ではなく早めに訪れるほうが動きやすくなります。
鮨文の穴子は「老舗だから有名」だけではない
鮨文の江戸前穴子が特別なのは、単に創業年数が長いからではありません。
江戸末期から続く店があり、穴子を煮る技術があり、その味を仕上げる煮詰めがあり、さらに戦時中にはその煮詰めを防空壕へ運んで守った歴史があります。
築地市場から豊洲市場へ場所が変わっても、その味はつながっています。
そして魚を知り尽くしたさかなクンが長年お気に入りにし、「人生最高の一品」にまで選んだのが鮨文の江戸前穴子です。
寿司を1貫食べる時間はわずかですが、その1貫の背景には150年以上にわたって味を守ってきた人たちの積み重ねがあります。
鮨文へ行くなら、穴子の柔らかさだけでなく、最後に塗られた濃厚な煮詰めにも注目して味わいたいところです。
参考リンク
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