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三崎マグロはなぜマイナス60℃?1トン霜と超低温冷凍庫の仕組み【相葉ヒロミのお困りですカー?】

食・食品

三崎マグロを支えるマイナス60℃の世界

『相葉ヒロミのお困りですカー?(三崎のマグロを守れ!マイナス60℃の冷凍庫の大掃除!モンスター氷とバトル)(2026年8月27日)』で舞台となるのは、神奈川県三浦市・三崎のマグロ冷凍庫です。驚くのはマイナス60℃という温度だけではありません。1トンを超える霜はなぜできるのか、なぜマグロには一般的な冷凍庫よりはるかに低い温度が必要なのか。三崎マグロの品質を支える超低温冷凍と流通の仕組みまで詳しく見ていきます。

この記事でわかること

  • 三崎マグロをマイナス60℃で保存する理由
  • 冷凍庫に1トンを超える霜ができる仕組み
  • 三崎の低温卸売市場とマグロ流通の特徴
  • マイナス60℃でカメラまで不調になる理由

三崎マグロはなぜマイナス60℃で保管するのか

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(出典:三浦市「三浦市低温卸売市場搬入室・計量室」

三崎のマグロがマイナス60℃前後の超低温で保管される大きな理由は、長い流通期間でも赤身の色や品質をできるだけ保つためです。

マグロの赤身にはミオグロビンという色素たんぱく質が含まれています。保管温度が高くなると酸化が進み、鮮やかな赤色から暗い色へ変化しやすくなります。水産庁も、マグロ赤身肉の流通ではマイナス60℃以下の超低温貯蔵が利用されているとしています。

三崎で扱われるマグロは、世界各地の遠洋漁場で漁獲されたものも多く、漁獲後すぐ船内で急速凍結。その後も陸上の超低温冷蔵庫へ引き継ぎ、低い温度を途切れさせないコールドチェーンによって品質を守ります。

家庭の冷凍庫が一般に約マイナス18℃なのに対し、マイナス60℃は別世界です。三崎のマグロのおいしさは、港に着いてからだけではなく、海上で凍結された瞬間から守られているわけです。

「三崎マグロ」はマグロの種類を表す名前ではない

「三崎マグロ」という種類の魚がいるわけではありません。

三崎漁港で取り扱われるマグロの総称として使われている名前です。クロマグロだけでなく、メバチマグロやミナミマグロなど、世界各地で漁獲されたマグロが三崎へ集まります。

なかでも三崎魚市場ではメバチマグロが重要な存在です。

三浦市が紹介する低温卸売市場では、40kgを超えるメバチマグロを中心に、多い日には約1000本を取り扱うとされています。マグロの町というイメージは、近海で大量にマグロが捕れるからというより、遠洋マグロを受け入れ、保管・取引・加工する巨大な拠点として発展してきたことと深く結びついています。

マイナス30℃でも十分寒いのに60℃まで下げる理由

今回の大掃除は、まずマイナス30℃の冷凍庫から始まり、さらにマイナス60℃の冷凍庫へ進みます。

数字だけを見ると30℃の違いですが、人間にとってはどちらも長時間の作業が難しい極寒環境です。

一方、食品保存ではこの温度差が大きな意味を持ちます。

家庭用冷凍庫は約マイナス18℃が一般的で、マイナス30℃でもかなり低い温度帯です。しかし遠洋マグロは、漁獲から消費まで数か月、場合によってはさらに長い期間を経るため、品質変化を抑える目的でマイナス60℃程度の超低温管理が行われています。

つまり三崎の超低温冷凍庫は「凍らせるための設備」というより、凍結したマグロの品質を長期間維持するための設備と考えると分かりやすいでしょう。

1トンを超える霜はどこから来るのか

冷凍庫の中で大問題になるのがです。

霜の材料は、外から入り込む空気に含まれる水分です。

冷凍庫の扉を開けると、庫外の暖かく湿った空気が庫内へ入ります。その水分が非常に冷たい壁や設備に触れると凍り、霜として付着します。扉の開閉や湿った空気の流入が繰り返されれば、少しずつ蓄積していきます。

マグロを搬入・搬出する大型冷凍倉庫では、人や荷物の出入りもあります。

三浦市の低温卸売市場では、冷気を逃がしにくくするため、搬出場所に同時に開かない2重のスライド扉を採用しています。こうした設備を見ると、超低温施設にとって外気を入れないことがどれほど重要なのかが分かります。

今回取り除かれる霜は、合計で1トン以上。さらに天井を覆う巨大な「モンスター氷」まで登場します。

家庭の冷凍庫で見る薄い霜とは、まったくスケールが違います。

巨大な霜や氷を放置できない理由

霜は見た目が邪魔なだけではありません。

冷却設備に大量の霜が付着すると、冷却能力が低下する原因になります。業務用冷凍設備でも、霜の状態を定期的に確認し、必要に応じて除霜することが求められています。

大量の霜や氷が育てば、通路や設備の周辺を狭くしたり、保管物を取り出しにくくしたりする問題も生じます。

特に天井近くまで大きな氷ができてしまえば、通常の掃除とはまったく違います。

超低温環境で長時間作業できないうえ、硬い氷を落とす作業には安全確保も必要です。出演者が交代しながら作業する理由も、単に寒いからではなく、極端な低温下で無理をし続けないための重要な対応といえます。

三崎には冷凍マグロ専用の低温卸売市場がある

三崎の強みは、巨大な冷凍倉庫があることだけではありません。

三浦市には冷凍マグロ専用の衛生管理型低温卸売市場が整備されています。

場内は温度管理された閉鎖型で、冷凍マグロに傷がつかないよう床面も平滑に仕上げられています。超低温冷蔵庫から出されたマグロは、搬入、切断、計量、陳列、取引、搬出へと進んでいきます。

さらに冷凍マグロを運ぶ際にも温度上昇を防ぐ工夫があります。

低温卸売場と超低温冷蔵庫の間を運搬するときにはシートをかけるなど、冷凍状態をできるだけ維持したまま流通させる仕組みが整えられています。

食卓で見る1柵のマグロになるまでに、かなり細かな温度管理が続いていることが分かります。

マイナス60℃ではカメラにもトラブルが起きる

人間だけでなく、撮影機材にとってもマイナス60℃は厳しい環境です。

今回の作業では、超低温冷凍庫でカメラにトラブルが発生します。

カメラに使われるバッテリーは低温に弱く、周囲の温度が下がると性能が一時的に低下し、使用できる時間が短くなります。カメラメーカーも寒冷地でバッテリー性能が低下することを案内しています。

一般的な冬の屋外撮影ですら影響が出るため、マイナス60℃という環境が撮影機材にとってどれほど特殊なのかが分かります。

極寒の冷凍庫から外へ出した際には温度差も非常に大きくなるため、人、食品、設備、撮影機材のすべてについて慎重な扱いが必要な場所です。

三崎のマグロは世界の海と食卓をつないでいる

三崎港に並ぶマグロを見ると、三浦半島周辺で捕れた魚という印象を持つかもしれません。

実際には、三崎へは太平洋だけでなくオーストラリア沖やアイルランド沖など世界各地で漁獲されたマグロが集まります。2026年5月に三崎を訪れたオーストラリア・ウォーナンブール市の一行も、早朝にマイナス60℃の超低温冷蔵庫を視察しています。

遠く離れた漁場で捕れたマグロを船上で急速凍結し、三崎で超低温のまま保管し、市場で取引して全国へ届ける。

その途中にある巨大な冷凍庫は、単なる倉庫ではありません。

三崎マグロの品質を守る流通インフラそのものです。

1トンを超える霜を取り除く大掃除の背景を知ると、普段何気なく食べている冷凍マグロが、巨大な設備と徹底した温度管理によって支えられていることが見えてきます。

参考リンク


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