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白沢寿一さんとは?パラグアイ産ゴマを広めた理由と日本向け99.99%検品の秘密【世界で開け!ひみつのドアーズで紹介】

食・食品

日本の食卓を支えるパラグアイ産ゴマ

いつも何気なく使っているゴマが、南米の小さな農家によって丁寧に育てられていると知ると、一粒の見え方が少し変わります。

『世界で開け!ひみつのドアーズ「パラグアイ・ゴマ生産者に“ありがとう”」(2026年7月22日放送)』では、パラグアイ産ゴマが日本へ届くまでの長い工程と、栽培を広めた日本人移住者の歩みが紹介されました。

なぜ手作業で収穫するのか、なぜ日本向けの検品は厳しいのか。普段は見えない背景を知ると、安さや産地表示だけでは判断できない価値が見えてきます。

この記事でわかること

  • 白沢寿一さんがゴマ栽培を広めた理由
  • パラグアイ産ゴマを手作業で収穫する理由
  • 日本向けゴマの厳しい選別と検品工程
  • 産地や商品を選ぶ前に確認したいポイント

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白沢寿一さんとは?パラグアイにゴマ栽培を広めた人物

白沢寿一さんは、パラグアイの小規模農家に白ゴマの種を配り、栽培方法を伝えた日本人移住者です。

1958年に家族とともに北海道からパラグアイへ移住し、1971年に農産物の輸出などを手がける会社を設立しました。

白沢さんがゴマに目を向けた背景には、パラグアイ農村部が抱えていた深刻な問題があります。

1990年代初めのパラグアイでは、小規模農家の大切な収入源だった綿花の価格が下落していました。農薬代などの借金を抱え、生活が苦しくなる農家も増えていたとされています。

そこで、綿花に代わる作物として検討されたのがゴマでした。

白沢さんは1980年代後半から複数の白ゴマを試験栽培し、日本人の味覚や市場に合う品種を探していました。そのうえで、貧困が社会問題になっていたサンペドロ県の農家へ種を配り、栽培指導を始めたのです。

単に種を販売したのではなく、農家のもとへ何度も足を運び、育て方や収穫方法を伝えた点が大きな特徴です。

たしかに、新しい作物を「収入になるから育ててください」と言われても、すぐには信じにくいものです。家族の生活がかかっている農家にとって、育てた経験のない作物への転換は大きな賭けだったはずです。

実際に栽培した農家では、初年度からまとまった収穫が得られ、綿花栽培で抱えた借金の返済につながった例もありました。

白沢さんの取り組みは、海外に日本向け商品を作る事業というだけではありません。小規模農家が自分たちの土地と労働力を生かし、新しい収入源を得る仕組みを作ったことに意味があります。

なぜパラグアイでゴマ栽培が広がったのか

パラグアイでゴマが広がった理由は、気候が適していたからだけではありません。

ゴマは、大規模な機械や広大な農地を持たない農家でも取り組みやすく、比較的短い期間で収穫できる作物でした。

パラグアイでは小規模農家が多く、牛や水牛を使って畑を耕す地域もあります。そのような環境では、大型機械を前提とした大豆やトウモロコシなどの大規模農業と同じ方法で競争するのは簡単ではありません。

一方、ゴマは収穫や選別に細かな手作業が必要です。

通常であれば手間がかかることは不利に見えますが、パラグアイの小規模農家にとっては、家族や地域の人たちの労働力を生かせる強みにもなりました。

特にサンペドロ県の赤土は水はけがよく、ゴマの栽培に向いているとされています。

春ごろに種をまくと、約1か月半で花を咲かせ、その後、さやの中に小さなゴマの粒ができます。栽培されているものの多くは、日本で幅広く使われる白ゴマです。

白沢さんたちが開発と普及を進めた白ゴマは、日本市場で評価され、2000年以降はパラグアイから日本への輸出が大きく増えました。

過去の資料では、ゴマを栽培する農家が1999年の約5000世帯から、2005年には約3万5000世帯まで増えたことも報告されています。

初めて知ると少し驚きますが、日本で食べられているゴマが、遠く離れた地域の農家の暮らしを変える作物になっていたのです。

ただし、輸出が増えればすべてが安定するわけではありません。

同じ畑で同じ作物を作り続けると、土の状態が悪化したり、病害が発生しやすくなったりする連作障害が起きることがあります。

急速にゴマ栽培が広がった後には、収穫量の低下や品種の交雑による品質低下といった問題も確認されました。

ゴマは農家を救った作物である一方、育て方や土地の管理を誤ると、新たな負担を生む可能性もあります。

個人的には、成功した作物をただ増やすのではなく、別の作物と組み合わせながら畑を守ることが、長く続けるためにいちばん大切だと感じます。

パラグアイ産ゴマはなぜ手作業で収穫されるのか

パラグアイ産ゴマの大きな特徴は、収穫の多くを手作業で行っていることです。

一粒わずか約2ミリのゴマを収穫するために、農家は茎を刈り取り、束にして乾燥させ、さやが開いたところで粒を落とします。

機械で一気に収穫した方が早そうに思えますが、ゴマの場合は、機械の衝撃によって粒に傷がつくことがあります。

ゴマには油分が多く含まれているため、粒が傷つくと内部の油が空気に触れ、酸化が進みやすくなります。

酸化すると、香りや風味が落ちるだけでなく、油っぽいにおいや苦みにもつながります。

そのため、品質を重視するゴマでは、粒を傷つけないことが重要です。

収穫する日の天候にも注意が必要です。

湿度が高い日に刈り取ると、乾燥に時間がかかり、カビや品質低下につながる可能性があります。よく晴れた暑い日に収穫し、刈り取った後はすぐに天日干しを始めます。

番組で紹介された農家では、半月ほど乾燥させた後、束を棒でたたいてシートの上へゴマを落としていました。

作業の流れをまとめると、次のようになります。

  1. 晴れて湿度の低い日に茎を刈り取る
  2. 刈ったゴマを束にして天日干しする
  3. さやが乾燥して自然に開くのを待つ
  4. 束をたたいて粒をシートへ落とす
  5. ふるいを使い、土や枯れ草を取り除く

見た目は昔ながらの作業ですが、単に機械がないから手で行っているわけではありません。

粒を傷めず、香りと油の品質を守るための方法でもあります。

ただし、「手作業だから必ず高品質」「無農薬だから必ず安全」とは限りません。

手作業であっても、乾燥不足や保管環境に問題があれば品質は落ちます。反対に、機械を使っていても、適切に調整され、衛生管理が徹底されていれば高品質な商品は作れます。

実際に商品を選ぶなら、収穫方法だけでなく、加工場所や検査体制、賞味期限、保存方法まで確認したいところです。

日本向けゴマはなぜ厳しく選別されるのか

パラグアイの農家が収穫したゴマは、そのまま日本へ送られるわけではありません。

まず農家や集荷を担う人たちが、ふるいを使って土、小石、枯れ草などを取り除きます。

日本向けのゴマは、目立つ異物が残っていると買い取られないこともあるため、状態によっては同じ作業を何度も繰り返します。

その後、集められたゴマは工場へ運ばれ、複数の機械で選別されます。

番組で紹介された工場では、次のような工程が行われていました。

工程 取り除くもの・目的
最初の機械選別 土や大きな異物を取り除く
風と振動による選別 軽いゴミや細かな異物を分離する
色彩センサー 変色した粒や見た目の悪い粒を取り除く
サンプル検査 機械が見逃した小さな異物を人が確認する

段階的に選別し、最終的には異物のない状態を限りなく100%に近づけます。

番組では、機械選別によって99%、さらに別の機械で99.95%、色彩センサーを通して99.99%まで異物を除去する工程が紹介されました。

最後は約66万粒分のサンプルを取り出し、小さなゴミが残っていないかを人の目で調べるとされています。

これほど厳しい検品が行われる理由は、日本の消費者がゴマを粒のまま使うことが多いからです。

ゴマは、ご飯、和え物、麺類、菓子などにそのまま振りかけられます。洗ったり皮をむいたりせず口に入る食品なので、小さな砂粒や植物片でも異物として目立ちます。

また、日本の輸入食品には残留農薬などの基準があります。

パラグアイ産ゴマでは、過去に日本の基準値を超える農薬が検出され、該当する荷物が輸入を認められなかった事例もありました。

その後は、生産者、輸出企業、行政機関などが連携し、農薬の管理や検査体制の改善が進められています。

ここで知っておきたいのは、異物を99.99%取り除く検品と、残留農薬の安全性確認は別の検査だということです。

  • 異物検査は、土、小石、枯れ草、変色粒などを取り除くもの
  • 残留農薬検査は、農薬成分が基準以内かを確認するもの
  • 衛生検査は、微生物やカビなどの問題を確認するもの

見た目がきれいだから、すべての安全性が確認できるわけではありません。

実際に選ぶ際には、「異物除去率が高い」という説明だけでなく、輸入者や製造者がどのような検査を行っているかを見ることも大切です。

パラグアイ産ゴマを選ぶ前に確認したいこと

スーパーで販売されるゴマには、原料原産地、加工地、販売者などが表示されています。

ただし、「パラグアイ産」と書かれていても、すべての商品が同じ味や品質になるわけではありません。

ゴマは収穫後に、洗浄、乾燥、焙煎、皮むき、すりつぶしなどの加工が行われます。味や香りは、産地だけでなく加工方法によっても大きく変わります。

選ぶときは、次の点を確認すると比較しやすくなります。

原料原産地

パラグアイ産だけを使った商品なのか、複数の国の原料を混ぜているのかを確認します。

複数産地を使用している商品が悪いわけではありません。味や価格を安定させるために、原料を組み合わせている場合もあります。

ゴマの種類

白ゴマ、黒ゴマ、金ゴマでは、見た目や香りの感じ方が異なります。

白ゴマは比較的穏やかな風味で、和え物やドレッシングなど幅広い料理に使いやすい種類です。

加工方法

いりゴマ、すりゴマ、皮むきゴマでは、使い方や香りの出方が異なります。

香りを重視するならいりゴマ、料理に混ぜ込みたいならすりゴマ、口当たりを重視するなら皮むきゴマが使いやすいでしょう。

製造日と賞味期限

ゴマは乾燥食品ですが、油分が多いため、時間とともに酸化します。

開封後は高温多湿と直射日光を避け、密封して保存することが重要です。大袋を買って使い切れない家庭では、小分けの商品を選ぶ方が香りを保ちやすい場合があります。

袋の状態

袋に穴がないか、ゴマが湿って固まっていないか、油のにじみがないかも確認したいポイントです。

個人的には、産地だけで商品を選ぶより、家庭で使い切れる量かどうかを先に考えるのがおすすめです。

せっかく丁寧に収穫されたゴマでも、開封後に長く放置して酸化させてしまえば、本来の香りを楽しめません。

コシード・ケマドとテレレはどんな飲み物?

パラグアイのゴマ農家の暮らしを理解するうえで、現地のお茶文化も欠かせません。

番組には、コシード・ケマドテレレという2つの飲み物が登場しました。

コシード・ケマドは、マテ茶の葉と砂糖などを加熱して香ばしさを出し、お湯や牛乳で煮出す飲み物です。

家庭や地域によって作り方は異なり、ゴマを加えて香りを楽しむ飲み方もあります。

一方のテレレは、冷たい水とマテ茶を使うパラグアイの伝統的な飲み物です。

容器に入れたマテ茶へ冷たい水を注ぎ、金属製などのストローで飲みます。薬草を加えることもあり、家族や仲間で同じ容器を回しながら飲む文化があります。

テレレに関する伝統的な知識と習慣は、2020年にユネスコの無形文化遺産の代表一覧表へ登録されました。

暑い畑仕事の合間にテレレを回し飲みする時間は、単なる水分補給ではありません。

働く人たちが集まり、会話を交わし、つながりを確認する時間でもあります。

ゴマの生産を数字だけで見ると、年間何トン、輸出量何%という話になりがちです。しかし、その背景には畑で働く家族の日常があり、休憩時に交わされる飲み物や会話があります。

こうした暮らしまで知ると、輸入食品を「安い海外産」とひとまとめにできないと感じます。

パラグアイのゴマ農家が現在抱えている問題

パラグアイのゴマ栽培は、小規模農家の収入を支えるまでに成長しました。

しかし現在も、安定した産業になったとは言い切れません。

大きな問題の一つが、国際的な生産量と価格の変化です。

ゴマの需要が高まると、近隣国やアフリカ諸国などでも生産が増えます。市場へ出回る量が増えれば、豊作でも農家が受け取る価格が下がることがあります。

農家にとっては、たくさん収穫できたのに収入が増えないという状況が起こり得ます。

特にゴマだけに収入を依存している場合、次のような影響を受けやすくなります。

  • 国際価格の下落
  • 天候不順による不作
  • 病害虫や連作障害
  • 輸入国の基準変更
  • 為替や輸送費の変動

そのため、農家の中にはゴマだけでなく、別の農作物や家畜を組み合わせ、生計を維持しようとする人もいます。

これは日本の農業にも共通する問題です。

一つの作物が高く売れると、多くの生産者が参入します。しかし、生産量が増えすぎれば価格が下がり、作り続けられなくなる可能性があります。

消費者から見ると値下がりは歓迎したくなりますが、価格が下がりすぎれば、生産者が栽培をやめ、将来的に安定して買えなくなることもあります。

安ければ安いほどよいという話ではなく、生産者が次の年も作り続けられる価格かどうかも重要です。

たしかに毎日の買い物では、そこまで考える余裕がない日もあります。それでも、産地や生産背景を知った商品を一度選んでみることは、遠くの農家を身近に感じるきっかけになります。

一粒のゴマから見える日本とパラグアイのつながり

パラグアイ産ゴマの背景には、日本人移住者の試行錯誤、小規模農家の生活再建、手作業による収穫、厳しい品質管理があります。

白沢寿一さんが広めたゴマ栽培は、綿花価格の低迷に苦しんでいた農家に、新しい収入の道を作りました。

その後、日本市場へ輸出されるようになり、パラグアイは日本にとって重要な食用ゴマの供給地の一つになりました。

一方で、連作障害、品質管理、残留農薬、国際価格の下落など、解決すべき問題も残っています。

パラグアイ産だから必ず優れている、手作業だから絶対に安全という単純な話ではありません。

大切なのは、どこで作られ、どのように収穫され、誰が加工し、どのような検査を経て販売されているのかを確認することです。

普段の料理に使う一粒のゴマでも、その背景には多くの人の仕事があります。

次にゴマを購入するときは、原料原産地や加工方法、内容量を一度見比べてみてください。値段だけでは見えなかった違いに気づけるかもしれません。


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