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冷凍しじみのオルニチンはなぜ8倍?−4℃の条件と家庭冷凍の注意点【ホンマでっか!?TV】

食・食品

冷凍しじみの「オルニチン8倍」は何が8倍になるのか

『ホンマでっか!?TV(1兆円の大ブーム!冷凍食品の活用術&激ハマりNo.1を大発表)(2026年8月26日)』で気になるのが、冷凍しじみに関する「約8倍」という数字です。ただ凍らせれば健康効果そのものが8倍になるわけではありません。研究で増えたのはしじみエキス中の遊離オルニチン。どんな条件で増えたのか、家庭で冷凍するときの注意点まで整理します。

この記事でわかること

  • 冷凍しじみの「約8倍」が意味するもの
  • オルニチンが最も増えた−4℃という条件
  • 一般家庭の冷凍庫でも同じ結果になるのか
  • 砂抜きから冷凍・味噌汁までの使い方

「約8倍」になったのは疲労回復効果ではなくオルニチン量

最初に押さえておきたいのがここです。

冷凍したしじみについて紹介される「約8倍」という数字は、人が食べたときの疲労回復効果を比較して「8倍になった」という意味ではありません。

青森県産業技術センターによるヤマトシジミの研究で、低温処理したしじみから熱水抽出したエキスを調べたところ、遊離オルニチンの量が大きく増加したことから生まれた数字です。

オルニチンはアミノ酸の一種で、体内では尿素回路に関わっています。

ヒトを対象にした研究でもL-オルニチンと疲労感などの関係は調べられていますが、これは一定量のL-オルニチンを摂取させた研究です。

そのため、

冷凍しじみ=疲労回復力が8倍

とそのまま置き換えることはできません。

オルニチンが最も増えた温度は−4℃だった

この研究の面白いところは、ただ「凍らせたら増えた」だけではなく、温度によって結果が大きく違ったことです。

ヤマトシジミを4℃から−10℃まで2℃刻みの条件で20時間処理して比較すると、−4℃でオルニチン量が最も多くなりました

4℃で保存したものと比べると、−4℃処理では8倍以上に増えたことが報告されています。

さらに、急速に凍らせるより、ゆっくりと低温へ移行させる条件の方がオルニチン量が多くなる傾向も示されました。

食品は急速冷凍した方がおいしさを守りやすいイメージがありますが、しじみのオルニチンについては少し違った現象が起きているのです。

なぜ冷凍するとオルニチンが増えるのか

研究が始まったきっかけ自体も興味深いものです。

青森県ではヤマトシジミを利用した加工品の開発を進める中で、しじみエキスの成分を調べていました。

その過程で、冷凍したしじみのエキスにオルニチンが多いことが見つかります。

研究を進めると、しじみからアコルビンと名付けられたオルニチンを含む新しいトリペプチドも発見されました。

トリペプチドとは、3個のアミノ酸がつながった物質です。

−4℃処理ではアコルビンが減少する一方、遊離オルニチンが増加する変化が確認され、アコルビンがオルニチン増加の由来の1つと考えられています。

単に「細胞が凍って壊れたから、もともとあったオルニチンが出てきただけ」という単純な話ではありません。

アサリやハマグリを凍らせても同じ変化は起きなかった

さらに面白いのが、他の貝でも同じなのかという比較です。

研究では、

  • ホタテ
  • アサリ
  • ハマグリ

についても確認されました。

しかし、しじみで見られたような明確なオルニチン増加は確認されませんでした

つまり「貝類は冷凍すれば全部オルニチンが増える」という話ではなく、ヤマトシジミに特徴的に見られた現象です。

冷凍という同じ保存方法でも、食材によって起こる変化が違うことが分かります。

家庭用冷凍庫に入れれば必ず8倍になるわけではない

家庭で試すときに最も注意したいポイントです。

一般的な家庭用冷凍庫は、食品を−18℃以下で保存することを想定して作られています。

一方、研究でオルニチン量が最も増えたのは−4℃です。

温度条件がかなり違います。

そのため、買ってきたしじみを家庭の冷凍庫へ入れれば、研究と同じように「必ず8倍になる」とは言えません。

一方で、研究では凍結によってオルニチン量が変化する現象そのものが確認されています。

家庭では「8倍にする方法」と考えるより、

保存しやすくしながら、冷凍しじみならではの特徴も利用する

という取り入れ方が分かりやすいでしょう。

冷凍するなら先に砂抜きを済ませておく

家庭で生のしじみを冷凍する場合は、砂抜きをしてから冷凍しておくと調理がラクになります。

基本的な流れは、

  1. しじみを砂抜きする
  2. 貝殻同士を軽くこするように洗う
  3. 1回で使う量に小分けする
  4. 保存袋に入れて冷凍する

という方法です。

しじみを扱う事業者でも、砂抜きを済ませてから1回分ずつ小分けして冷凍する方法が案内されています。

大量に買ったときも、全部を数日で食べ切ろうとしなくて済みます。

味噌汁1回分ずつ分けておけば、忙しい朝にもかなり便利です。

冷凍しじみは解凍せず凍ったまま味噌汁へ

冷凍したしじみは、料理の前に自然解凍する必要はありません。

凍ったまま加熱調理できます。

しじみ汁なら、冷凍庫から必要な分だけ取り出して軽く洗い、そのまま鍋へ。

解凍してから使うより工程が少なく、使いたいときにすぐ調理できます。

特に味噌汁は、しじみから出るエキスを汁ごと食べられる料理です。

研究自体もしじみを熱水抽出したエキスの成分を分析しているため、しじみ汁という食べ方とは相性のよい考え方です。

ただし加熱中に殻が開かないしじみは無理に食べないようにします。

冷凍しじみは「健康法」より便利な常備食材として考えたい

「オルニチン8倍」と聞くと、毎日大量に食べれば元気になれる食品のように感じるかもしれません。

しかし研究から直接言えるのは、特定の低温条件によってしじみエキス中のオルニチン量が増えたというところまでです。

食事の効果は1つの栄養成分だけで決まるものではありません。

それでも冷凍しじみには、

保存できる

必要な分だけ取り出せる

解凍せず味噌汁へ入れられる

という実用面で大きなメリットがあります。

さらに冷凍によって成分にも興味深い変化が起きる。

こう考えると、「特別な健康食品」として構えるより、冷凍庫に置いておける便利な汁物食材として使う方が、毎日の食事には取り入れやすいでしょう。

研究から冷凍しじみの商品開発にもつながった

この研究は学術的な発見だけでは終わりませんでした。

オルニチンを増加させたしじみエキスが加工食品へ利用され、しじみドリンクや味噌汁などの商品開発にもつながっています。

青森県の重要な水産資源であるヤマトシジミを、保存するだけでなく価値を高める加工方法として研究した結果です。

普段何気なく行っている「冷凍」という操作から、新しい成分変化が見つかり、地域の商品開発にまで発展した。

冷凍しじみの「8倍」という数字以上に、この研究の面白いところかもしれません。


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