会議の議事録を上司自身が書くと、チームの「聞いていた話が違う」を減らせる
会議が終わったのに、次回集まると話が戻っている。指示したつもりなのに、出来上がったものが違う。そんな職場のすれ違いに対して、佐久間宣行さんが続けている方法が意外です。『ドキュメント20min.(100点の上司)(2026年8月31日)』からさらに掘り下げたいのが、プロデューサー自身が議事録を書く仕事術。そこには記録以上の意味があります。
この記事でわかること
- 佐久間宣行さんが今でも自分で議事録を書く理由
- ホワイトボードまで自分で書く独特な会議方法
- Googleカレンダーを使った会議後の仕事術
- チーム内の認識ズレを減らす具体的な方法
佐久間宣行は今でも会議の議事録を自分で書いている
(出典:ログミーBusiness「佐久間宣行氏が、今でも会議の議事録を自分で書く理由」)
佐久間宣行さんがチームの認識をそろえるために行っているのが、会議の議事録を自分で作ることです。
テレビ制作の会議では、本来なら別のスタッフが担当しても不思議ではない作業です。
ところが佐久間さんは、ホワイトボードの前に立って会議を進めながら、自分自身で内容を書き込んでいきます。
オンライン会議でも同様で、共有画面に資料を表示し、その場で自分で印を付けながら話を整理しています。特に毎回新しいことを決めなければならない企画では、自分で構成や決定事項を書いていくことで、「自分が考えていた内容」と「残された議事録」が食い違う状態を防いでいるのです。
これは、単純に几帳面だから続けている作業ではありません。
最大の目的は、チームのビジョンをずらさないことにあります。
議事録は「会議で話したこと」より「何を決めたか」を残す
会議の議事録というと、
「Aさんがこう発言した」
「B案について話し合った」
と、会話を記録するものをイメージしがちです。
しかし、仕事を前へ進めるために本当に必要なのは、会話そのものより、
何が決まり、次に誰が何をするのか
が分かることです。
佐久間さんの場合、自分でホワイトボードへ書きながら話を進めるため、
「つまり今回決めたのはこれ」
という形で、その場で考えを整理できます。
さらに、本人が直接書くので、会議後に作られた資料を見て、
「そういう意味で言ったんじゃない」
となる可能性も小さくできます。
管理職になるほど会議後の資料作成を部下へ任せたくなりますが、重要な方向性を決める会議だけは、決定した本人が最後の言葉まで確認する。
佐久間さんの方法から取り入れやすいポイントです。
長く続く番組と新企画では会議のやり方も変えている
興味深いのは、佐久間さんがすべての会議で同じやり方を続けているわけではないことです。
長く続いている番組では、すでにスタッフ同士で考え方や番組の方向性が共有されています。
その場合は、別のスタッフが記録しても大きな問題はありません。
一方で、
新しい番組を始めるとき。
新企画を考えるとき。
これまでにない方向へ変更するとき。
こうした判断基準そのものを共有する必要がある仕事では、自分が議事録や構成表を作ることを重視しています。
ここには、上司が何でも自分でやることとの大きな違いがあります。
前の記事で触れたように、佐久間さんは部下の仕事を何でも自分で引き取るやり方から離れています。
それでも議事録は自分で作る。
つまり、
任せる仕事と、自分が握る仕事を分けている
のです。
チーム全員が判断するときの基準になる部分は上司が責任を持つ。
そこから先の具体的な仕事はメンバーへ任せる。
この線引きができると、上司がすべての仕事を抱え込まずに済みます。
Googleカレンダーに「次回までにやること」まで書いている
佐久間さんの会議術は、議事録だけではありません。
自身の仕事術として紹介しているのが、Googleカレンダーのメモ欄を利用する方法です。
会議の終盤になったら、その日の要点に加えて、
- 次の会議までに達成すること
- 次回までに自分がやること
- 議事録
- 会議で使った資料
などをカレンダーへまとめます。
この方法の便利なところは、数日後に、
「あの資料、どこに保存したっけ?」
と探さなくてもいいことです。
例えば月曜日に企画会議があり、次回が翌週月曜日なら、その予定を開けば前回の決定事項も資料も分かる状態にしておく。
会議が多い人ほど効果を感じやすい方法でしょう。
そして何より重要なのが、次の会議を「前回の続き」から始められることです。
同じ説明を繰り返す時間が減り、
「前回ここまで決めたので、今日はここから」
と進められます。
会議の終わりに次回のゴールまで決める
「会議をした」というだけでは仕事は進みません。
佐久間さんの方法では、会議の最後に次の会議までに何ができている必要があるのかまで整理します。
例えば新商品の企画会議なら、
「今日はアイデアを話しました」
だけで終了するのではなく、
次回までに3案へ絞る。
担当者が見積もりを取る。
A案の試作品を作る。
次回は価格を決める。
というところまで決める。
これなら会議と会議の間にも仕事が進みます。
反対にゴールが曖昧だと、それぞれが別の方向へ動き、
次回の会議で、
「そこまでやるとは思っていなかった」
「それは別の人がやると思っていた」
というズレが生まれます。
良い上司になるために「部下への声かけ」を考えることも大切ですが、部下が迷わなくても仕事が進む仕組みを作ることも同じくらい重要です。
チームの方向がずれたらオンラインだけで済ませない
(出典:SmartHR Mag.「チームはメンバーが個性を発揮するステージ 佐久間宣行のマネジメント術」)
さらに佐久間さんは、チーム内でビジョンがずれてきたと感じた場合には、対面で集まる機会を作ることもあります。
オンライン会議を否定しているわけではありません。
移動の負担などを考えれば、オンラインが適している仕事もあります。
ただしチームの空気が合わなくなってきたときには、対面で集まり、冒頭の10~20分ほど雑談を交えながら関係性をつかみ直すことがあります。
ここも面白いところです。
仕事内容だけなら、文章でも伝えられます。
しかし、
「何となく意見を出しづらくなっている」
「最近この人が話さなくなった」
「同じ企画なのに目指している方向が違う」
といった問題は、資料だけでは見つけにくいものです。
普段はオンラインで効率化しつつ、必要なところでは直接会う。
効率だけを追わない会議の使い分けも、チームをまとめる方法の1つになっています。
自分の得意な「段取り」をマネジメントに使っている
佐久間さんは若いころ、周囲から段取りやスケジューリングがうまいと評価された経験があります。
本人にとっては自然に行っていたことでしたが、他人から評価されたことで自分の強みだと認識するようになりました。
現在も特別番組などでは、完成までのスケジュールを自分で考え、会議の中で提示することがあります。
ここから見えてくるのは、
「上司になったら何でも得意にならなければいけない」
という考え方とは違うリーダー像です。
佐久間さんの場合は、
企画を考える力。
方向性を言葉にする力。
段取りを組む力。
こうした自分の強みを使ってチームを動かします。
一方、自分よりメンバーが優れている分野は任せる。
自分が得意な部分でチームを支え、他人の得意分野まで奪わない。
これが前の記事で紹介した「仕事のできすぎる上司」の問題ともつながってきます。
普通の職場でも使える「3行議事録」
佐久間さんと同じように会議中ずっとホワイトボードを書く必要はありません。
普通の職場なら、会議の最後に3つだけ確認する方法でも使えます。
1. 今日決まったこと
「結局何が決まったのか」を1文で残します。
2. 次回までにやること
担当者と作業内容を決めます。
3. 次回決めること
次の会議の目的を先に決めます。
例えば、
「A案で進める」
「田中さんが金曜までに見積もりを取る」
「次回は価格と発売日を決める」
これだけでも十分です。
そして会議終了前に画面やホワイトボードを全員で見て、
「今日はこれで合っていますよね」
と確認する。
メールを何通も送って補足するより、その場で認識をそろえた方が早い場合があります。
「100点の上司」は全部覚えている人ではなく、迷わせない人
仕事のできる上司というと、
判断が速い。
知識が多い。
部下の質問にすぐ答えられる。
そんな人物を思い浮かべます。
しかし佐久間さんの議事録のエピソードから見えてくるのは、少し違う姿です。
重要なのは、
上司自身だけが分かっている状態を作らないこと。
何を目指すのか。
今日は何を決めたのか。
誰が何を担当するのか。
次に何を決めるのか。
これが共有されていれば、部下はいちいち上司へ確認せず、自分で仕事を進められます。
上司自身が議事録を書くという一見地味な仕事も、最終的には部下の判断待ちを減らし、自分自身の仕事も減らす仕組みになっているのです。
「100点の上司」を目指して特別な話術を身につける前に、まず会議が終わった瞬間、チーム全員が同じゴールを見ているか確認する。
明日の職場から取り入れられる、かなり実用的な仕事術です。
- SmartHR Mag.「チームはメンバーが個性を発揮するステージ 佐久間宣行のマネジメント術」
- SmartHR Next 2023「佐久間宣行の誰もが自分らしく働けるチームマネジメント」
- ダイヤモンド社「佐久間宣行のずるい仕事術」
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