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ミルピスとノナの正体は?利尻島のたちかま・五島のかっとっぽまで島グルメを紹介【ガラパゴスグルメで紹介】

食文化

島だからこそ残った、知られざる食文化

海に囲まれた離島では、身近にとれる魚介や作物を無駄なく生かす工夫から、その土地だけの食べ方が育ってきました。『ガラパゴスグルメ(ガンバレルーヤ&クロちゃんが離島で進化した美食探し!)(2026年8月15日)』で登場した利尻島、五島列島、隠岐の島にも、名前を聞いただけでは想像しにくい食文化が残っています。

ミルピス、たちかま、ノナ、かっとっぽ、かんころ餅、隠岐島放牧牛ハンバーグなど、それぞれがどんな食べ物なのか、なぜ島で生まれたのかまで分かると、珍しさだけではない魅力が見えてきます。

この記事でわかること

  • 利尻島のミルピス・たちかま・ノナの正体
  • 五島列島のかっとっぽとかんころ餅の背景
  • 隠岐島放牧牛ハンバーグと牛突きの関係
  • 島独自の料理が生まれた理由と食べられる場所

利尻島のホッケちゃんちゃん焼きは鮭を使わない漁師めし

「ちゃんちゃん焼き」と聞くと、鮭と野菜を味噌で焼く北海道料理を思い浮かべる人が多いでしょう。

ところが利尻島では、ホッケのちゃんちゃん焼きが食べられています。

利尻周辺ではホッケが身近な魚だったことから、鮭ではなくホッケを使う食べ方が根付いてきました。魚に味噌やネギなどを合わせて焼くため、ご飯にも合う豪快な料理です。

沓形港近くでは、漁師が営むゲストハウス1721でもホッケのちゃんちゃん焼きが提供されています。

同じ「ちゃんちゃん焼き」でも、土地でとれる魚に合わせて中身が変わるところが面白いですね。郷土料理は決まったレシピから始まったのではなく、「その日に手に入るものをどうおいしく食べるか」という生活から生まれたものだと感じさせてくれます。

ミルピスは1967年から利尻島で作られている手作り乳酸飲料

利尻島でひときわ気になる名前がミルピスです。

名前だけを見ると市販の乳酸菌飲料を思い浮かべますが、ミルピスは利尻島で原液から手作りされている独自の乳酸飲料です。

ミルピス商店では1967年から販売が続けられており、半世紀以上にわたって島で親しまれています。乳酸菌飲料ではなく「乳酸飲料」であることもポイントです。

さらに驚くのが味の種類。

プレーンのミルピスだけでなく、

  • ギョウジャニンニク
  • 利尻昆布
  • 野グミ
  • こくわ
  • グズベリ
  • ハマナス
  • ヤマブドウ
  • しそ

など、島で採れる素材を使った飲み物も作られています。

なかでもギョウジャニンニクをジュースにする発想はかなり大胆です。利尻島へ行ったら、普通の観光土産より「どんな味なんだろう」と試してみたくなる存在ですね。

ミルピス商店は利尻町沓形にあり、利尻島を巡る途中に立ち寄れる場所です。販売状況や営業時間は旅行時期によって変わることもあるため、訪れる日は営業案内を確認しておくと安心です。

たちかまはスケトウダラの白子から作る利尻の珍味

白い見た目からは材料を想像しにくいのがたちかまです。

原料は魚の身ではありません。

スケトウダラの白子を使って作られる、白いかまぼこのような珍味です。

利尻島の米田商店では、島近海でとれる魚介を使った商品とともに「名物たちかま」を販売しています。米田商店のたちかまは、スケトウダラの白子を原料として作られています。

食べ方も1つではありません。

そのまま刺身のように食べるほか、バター焼き、鍋、酢の物などにもできます。

白子そのものとはまた違い、弾力を楽しめるのが特徴です。

「白子をかまぼこにする」という発想自体がかなり珍しく感じますが、魚を余すところなく利用してきた北の島らしい食文化ともいえます。

利尻島で珍しい海産物を探すなら、ウニや昆布だけではなく、たちかまも覚えておきたい名前です。

ノナの正体はキタムラサキウニ

利尻島で使われるノナという名前。

食べ物なのか魚なのか、言葉だけではほとんど想像できません。

その正体はキタムラサキウニです。

つまり「ノナ丼」は、キタムラサキウニを使ったウニ丼ということになります。

利尻島のウニが特別に感じられる理由の1つが、島を代表する海産物である利尻昆布とのつながりです。

海藻を食べて育つウニと、昆布の名産地である利尻島。この2つが同じ海の中でつながっていると知ると、単に「高級なウニだからおいしい」という見方とは少し変わってきます。

個人的には、料理そのものよりも、ウニが何を食べて育っているのかまで知ったときの方が、利尻の海の豊かさが伝わってくる気がします。

神居海岸パークではウニを自分で採って割って食べられる

ノナを「食べる」だけではなく、自分の手で扱ってみたい人には神居海岸パークがあります。

ここでは本物の漁具を使ってウニを選び、ウニ割りから身を取り出すところまで体験し、自分でむいたウニをその場で食べられます。

2026年のウニむき体験は1人2,000円(税込)で、最大30分。必要な道具は料金に含まれているため、特別な道具を準備する必要はありません。

天候と波が穏やかな日は、岸壁につながれた磯船からウニ採りを体験できる場合もあります。ただし、磯船で体験できるかどうかは当日の海の状態で決まります。

2026年の予約可能期間は5月10日から9月30日。場所は北海道利尻郡利尻町沓形字神居149-2です。

見るだけの観光スポットとは違い、

「採る」

「割る」

「むく」

「食べる」

までが1つにつながっているところが大きな魅力です。

ウニが好きな人はもちろん、子どもと一緒に「食べ物がどんな姿で海にいるのか」を知る体験としても興味深い場所ですね。

五島列島のかっとっぽはハコフグを丸ごと器にする郷土料理

五島列島で見た目のインパクトが大きい料理がかっとっぽです。

正体はハコフグの味噌焼き

ハコフグを処理して中身を取り出し、身や味噌などを合わせ、硬い体そのものを器のように使って焼きます。

普通の魚料理なら皿に盛り付けますが、かっとっぽはハコフグの姿がそのまま残るため、初めて見ると少し驚きます。

しかし、この形にはちゃんと意味があります。

ハコフグは名前の通り箱のような硬い体を持つ魚です。その特徴を逆手に取り、体をそのまま器として利用したわけです。

食材と調理器具が一体になったような料理で、いかにも漁師町から生まれた食べ方ですね。

かっとっぽは漁師料理から五島の珍味へ受け継がれた

かっとっぽは、珍しい料理を作るために考案されたものではありません。

五島周辺の定置網などで身近にとれたハコフグを、おいしく食べるために生まれた郷土料理です。

地元では魚を「ぽっぽ」と呼び、角張った魚という意味合いから「かどぽっぽ」、それが変化して「かっとっぽ」と呼ばれるようになったと伝えられています。

昔は家庭でも作られてきた料理でした。

今では、どこの店でも気軽に出てくる料理ではなく、五島へ行ったからこそ出会える珍味という存在になっています。

見た目だけを見れば「ちょっと怖い魚料理」ですが、背景まで知ると、硬いハコフグを器として利用する島の人の知恵が主役の料理だと分かります。

かんころ餅はサツマイモを保存する知恵から生まれた

五島列島のもう1つの代表的な食べ物がかんころ餅です。

「かんころ」とは、サツマイモを薄く切り、ゆでてから天日で乾燥させたもの。

このかんころをもち米と合わせてつき上げたものが、かんころ餅です。農林水産省も五島地方に古くから伝わる郷土食として紹介しています。

背景には島の暮らしがあります。

かつての五島では、冬に備える保存食としてサツマイモが大切に利用されていました。また、もち米は高価だったため、かんころを混ぜることで、少ないもち米でも家族が十分に食べられる量を作ることができました。

つまり、かんころ餅は最初から「お土産のお菓子」として生まれたわけではありません。

食料を保存する知恵と、限られた食材を家族で分ける工夫から生まれたものです。

この背景を知ると、素朴なサツマイモ餅というだけではない重みがありますね。

かんころ餅は焼くと食感が変わる

かんころ餅は、食べ方でも印象が変わります。

できたてはそのままでもやわらかく食べられますが、時間が経って硬くなったものは薄く切って焼くのがおすすめです。

表面は香ばしく、中はもちっとした食感になります。バターで焼いたり、揚げたりする食べ方もあります。新上五島町の観光案内でも、薄く切って焼く食べ方などが案内されています。

買って帰った後に「硬くなってしまった」と感じても、そこで終わりではありません。

むしろ焼いて食べるところまで含めて、昔からの楽しみ方と考えると分かりやすいでしょう。

山本宗夫さんはかんころ餅作りを次の世代へつないでいる

かつては家庭ごとに作られていたかんころ餅ですが、生活スタイルが変われば、手間のかかる昔ながらの作り方を続ける家庭も減っていきます。

そこで、上五島でかんころ餅作りを続けている山本宗夫さんは、文化が失われることへの危機感から工場を設け、かんころ餅作りを続けてきました。

さらに小学校でも作り方を伝えるなど、単に商品を作るだけではなく、島の食文化を次の世代につなぐ活動にも取り組んでいます。

郷土料理というと「昔から残っている料理」と考えがちですが、何もしなくても自然に残るわけではありません。

作る人がいて、教える人がいて、初めて次の世代へ続いていく。

かんころ餅は、そのことがよく分かる食べ物です。

隠岐島放牧牛ハンバーグは牛突きを支えた母牛を生かす料理

隠岐の島で特に背景が深いのが隠岐島放牧牛ハンバーグです。

使われているのは、隠岐の伝統文化である牛突きに関わってきた牛を産んだ母牛の肉

年齢を重ねた母牛は若い牛とは肉質が異なり、脂身が少なく、肉そのものの旨味を感じやすいのが特徴とされています。

寿畜産では牛舎と放牧を組み合わせて牛を育て、牛の快適さを大切にした飼育を続けています。

ハンバーグという身近な料理ですが、そこに至るまでのストーリーはかなり独特です。

「母牛が生きてきた証を残したい」という考えが料理につながっており、単なるご当地ブランド牛とは少し違った意味を持っています。

隠岐の牛突きには約800年の歴史がある

隠岐島放牧牛ハンバーグを理解するうえで欠かせないのが隠岐の牛突きです。

隠岐の牛突きは、約800年前、隠岐へ配流された後鳥羽上皇を慰めるため島の人々が始めたことが起源と伝えられています。

雄牛同士が角を突き合わせる伝統行事で、本場所では一方の牛が逃げるまで勝負が続きます。一方、観光客向けの「観光牛突き」は勝敗をつけず、引き分けで終える形で行われています。

こうして見ると、

牛突き

闘牛を育てる畜産農家

子牛を産む母牛

役目を終えた母牛

食肉として新しい価値を生み出す

という1本の流れが見えてきます。

ハンバーグだけを見るより、この背景を知ってから食べる方が、かなり印象は変わるはずです。

民宿砂川のサザエのり巻きは隠岐の海を詰め込んだごちそう

隠岐ではサザエも生活に深く根付いています。

民宿砂川で作られているサザエのり巻きは、サザエを使った炊き込みご飯を岩のりで巻いたものです。

握り寿司にサザエをのせた料理ではありません。

サザエの旨味が入ったご飯と、海の香りが強い岩のりを組み合わせた料理です。

民宿砂川は隠岐の島町布施34にあり、西郷港から車で約40分。浄土ヶ浦の近くにある家族経営の宿で、地元でとれた魚介を使った料理を楽しめます。

サザエのり巻きは昭和後期ごろから祝いの席などでも食べられてきたごちそうです。

観光地の名物として作られた料理というより、「島の人が特別な日に食べてきたもの」という点に魅力を感じます。

隠岐ではサザエをカレーや卵とじ丼にもする

サザエというと、全国的には壺焼きや刺身が定番です。

ところが隠岐では、

サザエのカレー
サザエの卵とじ丼
サザエの炊き込みご飯

など、ご飯と組み合わせる食文化があります。

島では海からとれるサザエが身近なタンパク源だったため、特別な高級食材として少量を味わうだけではなく、日々の料理にも使われてきました。

同じ食材でも、「何が身近に手に入るか」で料理の常識が変わる。

離島の食文化を見ていると、そのことがよく分かります。

隠岐ではアメフラシも郷土料理として食べられてきた

さらに驚くのがアメフラシです。

海辺で見たことがある人なら、「あれを食べるの?」と思うかもしれません。

見た目はかなり個性的ですが、隠岐では地域の食文化の中で食材として扱われてきました。しっかり処理されたものは、コリコリとした歯ごたえを楽しめます。

ただし、海にいるアメフラシを自分で採ってそのまま食べるようなものではありません。

こうした伝統食は、その土地で受け継がれてきた処理や調理を経て食べるものです。初めて味わうなら、地域の料理として提供している店や宿で楽しむのが安心でしょう。

3つの島の料理に共通するのは「身近なものを無駄にしない知恵」

利尻島、五島列島、隠岐の島。

離れた場所にある3つの島ですが、料理を並べてみると共通点があります。

利尻島では、身近なホッケをちゃんちゃん焼きにし、スケトウダラの白子からたちかまを作る。

五島では、硬いハコフグそのものを器にし、保存したサツマイモを餅に混ぜる。

隠岐では、サザエを炊き込みご飯やカレーに使い、牛突きを支えてきた母牛にも新しい価値を与える。

どれも「珍しい料理を作ろう」として生まれたというより、島にあるものをどう生かし、どう食べ続けるかという暮らしの工夫から生まれています。

だからこそ、ミルピスやノナ、かっとっぽといった変わった名前だけを覚えるより、その背景まで知ると面白さが一段深くなります。

旅行で実際に訪れるなら、有名な料理を1品食べて終わるのではなく、「なぜここではこの食べ方なのか」を意識してみるのもおすすめです。

その土地の海、農業、歴史、暮らしまで一緒に見えてくるのが、離島の食文化のいちばん面白いところではないでしょうか。

参考リンク


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