ヘリで現金保管庫を襲ったスウェーデン史上屈指の強盗事件
映画のようにヘリコプターで現金保管施設の屋上へ降り立ち、警察の追跡手段まで封じて逃走する――。『世界まる見え!ダマされちゃったSP▼夏の暑さも吹き飛ぶ!?世界の超過激ドッキリ(2026年8月17日)』で紹介される「空飛ぶ強盗団」の正体は、2009年にスウェーデンで起きたヴェストベルガ・ヘリコプター強盗事件です。犯行の手口から奪われた金額、裁判、その後まで整理します。
この記事でわかること
- 空飛ぶ強盗団が起こした事件の正式な名称
- ヘリコプターを使った驚くべき犯行の流れ
- 「8億円事件」と実際に報じられた被害額の違い
- 逮捕・裁判と、事件が映像作品になったその後
※放送後詳しい内容が分かり次第追記します。
空飛ぶ強盗団の事件はヴェストベルガ・ヘリコプター強盗事件
「空飛ぶ強盗団」として紹介されるのは、2009年9月23日にスウェーデンの首都ストックホルム南部、ヴェストベルガで起きたヘリコプター強盗事件です。
標的になったのは、警備会社G4Sが運営していた現金保管施設でした。
犯人たちは正面から車で乗り込むのではなく、盗んだBell 206 JetRanger型ヘリコプターを使って施設の屋上へ直接降下しました。ヘリコプターを強盗に利用した事件として、スウェーデンで初めてのケースとして知られています。
単に「ヘリで逃げた強盗」ではありません。
この事件を特別なものにしたのは、ヘリコプターによる侵入だけでなく、警察が追跡できない状況まで事前につくられていたことでした。
ヘリコプターを盗んで早朝の現金保管庫へ侵入
事件当日の早朝、犯人グループはストックホルム北方にあったヘリコプターを盗み出します。
午前5時すぎ、ヘリはヴェストベルガにある現金保管施設の屋上へ到着しました。
屋上に降りた複数の男たちは、ガラス部分を破壊して建物内部へ侵入。さらに爆発物を使って扉や警備設備を突破し、現金が置かれたエリアへ進んでいきました。
施設には従業員がいましたが、この強盗による人的被害はありませんでした。
犯人たちは現金の入った袋を次々と屋上へ運び、待機していたヘリコプターへ積載。侵入から逃走まで非常に短時間で進められました。
一般的な銀行強盗なら、逃走時には道路封鎖やパトカーによる追跡が大きな障害になります。
しかし、このグループはその弱点まで先回りしていました。
警察のヘリを「爆弾」で飛べなくした周到な計画
この事件で特に衝撃的なのが、警察のヘリコプターが追跡できなかった理由です。
強盗が行われる前、警察のヘリコプターが置かれていた基地付近には、爆弾を思わせる不審物が設置されていました。
本物の爆弾である可能性を否定できない以上、警察はヘリをすぐに離陸させることができません。
さらに現金保管施設周辺の道路には、車のタイヤをパンクさせるためのまきびし状の器具も配置されていました。
つまり犯人側は、
- 空からの追跡を妨害する
- 地上からの追跡も遅らせる
- その間にヘリで現場から離脱する
という複数の仕掛けを準備していたことになります。
ヘリコプターそのものより、この「警察がどう動くか」まで計算した準備が事件の大きな特徴です。
強盗団が奪ったのは3915万8000スウェーデンクローナ
「8億円事件」という言葉から、実際に8億円相当が持ち去られたと思う人も多いかもしれません。
スウェーデン側で事件後に示された起訴内容では、強奪された金額は39,158,000スウェーデンクローナとされています。
日本円への換算額は為替レートや換算する時期によって大きく変化します。そのため、この事件の被害額を正確に把握する場合は「約3916万スウェーデンクローナ」と見るのが分かりやすいでしょう。
犯人たちは当初、さらに大きな金額を狙っていたとされます。
スウェーデン警察は事件前に、セルビア側から「ヘリコプターや爆発物を使用する強盗計画がある」との情報を受け取っていました。想定されていた標的額は1000万ユーロ規模でした。
それでも犯行を完全には防ぐことができず、約3916万クローナが持ち去られる結果となりました。
わずか30分ほどで現金を奪い空へ逃走
事件が「映画のようだ」と語られる理由は、そのスピードにもあります。
ヘリコプターが現金保管施設へ到着したのは午前5時すぎ。
男たちは屋上から施設内に入り、爆発物などを使って内部を突破しました。そして大量の現金を運び出し、再びヘリへ戻ります。
一連の犯行は約30分ほどで進められました。
その後、犯人たちはヘリで逃走。
使用されたヘリコプターは、ストックホルム北部のスカヴロテン付近で放棄されているのが発見されました。
道路から逃げれば警察車両に包囲される可能性がありますが、空へ逃げれば通常の警察車両は追跡できません。
そこへ警察ヘリを飛ばせない仕掛けを組み合わせたことで、犯人たちは短時間ながら大きな逃走上の優位をつくっていました。
事前に強盗計画の情報が警察へ届いていた
さらに驚くのが、スウェーデン警察が事件の約1か月前から強盗計画に関する情報を得ていたことです。
セルビア警察側から、ヘリコプターや爆発物を使った大規模強盗が計画されているという情報が寄せられていました。
スウェーデン警察も捜査を始め、一時は警察ヘリを安全な場所へ移動させる対応を取っています。
ところが、想定されていた時期に事件が起きなかったためヘリは元の基地へ戻され、その後、本当に強盗が実行されました。
事件が語り継がれている理由は、犯行方法の大胆さだけではありません。
警察側に事前情報がありながら結果的に防げなかったことも、大きなポイントになっています。
10人が起訴され7人に有罪判決
大規模な捜査が行われ、事件への関与を問われた10人が起訴されました。
2010年10月、裁判所はそのうち7人に有罪判決を言い渡しています。
ヘリコプターを操縦したとされた男と、現金保管施設内部へ入った男には、それぞれ懲役7年が言い渡されました。
ほかにも重大な強盗への関与や犯人をかくまった罪などで複数の人物が実刑判決を受け、3人は無罪となりました。
一方で、事件に関与したすべての人物が明らかになったわけではありません。
施設内部へ侵入した一部の実行犯など、捜査当時も身元が特定されていない人物が残っていました。
奪われた現金の大部分は戻らなかった
犯人が逮捕されれば、当然気になるのが「約3916万クローナはどうなったのか」という点です。
事件後に回収されたのは、盗まれた現金のごく一部にとどまりました。
大規模な強盗事件では、犯人の逮捕と盗品の回収は必ずしも同じ結果になりません。
この事件も、関係者の一部に実刑判決が出た一方で、大部分の現金が戻らなかったことが大きな謎として残りました。
犯行そのものは終わっても、「金はどこへ消えたのか」という部分が長く人々の関心を引きつける理由になっています。
実話をもとにNetflix「ヘリコプター・ハイスト」も制作
ヴェストベルガの事件は、その大胆すぎる犯行から映像作品の題材にもなりました。
2024年にはNetflixでスウェーデン制作のドラマシリーズ「The Helicopter Heist(ヘリコプター・ハイスト)」が公開されています。
2009年のヴェストベルガ・ヘリコプター強盗事件をもとにした全8話の作品で、作家ヨナス・ボニエルによる同事件を題材とした本を原作としています。
ただし、ドラマは実際の事件記録をそのまま再現したドキュメンタリーではありません。
Netflix側も、実話をベースに「どのように起きた可能性があるのか」を描いた作品として紹介しています。事件そのものを知りたい場合は、ドラマ上の人物設定や物語と実際の捜査記録を分けて見ることが大切です。
大胆な侵入方法、警察との駆け引き、消えた巨額の現金という要素がそろっているだけに、事件から15年以上が過ぎても映像化されるのも納得できる題材です。
参考リンク
- 日本テレビ「世界まる見え!テレビ特捜部」公式サイト
- SVT「Helikopterrånare kom över 39 miljoner」
- Netflix「The Helicopter Heist: Everything You Need to Know」
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