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山村乳業4代目・山村卓也がChatGPTで生んだ「ぷりんバー」父が反対した老舗改革【Mr.サンデーで話題】

グルメ

山村乳業4代目・山村卓也さんが「ぷりんバー」で変えた老舗の未来

伊勢神宮の参道で人気となった、棒に刺して食べる「山村ぷりんバー」。『Mr.サンデー(大人気「ぷりんバー」老舗4代目の挑戦)(2026年8月16日)』では、1919年創業の山村乳業と、家業に戻った4代目・山村卓也さんの挑戦が取り上げられました。伝統の瓶牛乳を守りながら、ChatGPTを商品開発に取り入れるという一見正反対の取り組み。その背景には、父・山村豊裕さんとの世代間の違いと「変えるもの、残すもの」を見極める後継者の姿がありました。

この記事でわかること

  • 山村乳業4代目・山村卓也さんが家業に戻った経緯
  • 山村ぷりんバーが生まれた理由とChatGPTの役割
  • 3代目・山村豊裕さんが新商品に反対した背景
  • 山村ぷりんバーを食べられる場所と通販商品

山村卓也さんは山村乳業を継ぐ4代目として商品開発を担う

山村卓也さんは、三重県伊勢市で100年以上続く有限会社山村乳業の後継者です。

大学進学を機に上京し、その後は東京で就職。約9年間、広告関係の仕事を経験したのち、家業を継ぐため伊勢へ戻りました。三重県の就職情報サイトでも、大学進学と同時に上京し、東京で働いた後に山村乳業へ戻った経歴を本人が語っています。

山村乳業では「事業責任者」として新商品開発や店舗運営などに関わってきました。2024年の新商品発表会でも、代表取締役社長の山村豊裕さんとともに山村卓也さんが事業責任者として登壇しています。

父が長年培ってきた牛乳づくりの技術をそのまま引き継ぐだけではなく、東京で身につけた広告や企画の感覚、デジタル技術などを持ち込んだ点が卓也さんの特徴です。

その象徴となった商品が「山村ぷりんバー」でした。

山村ぷりんバーは「瓶入りプリンは食べ歩きにくい」という弱点から生まれた

山村乳業には、もともと「山村ぷりん」という人気商品があります。

山村牛乳と契約鶏園の朝採れ卵を使い、添加物を使わず仕上げる瓶入りプリンで、2023年には発売20周年を迎え、累計販売数50万個を突破しました。

一方で、伊勢神宮周辺という立地では大きな弱点がありました。

瓶入りプリンを食べるには瓶とスプーンを持つ必要があり、基本的に両手がふさがります。参拝や観光をしながら食べ歩く商品としては不便だったのです。

そこで生まれたのが、

「プリンそのものを棒に刺してしまう」

という発想でした。

アイデアを出したのは山村乳業の20代女性社員。固定観念を捨て、アイスのように片手で食べられるプリンを作ることになりました。

構想から発売まで約半年。2023年11月1日に「山村ぷりんバー」として販売が始まりました。

単に珍しい形にしたのではなく、「瓶入りプリンはおいしいけれど歩きながら食べにくい」という具体的な不便を解消したことが、商品としての強さにつながっています。

ChatGPTに相談した最大の難題は「柔らかさ」と「落ちにくさ」の両立

プリンを棒に刺すと言っても、普通のプリンをそのまま刺せば完成するわけではありません。

最大の問題は、

プリンらしいなめらかさを残しながら、持ち歩いても棒から落ちない硬さにすること

でした。

硬くすれば棒には固定できますが、プリンらしい食感が失われます。柔らかくすればおいしくても、持った瞬間に崩れる可能性があります。

そこで卓也さんが商品開発の相談相手として使ったのがChatGPTでした。

山村乳業も、商品開発の途中で自社だけでは考慮しきれない部分についてChatGPTを使い、異なる視点からのアイデアを補ったと説明しています。

AIの回答をそのまま商品にしたわけではありません。

条件を変えながら試作し、人が実際に食べ、食感や強度を確かめる作業を繰り返しました。棒についても商品に合わせて調整され、安定して持てる形へ近づけていきました。

ここが山村乳業のAI活用で面白いところです。

ChatGPTは「こうすればよい」という候補を大量に出せても、最終的に「おいしい」かどうかを判断することはできません。

卓也さん自身も、AIによって平均的な答えを得やすくなる時代だからこそ、人間が「おいしい」と感じるものの価値がむしろ高くなるという考えを示しています。

AIに味を決めてもらうのではなく、考える範囲を広げてもらい、最後は人間の舌で決める。ぷりんバーは、そんな商品開発の形から生まれました。

父・山村豊裕さんが「邪道」と反対した理由は100年以上続く老舗への責任

卓也さんの新しい取り組みを、最初から父の山村豊裕さんが歓迎していたわけではありません。

豊裕さんは山村乳業3代目。会社を守り続けてきた経営者です。

山村乳業は1919年、初代・山村定次郎さんが牛を飼い始めたことからスタートしました。現在も代表取締役社長は山村豊裕さんです。

長年大切にしてきたのが瓶牛乳でした。

牛乳を効率よく大量生産する方向へ進むのではなく、山村乳業では85℃で15分間加熱するパスチャライズ殺菌を採用し、昔ながらの製法を守っています。

そんな父から見れば、プリンを瓶から出して棒に刺すという発想は、これまで積み上げてきた価値観とは正反対に見えます。

豊裕さんが「邪道」と考えたのも、単なる頑固さではなく、100年以上続いてきた会社の商品や信用を預かる立場だったからこそでしょう。

さらに卓也さんは、会社のデジタル化や新商品の開発などを次々と進めていきました。

長年同じ方法で会社を守ってきた3代目と、外の世界を経験して戻ってきた4代目。

2人の衝突は「古い考え対新しい考え」という単純な話ではなく、老舗企業がどこまで変わり、何を残すべきなのかという事業承継そのものの問題でもあります。

ぷりんバーは年間2万本以上を販売する新名物へ成長

父から反対された山村ぷりんバーでしたが、結果は大きく変わりました。

片手で食べられる手軽さと、アイスのような見た目なのに中身はプリンという意外性が支持され、年間2万本を超える人気商品に成長しました。

山村乳業の店舗案内でも「山村ぷりんバー」は新名物として紹介され、食べ歩き用の固めのプリンとして位置づけられています。棒から崩れ落ちにくくする技術については特許出願中とされています。

ベースとなっているのは、山村牛乳や朝採れ卵を使った従来の山村ぷりんです。

つまり卓也さんが変えたのは「山村乳業のおいしさ」そのものではありません。

変えたのは食べ方と届け方でした。

瓶を守り続けてきた会社だからこそ、逆に瓶から飛び出したプリンが強烈な印象を残したともいえます。

ChatGPTを使った商品開発はぷりんバーだけで終わらなかった

ぷりんバーで得た経験は、その後の商品開発にも生かされています。

山村乳業ではChatGPTを利用しながら新商品の開発を進め、山村氷、山村ジョージアフローズンヨーグルト、山村ぷりん団子などへ展開していきました。

2024年に発表された山村ジョージアヨーグルトソフトと山村ジョージアフローズンヨーグルトでは、問題解決や不足する知識を補うためChatGPTを活用。山村乳業として3例目のAIを使った商品開発だったとしています。

さらに2025年には「山村ぷりん団子」が登場しました。

見た目はみたらし団子のようでありながら、中身はプリンという商品で、ぷりんバーの開発経験と生成AIを活用。着想からわずか2週間で商品化されています。山村乳業にとって生成AI活用4例目の商品でした。

ぷりんバーは1商品のヒットだけではなく、山村乳業の商品開発方法そのものを変えた起点になったことが分かります。

それでも4代目が本当に残そうとしているのは瓶牛乳

新商品を次々と生み出している卓也さんですが、山村乳業の伝統を捨てようとしているわけではありません。

むしろ本人が大切にしているのは、創業以来続いてきた瓶牛乳です。

山村乳業では今も瓶入り乳製品を数多く製造しています。公式サイトでは、瓶入り乳製品について14品目47種類を製造すると紹介しています。

瓶は紙容器と比べて扱いに手間がかかります。

回収、洗浄、再利用という工程も必要です。

それでも瓶だから感じられる冷たさや懐かしさ、牛乳を飲む体験そのものを残そうとしています。

卓也さんが目指しているのは、

「伝統をやめて新しくする」ことではなく、「伝統を残すために新しい方法を使う」こと

なのでしょう。

ぷりんバーやAI開発が話題になることで山村乳業を知り、最終的に瓶牛乳にも興味を持ってもらう。

父と息子では方法が違っても、「山村乳業を次の世代へ残す」という目的は重なっています。

山村ぷりんバーを食べられるのは伊勢神宮近くの2店舗

山村ぷりんバーは、山村乳業の直営店「山村みるくがっこう」で楽しめます。

店舗は伊勢神宮の外宮側と内宮側にあります。

店舗 所在地 営業時間
山村みるくがっこう 外宮前店 三重県伊勢市本町13-6 10:00〜17:00
山村みるくがっこう 内宮前店 三重県伊勢市宇治今在家町字中賀集楽37-3 10:00〜17:00

どちらも無休として案内されています。外宮前店はテイクアウト専門で、2013年に外宮参道へオープン。内宮前店はおはらい町にあり、レトロな小学校をイメージしたイートインスペースがあります。

伊勢市駅から伊勢神宮へ向かうなら外宮前店、内宮参拝やおはらい町散策と合わせるなら内宮前店が立ち寄りやすいでしょう。

自宅では「山村ぷりんバーアイス」を通販で楽しめる

伊勢まで行けない人向けには、**「山村ぷりんバーアイス」**も販売されています。

通常の山村ぷりんバーを家庭向けのアイスとして楽しめる商品で、公式通販では、

  • 6個セット:2,090円(税込)
  • 12個セット:4,000円(税込)

で販売されています。

一般的なアイスのようなシャリシャリ感を抑え、冷蔵庫で約3時間解凍すると、直営店のぷりんバーに近い状態でも楽しめるのが特徴です。解凍後は要冷蔵で当日中に食べるよう案内されています。

店舗でしか食べられない商品から通販商品へ広げたことで、伊勢の観光客だけではなく全国の人が山村乳業の商品を知る入口にもなっています。

3代目と4代目の違いが山村乳業の新しい強みになった

山村豊裕さんが守ってきたのは、瓶、牛乳の味、昔ながらの製造方法。

山村卓也さんが持ち込んだのは、デジタル化、生成AI、新しい商品企画です。

一見すると正反対です。

しかし、卓也さんがAIを利用している理由も、突き詰めれば「山村乳業の商品をもっと多くの人に届けるため」です。

そしてAIがどれほど発達しても、牛乳そのものを作る技術や、プリンを食べた人が感じる「おいしい」という感覚まで機械に任せることはできません。

100年以上続く瓶牛乳と最新の生成AI。

この組み合わせこそ、山村乳業4代目の挑戦の面白さです。

最初は「邪道」と反対していた父も、息子の取り組みに協力するようになりました。

守る3代目と変える4代目ではなく、守るために違う方法を選んだ2人。

ぷりんバーのヒットは、そんな老舗企業の世代交代を象徴する商品になっています。

参考リンク


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