希望の虹プロジェクトとがん撲滅キャンペーン2026で知っておきたいこと
大腸がん検診の案内とテレビ番組、そして全国の自治体がなぜ一緒に動いているのでしょうか。『あしたが変わるトリセツショー(がん対策のトリセツ2026)(2026年9月3日)』をきっかけに知っておきたいのが、希望の虹プロジェクトと「がん撲滅キャンペーン2026」です。自治体から届く案内の内容や参加地域の確かめ方、これまで続いてきた取り組みまでまとめます。
この記事でわかること
- 希望の虹プロジェクトが進めている取り組み
- がん撲滅キャンペーン2026の具体的な内容
- 自治体から届く大腸がん検診の案内と対象者の違い
- テレビ番組と自治体が連動する理由と過去の実績
希望の虹プロジェクトは「検診を受けやすい行動」につなげる取り組み
希望の虹プロジェクトは、単に「がん検診を受けましょう」と呼びかける啓発キャンペーンではありません。
静岡社会健康医学大学院大学を中心に進められている「ソーシャルマーケティングを活用したがん検診普及プロジェクト」で、自治体が住民へ送るリーフレットや圧着はがきなどを開発し、実際の受診につなげることを目指しています。
特徴的なのが、民間の商品販売などで使われるマーケティングの考え方を公衆衛生に応用していることです。
プロジェクトでは2007年から、民間のマーケティング専門家と協力しながら、がん検診の受診勧奨資材の開発を進めてきました。自治体へ一方的に知識を伝えるだけではなく、「どう伝えれば実際に検診という行動につながるのか」という点まで考えられています。
2026年版の活用手引きでも、個人に努力を求めるだけではなく、「がん検診を受ける」という選択をしやすい環境をつくることが重視され、行動科学やナッジ、ソーシャルマーケティングの活用が示されています。
自治体向けには現在、大腸がんだけでなく、乳がん、子宮頸がん、胃がん、肺がんなどのリーフレットや圧着はがき、精密検査を促す資材なども用意されています。
つまり、希望の虹プロジェクトの大きな役割は、
「検診が大切だと知ってもらう」だけでなく、「実際に受診するところまで後押しする」こと
にあります。
がん撲滅キャンペーン2026は大腸がん検診と精密検査が中心
2026年に実施されるがん撲滅キャンペーン2026のテーマは、「大腸がん検診と大腸がん精密検査」です。
希望の虹プロジェクト、参加する全国の自治体、NHKが連携し、テレビ放送と住民への個別受診勧奨を組み合わせています。
自治体が使用できる主な資材には、
- 5がん検診リーフレット
- 大腸がん検診リーフレット
- 大腸がん検診はがき6面版
- 大腸がん検診はがき4面版
- 大腸がん精密検査リーフレット男性版
- 大腸がん精密検査リーフレット女性版
があります。
自治体はこの中から少なくとも1種類を使い、対象者への個別受診勧奨を行います。印刷済みのはがきが一律に配られる仕組みではなく、プロジェクト側から電子データが提供され、編集・印刷・郵送は参加自治体が行います。
さらに、自治体にはテレビ番組の告知ポスターやロゴ、がん検診を呼びかける動画も用意されています。
この仕組みを見ると、「テレビで特集して終わり」ではないことが分かります。
テレビで検診について知ったタイミングに合わせて、自宅への案内、自治体ホームページ、SNS、リーフレットなど複数の場所から同じ行動を後押しする設計になっています。
大腸がん検診について、国は40歳以上の男女を対象に、便潜血検査を年1回受けることを勧めています。
そして検診で「要精密検査」とされた場合には、検診を受けただけで終わらせず、その後の精密検査につなげることも2026年の大きなテーマになっています。
自治体から届く案内は「全国一律」ではない
「テレビを見たら、全員に同じはがきが届くの?」と気になるところですが、ここは少し注意が必要です。
送られる人、資材、発送時期、検診方法は自治体によって異なります。
たとえば横浜市では、国民健康保険に加入している40〜69歳の市民約28万人を対象に、2026年8月28日に受診勧奨はがきを発送。区役所のイベントなどではリーフレットも配布しています。
一方、津島市では、過去数年間に市の大腸がん検診を受けていない人へ、希望の虹プロジェクトが作成した勧奨資材を郵送します。
静岡市では対象の考え方がさらに異なり、2027年3月31日時点で50歳になる人へ「5大がん検診リーフレット」を送る取り組みが案内されています。
この違いはかなり重要です。
「希望の虹プロジェクトに参加している自治体=住民全員に同じはがきが届く」という意味ではありません。
自治体が地域の検診体制や対象者に合わせて資材を選び、送付する仕組みだからです。
また、はがきが届くこと自体が大腸がん検診を受けるための全国共通条件でもありません。
市区町村の住民検診にはそれぞれ対象年齢、実施期間、申し込み方法、自己負担額などが定められています。案内が手元にない場合でも、まず居住地の自治体が案内する「がん検診」「大腸がん検診」のページを確認するのが分かりやすいでしょう。
自分の自治体が参加しているかは市区町村の公式情報から確認できる
参加状況を知りたい場合は、「市区町村名+がん撲滅キャンペーン2026」または「市区町村名+希望の虹プロジェクト」で自治体公式ページを確認する方法が確実です。
2026年8月には各地で参加表明が相次いでいます。
さいたま市はNHKや全国自治体と連携して希望の虹プロジェクトに参加すると発表。
横浜市は2026年に初めて参加し、約28万人へのはがき発送という大規模な受診勧奨を実施しています。
ほかにも宮古島市、阿久根市、羽島市、津島市などが参加を公式に案内しています。
ただし、参加しているかどうかだけを見るのではなく、
「自分が案内の送付対象になっているか」
まで確認することが大切です。
同じキャンペーンに参加していても、
「40〜69歳の国民健康保険加入者」
「過去数年間に市の検診を受けていない人」
「特定の年齢の人」
など、自治体によって対象が違うためです。
また阿久根市のように、大腸がん検診を40歳以上の市民向けに無料で実施し、自宅で便を採取して郵送できる方式を用意している自治体もあります。
「参加自治体かどうか」と合わせて、対象年齢、料金、申し込み期限、検査方法まで見ると、自分が次に何をすればよいのか分かりやすくなります。
テレビ番組と自治体が連動するのは「知った直後」を受診につなげるため
テレビと自治体が組む理由は、このキャンペーンの仕組みを理解すると見えてきます。
がん検診は、存在を知っているだけでは受診につながるとは限りません。
「忙しい」
「自分はまだ大丈夫」
「どこで申し込むか分からない」
「面倒そう」
といった理由で後回しになることがあります。
そこで希望の虹プロジェクトが重視しているのが、知識だけを与えるのではなく、行動しやすい環境そのものを整えることです。
テレビには、一度に多くの人へ「検診を考えるきっかけ」を作れる強みがあります。
自治体には、その地域で実際に受けられる検診へ住民をつなげられる強みがあります。
さらに希望の虹プロジェクトには、受診につながるよう設計された資材があります。
この3つを組み合わせることで、
テレビで知る → 自治体から案内を見る → 自分の検診方法を確認する → 申し込む
という流れを作りやすくしています。
掛川市では、このキャンペーンに合わせて大腸がん検診の申し込み期限を2026年9月30日まで延長しています。
テレビ放送と行政サービスが同じ時期に動くことで、「いつか受けよう」で終わらず、その場で行動できる機会を増やしているわけです。
2018年からテレビ放送との連動が続いている
今回が初めての試みではありません。
希望の虹プロジェクトとテレビ放送を組み合わせた取り組みは、少なくとも次のように続いています。
- 2018年9月5日 NHK「ガッテン!」
- 2020年1月29日 NHK「ガッテン!」
- 2024年10月17日 NHK「あしたが変わるトリセツショー」
- 2025年9月18日 NHK「あしたが変わるトリセツショー」
- 2026年9月3日 大腸がん検診・精密検査をテーマに実施
規模もかなり大きくなっています。
2024年のキャンペーンでは、47都道府県284市区町村が参加し、約150万人の住民へ検診案内を届ける計画でした。
2025年には肺がん検診をテーマに展開され、2025年11月5日時点で47都道府県262市町村、約110万人への案内が予定されていました。
2026年は対象を大腸がん検診と、その後の精密検査へ移しています。
長く続いている背景には、「番組を見てもらうこと」ではなく、最終的に住民が検診を受けるところまでつなげたいという考えがあります。
希望の虹プロジェクトでは、資材を導入した自治体について受診率の変化を検証する取り組みも続けています。
大腸がん検診は40歳以上が年1回受けることが国の指針で示されています。キャンペーンのはがきが届いた人はもちろん、届いていない人も、自分の住む自治体の大腸がん検診を一度確認しておくとよいでしょう。
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