98万円の温泉付きマンション、その安さだけで判断していい?
海が見える熱海で、自宅のお風呂から温泉が出るマンションが98万円。初めて聞くと、車より安い価格に驚いてしまいます。しかし、物件選びでは購入価格だけでなく、築年数や修繕費、毎月の維持費まで確認しなければなりません。『見取り図の間取り図ミステリー!激安移住&謎の外観スペシャル(2026年7月23日)』では、小説家・高殿円さんの熱海の住まいをはじめ、宮城県の浮いて見える家、アメリカ・セドナの崖上ハウスが取り上げられます。今回は、それぞれの家の魅力と、住まいを選ぶ前に知っておきたいポイントを整理します。
この記事でわかること
- 熱海のマンションが98万円だった理由
- 購入した小説家・高殿円さんの二拠点生活
- 格安リゾートマンションで確認したい維持費
- 宮城県とセドナに建つ不思議な家の特徴
※放送後詳しい内容が分かり次第追記します。
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熱海の温泉付きマンションが98万円だった理由
熱海の温泉付きリゾートマンションを98万円で購入したのは、小説家の高殿円さんです。
高殿円さんは『トッカン』シリーズなどで知られる作家で、2022年に関西と熱海を行き来する二拠点生活を始めました。
購入価格が98万円まで下がっていた大きな背景には、次の事情があります。
- 築年数が長く、購入時点で室内の傷みが激しかった
- 住める状態にするための修繕が必要だった
- コロナ禍にリゾートマンションを手放す人が増えていた
- 建物を所有し続けるための維持費がかかる
- 購入希望者が限られる築古物件だった
高殿円さんが購入した部屋は、築75年ほどの古い建物にある3Kの住戸でした。
窓から海を望めて、浴室の水栓をひねると温泉が出るという魅力がある一方、そのまま快適に暮らせる状態ではありませんでした。
つまり、98万円という価格は、状態のよい温泉付き住宅が格安で売られていたというより、購入後に手を入れることを前提とした価格だったと考えるとわかりやすいでしょう。
「98万円なら自分にも買えるかも」と感じますが、実際に選ぶなら、安くなった理由を必ず確認したいところです。安さの裏にある修繕や維持の負担を理解して、初めて本当の価格が見えてきます。
98万円で購入した小説家・高殿円さんとは?
高殿円さんは、兵庫県出身の小説家です。
2000年に作家としてデビューし、『トッカン 特別国税徴収官』をはじめ、歴史小説やミステリーなど幅広い作品を発表しています。
熱海に住まいを探し始めたきっかけは、コロナ禍による生活の変化でした。
旅行に出かけにくい時期が続くなか、自分が心から楽しめる場所として思い浮かんだのが温泉だったそうです。各地の温泉地を探した末に、関西から新幹線で移動しやすく、海と山の両方を楽しめる熱海を選びました。
現在は完全に移住したのではなく、関西の自宅を生活の中心にしながら、月の3分の1ほどを熱海で過ごしています。
仕事場や休息場所として使うセカンドハウスに近い暮らし方です。
毎日住む家として考えるのか、月に数回訪れる場所として考えるのかによって、必要な広さや設備は変わります。
個人的には、この使い方を先に決めることがとても大事だと感じます。別荘のように使うつもりで買ったのに、毎月の費用が負担になれば、せっかくの楽しみが重荷になってしまうからです。
3Kの古い部屋を開放的なワンルームへ変更
購入時の部屋は、昔ながらの3Kでした。
高殿円さんは、家族や友人の協力を得ながら3つの部屋を隔てていた壁を取り払い、海を眺められる広いワンルームへ変更しています。
床工事や専門技術が必要な部分は業者に任せながら、壁の塗装、古い建具の再生、キッチン周辺のタイル貼りなどは自分たちで行いました。
既存の家具を再利用したり、安価な足場材でベッドボードを作ったりするなど、費用を抑える工夫も取り入れています。
リノベーション費用は約170万円です。
物件価格と合わせると、少なくとも次の費用がかかっています。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 物件購入価格 | 98万円 |
| リノベーション費用 | 約170万円 |
| 合計 | 約268万円 |
このほか、登記費用、仲介手数料、税金、保険料、家具や家電の購入費などが発生する可能性があります。
したがって、「98万円ですべて完成した家を手に入れた」という意味ではありません。
それでも、購入費と改装費を合わせて約268万円で、温泉と海の景色を楽しめる仕事場を作れた点には驚かされます。
DIYで費用を抑えながら、自分が残したい古い建具を生かしたことも特徴です。ただ安く直すのではなく、古さを欠点ではなく味として使っているところが、この部屋の魅力だと感じます。
本当に大切なのは98万円以外にかかる費用
格安マンションを見るときに、最初に確認したいのが毎月の維持費です。
マンションは、購入代金を支払えば費用が終わるわけではありません。
一般的には、所有している間、次のようなお金がかかります。
- 管理費
- 修繕積立金
- 温泉使用料や給湯費
- 水道光熱費
- 駐車場代
- 固定資産税
- 火災保険料
- 室内設備の修理費
- 将来の大規模修繕に伴う負担
温泉大浴場、プール、管理人、送迎サービスなどがあるリゾートマンションは、共用施設が多いほど管理費も高くなる傾向があります。
物件によっては、管理費と修繕積立金だけで毎月3万円前後かかる場合があります。
仮に毎月3万円なら年間36万円です。10年間所有すると、単純計算で360万円になります。
購入価格が98万円でも、維持費を含めれば、数年で購入価格を上回る可能性があるのです。
もちろん、高殿円さんの部屋で実際に毎月いくら支払われているかは、公開されている購入価格だけでは判断できません。
たしかに98万円という数字は魅力的ですが、個人的には毎月いくら払い続けるのかのほうが、購入価格より重要だと感じます。
温泉付き物件は温泉の仕組みを確認したい
「温泉付き」と書かれていても、すべての部屋で自由に温泉を使えるとは限りません。
温泉付きマンションには、大きく分けて次のようなタイプがあります。
各部屋のお風呂に温泉が引かれているタイプ
好きな時間に自室で入浴できるのが魅力です。一方、温泉の配管や浴室設備の修理を各所有者が負担する場合があります。
マンション内の共同浴場を使うタイプ
広い温泉を利用できますが、利用時間や清掃時間が決められていることがあります。
温泉を引き込めるタイプ
購入時には温泉が使えず、別途工事や契約が必要な場合があります。
高殿円さんの部屋は、自室の浴室で温泉を楽しめる住まいです。
朝起きてすぐに温泉に入り、海を眺めながら過ごせる環境は、温泉好きなら憧れてしまいます。
ただし、購入を検討する場合は、温泉使用料だけでなく、配管が故障したときの負担や、温泉供給が将来も続くかまで確認しておくと安心です。
築75年でも買って大丈夫なのか
築年数が長い物件だからといって、必ず危険とは限りません。
大切なのは、築年数の数字だけでなく、建物がどのように管理されてきたかです。
購入前には、次の資料や状態を確認する必要があります。
- 耐震性や耐震補強の履歴
- 長期修繕計画
- 大規模修繕の実施履歴
- 修繕積立金の残高
- 管理費などの滞納状況
- 給排水管や温泉配管の状態
- 屋上や外壁の防水状態
- エレベーターの更新予定
- 管理組合が正常に機能しているか
室内はリフォームできても、建物全体の配管、屋根、外壁、基礎などを一人で直すことはできません。
部屋がきれいでも、マンション全体の修繕積立金が不足していれば、将来の修繕時に一時金を求められる可能性があります。
初めて知ると少し驚きますが、中古マンションでは部屋の内装よりも、建物全体の管理状態が重要になることがあります。
内覧時には室内の景色や温泉だけに目を奪われず、管理状況を説明してもらうことが欠かせません。
熱海で二拠点生活を始める前に確認したいこと
熱海は東京方面から新幹線で移動しやすく、海、山、温泉を身近に楽しめる地域です。
一方、二拠点生活では、旅行とは違った確認が必要になります。
まず考えたいのが、駅から物件までの移動です。
熱海には坂道が多く、高台の物件では海の景色がよい反面、徒歩での移動が負担になることがあります。
車を使う場合は、敷地内の駐車場が利用できるか、空きがあるか、月額料金はいくらかを確認します。
さらに、次の点も重要です。
- 日常的に利用できるスーパーや病院
- バスの本数と最終時刻
- 災害時の避難経路
- 土砂災害や津波に関する地域情報
- 留守中の換気や湿気対策
- 郵便物や宅配便の受け取り方法
- 売却したくなったときの需要
たまに訪れる家は、使っていない期間も劣化します。海に近い建物では潮風による金属部分の腐食も確認したいところです。
温泉と絶景のある生活は魅力的ですが、日常の買い物や建物の手入れまで想像しておくと、購入後の後悔を減らせます。
98万円の物件を見つけてもすぐに契約してよい?
高殿円さんは、この物件をインターネットで見つけた当日に熱海へ向かい、現地を確認して契約しています。
以前検討していた150万円の物件が、迷っている2日間で売れてしまった経験があり、次は素早く判断しようと考えていたためです。
不動産にはタイミングがあり、条件のよい格安物件が短期間で売れることはあります。
しかし、同じ行動がすべての人に向いているわけではありません。
少なくとも契約前には、次の金額を合計して考えたいところです。
総額=購入代金+諸費用+改装費+毎月の維持費+将来の修繕費
格安物件では、金融機関の住宅ローンを利用しにくい場合や、将来売却しようとしても買い手が見つかりにくい場合もあります。
勢いが必要な場面はあるものの、確認を省いてよいわけではありません。
たしかに人気物件を逃したくない気持ちはわかりますが、管理規約や修繕計画を見ないまま契約するのは避けたいところです。
購入経験がコミックエッセイになった
高殿円さんの物件探しやリノベーションの体験は、**『98万円で温泉の出る築75年の家を買った』**として作品化されています。
もともとは購入から改装までの経験をまとめた同人誌として発表され、その後、漫画・山吹さん、原作・高殿円さんによるコミックエッセイとして2026年4月15日に発売されました。
作品では、格安物件を見つけて喜ぶだけでなく、物件探しや購入判断、改装に向き合う様子が描かれています。
住宅購入の体験が作品につながった点も、高殿円さんらしいところです。
家は住むための箱だけではありません。仕事場になり、人と集まる場所になり、新しい活動を始めるきっかけにもなります。
高殿円さんにとって熱海の部屋は、単なる安い不動産ではなく、生活を立て直すための大切な居場所になったといえるでしょう。
宮城県の空中に浮いて見える家とは?
今回紹介されるもう1軒の住宅は、宮城県に建つ空中に浮いているように見える家です。
この家は、広い駐車スペースを確保するため、建物の下部を大きく空けた特徴的な外観になっています。
一見すると、上の住居部分だけが浮かんでいるように見えます。
特徴的な形は見た目を奇抜にするためだけではなく、土地の条件や暮らしの問題を解決するために考えられたものです。
建築士と住む人が3年以上かけて構想を練り、大きな問題を解決する設計にたどり着いたことが明らかにされています。
住宅を見るときは、外観だけで「変わった家」と考えがちです。
しかし、駐車台数、土地の高低差、日当たり、周囲からの視線など、暮らしの条件から形を逆算すると、一般的ではない間取りになることがあります。
個人的には、家の形そのものよりも、「なぜこの形にする必要があったのか」を知るほうが面白いと感じます。外観の違和感が、暮らしやすくするための答えになっているからです。
セドナの崖上ハウスはどんな場所に建っている?
アメリカ・アリゾナ州にあるセドナは、赤い岩山に囲まれた景観で知られる地域です。
今回訪れる住宅は、約60メートルの岩山の頂上に建っています。
岩の上に住宅が乗っているように見える外観と、周囲を見渡せる景色が大きな特徴です。
日本では崖や急斜面の上に住宅を建てると聞くと、安全面が気になります。
実際には、岩盤の状態、基礎の固定方法、風への対策、資材の搬入経路、水道や電気の確保など、平地の住宅とは異なる設計が必要です。
ただし、このセドナの住宅については、放送前の公開情報では正式な住宅名や所有者、詳しい間取り、建築方法までは明らかになっていません。
そのため、見た目が似た別の建物をこの住宅だと決めつけることはできません。
現時点で確認できるのは、セドナにある高さ約60メートルの岩山の頂上に建つ絶景住宅という点です。
崖の上の家で暮らすなら何が必要?
崖上の住宅では、景色のよさと暮らしやすさが必ずしも同じとは限りません。
眺望を優先すると、風が強くなったり、買い物や荷物の運搬が難しくなったりすることがあります。
一般的に確認したいのは、次のような点です。
- 岩盤や地盤の安全性
- 建物を支える基礎構造
- 強風や落雷への対策
- 火災時の避難経路
- 水や電気の供給方法
- 車で近くまで行けるか
- 建築資材をどのように運んだか
- 窓から入る強い日差しへの対策
- 建物や設備を修理する方法
セドナ周辺は乾燥した気候や強い日差しへの対策も必要になります。
大きな窓で絶景を楽しむ家ほど、室温管理や窓の清掃、紫外線対策といった日常的な負担も考えなければなりません。
「こんな場所に一度は住んでみたい」と思う一方で、生活用品を運ぶだけでも大変そうだと感じます。
豪邸の価値は広さや見た目だけでなく、不便な立地をどう克服しているかを見ると、より深く理解できます。
熱海とセドナの家に共通するもの
熱海の98万円マンションと、セドナの崖上ハウスは、価格も規模も立地も大きく異なります。
それでも、2つの家には共通点があります。
どちらも一般的な条件だけで選ばれた家ではなく、そこでしか得られない時間や景色を優先した住まいです。
| 比較する点 | 熱海のマンション | セドナの崖上ハウス |
|---|---|---|
| 大きな魅力 | 自宅で温泉を楽しめる | 岩山からの絶景 |
| 立地 | 海と山に近い温泉地 | 赤い岩山の頂上 |
| 特徴 | 築古物件をDIYで再生 | 地形を生かした特殊な建築 |
| 確認したい点 | 維持費と建物の管理状態 | 安全性と生活設備 |
| 暮らしの目的 | 仕事と休息の二拠点生活 | 特別な景観の中で暮らすこと |
住宅選びでは、駅から近い、新しい、広いといった条件が重視されます。
しかし、自分にとって何が豊かな時間なのかを考えると、選び方は変わります。
高殿円さんにとっては、毎朝温泉に入り、海を眺めながら仕事ができることが大切でした。
セドナの家では、簡単には得られない景色や、岩山と一体になった暮らしが価値になっています。
格安物件や特殊な家を選ぶ前の最終チェック
価格や外観にひかれたときほど、一度立ち止まって全体を確認することが大切です。
格安マンションなら、次の順番で判断すると整理しやすくなります。
- 安くなっている理由を確認する
- 室内の改装費を見積もる
- 管理費と修繕積立金を確認する
- 建物全体の修繕履歴を見る
- 温泉や共用施設の費用を調べる
- 10年間所有した場合の総額を計算する
- 将来売却できる可能性を確認する
特殊な立地の家なら、景色やデザインだけでなく、安全性、移動のしやすさ、設備の修理方法まで考える必要があります。
住まいは、買った瞬間よりも、買った後の時間のほうが長いものです。
98万円という価格も、岩山の上という立地も、たしかに大きなインパクトがあります。しかし、本当に大切なのは、その家で無理なく暮らし続けられるかどうかです。
魅力と負担を両方知ったうえで選ぶことが、後悔しにくい住まい選びにつながります。
参考リンク
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