価格だけではわからない個性派住宅の魅力
家が98万円と聞けば、安さに驚く一方で「どうしてこの価格なのか」「住み始めてから高額な費用がかからないか」と不安になります。
『見取り図の間取り図ミステリー(激安移住&謎の外観スペシャル)(2026年7月23日)』では、高殿円さんが購入した温泉付きマンションをはじめ、セドナの岩山に建つ家、仙台の空中に浮かぶ家が紹介されました。
3軒に共通するのは、変わった外観だけではありません。それぞれの土地や暮らし方に合わせて、不便を独自の工夫で解決している点です。
この記事でわかること
- 熱海のマンションが98万円だった理由
- 温泉付き物件にかかる費用と注意点
- セドナの岩山に家を建てられた理由
- 仙台の家を空中に浮かせた目的
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熱海の温泉付きマンションが98万円だった理由
高殿円さんが購入したのは、蛇口をひねると温泉が出る、築年数の古いリゾートマンションです。
98万円という価格になった大きな理由は、購入後に発生する修繕や設備交換のリスクを、買主が引き受ける条件だったことです。
中古物件では、契約内容と異なる不具合が見つかった場合、売主に修理や費用負担を求められることがあります。これは現在、一般に契約不適合責任と呼ばれています。
しかし、個人間の売買では、契約書に売主の責任を免除する条件が入るケースがあります。こうした物件は売主側の負担が小さくなる一方、引き渡し後の故障や不具合を買主が自分で直さなければならない可能性があります。
高殿円さんの部屋では、入居した当日に室内が水浸しになるトラブルが発生しました。
98万円という金額だけを見ると非常に魅力的ですが、安さと引き換えに、修理のリスクを引き受けていたことが重要なポイントです。
たしかにこれは気になります。物件価格が100万円以下なら多少の修理費は許容できそうに感じますが、給排水設備や建物内部の問題は、開けてみるまで正確な費用がわからないこともあります。
安い物件には、価格が下がった理由が必ずあると考え、購入前にその内容を具体的に確認する必要があります。
購入費だけでは終わらないリノベーション費用と維持費
高殿円さんは、購入した部屋を仕事場兼秘密基地として使えるように改装しました。
番組ではリノベーションに約170万円をかけたと紹介されました。別の取材では、DIYを含めた改装費用が約200万円とされています。
購入価格と合わせると、おおよその金額は次のようになります。
| 費用の種類 | 金額の目安 |
|---|---|
| 物件購入価格 | 98万円 |
| リノベーション・DIY | 約170万~200万円 |
| 購入と改装の合計 | 約268万~298万円 |
| 温泉使用料 | 月約5,000円 |
| 管理費 | 月約1万5,000円 |
このほかに、登記費用、不動産取得税、固定資産税、火災保険料、交通費、電気・ガス・水道料金などがかかります。
温泉使用料と管理費だけでも月約2万円なので、年間では約24万円です。ここに固定資産税や光熱費を加えると、使っていない期間にも一定の負担が続きます。
初めて知ると少し驚きますが、格安物件では購入代金よりも、数年間の維持費のほうが大きくなることがあります。
個人的には、購入価格ではなく、10年間所有した場合の総額で比較することがいちばん大事だと感じます。
たとえば、管理費と温泉使用料が変わらないとしても、10年間では約240万円です。購入価格の98万円だけを見て決めると、実際の負担との間に大きな差が生まれます。
温泉付きマンションは源泉の温度も確認したい
部屋で温泉を楽しめることは、温泉付きマンションの大きな魅力です。
ただし、「蛇口から源泉が出る」という説明だけで、いつでも適温のお湯に入れるとは限りません。
源泉の温度が低い物件では、ボイラーや給湯器で加熱する必要があります。その場合、温泉使用料とは別に、ガス代や電気代がかかります。
反対に源泉の温度が高すぎる場合も、水を加えて温度を調整する設備が必要です。
購入前には、次の点を確認しておくと安心です。
- 部屋まで温泉が引かれているか
- 大浴場だけで利用できるのか
- 源泉の温度は何度か
- 加温や加水が必要か
- 温泉使用料は定額か従量制か
- 温泉設備の修理費を誰が負担するか
- 長期間使わない場合も料金が発生するか
温泉があるだけで生活が豊かになりそうですが、実際に選ぶなら、温泉の入り方より維持方法を先に確認したいところです。
また、マンション全体の温泉設備が故障すれば、各部屋が問題なくても温泉を使えなくなる可能性があります。専有部分だけでなく、ポンプや配管など共用設備の更新計画も確認しておきたいポイントです。
入居初日の水漏れからわかる築古物件のリスク
高殿円さんの部屋で起きた水浸しは、格安の築古物件を買う難しさを象徴する出来事です。
古い建物では、室内がきれいに見えても、壁の裏や床下、配管の内部まで劣化状態を目で確認することはできません。
特に確認したいのは、次の設備です。
- 給水管と排水管
- 給湯器とボイラー
- トイレや洗面台の接続部
- 窓や外壁からの雨水の浸入
- 上階からの漏水履歴
- 共用配管の交換状況
マンションの場合、自分の部屋だけを直せば終わるとは限りません。
水漏れの原因が共用配管にあれば、管理組合の対応が必要です。反対に自分の部屋から下の階へ水が漏れれば、内装や家財の損害を負担する問題が生じることもあります。
購入前には、重要事項説明書だけでなく、過去の総会議事録や修繕履歴も見せてもらうのが理想です。
「過去に漏水事故はあったか」「給排水管はいつ交換したか」「今後の大規模修繕に配管工事が含まれているか」を確認すると、建物内部の状態を判断しやすくなります。
アスベストがあるとリノベーション費用が上がる理由
築年数が古い物件を大きく改装するときは、アスベストを含む建材にも注意が必要です。
アスベストは、耐火性や断熱性に優れていたため、かつて多くの建築材料に使われていました。問題になるのは、建材が建物に残っていること自体よりも、解体や切断によって繊維が飛散する可能性がある場合です。
高殿円さんも、和室の土壁を撤去する際、一般ごみとして処分できないため、専門の業者へ依頼しています。
現在は建物の改修や解体を行う際、工事内容や建築時期などに応じて事前調査が必要です。調査で石綿含有建材が見つかれば、飛散防止や適切な処分を行わなければなりません。
そのため、古い壁や天井を壊して間取りを変える場合、通常の撤去工事より費用が高くなることがあります。
購入前に確認したいのは、次の3点です。
- アスベスト調査の記録があるか
- どの部分に使われている可能性があるか
- 希望するリフォームで対象部分を壊すか
なお、不動産取引では、アスベスト使用の有無を調査した記録が存在する場合、その内容が重要事項説明の対象になります。
ただし、記録がないことは、アスベストが使われていないことを意味しません。
個人的には、築古物件を買ってから調査するのではなく、希望する改装内容を施工会社に伝えたうえで、購入前に概算費用を出してもらうほうが安心だと感じます。
格安の温泉付きマンションを買う前の確認事項
リゾートマンションでは、部屋の価格が安くても、建物全体の維持に多くのお金がかかる場合があります。
バブル期などに建てられた物件には、大浴場、プール、レストラン、娯楽室、送迎バスなど、充実した共用設備を備えた建物もあります。
設備が豪華であるほど魅力的に見えますが、利用者が減っても清掃、点検、修理などの費用は必要です。所有者が少なくなれば、残った所有者の負担が増えることも考えられます。
購入を決める前には、少なくとも次の内容を確認したいところです。
- 管理費と修繕積立金の月額
- 管理費などの滞納額
- 長期修繕計画の有無
- 修繕積立金の残高
- 値上げや一時金の予定
- 空室や長期未利用住戸の割合
- 建物の耐震基準
- 温泉設備の更新時期
- 駐車場や送迎バスの利用条件
- ペットや民泊に関する規約
中古住宅には、建物検査と保証を組み合わせた既存住宅売買かし保険があります。
ただし、原則として新耐震基準に適合することなど、加入には条件があります。検査の対象範囲もすべての設備ではなく、主に構造部分や雨水の浸入を防ぐ部分です。
また、保険に入った後で行ったリフォーム工事や、その工事が原因となった損害は対象外になる場合があります。
「保険に入れるから何が起きても安心」と考えず、どの部分が保証されるのかを個別に確認する必要があります。
セドナの岩山頂上に家を建てられた理由
アメリカ・アリゾナ州のセドナでは、岩山の頂上に建てられたグレンドン・グッドさんの家が紹介されました。
周囲には高い建物がなく、屋上からセドナの景色を全方位で見渡せます。遠くには、セドナを代表する岩山のひとつであるカセドラル・ロックも見えます。
これほど特殊な場所に家を建てられたのは、グレンドンさん自身が家具や家電などを手がけるデザイナーで、設計だけでなく施工にも長い時間をかけたからです。
認可を得るまでに約15年、建設には約7~8年を要したとされ、構想から完成までを合わせると約22~23年になります。
岩盤はコンクリートよりも硬く、大型重機を簡単に運べる場所ではありません。そのため、ドリルで岩を削って敷地を整え、資材の運搬には専用のトラムやヘリコプターも使われました。
ここまで聞くと豪邸というより、人生をかけた作品に近い印象を受けます。
完成した家だけを見ると「絶景の場所に住めてうらやましい」と感じますが、実際には建築許可、資材運搬、インフラ整備という大きな壁を一つずつ越えています。
岩山の家では水道・ガス・郵便をどう届けるのか
景色がよくても、水やガスがなければ日常生活はできません。
グレンドンさんの家では、約60m下の地上から配管を通し、生活用水とガスを家まで届けています。
郵便物は地上にあるオフィスで受け取り、ゴミも地上側で回収してもらう仕組みです。
岩山の上で暮らすには、家そのものだけでなく、次のような生活動線を整える必要があります。
- 水やガスを届ける配管
- 停電や設備故障への備え
- 食料や日用品の運搬
- ごみを地上へ降ろす方法
- 郵便や宅配便の受け取り場所
- 災害や病気のときの移動手段
眺望のよさと引き換えに、日常の小さな用事にも手間がかかります。
それでもグレンドンさんが岩山の上を選んだのは、利便性よりも、自然と一体になれる環境や創作の価値を優先したからなのでしょう。
便利さだけを基準にすれば選ばれにくい場所ですが、本人が何を大事にするかによって、不便は欠点ではなくなります。
仙台の空中に浮かぶ家は駐車場を広く取るため
宮城県仙台市にある鈴木さん一家の家は、建物の大部分が宙に浮いているような形をしています。
この形になった理由は、隣で経営しているバイクショップの駐車場を広く確保するためです。
1階を一般的な居住スペースにすると、建物が土地を占めてしまい、来店客の車やバイクを止める場所が少なくなります。
そこで1階を玄関中心の構造にし、リビング、キッチン、寝室などの生活空間を2階にまとめました。
変わった形を目立たせるためではなく、商売に必要な駐車面積を確保した結果、空中に浮いているような外観になったのです。
これは店舗併用住宅を考えている人にとって興味深い考え方です。
土地を店舗と住宅で単純に分けるのではなく、縦方向に使い分ければ、限られた敷地でも駐車場と住居を両立できます。
幹線道路の騒音を三重窓で抑えた工夫
バイクショップにとって、幹線道路沿いは来店してもらいやすい好立地です。
一方、住まいとして見ると、車やバイクの走行音が続くという問題があります。
鈴木さん宅では、生活スペースを2階に上げ、窓を三重にすることで騒音を抑えました。
番組内の測定では、バイクショップ周辺が64dBだったのに対し、家の2階では43dBまで下がっていました。
デシベルは単純な引き算だけで体感を判断できる数値ではありませんが、21dBの差は小さくありません。窓から入る音を減らすことに加え、道路から生活空間までの距離を取ったことも効果につながったと考えられます。
幹線道路沿いの住宅を選ぶときは、窓を閉めた状態だけでなく、次の状況も確認したいところです。
- 朝夕の交通量が多い時間
- 大型車やバイクが通る時間帯
- 寝室側に道路があるか
- 換気口から音が入らないか
- 窓を開けて生活できるか
- 振動が床や壁に伝わらないか
内見が昼間だけだと、朝の通勤時間や深夜の騒音を確認できません。
実際に選ぶなら、時間帯を変えて周辺を歩き、できれば室内で数分間、音を聞いてみたいところです。
洗濯から収納までを短くした家事動線
仙台の家では、洗面スペースで洗濯し、乾燥させ、衣類を畳んで、すぐ収納できるようになっています。
さらに寝室やキッチンへつながる回遊しやすい間取りになっており、家の中を行き止まりなく移動できます。
この家の魅力は、外観の珍しさだけではありません。
毎日繰り返す家事の移動を短くし、家族が自然に動けるようにしている点にあります。
洗濯機、乾燥機、物干し場、収納が離れていると、洗濯物を抱えて何度も部屋を移動しなければなりません。これらを近くにまとめれば、1回あたりはわずかな差でも、毎日の負担を減らせます。
子どもが家の中を楽しそうに走り回れるのも、各空間がなめらかにつながっているからでしょう。
個人的には、見た目が豪華な間取りより、洗濯物を持って何歩移動するかまで考えられた家のほうが、長く暮らしたときに満足しやすいと感じます。
3つの家に共通する不便を価値に変える考え方
熱海、セドナ、仙台の3軒は、場所も価格も外観も大きく異なります。
しかし、住む人が何を優先するかを明確にしている点は共通しています。
| 家 | 一見すると不便な点 | 住む人が得た価値 |
| 熱海のマンション | 築古で修繕リスクがある | 低価格で温泉付きの仕事場を持てる |
| セドナの岩山の家 | 資材や生活用品を運びにくい | 全方位に広がる絶景と創作環境 |
| 仙台の空中に浮かぶ家 | 生活空間が2階に集中する | 店舗用の広い駐車場と静かな住居 |
大切なのは、珍しい家をそのまままねすることではありません。
自分にとって譲れないものを決め、そのために何を受け入れられるかを考えることです。
温泉を優先するなら、管理費や修繕リスクを受け入れられるか。
絶景を優先するなら、買い物や移動の不便を受け入れられるか。
仕事と住まいを同じ土地に置くなら、騒音やプライバシーをどのように解決するか。
家の価格や間取りだけでなく、そこで過ごす毎日の動きと、将来かかる費用まで想像することが、失敗しにくい住まい選びにつながります。
参考リンク
- 温泉付きリゾートマンションを98万円で購入した経緯と物件選び
- 98万円のマンションを約200万円でリノベーションした事例
- 高殿円さん「98万円で温泉の出る築75年の家を買った」
- 国土交通省「アスベスト問題への対応」
- 住宅瑕疵担保責任保険協会「既存住宅売買かし保険」
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