巨大な「動く壁」を作る小松ウオール工業とSKYDOOR
2026年9月26日放送のテレビ東京系『知られざるガリバー~エクセレントカンパニーファイル~』に登場するのが、石川県小松市に本社を置く小松ウオール工業です。
同社が得意とするのは、ホテルや展示場などの巨大空間を自由に区切る「移動間仕切」。数トンにもなる大型の壁を人の力で動かしながら、閉じれば遮音性や固定性を備えた壁として機能させる技術を磨いてきました。
その技術はさらに進化し、現在は地上約138mの超高層階で屋内と屋外の境界を大きく開ける「SKYDOOR」にまで発展しています。
壁は固定されたもの、という常識を変えてきた小松ウオール工業。そのものづくりと最新技術を見ていきます。
この記事でわかること
- 小松ウオール工業が手掛ける移動間仕切の特徴
- 数トンもの壁を軽く移動できる仕組み
- SKYDOORが地上約138mで使える理由
- 1968年の設立から最新技術へつながる歩み
小松ウオール工業は壁の製造から施工まで一貫して手掛ける
小松ウオール工業株式会社は、1968年1月に石川県小松市で設立されました。
手掛けるのは壁そのものだけではありません。間仕切の製造から設計、販売、施工までを一貫して行い、建物や使用目的に合わせた空間づくりを支えています。
主な製品には、
- 可動間仕切
- 固定間仕切
- 大型移動間仕切
- トイレブース
- ローパーティション
- 鋼製軽量ドア
などがあります。
今回特に注目されるのが「移動間仕切」です。
ホテルの宴会場や展示場、多目的ホールなどでは、1つの大きな空間をイベントによって2つ、3つに分割したり、再び大空間へ戻したりする必要があります。
そこで使われるのが、天井のレールに吊られ、必要な場所まで移動できる巨大な壁です。
小松ウオール工業は、この大型移動壁を長年にわたって手掛けてきました。
数トンの移動間仕切を人の力で動かせる
『知られざるガリバー』で大きな見どころとなるのが、数トンもの移動間仕切をわずかな力で動かす技術です。
小松ウオール工業の大型移動壁「小松ランニング」には、多軸多輪ベアリングや遊動輪を使った走行機構が採用されています。
重量のある壁をただ天井から吊るすのではなく、走行部分を工夫することで、人が押したときに安全かつ滑らかに動かせるようにしています。
しかも、動かせるのは直線方向だけではありません。
R形カーブレールでは、壁を押して進めると走行輪がレールに沿って方向を変え、設定した場所まで移動できます。
さらにロータリー分岐を使えば、超大型の移動壁を方向転換させることも可能です。
巨大な壁を必要な場所へ動かし、使わないときには収納する。これによって、ホテルや展示場は建物を改修することなく、用途に応じて空間の大きさを変えられます。
動くだけではなく閉じれば「本物の壁」になる
移動間仕切に求められるのは、軽く動くことだけではありません。
閉じたときに隣の部屋の音が筒抜けになったり、壁が不安定になったりすれば、間仕切として十分に機能しません。
そのため小松ウオール工業は、移動性能と同時に遮音性や固定性も追求しています。
「ライトリーウォール」の遮音タイプでは、独自のパワークローザ機構によってパネルの上下を密着させます。
移動させるときには滑らかに動き、所定の場所へ設置すると上下をしっかり固定する。
「動く壁」と「固定された壁」という相反する性能を1つの製品で両立させているところが、小松ウオール工業の移動間仕切の特徴です。
SKYDOORは地上約138mの高層階を外へ開く
長年培ってきた「壁を動かす」技術を、高層建築の外装にまで広げた製品が「SKYDOOR」です。
2026年3月18日、東京・芝浦の「BLUE FRONT SHIBAURA」で新製品発表会が開催されました。
SKYDOORは、小松ウオール工業、野村不動産、槇総合計画事務所、清水建設によって共同開発された高層建築用・外装用移動間仕切です。
特徴は、超高層階でも壁そのものを大きく開けられること。
一般的な高層ビルでは、大きな窓から景色を見ることはできても、安全性や風への対応から、屋内と屋外を大きく開放することは簡単ではありません。
SKYDOORは、その境界となる壁を横へ移動させることで、高層階の室内と屋外を大きくつなげます。
風速約43m/s相当にも対応する性能
超高層階で外壁を動かすために大きな課題となるのが、強風と雨です。
地上から100mを超える高さでは、地上付近とは異なる厳しい風環境にさらされます。
SKYDOORでは、高層建築の外装として使用するため、
- 耐風圧性:S-7
- 気密性:A-4
- 水密性:W-5以上
- 水密性能:1150Pa
- 風速:約43m/s相当
という性能を確保しています。
実際に導入されたのは、BLUE FRONT SHIBAURAの地上約138mに位置する高層階です。
壁を閉めているときは高層建築の外装として機能し、開けると室内と屋外が一体となった空間へ変化します。
窓を少し開けるのではなく、「壁そのものを動かして空とつながる」。
これがSKYDOORの大きな特徴です。
高層ビルの「眺望」を体験へ変えるSKYDOOR
これまで高層ビルの価値として重視されてきたのは、ガラス越しに楽しむ眺望でした。
SKYDOORが生み出すのは、その景色を見るだけではなく、外の空気や風まで感じられる空間です。
壁が開けば、室内とテラスなどの外部空間を連続させることができます。
オフィスや商業施設、高層階の共用スペースなどで、建物の使い方そのものを変える可能性があります。
小松ウオール工業が長年扱ってきたホテルや展示場の「室内を区切る壁」が、今度は高層建築の「内と外をつなぐ壁」へ変わったことになります。
1968年から「壁を動かす」技術を積み上げてきた
SKYDOORだけを見ると突然生まれた最新技術のように見えますが、その土台には50年以上にわたる小松ウオール工業の歩みがあります。
会社が設立されたのは1968年。
設立当初からスチール・アルミ製間仕切の製造販売、設計施工を手掛けてきました。
1971年には可動間仕切「マイティウォール」を開発。
1980年には大型移動壁「ランニングウォール」の製造販売を開始しています。
ホテル、展示場、会議室、多目的ホール、学校、美術館、博物館、体育館など、用途の異なる空間で移動間仕切を作り続ける中で、走行性能、遮音性、耐久性、固定性能などを磨いてきました。
その積み重ねが、高層建築の外壁まで動かすSKYDOORへつながっています。
加賀工場2号棟で可動間仕切の生産能力を強化
小松ウオール工業は、移動間仕切や可動間仕切の需要に対応するため、生産体制の拡大も進めています。
2026年9月には、石川県加賀市で「加賀工場2号棟」が竣工しました。
新工場の稼働によって、主力となる可動間仕切の生産能力を最大1.5倍へ高める計画です。
半世紀以上にわたり間仕切を作り続けてきた会社が、最新の高層建築向け製品を開発するだけでなく、製造体制そのものも拡張しています。
小松ウオール工業・SKYDOORの実用情報
- 会社名:小松ウオール工業株式会社
- 本社:石川県小松市工業団地1丁目72番地
- 設立:1968年1月22日
- 主な事業:間仕切製品の製造・設計・販売・施工
- 主な製品:可動間仕切、固定間仕切、移動間仕切、トイレブース、鋼製軽量ドアなど
- SKYDOOR:高層建築用・外装用移動間仕切
- 新製品発表会:2026年3月18日
- 導入場所:BLUE FRONT SHIBAURA高層階
- 導入高さ:約138m
- 共同開発:小松ウオール工業、野村不動産、槇総合計画事務所、清水建設
- 特徴:高層階で屋内と屋外を大きく開放できる耐風圧・気密・水密性能
まとめ
小松ウオール工業は、ホテルや展示場などの巨大空間を自由に変える移動間仕切を長年手掛けてきました。
数トン規模の壁を滑らかに移動させる走行技術と、閉じた後に遮音性や固定性を確保する技術。その積み重ねが、現在は超高層ビルの外壁まで動かす「SKYDOOR」へ進化しています。
SKYDOORが導入されたのは地上約138m。
高層階でありながら壁そのものを横へ移動させ、室内と屋外を一体化できるのが大きな特徴です。
1968年の設立以来、小松ウオール工業が追い続けてきた「壁を動かして空間を変える」という発想。その最新形が、空へ開くSKYDOORです。
2026年9月26日の『知られざるガリバー』では、普段は意識することの少ない「間仕切」が、巨大展示場から超高層ビルまで支える高度な建築技術であることが紹介されます。
参考リンク
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