横浜港の「陸の孤島」に残る暮らし
横浜と聞くと、みなとみらいや山下公園の華やかな景色を思い浮かべますが、本牧ふ頭にはまったく違う横浜があります。『ドキュメント72時間 横浜 港のマンション今昔物語(2026年8月14日放送)』の舞台となるのは、横浜市中区錦町の横浜マリンハイツです。築50年を超える建物の1階には飲食店が集まり、その上では住民が暮らしています。なぜ港の中のような場所に住宅と食堂街が生まれたのか、その背景をたどります。
この記事でわかること
- 横浜港のマンション「横浜マリンハイツ」の場所
- 築50年超の建物が生まれた背景
- 1階に飲食店が集まる理由
- 現地へ行く前に知っておきたいアクセス
港のマンションは横浜マリンハイツ
番組の舞台となる港近くのマンションは、横浜マリンハイツです。
場所は神奈川県横浜市中区錦町。本牧ふ頭に隣接する港湾エリアにあり、1号館と2号館から構成されています。
番組で紹介されている「築50年ほど」「港の近く」「1階が飲食店街」「和洋中の料理が楽しめる」「住民が陸の孤島と呼ぶ」という特徴は、横浜マリンハイツと一致します。実際、横浜マリンハイツは1975年に建設され、1階には長年にわたって飲食店や小売店が集まってきました。
さらに、本牧ふ頭の横浜マリンハイツを「陸の孤島」と表現する地域情報も以前から存在し、番組告知で使われている言葉とも重なります。
たしかに、横浜のマンションと聞いて最初に思い浮かべる景色とはかなり違います。
目の前を大型トラックが行き交い、周辺にはコンテナヤードや港湾施設が広がる。その中に突然、大きな集合住宅と飲食店街が現れる光景は、初めて見ると少し驚きます。
横浜マリンハイツは1975年築の大型マンション
横浜マリンハイツは1975年3月築です。
旧分譲主は日本船員住宅協会。建物は鉄骨鉄筋コンクリート造で、1号館・2号館が並んで建っています。
2026年で築51年。
番組で「築50年ほど」と紹介されているのは、まさにこの年代に当たります。
単純に「古いマンション」というだけなら全国に数多くありますが、横浜マリンハイツが特徴的なのは、港で働く人々の暮らしと密接につながって誕生したことです。
過去の現地取材では、横浜マリンハイツは以前、海員や港湾関係者の集合住宅として利用され、後に一般の住民も増えていったことが確認されています。
「どうしてこんな港の奥に大きなマンションがあるのだろう」と感じますが、歴史を知ると理由が見えてきます。
ここは最初から観光地の海辺に建てられた住宅ではなく、横浜港で働く人々の生活を支える場所として発展してきたのです。
1階が飲食店街で2階以上が住宅になっている
横浜マリンハイツを象徴する特徴が、1階のマリンハイツショッピングセンターです。
1階には飲食店や小売店が入り、上階は住宅になっています。過去の現地取材でも「1階には飲食店、2階以上が住居」という構造が確認されています。
2023年にも、本牧ふ頭近くの団地1階にあるショッピングセンターとして紹介され、港湾関係者のための飲食店や小売店が並ぶ場所であることが確認されています。
ここが普通のマンション1階のテナントとは少し違うところです。
コンビニが1軒入っている程度ではなく、食事をするために人がわざわざ集まってくる場所として機能しています。
個人的には、この「上では暮らし、下では港で働く人が食事をする」という構造こそ、横浜マリンハイツを面白くしている最大のポイントだと感じます。
和食・中華・ラーメンなどが並ぶ港の食堂街
マリンハイツショッピングセンターには、長年にわたりさまざまな飲食店が営業してきました。
現在確認できる店舗にも、ラーメンや中華料理などがあります。
たとえば2号館1階にはラーメン大将 錦町店、1号館1階には中華そば東光などがあり、港湾関係者やトラックドライバーが利用しています。
地域の商店街情報でも、マリンハイツショッピングセンターについて、和食から中国・台湾・韓国料理までそろう飲食店街として紹介されています。
駅前の商店街でも観光地のグルメ街でもありません。
それでも飲食店が集まっているのは、周辺で働く人たちに確かな需要があるからです。
港という仕事場のすぐ近くで、仕事の合間にしっかり食べられる。
この立地を考えると、飲食店街が続いてきた理由も納得できます。
港湾関係者やトラックドライバーが集まる理由
横浜マリンハイツの周囲には、本牧ふ頭を中心とする大規模な物流エリアが広がっています。
コンテナを運ぶ大型車両が行き交い、昼夜を問わず多くの人が港を支えています。
そのため、1階の飲食店では昔から港湾関係者やトラックドライバーが重要な利用者となってきました。
実際、マリンハイツショッピングセンターについても「昼夜問わず働く港湾関係者のための飲食店や小売店」が集まる場所と紹介されています。朝早くから営業する店舗もあり、一般的な繁華街とは生活時間そのものが違います。
過去には、横浜マリンハイツ1階の飲食店について、港周辺で働く人々を主な客層として営業する様子も紹介されています。
ここがポイントです。
港の飲食店は「わざわざ遠くから食べに来てもらう」だけではなく、そこで働く人が仕事を続けるために必要な日常の食事を提供する場所でもあります。
観光地のレストランとは役割がかなり違います。
「陸の孤島」と呼ばれるのは駅から遠いから
横浜マリンハイツ周辺は、以前から「陸の孤島」と表現されることがあります。
横浜市中区という住所だけを見ると便利そうですが、鉄道駅のすぐ近くではありません。
横浜マリンハイツ1号館の場合、本牧ふ頭入口バス停からは徒歩約1分ですが、鉄道駅から徒歩で向かうにはかなり距離があります。物件情報では、石川町駅まで徒歩約40分とされています。
周辺には住宅街よりも港湾施設、倉庫、コンテナ関連施設などが目立ちます。
だからこそ、「横浜の中心部に近いのに、電車では簡単に行けない」という独特の立地になっています。
初めて地図を見ると、たしかにこれは気になります。
みなとみらいや中華街からそれほど遠くないのに、街の性格が一気に変わるからです。
最寄りは本牧ふ頭入口バス停
横浜マリンハイツへ公共交通機関で行く場合は、バスを利用するのが現実的です。
最寄りは「本牧ふ頭入口」バス停で、横浜マリンハイツから徒歩約1分。横浜市中心部から本牧方面へ向かうバスを利用できます。
つまり、「陸の孤島」とはいっても交通手段がないわけではありません。
鉄道駅から離れているため、電車+徒歩ではなくバス中心の生活圏になっていると考えると分かりやすいでしょう。
実際に訪れるなら、最寄り駅から長時間歩くより、横浜駅や桜木町方面からバスを使うほうが負担は少なくなります。
マンションが港の歴史をそのまま残している
横浜マリンハイツが興味深いのは、1975年に建てられた建物が現在も単なる「昔の建築物」として残っているのではないことです。
住民が暮らし、1階では店が営業し、周辺では現在も港湾関係の仕事が続いています。
つまり、50年前につくられた港と暮らしの関係が、今も現役で続いている場所なのです。
横浜港周辺は、この半世紀で大きく変化しました。
みなとみらいには高層ビルや商業施設が増え、海沿いは横浜を代表する観光地になっています。
一方、本牧ふ頭側へ行くと、大型トラックやコンテナが行き交う「働く横浜」があります。
同じ横浜港でも、景色はまったく違います。
個人的には、この対比を知ると横浜という街の見え方が少し変わります。
観光地としての横浜だけではなく、物流によって日本の生活を支えてきた港町としての横浜が見えてくるからです。
一般の人も利用できる飲食店がある
マリンハイツショッピングセンターの飲食店は、港湾関係者専用というわけではありません。
一般客が利用できる店舗もあり、これまでも横浜の隠れたグルメスポットとして紹介されてきました。
ただし、店によって営業時間や定休日は異なります。
港湾関係者の勤務時間に合わせて朝早くから営業する店がある一方、一般的な飲食店とは異なる営業時間の場合もあります。
実際に行くなら、ここは確認しておきたいところです。
「せっかく本牧ふ頭まで来たのに店が閉まっていた」となると、周辺は駅前のように選択肢が豊富な場所ではありません。
訪問前に営業日や営業時間を確認しておくと安心です。
訪れるときは住宅であることにも配慮したい
横浜マリンハイツは興味深い場所ですが、忘れてはいけないのが、現在も人が生活しているマンションだという点です。
1階の営業店舗を利用することと、マンションの住居部分を見物することは別です。
訪れる場合は、営業中の店舗を利用する範囲にとどめ、住居フロアや共用廊下へ観光目的で立ち入らないことが大切です。
特に番組では上層階の廊下から花火を見る家族の様子も紹介される予定ですが、そこは住民の日常生活の場です。
個人的には、この点はいちばん大事だと感じます。
横浜マリンハイツが面白いのは、保存された観光施設だからではありません。
今も人が暮らし、働く人が食事をし、50年以上にわたって港の日常が続いている現役の生活空間だからこそ価値がある場所です。
横浜マリンハイツを知ると、華やかなウォーターフロントだけでは見えてこない、もう1つの横浜港の姿が見えてきます。
気になる生活ナビをもっと見る
購読すると最新の投稿がメールで送信されます。


コメント