クルミとカシューナッツで変わった食物アレルギーの常識
2026年9月28日放送のNHK『あさイチ』では、「令和のアレルギー最前線」として、近年増えているナッツ類の食物アレルギーが取り上げられます。
なかでも注目したいのが、クルミとカシューナッツです。クルミはすでにアレルギー表示が義務化され、カシューナッツも2026年4月から義務表示の対象となりました。
背景にあるのは、専門医から報告される即時型食物アレルギー症例で木の実類の割合が大きく増えていることです。パンや菓子だけでなく、ペーストやソース、料理の材料として使われることもあるため、「ナッツそのものを食べなければ大丈夫」とは限りません。
この記事でわかること
- クルミ・カシューナッツのアレルギーがどれほど増えているか
- 2026年現在のアレルギー表示義務
- カシューナッツ表示で知っておきたい経過措置
- ピスタチオやペカンナッツとの関係と注意点
乾燥肌で注意したい食物アレルギー|経皮感作・ナッツ急増・魚の注意点を解説『あさイチ』
クルミとカシューナッツのアレルギーが増えている
公式動画:消費者庁「外食・中食における食物アレルギーの現状」
食物アレルギーの原因として、これまで代表的だったのは鶏卵、牛乳、小麦などでした。しかし近年、大きく存在感を増しているのがクルミやカシューナッツを含む木の実類です。
消費者庁の令和6年度全国実態調査では、解析対象となった即時型食物アレルギー6,033例のうち、木の実類は1,484例、24.6%を占めました。類別では鶏卵に次ぐ2位です。
品目別では、
- クルミ:916例、全体の15.2%
- カシューナッツ:279例、全体の4.6%
- マカダミアナッツ:69例
- ピスタチオ:50例
- アーモンド:46例
- ペカンナッツ:35例
となっています。
クルミだけを見ると、鶏卵に次ぐ2番目の原因食物となりました。木の実類1,484例のうち、クルミが61.7%、カシューナッツが18.8%を占めています。
ただし、この数字は日本人全体の15.2%がクルミアレルギーという意味ではありません。食物摂取後60分以内に何らかの反応があり、医療機関を受診して調査に報告された症例の内訳です。
クルミは2023年から表示義務の対象
クルミは症例数の増加を受け、2023年3月に「特定原材料」へ追加されました。
特定原材料とは、アレルギー症例数や重篤度などを踏まえ、容器包装された加工食品に含まれている場合に表示が義務付けられている食品です。
クルミについては経過措置も終了しており、2026年現在、対象となる加工食品では「くるみ」の表示が必要です。
クルミの増加は突然始まったものではありません。過去の全国実態調査では、即時型食物アレルギー症例全体に占めるクルミの割合が2005年の1.1%から、2017年には5.2%、2020年には7.6%まで上昇していました。最新調査では15.2%となっており、長期的な増加が確認されています。
カシューナッツも2026年4月から表示義務に
大きな変更があったのがカシューナッツです。
2026年4月1日、カシューナッツは、それまで表示を推奨する「特定原材料に準ずるもの」から、表示を義務付ける「特定原材料」へ移行しました。
2026年現在、義務表示の対象となる特定原材料は次の9品目です。
- えび
- かに
- くるみ
- 小麦
- そば
- 卵
- 乳
- 落花生
- カシューナッツ
カシューナッツが追加された理由も、全国実態調査で症例数と木の実類に占める割合の増加が続き、一時的な変化ではないと判断されたためです。
2020年調査ではカシューナッツは174例、全体の2.9%でしたが、最新の調査では279例、4.6%となりました。
クルミだけでなくカシューナッツについても、食品を選ぶ際に表示を確認する重要性が高まっています。
カシューナッツは2028年3月31日まで経過措置がある
ここは2026年時点で特に注意したいポイントです。
カシューナッツの表示義務化は2026年4月1日に始まりましたが、食品メーカーなどが包装や原材料表示を切り替えるため、2028年3月31日まで経過措置期間が設けられています。
つまり2026年9月現在、「義務表示になったのだから、すべての商品に必ずカシューナッツと書かれている」と考えるのは早すぎます。
経過措置の対象となる食品では旧ルールの表示が残る場合があるため、カシューナッツアレルギーがある人は商品パッケージだけに頼らず、必要に応じてメーカーへ確認することも重要です。
ナッツそのもの以外の加工食品にも注意
クルミやカシューナッツというと、袋入りのミックスナッツを思い浮かべやすいですが、実際には加工して食品の材料として使われることがあります。
例えば、
- パンや焼き菓子
- ケーキやチョコレート
- グラノーラやシリアル
- ナッツペースト
- ソースやドレッシング
- カレーやエスニック料理
- デザートやアイス類
などでは、ナッツが砕かれたりペースト状になったりして、見た目から分かりにくくなることがあります。
容器包装された加工食品であれば原材料表示を確認することが基本ですが、外食や店頭で提供される料理については状況が異なります。
レストランや店頭販売では表示義務が同じではない
食品表示法によるアレルギー表示義務は、基本的に容器包装された加工食品が対象です。
レストランなどの外食や、一部の店頭調理・中食では、メニューへのアレルギー表示が一律に義務付けられているわけではありません。消費者庁も、外食・中食については事業者による自主的な情報提供を促進しています。
そのため、クルミやカシューナッツにアレルギーがある場合は、
- ナッツを使用しているか
- ソースやペーストに含まれていないか
- 原材料を確認できるか
- 調理器具や設備を共有しているか
などを注文前に確認することが大切です。
「見た目にナッツがないから大丈夫」と判断しないことがポイントになります。
カシューナッツとピスタチオの関係にも注意
2026年4月の制度変更では、もう1つ重要な動きがありました。
ピスタチオが、表示を推奨する「特定原材料に準ずるもの」に新たに追加されています。
カシューナッツとピスタチオはともにウルシ科で、交差反応性が知られています。消費者庁も両者の交差反応性について情報提供を行い、ピスタチオについて可能な限り表示するよう事業者へ促しています。
ただし、カシューナッツアレルギーだから必ずピスタチオも食べられない、という意味ではありません。
自己判断で食べられる食品まで一律に除去せず、アレルギー専門医などの診断や指導に従うことが重要です。
クルミとペカンナッツにも交差反応性がある
同じような関係が、クルミとペカンナッツにもあります。
消費者庁は、クルミとペカンナッツには強い交差反応性があるとして、クルミを特定原材料へ追加した際にも注意喚起を行っています。
ただし、ペカンナッツは2026年現在、義務表示の「特定原材料」にも、推奨表示の「特定原材料に準ずるもの」にも含まれていません。
クルミアレルギーと診断されている場合には、ペカンナッツについても自己判断で食べて確認するのではなく、医師へ相談するのが安全です。
ナッツアレルギーで起こる症状
食物アレルギーでは、食べたあと数分から数時間の間にさまざまな症状が現れることがあります。
代表的なのは、
- じんましん
- 皮膚の赤みやかゆみ
- 唇やまぶたの腫れ
- 口の中の違和感
- 腹痛や嘔吐
- 咳
- ゼーゼーする呼吸
- 呼吸困難
などです。
最新の全国実態調査では、クルミによる即時型症例916例のうち86例、カシューナッツ279例のうち37例でショック症状が報告されています。これは全人口における発症率ではなく、この調査に報告された症例の中での数字ですが、木の実類でも重い症状が起こり得ることを示しています。
呼吸が苦しい、声がかすれる、ぐったりする、意識がもうろうとするといった緊急性の高い症状が出た場合は、速やかな救急対応が必要です。
まとめ
『あさイチ』で取り上げられるナッツアレルギーで特に押さえておきたいのは、クルミとカシューナッツが、現在では珍しい原因食物とはいえないほど存在感を増していることです。
クルミはすでに表示義務の対象で、カシューナッツも2026年4月1日から特定原材料へ追加されました。
一方、カシューナッツには2028年3月31日まで表示の経過措置があります。さらに外食や中食では、容器包装された加工食品と同じ表示義務が適用されないケースがあることにも注意が必要です。
また、カシューナッツとピスタチオ、クルミとペカンナッツには交差反応性が知られています。ただし、関連するナッツをすべて自己判断で除去するのではなく、診断を受けたうえで必要な食品だけを避けることが基本です。
ナッツそのものだけでなく、パン、菓子、ソース、ペーストなどに使われている場合もあるため、原材料表示を確認する習慣がこれまで以上に重要になっています。
参考リンク
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