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スーパー止水番2はKTX「じゃない方事業部」の大逆転商品!売上100倍を生んだ金型技術と誕生秘話『Mr.サンデー』

企業・新技術

金型メーカーKTXの「じゃない方」が止水板で主役になった

2026年9月27日放送の『Mr.サンデー』で描かれる「じゃない方が大逆転!『止水板』奇跡の物語」。その中心となるのが、愛知県江南市に本社を置く金型メーカー・KTX株式会社と、同社の「じゃない方事業部」が生み出した止水板「スーパー止水番2」です。

本業は自動車内装用の金型。しかし、自社を水害から守るために考え始めた止水板が、新しい会社の柱へと成長しました。金型とは「じゃない方」から始まった事業は、5年間で売上100倍と報じられるまでになり、「スーパー止水番2」は現在、累計5,000枚以上の設置実績を持つ製品になっています。

この記事でわかること

  • 「スーパー止水番2」を開発したKTX株式会社とは
  • なぜ金型メーカーが止水板を作ることになったのか
  • 「じゃない方事業部」が大逆転するまでの経緯
  • スーパー止水番2の特徴・価格・購入方法

スーパー止水番2を作ったのは愛知県江南市のKTX株式会社

公式動画:KTX株式会社「スーパー止水番2」公式YouTube

「スーパー止水番2」を開発・製造しているのは、愛知県江南市に本社を置くKTX株式会社です。

KTXは1965年に「江南特殊工業」として創業。現在は自動車をはじめ、航空機、医療機器、住宅設備などの生産に使われる金型を手掛けています。

特に得意としてきたのが「電気鋳造」と呼ばれる技術です。独自開発した「ポーラス電鋳」の技術は国内外の自動車メーカーなどで採用され、KTXは長年、表からは見えにくい金型の世界で技術を磨いてきました。

会社概要は次の通りです。

  • 会社名:KTX株式会社
  • 旧社名:江南特殊産業株式会社
  • 創業:1965年1月
  • 本社:愛知県江南市安良町地蔵51番地
  • 代表取締役社長:野田太一さん
  • 資本金:9,390万円
  • 社員数:228名(2026年4月末時点)

ところが、今回の主役は長年続けてきた金型そのものではありません。

会社の中で文字通り「じゃない方」と名付けられた新規事業部門です。

「じゃない方事業部」は2021年に誕生した

KTXが「じゃない方事業部」を立ち上げたのは2021年。

自動車内装用金型という強力な本業を持ちながらも、1つの事業だけに依存しない会社をつくろうと、新しい市場への挑戦を始めました。

名前はそのまま、本業である「金型じゃない方」の仕事をする部署です。

ただし、金型と完全に無関係な商品を作るわけではありません。

KTXが半世紀以上かけて蓄積してきた、

  • 設計技術
  • 構造解析
  • 精密加工
  • 強度計算
  • 高い品質管理

といった技術を、金型とは異なる社会課題へ転用することが基本になっています。

中部経済産業局によると、「じゃない方事業部」は「社会にいま必要なモノを、必要としている場所と人に、すぐに届けよう」を掲げてスタートしました。

そして、その第1弾として世に出したのが止水板でした。

始まりは「自分たちの工場を水害から守りたい」だった

止水板開発の始まりは、大規模な商品開発プロジェクトではありませんでした。

KTX本社の近くには水路があり、大雨が降れば工場が浸水する危険があります。

工場には高価な設備や機械があります。水が入り込めば、生産そのものが止まる可能性もあります。

そこでKTXは自社工場の浸水対策として、市販の止水板を設置することを考えました。

ところが、メーカーから取得した見積額は、KTXが製造業の感覚で想定していた金額を大きく上回るものでした。

ここで発想が変わります。

「これなら自分たちで作れるのではないか」。

KTXには自動車用金型を設計するための構造解析技術があります。

金型では、単純に金属を厚くして強くすればいいわけではありません。必要な強度を保ちながら、どこまで材料を減らせるか、どんな構造なら力に耐えられるかを計算しなければなりません。

その技術を「水圧に耐える板」へ応用しました。

こうして自社の浸水対策から始まった製品が、「スーパー止水番2」へと発展していきます。

金型の解析技術が止水板の弱点を変えた

「スーパー止水番2」の大きな特徴が、強度と扱いやすさの両立です。

一般的な水害対策として思い浮かぶのは土のうですが、大量の土のうを短時間で準備し、人の力で運び、隙間なく積み上げるのは簡単ではありません。

KTXは、金型設計で使っていたシミュレーション技術によって、水圧が板のどこへ、どれほど加わるのかを解析しました。

必要な場所に強度を持たせながら構造をシンプルにすることで、軽量化と高い止水性能を両立させています。

現在の「スーパー止水番2」はアルミニウム製で、公式仕様では高さ500mmの場合、

  • 幅600mm:重量約5kg
  • 幅2,300mm:重量約16kg
  • 高さ500mmまでの止水性能:JIS漏水量等級Ws-5相当
  • 開口幅:600mmから対応
  • 広い間口では中間支柱を使って連結可能

となっています。

特許登録に加え、国土交通省の新技術情報提供システム「NETIS」にも登録されています。

マグネット式だから大雨が来ても短時間で設置できる

スーパー止水番2を象徴する仕組みが、マグネットによる取り付けです。

あらかじめ建物側に必要な施工を行っておけば、浸水の危険が迫ったときに止水板を取り付けます。

KTXは初期モデルの特徴として「マグネット式5秒で簡単取り付け」と紹介していました。

大量の土のうを運んで積み重ねるのではなく、軽量な板を開口部へ取り付けるという考え方です。

設置先として想定されているのは、

  • マンションやビルのエントランス
  • 店舗の入口
  • 病院・学校などの施設
  • 地下駐車場
  • 工場・倉庫
  • 電気設備・電源設備
  • 自宅のガレージや駐車場

など。

特に短時間で水位が上昇する都市型豪雨では、「対策を用意している」だけでなく、「必要になったときすぐ設置できる」ことが重要になります。

止水板は実際の豪雨でも住宅への浸水を防いでいる

KTXの止水板は試験設備の中だけで使われているわけではありません。

2025年8月、山口県下関市では総降水量512mmとなる豪雨が発生しました。

長年浸水被害に悩んできた個人宅では「スーパー止水番2」を設置。KTXが公開している導入事例では、この豪雨で住宅への浸水被害を免れたことが紹介されています。

また、時間雨量88.5mmの豪雨を経験した店舗でも、止水板導入後に浸水を防いだ事例があります。

「金型メーカーが作った防災用品」という珍しさだけでなく、実際の水害現場で使用される商品になったことが、スーパー止水番2の大きな転機でした。

累計5,000枚超へ、「じゃない方」が会社の新しい柱になった

止水板を売り始めた当初は、本業である金型と比べれば文字通り「じゃない方」でした。

しかし、水害が全国で繰り返される中で需要が拡大します。

2023年には豪雨後の問い合わせが前年同月の3〜5倍に増加。2026年3月には「じゃない方事業部」の売上が5年間で100倍に成長したと報じられました。

さらに中部経済産業局は、KTXの「じゃない方事業」が会社全体の売上の25%を占めるまでになったと紹介しています。

現在、KTX公式サイトで示されている止水板の設置実績は累計5,000枚以上。

自社工場に水が入らないようにするために始まったものづくりが、全国のマンション、病院、店舗、工場などを水害から守る事業へ変わりました。

これこそ、「じゃない方」が大逆転した物語です。

野田太一社長は元自衛官で医師という異色の経歴

この新事業を率いるKTXの代表取締役社長が野田太一さんです。

野田さんは20代のころ陸上自衛隊に在籍した経験を持ち、その後、奈良県立医科大学を卒業しました。

大学附属病院で研修を終え、大学院を修了。医師・医学博士・日本医師会認定産業医という資格を持ちながら、KTXの代表取締役社長を務めています。

自衛隊時代の経験から防災への関心も高く、KTXが自動車金型に続く新しい分野を探す中で、「防災・減災」が新事業の重要な柱になりました。

現在のじゃない方事業部では止水板だけでなく、

  • 耐震シェルター
  • 津波シェルター
  • 蓄光式の避難誘導製品
  • トレーラーハウス
  • デジタルサイネージ
  • AIプール監視システム

など、金型とは異なる分野へ事業を広げています。

スーパー止水番2の価格と購入・見積もり方法

スーパー止水番2は、住宅や建物の入口の幅などに合わせて製作するカスタムメイド商品です。

そのため、現在の公式販売では一律価格は設定されておらず、設置場所ごとの見積もりとなります。

2026年3月のテレビ取材では16万5,000円(税別)からと紹介されていましたが、現在の購入時は実際の開口幅、止水高さ、施工条件などによって金額が変わります。

現在の問い合わせ方法は、

  • 全国対応
  • 最短即日見積もり
  • 公式サイトの相談・見積依頼フォーム
  • 電話:0120-677-771
  • 受付:8:30〜18:00(土日除く)

となっています。

ネット通販で規格品を1枚購入するタイプではなく、設置場所を確認して仕様を決める製品と考えると分かりやすいでしょう。

2026年には4m幅を1枚で守る「スーパー止水番2 CX」も登場

止水板の開発は、最初の商品がヒットして終わったわけではありません。

KTXは2026年8月、新型の「スーパー止水番2 CX」を開発しました。

パネル素材には、航空機などにも使われるCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を採用。高さ350mmの場合、最大4,000mmの幅を1枚のパネルでカバーできる仕様です。

1,000mm幅・350mm高のパネル重量は4.8kg。

従来は広い入口を複数枚の板と中間支柱で守っていた場所でも、1枚化できる可能性が生まれました。

2026年8月から顧客を限定した試行販売が始まっています。

つまり「自分たちの工場を守るための止水板」から始まった商品は、今も新しい材料や構造を取り入れながら進化を続けています。

まとめ

『Mr.サンデー』の「じゃない方が大逆転!『止水板』奇跡の物語」の中心となるKTX株式会社は、もともと愛知県江南市で自動車内装用金型を手掛けてきたものづくり企業です。

転機となったのは、自社工場の水害対策でした。

市販の止水板を導入しようとしたことから、「自分たちの金型技術なら作れる」と発想を転換。構造解析や精密加工のノウハウを注ぎ込み、「スーパー止水番2」を生み出しました。

そして、

  • 2021年に「じゃない方事業部」を設立
  • 止水板を新事業の第1弾として展開
  • 5年間で事業の売上100倍
  • じゃない方事業が会社売上の25%まで成長
  • スーパー止水番2は累計5,000枚以上を設置

という大逆転へつながりました。

長年培ってきた本業の技術を捨てるのではなく、その技術を別の困りごとへ使う。

「金型じゃない方」として始まった小さな挑戦が、水害から建物や人の暮らしを守る新たな柱になったところに、この物語の面白さがあります。

参考リンク

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