クライミングシューズの「ソール」を作り直す宇都宮の職人
2026年9月27日放送の『ジャパニーズヒーロー』では、カナダ人男性が師匠と慕う、栃木県宇都宮市在住のクライミングシューズ「ソール」の職人が登場します。番組が掲げるキーワードは「落ちない靴」と「ソールの革命児」。わずか数ミリのゴムが、クライマーの足裏感覚やグリップを左右する世界です。
宇都宮市には、クライミングシューズのリソールやカスタムを専門に手がける工房「CRAZY ROCK」があります。代表のHitoshi Kasai(笠井仁)さんは、自動車関連会社を退職した後に技術を学び、スペイン・バルセロナの靴店で補修技術を習得。2019年に工房を開業しました。
この記事でわかること
- クライミングシューズの「リソール」とは何か
- 宇都宮の専門工房CRAZY ROCKと笠井仁さんの経歴
- ソールの種類によって変わるグリップと足裏感覚
- CRAZY ROCKの料金・場所・依頼方法
宇都宮にはクライミングシューズ専門工房「CRAZY ROCK」がある
CRAZY ROCKは、栃木県宇都宮市でクライミングシューズの修理を専門に手がける工房です。
一般的な靴修理のように、傷んだ部分を元通りにするだけではありません。ソールの交換をはじめ、トゥラバー、ヒール、ベルトなどを修理・変更し、クライマーの要望に合わせたカスタムにも対応しています。
主な施工内容は次の通りです。
- 通常リソール
- ノーエッジリソール
- ハーフリソール
- トゥラバーの張り替え
- ヒール加工
- つま先の修理
- マジックテープ交換
- ベルト交換・追加
工房が掲げているのは、「ただ修理するだけではなく、美しく、機能的なシューズ造り」という考え方です。
クライミングでは、小さな突起に足を乗せたり、壁へ足を押しつけたりする場面があります。そのためシューズは単なる消耗品ではなく、登るための重要な道具になります。
代表・笠井仁さんは会社員を辞めてクライミングシューズの世界へ
CRAZY ROCK代表はHitoshi Kasai(笠井仁)さんです。
笠井さんがクライミングを始めたのは2014年ごろ。もともとは筋力アップとダイエットを目的に始めたもので、それ以前にはバイクレーサーとして活動した経験もあります。2012年にはNSFグランドチャンピオンシップで5位という成績も残しています。
人生が大きく動いたのは2018年でした。
それまで勤めていた自動車関連会社を退職。そこから約1年間、クライミングシューズについて独学で学びます。
さらに技術を高めるため、日本国内だけで完結させませんでした。
向かったのはスペイン・バルセロナ。
現地の靴店へ飛び込み、クライミングシューズの補修技術を習得しました。そして帰国後の2019年、CRAZY ROCKを開業しています。
会社員として働いていた人物が、趣味として始めたクライミングをきっかけに40代で専門技術の世界へ進み、海外まで技術を学びに行く。
現在の工房へとつながる大きな転機でした。
「リソール」は減った靴底を張り替える技術
クライミングシューズの底面に付いているゴムが「ソール」です。
普通のスニーカーとは違い、クライミングシューズには岩やホールドを捉えるための特殊なラバーが使われています。
当然、登るたびに摩耗します。
CRAZY ROCKでは、一般的なクライミングシューズのソール厚を3.5~4mmほどと説明しています。摩耗して1.5mm以下になると、滑りにくさが大きく低下するとしています。
そこで古くなったソールを剥がし、新しいソールへ張り替えるのが「リソール」です。
単純に「穴が開いたから直す」という話ではありません。
足になじんだアッパーやヒール部分を残しながら、地面と接するラバーを新しくできるため、履き慣れたシューズを使い続けられることが大きな特徴です。
CRAZY ROCKでは、足裏感覚と滑りにくさのバランスが取れるソール厚として2.5~3mm程度を紹介しています。
クライマーにとっては、この数ミリの違いが重要になります。
ソールは柔らかければいいわけではない
興味深いのが、ソールラバーによって性格が大きく異なる点です。
CRAZY ROCKで扱われているラバーには、主に次の種類があります。
- Vibram XS-GRIP2
- Vibram XS-EDGE
- 摩擦
- SANOA
XS-GRIP2は柔らかめながら変形が比較的少なく、しっかり踏み込めるタイプ。XS-EDGEはさらに硬く、ソールの変形を抑えながら小さなホールドへ力を伝える特徴があります。
一方、「摩擦」は柔らかく変形しやすく、踏み込みが強くなくてもグリップを得やすい特性があります。
SANOAはさらに柔らかく、摩耗は早めながら高いグリップ力と足指の感覚を特徴とするラバーです。
柔らかいゴムなら何でも登りやすい、という単純な話でもありません。
柔らかいラバーは変形しやすいためグリップを得やすい反面、踏んだ際にヨレが生じることがあります。硬いラバーは形が崩れにくく、しっかり踏み込めますが、足裏の感覚には違いが出ます。
体重、足の力、登る壁、ホールドの形、クライマーの好みによって必要なソールは変わります。
だからこそ、ただ新品のゴムへ張り替えるのではなく、「どんな一足にするか」を考える職人の仕事が生まれます。
ヒールやトゥまで自分向けに作り変えられる
CRAZY ROCKの特徴は、リソールだけにとどまらないことです。
実際の施工例では、別モデルを参考にヒール形状を加工したり、トゥラバーを変更したり、ベルトを外したり追加したりと、かなり細かなカスタムが行われています。
例えば、
- ソールを別のラバーへ変更
- ヒール部分だけ別のラバーへ変更
- トゥフック用ラバーを変更
- ベルトを補強
- ベルトの配置を変更
- ノーエッジ風に加工
といった施工があります。
クライミングシューズはメーカーが完成させた時点で終わるものではなく、職人の手によって使う人に合わせて変えていける道具でもあるわけです。
「落ちない靴」を支えているのは、ゴムそのものだけではありません。
どこを柔らかくするのか、どこに剛性を残すのか、どのラバーを組み合わせるのか。
小さなシューズの中に、かなり細かなものづくりがあります。
CRAZY ROCKのリソール料金
2026年9月時点で掲載されている主な料金は次の通りです。価格はいずれも税込です。
- 通常リソール:11,000円
- ノーエッジリソール:11,000円
- ハーフリソール:8,800円
- 特殊ソール形状のリソール:12,000円
- トゥラバーシート:4,200円
- ヒール加工:4,200円
- つま先修理:1か所900円
- マジックテープ変更:3,000円
- 10mm幅ベルト変更:3,600円
- 25mm幅ベルト変更:5,400円
リソールだけならすべて同じではなく、シューズの構造や直す場所によって料金が変わります。
つま先の修理を含むリソールは約1か月、トゥラバーやヒール、ベルト交換などを含む場合は最長3か月程度の納期が案内されています。
CRAZY ROCKの場所と依頼方法
工房は宇都宮市岩原町にあるクライミングジム「ROCKY’N」の施設内で営業しています。ROCKY’N側も、館内に別事業者としてCRAZY ROCKのリソール工房があることを案内しています。
所在地・受付情報は次の通りです。
- 店名:CRAZY ROCK
- 所在地:栃木県宇都宮市岩原町657-6
- 受付可能時間:11:00~18:00
- 定休日:日曜日
- 電話:090-1034-9903
遠方からでも依頼できます。
基本的な流れは、注文フォームへ必要事項を入力し、納期と概算見積もりを確認したうえでシューズを発送。工房で実物を確認後に正式な見積もりが作られ、施工完了後に返送されます。
また栃木県内を中心に、複数のクライミングジムでもリソールの受付が行われています。
趣味から始まった技術がクライマーを支える仕事になった
笠井仁さんがクライミングを始めたのは、最初から靴職人になるためではありませんでした。
筋力アップやダイエットを目的に始めたクライミングからシューズへ興味が広がり、会社を辞め、独学を経てスペインまで補修技術を学びに行く。
そして2019年に専門工房を開きました。
現在扱っているのは、単純な靴底交換だけではありません。
ソール、つま先、ヒール、トゥラバー、ベルトまで手を入れ、履き慣れた一足を再び登れる状態へ戻していきます。
新品を買えば終わる時代に、使い込んだ道具を直し、その人が求める性能へ変えていく。
クライミングシューズという小さな道具の中に、職人ならではの技術が詰まっています。
まとめ
2026年9月27日の『ジャパニーズヒーロー』では、カナダ人男性が師匠と慕う、宇都宮在住のクライミングシューズ「ソール」の職人が取り上げられます。テーマとなるのは、クライマーを足元から支える「落ちない靴」の世界です。
宇都宮には、クライミングシューズ専門工房CRAZY ROCKがあります。
代表の笠井仁さんは、自動車関連会社を退職後に独学でシューズを学び、スペイン・バルセロナで補修技術を習得。2019年に開業しました。
リソールは単に古いゴムを新品へ交換する仕事ではありません。
ラバーの硬さやグリップ、足裏感覚、ヒールやトゥの形まで考え、クライマーが信頼してきた一足を再び壁へ戻す仕事です。
参考リンク
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