年齢を重ねるだけで太りやすくなるという常識が変わる
2026年10月8日放送の「林修の今知りたいでしょ!」3時間SPでは、「体重の新常識」をテーマに、人はなぜ太るのかを最新研究から掘り下げます。
中でも注目したいのが、「年をとると基礎代謝が落ちるから太る」という、長く当たり前のように語られてきた考え方です。テレビ朝日の番組情報では、この常識を見直しながら、太りにくい体の作り方、内臓脂肪・皮下脂肪への対策、リバウンドを防ぐ方法まで扱うことが示されています。
そして、このテーマを考えるうえで重要なのが、世界各地の人々のエネルギー消費を調べた大規模研究です。
この記事でわかること
- 20〜60歳のエネルギー消費について分かったこと
- 「基礎代謝」と「1日の総エネルギー消費」の違い
- 年齢だけを太る原因にできない理由
- 太りにくい体を維持するために重要なこと
20〜60歳では総エネルギー消費がほぼ変わらなかった
「年齢を重ねれば代謝は毎年どんどん落ちていく」。
そう考えている人は少なくありません。
ところが2021年、科学誌「Science」に掲載された国際共同研究では、これまでのイメージとはかなり違う結果が示されました。
研究では、生後8日から95歳までの男女について、「二重標識水法」という方法で日常生活における1日の総エネルギー消費量を分析しています。
その結果、体格や除脂肪量の影響を調整すると、
- 乳児期はエネルギー消費が非常に高い
- 1歳ごろから20歳ごろまで徐々に成人レベルへ近づく
- 20〜60歳ではほぼ安定する
- 60歳を超えると低下していく
という大きく4つの時期に分かれました。
つまり、30代、40代、50代になったからといって、加齢そのものによってエネルギー消費能力が毎年大幅に低下していくとは限らないのです。
これは「若いころより太りやすくなったのは、すべて代謝が落ちたせい」という説明を見直す重要な研究結果です。
「基礎代謝」と「総エネルギー消費」は同じではない
ここは非常に大切なポイントです。
研究で20〜60歳までほぼ一定だったと示されたのは、厳密には「基礎代謝そのもの」ではなく、1日の総エネルギー消費量を体格や除脂肪量で調整した値です。
基礎代謝とは、呼吸や心拍、体温維持など、生きているだけでも必要になる最低限のエネルギー消費を指します。
一方、1日の総エネルギー消費には、
- 基礎代謝
- 日常生活で動くエネルギー
- 運動によるエネルギー
- 食事を消化・吸収するときのエネルギー
などが含まれます。
研究論文でも、基礎代謝は総エネルギー消費のおよそ50〜70%を占める一部分として説明されています。
そのため、「20〜60歳なら基礎代謝が絶対に下がらない」という意味ではありません。
むしろ新しい視点は、年齢という数字だけで、人間の代謝や太りやすさを説明するのは単純すぎるということです。
40代・50代で太りやすく感じる理由を「年齢」だけにしない
では、若いころと食べる量が変わっていないのに体重が増えてしまうのはなぜでしょうか。
考えなければならないのは、加齢そのものだけではなく、生活全体の変化です。
たとえば若いころには、
- 通勤や通学でよく歩いていた
- 休日によく外出していた
- 階段を使う機会が多かった
- スポーツをしていた
- 立ったり歩いたりする仕事だった
という人でも、年齢とともに生活が変わることがあります。
デスクワークが増えたり、車移動が中心になったり、休日に家で過ごす時間が長くなったりすれば、意識している「運動時間」だけでなく、日常生活全体での活動量も変わります。
さらに筋肉などの除脂肪量が変化すれば、体が必要とするエネルギーにも影響します。
「40歳になったから太った」ではなく、40歳ごろから何が変わったのかを見ることが重要ということです。
太りにくい体づくりは極端な食事制限だけではない
体重を減らしたいとき、食べる量を一気に減らす方法に走りがちです。
しかし、長く体重を管理するなら、「短期間で何kg落とすか」だけではなく、その状態を維持できる生活を作る必要があります。
厚生労働省は肥満症・メタボリックシンドロームの運動プログラムについて、食事療法と運動療法によって現在の体重の3〜5%程度を減らし、それを維持することが重要としています。
減量や体重維持では有酸素運動によるエネルギー消費に加え、筋力トレーニングやストレッチを組み合わせることも示されています。
たとえば特別なスポーツを始めなくても、
- 歩く時間を増やす
- 座りっぱなしの時間を減らす
- 階段を使う
- 筋力トレーニングを取り入れる
- 食事量を極端に増減させない
- 定期的に体重を確認する
といった積み重ねがあります。
体重管理を「代謝を上げる魔法の方法探し」にしてしまわず、食事と活動量を長く維持できる形へ整えていくことが基本になります。
内臓脂肪と皮下脂肪は同じ「脂肪」でも付き方が違う
今回の「林修の今知りたいでしょ!」では、ポッコリお腹につながる内臓脂肪だけでなく、皮下脂肪の落とし方についても扱われます。
内臓脂肪は、その名前の通り腹部の内臓周辺に蓄積する脂肪です。
一方の皮下脂肪は、皮膚の下に蓄積します。
どちらも「特定の場所だけ狙って脂肪を燃やす」と考えるより、食事と身体活動を含めた生活全体から体脂肪を管理する視点が必要です。
特にお腹だけが気になって腹筋運動を大量にする、といった考え方より、毎日の活動量や食事を含めて継続できる方法を考えるほうが現実的です。
60歳以降はエネルギー消費低下が見られる
一方、「年齢はまったく関係ない」という話でもありません。
先ほどの大規模研究では、除脂肪量などを調整した総エネルギー消費は20〜60歳では安定していましたが、60歳を過ぎてから低下する傾向が確認されています。
つまり新しい研究から読み取れるのは、
「加齢で代謝は落ちる」
から、
「成人期をすべてひとまとめにして、年齢だけで代謝低下を説明することはできない」
への変化です。
40代・50代で体重が増えてきた場合にも、「もう年だから仕方がない」で終わらせるのではなく、活動量、食事、筋肉量、睡眠など、生活の変化を振り返る余地があります。
リバウンドを防ぐには続けられる方法を選ぶ
短期間だけ極端な食事制限をすれば、体重計の数字は大きく変わることがあります。
ただし大切なのは、減った体重をその後も維持できることです。
厚生労働省も肥満症やメタボリックシンドロームへの対策で「減量」と同時に「減量維持」を重視しています。
毎日の生活に置き換えるなら、数週間しか続かない方法より、
- 普段の食事を少し整える
- 日常の歩数や活動量を確保する
- 無理のない筋力トレーニングを続ける
- 体重の変化を定期的に確認する
といった習慣のほうが長期戦には向いています。
「若いころと同じ体重へ一気に戻す」よりも、「これからも続けられる生活を作る」ことがリバウンド対策の出発点になります。
まとめ
「年をとったから基礎代謝が落ちて太った」。
非常に分かりやすい説明ですが、現在の研究から見ると、それだけで成人期の体重増加を説明することはできません。
国際共同研究では、体格や除脂肪量を調整した1日の総エネルギー消費量は、20〜60歳までほぼ安定していました。
一方で60歳を超えると低下が確認されており、「代謝は年齢に関係しない」という意味でもありません。
重要なのは、年齢そのものだけを見るのではなく、食事、筋肉量、日常の活動、運動など、体重を左右する生活全体を見ることです。
「林修の今知りたいでしょ!」の「体重の新常識」は、年齢を理由にあきらめるのではなく、自分の生活のどこを変えられるのかを見直すきっかけになりそうです。
参考リンク
- テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」10月8日放送情報
- PubMed「Daily energy expenditure through the human life course」
- 厚生労働省「運動施策の推進」
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