詐欺に引っかかるのは「信じる心理」が利用されるため!7つの説得原則と被害を防ぐ方法
2026年10月14日放送のNHK Eテレ『3か月でマスターする心理学』では、詐欺に引っかかる人間の心理を取り上げます。解説するのは、立正大学心理学部教授の西田公昭(にしだ・きみあき)さんです。
人が詐欺にだまされる背景には、相手の言葉を信じたり、普段の経験をもとに素早く判断したりする心理の働きがあります。
私たちは日常生活の中で、あらゆる情報を一から調べて判断しているわけではありません。相手の肩書きや周囲の行動、過去の経験などを手掛かりに、短時間で物事を決めています。
この仕組みは「意思決定の近道」と呼ばれ、普段は効率よく生活するために役立ちます。しかし、詐欺ではこの働きが悪用されます。
心理学には、返報性・希少性・権威・一貫性・好意・社会的証明・一体性という7つの説得原則があります。社会心理学者ロバート・チャルディーニが体系化したもので、人が他人からの働きかけに応じる仕組みを理解する手掛かりです。
こうした心理を知り、相手の要求にすぐ応じないことが、被害を防ぐための重要な対策になります。
この記事でわかること
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詐欺に引っかかる原因となる「意思決定の近道」の仕組み
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人の判断に影響する7つの心理原則と具体例
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西田公昭教授が研究してきた心理操作と詐欺の関係
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ニセ警察詐欺や悪質商法から身を守るための実践的な対策
人間は「意思決定の近道」を使うため詐欺にだまされる
私たちは日々、多くの判断を繰り返しています。
買い物で商品を選ぶとき、人から頼み事をされたとき、インターネットで情報を見たときなど、すべての判断に十分な時間をかけることはできません。
そこで人間は、過去の経験や知識を利用して判断を簡略化します。
これが心理学で「ヒューリスティック」と呼ばれる仕組みです。
例えば、医師や専門家の説明を信頼したり、多くの人が購入している商品なら良いものだと判断したりすることがあります。
これらは必ずしも間違った判断方法ではありません。
しかし、相手が意図的に情報を操作していた場合、判断の手掛かりそのものが誤ったものになります。
詐欺では、相手に十分考える時間を与えず、恐怖や期待、親近感などを刺激して判断を急がせる手口が使われます。
特に注意したいのは、普段は慎重に判断している人でも、強い不安や焦りを感じると冷静に考えにくくなることです。
詐欺対策では、怪しい言葉を暗記するだけでなく、自分自身の判断がどのような心理に左右されるのかを知ることが大切になります。
7つの説得原則は返報性・希少性・権威・一貫性・好意・社会的証明・一体性
人が他人からの働きかけに応じる心理について、社会心理学者ロバート・チャルディーニは7つの原則を整理しています。
これらは本来、詐欺の手口だけを説明するものではありません。日常のコミュニケーションや、正当な販売活動などにも関係する心理です。
しかし、悪意を持つ相手が利用すると、不適切な契約や送金などへ誘導する手段になります。
1. 返報性:何かをしてもらうとお返ししたくなる
人は誰かから親切にされたり、贈り物を受け取ったりすると、お返しをしたいと感じることがあります。
この心理が返報性です。
無料のサービスや親切な対応を受けた後に、高額な商品を勧められると、断りにくくなることがあります。
2. 希少性:今しか手に入らないと言われると欲しくなる
「本日限定」「残りわずか」などの言葉に影響される心理です。
手に入れる機会が少ないと感じることで、その商品やサービスの価値を高く評価する場合があります。
詐欺では、判断を急がせるための言葉として悪用されることがあります。
3. 権威:専門家や公的機関の言葉を信じやすい
医師、警察官、銀行員など、社会的に信頼される立場の人の説明を受け入れやすくなる心理です。
ニセ警察詐欺では、警察官を名乗る人物が電話をかけ、捜査や逮捕を理由に金銭を要求する事例があります。
肩書きだけで相手を信用しないことが重要です。
4. 一貫性:一度決めたことを続けようとする
人は、自分が以前に発言したことや、すでに取った行動と矛盾しないように振る舞う傾向があります。
最初は小さなお願いだったものが、次第に大きな要求へ変化しても、途中で断りにくくなることがあります。
5. 好意:好きな相手や親しい相手の頼みを聞きやすい
親しみを感じている人や、自分と共通点のある人の頼みを受け入れやすくなる心理です。
オンラインでの交流を通じて信頼関係を築き、金銭の要求につなげる詐欺にも注意が必要です。
6. 社会的証明:多くの人がしていることを正しいと感じる
判断に迷うと、周囲の人々の行動を参考にすることがあります。
「多くの人が利益を得ている」「利用者が急増している」などの説明が、判断に影響する場合があります。
その数字や口コミが事実かどうかを確認する必要があります。
7. 一体性:同じ仲間だと感じる相手を信頼しやすい
家族、地域、出身校など、共通の所属意識を持つ相手には親近感を抱きやすくなります。
共通点があるというだけで、相手の説明が正しいと判断しないことが大切です。
これらの原則は、それぞれ独立して働くだけではありません。
複数の心理が組み合わさることで、人の判断に大きな影響を与えることがあります。
西田公昭は詐欺とマインド・コントロールを研究する立正大学教授
2026年10月14日の番組で講師を務める西田公昭さんは、立正大学心理学部対人・社会心理学科の教授です。
専門は社会心理学で、特に心理操作やマインド・コントロールに関する研究を進めています。
関西大学大学院社会学研究科で学び、静岡県立大学での勤務を経て、2011年4月から立正大学に所属しています。
西田さんの研究では、人がどのような状況で他人の言葉に影響され、自分では十分に気づかないまま行動を変えてしまうのかを扱っています。
特に、詐欺や悪質商法、カルト的集団による心理操作などの問題に取り組んできました。
西田公昭さんの主な著書
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『なぜ、人は操られ支配されるのか』
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『だましの手口』
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『みんなの詐欺対策マニュアル』
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『マンガでわかる!高齢者詐欺対策マニュアル』
こうした研究や啓発活動を通じて、詐欺を犯す側の手口だけでなく、人が影響を受ける心理的な過程を明らかにしてきました。
詐欺を防ぐためには、犯罪の手口を知ることに加え、人間の心理的な特徴を理解することが重要になります。
ニセ警察詐欺では「逮捕される」という恐怖と権威が悪用される
詐欺の心理を理解する具体例として、ニセ警察詐欺があります。
警察庁は2026年も、警察官を名乗る人物による詐欺への注意を呼びかけています。
代表的な手口では、突然電話をかけてきた人物が警察官を名乗り、犯罪への関与を疑われていると告げます。
そして、身の潔白を証明するためなどと説明し、金銭の振り込みや資産の提出を要求します。
この手口で悪用されているのが、権威と恐怖の心理です。
警察という組織への信頼と、逮捕されることへの不安を同時に刺激することで、冷静な判断を難しくさせます。
さらに、すぐに手続きしなければならないと急がせることで、家族や本物の警察へ確認する機会を減らそうとする場合があります。
警察庁は、電話やビデオ通話で金銭を要求された場合は、通話を切って最寄りの警察署や警察相談専用電話へ相談するよう案内しています。
相手から教えられた電話番号へ折り返すのではなく、自分で確認した正式な連絡先を使用することが大切です。
一度電話を切ることで相手の心理操作から距離を取れる
詐欺対策で重要なのは、その場で相手を説得したり、言い負かしたりすることではありません。
相手とのやり取りを中断し、自分で情報を確認する時間を確保することです。
特に電話では、相手から次々に質問されると、内容を整理する余裕がなくなることがあります。
そこで、警察庁は不審な電話を受けた場合、すぐに通話を切ることを勧めています。
不審な電話やメッセージを受けた場合の行動
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相手の要求にその場で応じない。
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電話やビデオ通話を終了する。
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相手に教えられた電話番号を使わない。
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公式サイトなどで正しい連絡先を確認する。
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家族や信頼できる人、警察などへ相談する。
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確認が終わるまで送金や個人情報の提供をしない。
こうした行動は、詐欺師が作り出した緊迫した状況から、心理的に距離を取るためにも役立ちます。
重要なのは、相手が本物であると確認できるまで、要求された行動を進めないことです。
高齢者だけでなく若い世代もSNS型詐欺への注意が必要
詐欺というと、高齢者を狙った電話による犯罪を思い浮かべる人も多いでしょう。
しかし、現在はSNSやマッチングアプリなどを利用した詐欺も問題になっています。
オンライン上では、実際に会ったことのない相手と、長期間にわたってやり取りすることができます。
何度も会話を重ねるうちに親近感が生まれ、相手を信頼するようになることがあります。
また、偽の投資情報や、実在する企業・著名人を装った投稿などにも注意が必要です。
こうした場面では、好意、権威、社会的証明などの心理が判断に影響することがあります。
年齢にかかわらず、相手の身元や情報の正しさを確認することが重要です。
特に、SNSで知り合った相手から投資や送金を勧められた場合には、金融庁に登録された事業者かどうかなども確認する必要があります。
人との交流を楽しむことと、金銭に関係する判断を慎重に行うことは分けて考えたいところです。
詐欺の被害を防ぐには家族との連絡ルールを決めておく
詐欺の心理を知ることに加えて、普段からできる対策もあります。
特に家族間で連絡方法を決めておくことは、不審な電話やメッセージへの対応に役立ちます。
例えば、家族を名乗る人物から突然お金を要求された場合、一度電話を切って、普段から使用している連絡先へ確認する方法です。
また、固定電話では、番号表示サービスや非通知着信の拒否機能などを利用する方法もあります。
警察庁は、通話の自動録音や未登録番号への注意喚起機能などを備えた防犯機能付き電話の活用も案内しています。
家庭で取り組める防犯対策
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家族間で緊急時の連絡方法を決める
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お金の要求を受けたら、別の連絡手段で本人に確認する
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不審な電話は無理に会話を続けない
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防犯機能付き電話や着信拒否機能を活用する
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金銭を送る前に家族や専門窓口へ相談する
大切なのは、詐欺を見抜く能力だけに頼らないことです。
自分が冷静に判断できない状況になっても、行動をいったん止められる仕組みを用意しておくことが、被害防止につながります。
実用情報|詐欺の相談窓口と番組テキスト
詐欺の疑いや不審な勧誘を受けた場合
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警察相談専用電話:#9110
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消費者ホットライン:188
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緊急の事件・事故:110
警察相談専用電話は、犯罪被害に関する相談を受け付けています。
消費者ホットライン188では、身近な消費生活センターなどの相談窓口を案内しています。
番組の関連書籍
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書名:『NHK3か月でマスターする 心理学 2026年10月号』
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発売日:2026年9月25日
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定価:1,430円(税込)
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ページ数:96ページ
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出版社:NHK出版
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掲載テーマ:詐欺、怒り、推し活、性格など
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詐欺の心理を担当する講師:西田公昭
まとめ
詐欺に引っかかる背景には、人間が普段から利用している「意思決定の近道」があります。
人は相手の肩書きや親切な言動、周囲の人の行動などを手掛かりに判断するため、その心理が悪用されると不適切な要求に応じてしまう危険があります。
返報性、希少性、権威、一貫性、好意、社会的証明、一体性という7つの説得原則は、人が他人から影響を受ける仕組みを理解する手掛かりです。
詐欺被害を防ぐために大切なのは、相手の言葉にすぐ反応せず、一度やり取りを中断することです。
その場で決めない、電話を切る、自分で確認した連絡先へ相談する。 こうした行動を普段から習慣にしておくことが、心理的な誘導による被害を減らすことにつながります。
参考リンク
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