学校の枠を越えて「自分たちの飛行機」を琵琶湖へ
開成高校3年の入山輝大さんは、学校単位での出場がかなわなかった経験から、全国の高校生を集めて鳥人間チーム「SOARA」を立ち上げました。『Iwataniスペシャル 鳥人間コンテスト2026(高校生有志チームSOARA)(2026年9月2日)』を見て気になる、結成の転機、20校29人が集まった経緯、機体製作や約300万円の資金問題、琵琶湖への挑戦までをまとめます。
この記事でわかること
- 入山輝大さんが現在何をしている高校生なのか
- 一度断たれた鳥人間への夢からSOARAを作った経緯
- 全国20校・海外から29人が集まったチームの仕組み
- 機体製作・資金調達・琵琶湖挑戦と現在の活動
入山輝大は開成高3でSOARAを立ち上げた代表
(出典:SOARA公式サイト「SOARAとは」)
入山輝大さんは、開成高等学校3年で、高校生有志鳥人間チーム「SOARA」の代表です。
SOARAには東京だけでなく山口や海外を含む全国20校から29人が参加。学校の部活として作られたチームではなく、「自分たちで飛行機を作りたい」という共通の思いを持ったメンバーが学校の壁を越えて集まった点が大きな特徴です。
入山さん自身も単にチーム名義上の代表というわけではありません。
チーム結成そのもののきっかけを作り、仲間集め、活動拠点の確保、機体製作、資金調達までゼロから進めてきた中心人物です。
高校の部活動なら学校側が設備や予算、顧問を用意するケースがありますが、SOARAはそこから違いました。活動場所・人・資金を自分たちで集めるところから始まったプロジェクトです。
鳥人間への夢が一度断たれたことが最大の転機
入山さんが鳥人間コンテストに興味を持ったのは中学3年のころでした。
当初は空を飛ぶ機体を見て憧れる側でしたが、その翌年の大会で、自分たちと同じ高校生が機体を作り琵琶湖へ挑んでいる姿を目にします。
そこで「高校生でもやっていいんだ」と感じたことが、大きなきっかけになりました。
その後、学校から鳥人間コンテストへ出場する方法も検討しましたが、複数の事情が重なり実現しませんでした。
普通なら大学へ進学して鳥人間サークルに入るという道もあります。
しかし入山さんは高校生のうちに挑戦することを諦めず、学校でできないなら学校の外にチームを作るという方向へ進みました。
2025年4月に学校の枠を越えた有志チームで挑むことを決め、ブランディングを担う野村恭平さん、設計を担う中嶋幹さんと出会い、同年6月にSOARAを正式に結成しています。
「一度できなくなったこと」が終わりではなく、むしろ新しいチームを作るきっかけになったわけです。
全国20校と海外から29人が集まったSOARA
SOARAという名前は、空高く舞い上がることを意味する「soar」と、始まりや原点を表す「A」を組み合わせた造語です。
チームには東京だけでなく山口、大阪、さらにアメリカなど海外からもメンバーが参加しています。
海外メンバーが加わったきっかけの1つも入山さんでした。
2025年夏にアメリカのサマープログラムへ参加した際、現地で鳥人間コンテストについて紹介したところ反響があり、アメリカからメンバーが参加するようになりました。
現在のメンバーには設計、製作、IT、マーケティング、制御、ブランディングなど担当があります。
共同設計には海外で学ぶメンバーも参加し、オンラインを使いながら機体設計を進めました。
単純に29人が同じ作業をするのではなく、得意分野を持ち寄るプロジェクト型のチームになっています。
この仕組みは、学校単位の部活動とはかなり違います。
住んでいる地域も学校も違う高校生が、「鳥人間に出たい」という目的を軸につながったところにSOARAらしさがあります。
高校生主体で0から滑空機を設計・製作した
(出典:SOARA公式サイト)
出場するだけでも大変ですが、鳥人間コンテストでは機体そのものを自分たちで作らなければなりません。
SOARAは高校生主体で機体の設計から製作まで進めました。
2025年10月に本番機の詳細設計を始め、12月には4分の1スケールの翼を試作。2026年1月には機体の重要構造である「桁」の強度試験を行い、1.5Gの荷重試験をクリアしています。翌2月には機体設計を終えて大会への出場書類を提出しました。
鳥人間の滑空機は、ただ軽く作ればよいわけではありません。
主翼が揚力を生み、尾翼が機体を安定させ、コックピットはパイロットの体重を支えます。SOARAによる大会解説では、近年の滑空機にはカーボンファイバーや高強度発泡材なども使われています。
高校の授業で模型飛行機を作るのとは規模がまったく違います。
実際に人が乗り、高さのあるプラットホームから飛び立つ以上、軽さと飛行性能だけでなく安全性まで成立させる必要がある機体です。
約300万円の製作・運搬費も大きな壁になった
機体を作れば終わりではありません。
材料費、製作設備、活動場所、試験、琵琶湖までの機体輸送や遠征など、多くの費用が発生します。
SOARAがクラウドファンディングで示した機体製作・運搬費の規模は約300万円でした。
学校の部活動ではないため、必要なお金も自分たちで集めなければなりません。
スポンサー募集やクラウドファンディングを行い、企業や他大学の鳥人間チームなどからも支援を受けながら活動環境を整えていきました。
2025年9月にはTiB FABの支援で試作・部品製作の場所を確保し、同年11月にはスポンサー募集を本格化。東京理科大学の鳥人間サークルとも連携しています。
大会終了後も、製作や遠征にかかった費用を支えるクラウドファンディングは続いています。
飛行距離だけを見ると数十秒の挑戦に見えますが、その裏側では約1年にわたり、人・場所・技術・お金を集め続けてきたことになります。
目標に掲げたのは高校生記録を超える200m
SOARAが2026年大会で掲げた目標は滑空機部門200mでした。
チームは過去の記録を分析し、高校生による153mの記録を1つの基準として、その先となる200mを目標に設定しています。
そのためには単純に翼を大きくするだけでなく、揚抗比、安定性、操縦技術などをバランス良く高めなければなりません。
経験豊富な大学・社会人チームが多い東京を活動拠点とし、周囲から技術を学びながら機体の完成度を上げていきました。
2026年3月18日に第48回鳥人間コンテスト滑空機部門への出場が決定。
7月19日には千葉県君津市の旧久留里中学校でテストフライトを行い、7月25日に琵琶湖で本番を迎えました。
そして自分たちで設計・製作した機体は、実際に琵琶湖の空を飛んでいます。
「高校生が鳥人間に出た」という結果だけではなく、出場できる組織そのものを作るところから始めた点が、この挑戦の大きな意味です。
大会が終わってもSOARAの活動は続いている
SOARAは鳥人間コンテストへの1回限りの出場チームとして終わることを目指していません。
掲げている目的は、自分たちで作った飛行機を飛ばすことに加え、ものづくりの面白さを同世代や次の世代へ伝えることです。
現在も設計・製作・電装・マーケティング・映像など幅広い分野で参加者を募り、スポンサーや協力企業も募集しています。
入山さんが高校卒業後にどのような道へ進むかだけでなく、SOARAという学校横断型チームが次の世代へ引き継がれていくのかも気になるところです。
最初は「自分たちで飛行機を作りたい」という高校生の思いから始まりました。
そこから20校29人、海外メンバー、企業、大学の鳥人間チームまでつながったことを考えると、琵琶湖でのフライトはゴールというより、SOARAという活動が形になった最初の大きな節目といえます。
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