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夫婦で年収400万円でも貯金できない|配送ドライバーと介護職の共働き家計【クローズアップ現代で話題】

クローズアップ現代

夫婦で働いて年400万円、それでも貯金できなくなる家計

「2人とも働いている。それなのに以前のように貯金できない」。『クローズアップ現代(中流クライシス 〜“ふつうの暮らし”はどこへ〜)(2026年9月2日)』で紹介されるのは、配送ドライバーの夫と介護の仕事をする妻です。夫婦合わせて年間約400万円の収入で生活をやりくりする2人の姿から見えてくるのは、収入の低さだけでは説明できない「働いても家計に余白が残らない」という問題です。

この記事でわかること

  • 配送ドライバーと介護職の夫婦が年約400万円で暮らす実態
  • 世帯収入400万円が日本の中でどの位置になるのか
  • 給料が入っても貯金できなくなる理由
  • 家計で本当に見るべき「残るお金」の考え方

配送ドライバーの夫と介護職の妻、夫婦の収入は年間約400万円

今回登場するのは、配送ドライバーとして働く40代の夫と、介護の仕事をしている妻です。

2人とも働いており、夫婦合わせた収入は1年間で約400万円。それでも「最近貯金できなくなってきた」という状況に直面しています。

単純に12か月で割れば、

400万円 ÷ 12か月=約33万3000円

です。

ただし、この約400万円について、給与の額面なのか手取りなのか、賞与をどのように含むのかまでは、この数字だけでは判断できません。

重要なのは、共働きで継続して働いている世帯でも、貯蓄まで回せなくなっているという点です。

日本の2024年の世帯所得中央値は451万円です。400万円という水準は中央値より約51万円低いものの、日本の世帯所得分布から大きく外れた特殊な収入水準ではありません。2024年の1世帯当たり平均所得は575万2000円ですが、61.5%の世帯がこの平均額以下です。

「年400万円あるのに」ではなく2人で400万円というところが重要

年400万円という数字だけを見ると、

「1人暮らしなら生活できそう」

と感じる人もいるでしょう。

しかし今回の世帯では、2人で年間約400万円です。

そして共働きなら、仕事を続けるためにも一定の費用がかかります。

通勤費で完全にカバーされない移動費、仕事用の衣類、昼食、車が必要なら車検や保険、ガソリンなどがあります。

特に配送の仕事は移動と切り離せず、介護も勤務形態によっては早朝・夜間・休日勤務などがあります。

2人が働くことで収入は増えますが、家庭の支出が「1人暮らし×2」になるわけでも、「1人分の生活費だけで済む」わけでもありません。

2人以上世帯の平均消費支出は月31万4001円

家計全体の数字と並べると、この夫婦の状況がより分かりやすくなります。

2025年の二人以上世帯の消費支出は、1世帯当たり月平均31万4001円でした。

年間にすると、

31万4001円×12か月=約376万8000円

です。

もちろん、これは今回の夫婦の実際の支出額ではありません。

家計調査の二人以上世帯は平均世帯人員2.87人、世帯主平均年齢60.7歳で、持ち家世帯なども含まれています。

それでも「二人以上の家庭では年間300万円台後半の消費支出が発生している」という数字を見ると、年間約400万円の収入から貯金まで作ることが簡単ではない理由が見えてきます。

さらに給与収入なら、額面から税金や社会保険料が差し引かれます。

収入400万円=生活に400万円使える

ではありません。

食料品を中心に物価上昇が続き、同じ生活にも以前よりお金が必要

「最近」貯金できなくなったという言葉も重要です。

以前から収入が400万円前後だったとしても、支出側が変われば家計の余裕はなくなります。

2026年7月の消費者物価指数は、総合で前年同月比1.9%上昇、生鮮食品を除く総合も1.8%上昇しました。

しかも家計への影響は、1年分の物価上昇だけでは決まりません。

食品や日用品などが数年間にわたって値上がりすると、

以前は1000円だった買い物が1100円
以前は5000円だった買い物が5500円

という変化が複数の支出で積み重なります。

生活内容を大きく変えていなくても、同じ暮らしを維持するために必要なお金そのものが増えていきます。

「収入は増えたのに余裕がない」は統計でも起きている

この夫婦だけに起きている特殊な現象とも言い切れません。

2025年の二人以上の勤労者世帯では、実収入は1か月平均65万3901円で、前年より名目2.8%増えました。

ところが物価変動を考慮すると、実質では0.9%減少しています。

さらに、税や社会保険料などを差し引いた可処分所得は月平均53万2408円。

名目では1.9%増えましたが、実質では1.7%減少しました。

つまり、

給料の金額は増える

税・社会保険料などを差し引く

残ったお金で値上がりした商品を買う

実際の生活の余裕は増えない

ということが起こります。

「収入が増えたか」だけを見ても、生活が楽になったかは分かりません。

貯金できないからといって浪費しているとは限らない

家計の話になると、

「外食を減らせばいい」
「スマホを安くすればいい」
「無駄遣いをやめれば貯金できる」

という話になりがちです。

もちろん家計を見直すことには意味があります。

しかし、収入が大きく変わらないまま、

食費
電気・ガス
社会保険料
家賃
車関連費
日用品

といった削りにくい支出が増えれば、娯楽費を削るだけでは追いつかなくなる家庭もあります。

特に「以前は貯金できていたのに、最近できなくなった」というケースでは、浪費が急に増えたのではなく、以前は貯蓄に回っていたお金が日常生活費に吸収されている可能性を考える必要があります。

月3万円貯金できていた家庭なら年間36万円の余白が必要

貯蓄ができなくなる仕組みは、数字にすると分かりやすくなります。

たとえば以前、

毎月3万円を貯金
年間36万円を貯金

できていた家庭があったとします。

毎月の生活費が3万円増えるだけで、その36万円は完全になくなります。

月3万円というと大きく感じますが、

食費+8000円
光熱費+3000円
車関連+5000円
保険・社会保険など+5000円
日用品・その他+9000円

と複数の項目に分散すると、1つ1つはそれほど大きな変化ではありません。

それでも合計すれば、貯金できていた家計が「収支トントン」に変わります。

これが物価高の怖いところです。

400万円から税金と社会保険料を引いた後にいくら残るかが本当の出発点

家計を考えるうえで、最も見たいのは額面の年収ではありません。

使えるお金がいくら残るのかです。

給与からは、

所得税
住民税
健康保険料
厚生年金保険料
雇用保険料

などが差し引かれます。

夫婦それぞれの雇用形態や給与額、社会保険への加入状況などで負担は変わるため、年間約400万円という情報だけから正確な手取り額を決めることはできません。

しかし、少なくとも400万円をそのまま家賃・食費・光熱費・車代・貯蓄に使えるわけではありません。

「年収400万円で暮らせるか」より、

税・社会保険料を引いた後にいくら残るか

を見る必要があります。

貯金できなくなると「普通の暮らし」以上に将来の選択肢が狭くなる

毎月の赤字にならず生活できているなら、それで問題ないようにも見えます。

しかし、貯金には現在の生活費とは別の役割があります。

車検
家電の故障
病気
引っ越し
冠婚葬祭
住宅修繕
失業

など、毎月ではないけれど必ずどこかで発生する支出に備える役割です。

さらに、

住宅購入
子育て
教育
老後

という将来の選択にも貯蓄が必要になります。

だから「貯金できない」という問題は、

今月の生活費が払えない

という段階より前に表れる家計の危険信号ともいえます。

日々は普通に生活できていても、将来のためのお金を積み上げられなくなると、数年後の選択肢が少しずつ狭くなっていきます。

「夫婦とも働けば安心」という前提が揺らいでいる

配送ドライバーも介護職も、社会を支える仕事です。

2人とも働き、年間約400万円の収入を得て生活している。

それでも貯金が難しくなっている。

この事例が印象的なのは、無職になった人や特別に大きな支出を抱える人の話ではなく、働き続ける共働き夫婦の話だからです。

かつて描かれてきた「普通の暮らし」は、

働く

生活費を払う

少し貯金する

将来に備える

という循環でした。

ところが生活費が上がり、税・社会保険料などの負担もある中では、

働く

生活費を払う

ほとんど残らない

という家庭が生まれます。

今回の「最近貯金できなくなってきた」という短い言葉には、中流クライシスの核心がかなり凝縮されています。

大切なのは、年収400万円が高いか低いかだけを議論することではありません。

2人が働いた収入から生活に必要なお金を払ったあと、将来のための余白が残る社会になっているか。

そこまで見て初めて、「ふつうに働いているのに苦しい」という問題の姿が見えてきます。


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