2026年から始まった「子ども・子育て支援金」はいくら引かれるのか
「税金や社会保険料の負担が増えて、給料が上がっても手取りが増えにくい」。『クローズアップ現代(中流クライシス 〜“ふつうの暮らし”はどこへ〜)(2026年9月2日)』から、もう1つ切り出せるのが子ども・子育て支援金です。2026年度から医療保険料と一緒に徴収が始まり、会社員なら年収400万円で月約384円という試算もあります。「独身税」と呼ばれる理由や今後の金額まで整理します。
この記事でわかること
- 2026年の子ども・子育て支援金はいくらなのか
- 年収400万円・600万円・1000万円の負担額
- 「独身税」と呼ばれている制度の実際
- 2027年・2028年に負担がどう変わるのか
年収400万円なら月約384円、600万円なら約575円が目安
2026年度から始まった子ども・子育て支援金は、会社員の場合、年収が高くなるほど負担額も増える仕組みです。
被用者保険に加入している人について示された2026年度の試算では、本人負担の平均月額は次のようになります。
- 年収200万円:約192円
- 年収400万円:約384円
- 年収600万円:約575円
- 年収800万円:約767円
- 年収1000万円:約959円
年収400万円なら年間では約4608円、600万円なら約6900円です。
「毎月数百円なら小さい」と感じる人もいるでしょう。
一方、食料品、電気代、家賃などの値上がりに加え、社会保険料など給与から差し引かれる金額が積み重なると、賃上げがそのまま生活の余裕につながらない原因にもなります。
2026年5月の給与から天引きが始まった
会社員など被用者保険に加入する人は、2026年4月分の保険料から支援金を負担し、原則として5月給与から天引きが始まっています。
2026年度の支援金率は**0.23%**です。
ただし、この0.23%を会社員本人がすべて負担するわけではありません。
健康保険などと同じように、基本的には会社と従業員が半分ずつ負担します。
本人分の考え方は、
標準報酬月額 × 0.23% ÷ 2
です。
さらに月給だけでなく、賞与からも支援金が徴収されます。
給与明細を見るときは健康保険や厚生年金だけでなく、子ども・子育て支援金がどのように扱われているかも確認したいところです。
国民健康保険は会社員とは計算方法が違う
自営業やフリーランスなど国民健康保険に加入する人は、年収400万円なら必ず384円というわけではありません。
国民健康保険では、住んでいる市町村の条例に基づき、所得や世帯構成などから支援金額が決まります。
2026年度の平均的な試算では、
国民健康保険は1世帯当たり月約300円
とされています。
会社員との大きな違いは、事業主との折半がないことです。
また、自治体によって支援金にかかる保険料率が異なるため、具体的な金額は納入通知書などで確認する必要があります。
後期高齢者医療制度についても所得などに応じて決まり、2026年度は被保険者1人当たり平均で月約200円とされています。
つまり、子育て中の現役世代だけが負担する制度ではありません。
「独身税」という名前の税金が新しくできたわけではない
この制度をめぐってよく使われるのが**「独身税」**という言葉です。
しかし、正式名称は子ども・子育て支援金であり、「独身税」という税金が創設されたわけではありません。
徴収対象も独身者だけではありません。
結婚している人、子どもがいる人、高齢者も含め、医療保険に加入する幅広い人が負担します。
政府も「独身税であるとの批判は当たらない」と説明しています。将来社会を支える子どもの育ちを社会全体で支える仕組みだという考え方です。
ただ、「子どもがいない人からも徴収される」という部分だけを見ると、独身者への新たな負担と受け止められやすいのも事実でしょう。
大切なのは、俗称と制度そのものを分けて見ることです。
集めたお金は何に使われるのか
支援金は、単に「子育て世帯へ現金を配るためのお金」ではありません。
財源が充てられる施策には、
児童手当の拡充
こども誰でも通園制度
妊婦への支援給付
出生後休業支援給付
育児時短就業給付
などがあります。
児童手当では所得制限が撤廃され、対象が高校生年代まで拡大。第3子以降は月3万円となりました。
また、一定条件を満たして出生直後に両親が育休を取得した場合には、最大28日間について手取り10割相当となる出生後休業支援給付も始まっています。
集められた支援金の使途は、法律によって子育て支援関係に限定されています。
2028年度まで段階的に負担額が増える予定
特に知っておきたいのが、2026年度の金額で終わりではないことです。
支援金制度は2028年度まで段階的に導入されます。
支援金総額の目安は、
- 2026年度:約6000億円
- 2027年度:約8000億円
- 2028年度:約1兆円
です。
全加入者1人当たりで見た平均月額の見込みも、
2026年度:約250円
2027年度:約350円
2028年度:約450円
と段階的に増えます。
健保組合の被保険者1人当たりの平均月額では、
2026年度:約550円
2027年度:約700円
2028年度:約900円
という見込みも示されています。
個人の実際の金額は収入や加入する医療保険によって異なりますが、「2026年に数百円増えて終わり」と考えないほうが分かりやすいでしょう。
「実質負担ゼロ」は給与から引かれないという意味ではない
この制度で特に分かりにくい表現が、政府が説明している**「実質的な負担は生じない」**という考え方です。
これは「支援金を払わなくていい」という意味ではありません。
2026年度は実際に給与などから支援金が徴収されています。
政府は、医療・介護など社会保障分野の歳出改革によって社会保険負担を軽減し、その効果の範囲内で支援金を導入するため、制度全体として新たな実質負担を生じさせないという説明をしています。
つまり、
支援金の徴収額が0円になる
という意味ではなく、
別の社会保険負担の軽減効果と合わせて考える
という説明です。
ここを混同すると、「給与から引かれているのに、なぜ負担ゼロなのか」という疑問が生じます。
給与明細上で支援金が徴収されることと、社会保障全体での負担軽減効果についての政府説明は分けて考える必要があります。
年収が増えても手取りが同じ割合では増えない理由が見えてくる
中流層の生活を考えるとき、子ども・子育て支援金だけを取り出して「これが生活苦の原因」と考えるのは適切ではありません。
年収400万円なら月約384円という規模だからです。
しかし家計を圧迫するものは1つではありません。
健康保険
厚生年金
雇用保険
所得税
住民税
物価上昇
住居費
光熱費
などが重なります。
2026年度の国民負担率は、租税負担と社会保障負担を合わせて45.7%になる見通しです。これは「給料の45.7%を個人が直接取られる」という意味ではなく、国民所得全体に対する税と社会保障負担の割合ですが、日本社会全体の負担を見る指標として使われています。
1970年度の社会保障負担率は5.4%でしたが、2026年度の見通しでは17.6%です。年金、医療、介護など社会保障を支える負担が長期的に大きくなってきたことが分かります。
子ども・子育て支援金は、その大きな流れの中で2026年に新たに始まった制度です。
給与が少し上がっただけでは生活が急に楽にならない理由を考えるときは、額面年収ではなく、税や社会保険料を差し引いた後にいくら残り、そのお金で値上がりした生活費をどこまで払えるのかを見る必要があります。
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