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エンゲル係数28.6%は44年ぶり高水準|食費5.5%増なのに実質1.2%減の理由【クローズアップ現代で話題】

クローズアップ現代

食費にお金をかけているのに「買える量」が減っている

スーパーで以前と同じように買い物をしているだけなのに、会計金額だけが高くなったと感じる家庭は少なくありません。『クローズアップ現代(中流クライシス 〜“ふつうの暮らし”はどこへ〜)(2026年9月2日)』につながる数字が、**エンゲル係数28.6%**です。食費の割合は44年ぶりの高水準となり、さらに支払額が増えているのに実質的な食料消費は減るという、家計の厳しい変化も起きています。

この記事でわかること

  • エンゲル係数28.6%が何を意味するのか
  • 44年ぶりの高水準になった背景
  • 食費5.5%増なのに実質1.2%減となった理由
  • 給料が増えても食費負担が重く感じられる理由

エンゲル係数28.6%は1981年以来44年ぶりの高水準

(出典:TBS NEWS DIG

2025年の二人以上世帯の**エンゲル係数は28.6%**となりました。

前年の28.3%から0.3ポイント上昇し、1981年以来44年ぶりの高い水準です。

エンゲル係数とは、とても簡単にいえば、

家計で使ったお金のうち、どれくらいが食費だったのか

を示す数字です。

計算式は、

食料費 ÷ 消費支出 × 100

です。

たとえば、1か月に30万円を使い、そのうち9万円が食費なら、単純計算では30%になります。

食べ物は家電や旅行のように「今年は買わない」と簡単にゼロにできる支出ではありません。

そのため食品価格が上がると、家計全体に占める食費の割合も高くなりやすくなります。

2025年は食費に払った金額が5.5%も増えた

2025年の二人以上世帯では、1か月の消費支出が平均31万4001円でした。

前年より名目で4.6%増えています。

その中でも食料への支出は前年より名目5.5%増加しました。

つまり、家庭が食べ物に支払った金額そのものは大きく増えています。

ここだけを見ると、

「みんなが以前よりたくさん食品を買ったのでは?」

とも考えられます。

ところが、実態は逆です。

食費5.5%増なのに実質では1.2%減っている

2025年の食料支出は、名目では5.5%増えました。

しかし、物価上昇の影響を取り除いた実質では1.2%減少しています。

この「名目」と「実質」の違いが、中流クライシスを理解するうえでかなり重要です。

名目とは、実際に財布から支払った金額。

実質とは、物価が上がった影響を取り除き、実際にどれくらいの商品やサービスを消費できたのかを見る数字です。

つまり2025年は、

食費として払う金額は増えた

それでも実質的な消費は減った

ということになります。

5年前に1万円で買えた食品と、今1万円で買える食品が同じとは限りません。

家計簿では「食費が増えた」と見えていても、ぜいたくをした結果とは限らないのです。

食費が増えたから「食生活が豊かになった」とは限らない

ここは誤解しやすいところです。

エンゲル係数が高くなったからといって、

「外食ばかりしている」
「高級食材を買っている」
「食べ過ぎている」

とは判断できません。

食料品そのものの値段が上がれば、以前と同じものを買うだけでも食費は増えます。

総務省も、エンゲル係数の長期的な変化には物価だけでなく、調理食品や外食の増加、食生活の変化、高齢者世帯の割合など複数の要因が関係すると説明しています。

つまりエンゲル係数だけで生活水準を断定することはできません。

ただ、2025年については食料への名目支出が増える一方で実質消費が減少しているため、食品価格上昇が家計に大きな影響を与えたことは数字から読み取れます。

給料は増えたのに実質収入は減っていた

もう1つ、食費負担が重く感じられる理由があります。

2025年の二人以上の勤労者世帯では、1世帯当たりの実収入は月平均65万3901円でした。

前年より名目では2.8%増えています。

ところが物価の影響を除くと、実質0.9%減少しました。

数字だけなら給与や収入は増えていても、それ以上に物価が上がれば、生活者から見た購買力は下がります。

「給料は上がったはずなのに、なぜ生活が楽にならないのか」

という感覚には、こうした名目と実質の違いがあります。

税金と社会保険料を引いた後は実質1.7%減

さらに生活に近い数字が可処分所得です。

可処分所得とは、収入から税金や社会保険料などを差し引き、実際に家計で使ったり貯金したりできるお金です。

2025年の二人以上の勤労者世帯では、可処分所得は月平均53万2408円でした。

名目では前年より1.9%増えています。

しかし物価上昇を考慮すると、実質1.7%減少しています。

ここまで見ると、

収入は名目2.8%増

可処分所得は名目1.9%増

物価を考慮した可処分所得は実質1.7%減

という流れになります。

「収入が上がった」というニュースと「暮らしが苦しい」という実感が同時に成立する理由の1つです。

特に50代では可処分所得が実質3.5%減った

年代別に見ると、さらに差があります。

2025年の可処分所得を世帯主の年代別に前年と比較すると、

  • 40歳未満:実質1.1%増
  • 40~49歳:実質2.2%減
  • 50~59歳:実質3.5%減
  • 60歳以上:実質1.7%増

となりました。

特に50代の減少が大きくなっています。

40代、50代は住宅費や教育費など大きな固定支出を抱える家庭も多い年代です。

そこへ食品や日用品の値上がりが重なると、食費だけを見るより家計全体の圧迫感が強くなります。

スーパーで数百円高くなること以上に、

固定費を払った後、自由に使えるお金がどれくらい残るのか

を見ることが大切です。

2026年6月には消費支出が実質3.3%減少

家計の厳しさは2025年だけで終わっているわけではありません。

2026年6月の二人以上世帯の消費支出は、1世帯当たり29万886円

前年同月と比べて名目1.5%減、実質では3.3%減少しました。

一方、同月の勤労者世帯の実収入は前年同月より実質で増えています。

月ごとの数字には賞与や季節要因も影響するため単月だけで家計全体を判断することはできませんが、支出を抑える動きが続いていることは分かります。

生活必需品の値上げが続けば、

外食を減らす
洋服を買う回数を減らす
旅行を延期する
家電の買い替えを延ばす

といった形で、食費以外の支出を調整する家庭も出てきます。

食費は完全には削れないからです。

エンゲル係数が高いだけで「貧しくなった」と断定できない

エンゲル係数については、1つ注意したい点があります。

昔から「所得が低い家庭ほどエンゲル係数が高くなる」というエンゲルの法則が知られています。

しかし現在の日本で、エンゲル係数だけを使って、

28.6%になったから日本全体が貧しくなった

と断定するのは適切ではありません。

総務省も、エンゲル係数の変化には、

食品価格
調理食品や外食
生活スタイル
高齢化
食料以外への支出

などさまざまな要因が影響するとしています。

2020年には外出が減り、食料以外の支出が減ったことでエンゲル係数が上がるという特殊な動きもありました。

見るべきなのはエンゲル係数だけではなく、収入・可処分所得・物価・実質消費を一緒に見ることです。

「節約しているのに食費が増える」が中流クライシスを象徴している

2025年の数字を並べると、現在の家計で起きていることがかなり分かりやすくなります。

食料への支払額は名目5.5%増。

それなのに食料消費は実質1.2%減。

エンゲル係数は28.6%まで上昇。

勤労者世帯の収入も金額上は増えていますが、可処分所得は物価を考慮すると実質1.7%減りました。

つまり、

たくさん買っているから食費が高いのではなく、同じ生活を維持するために以前より多くのお金が必要になっている

という家庭が生まれやすい状況です。

だからこそ、家計を見るときに「今月は食費が9万円だった」と金額だけを比べるのではなく、以前と同じ金額でどれだけ買えたのかまで考える必要があります。

エンゲル係数28.6%という数字の本当の重さは、そこにあります。


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