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ウェッサン島と日本をつなぐワカメ|1983年に始まった海藻養殖【世界で開け!ひみつのドアーズ】

海外文化

フランス最西端の島に、日本の食卓でおなじみのワカメが根付いた

2026年9月9日放送のNHK「世界で開け!ひみつのドアーズ」では、フランス・ブルターニュ地方の沖合に浮かぶウェッサン島を訪れ、日本との意外なつながりも紹介されます。

日本からおよそ1万km離れたウェッサン島ですが、島の歴史を調べると、日本人にはおなじみの「ワカメ」と深いつながりがあることが分かります。1980年代には、フランスの研究機関と島の養殖関係者によってワカメの養殖試験が行われ、海藻の一部は日本市場も意識して生産されていました。単なる偶然ではなく、島の産業を広げるために始まった本格的な取り組みだったのです。

この記事でわかること

  • ウェッサン島と日本を結ぶワカメの歴史
  • 1983年に始まった海藻養殖の取り組み
  • なぜフランスの孤島で日本由来の海藻が育てられたのか
  • ウェッサン島で海藻が地域資源になった背景

ウェッサン島では日本になじみ深いワカメが養殖されていた

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ワカメの学名は「Undaria pinnatifida」。日本や朝鮮半島、中国など北西太平洋を原産とする褐藻の一種です。

日本ではみそ汁や酢の物などであまりにも身近な食材ですが、もともとフランス沿岸に自生していた海藻ではありません。

フランスの海洋生物データベースDORISによると、ワカメは1970年代にフランスで確認され、その後、食用海藻としての可能性に注目されました。そして1983年からブルターニュ各地で養殖試験が行われた場所のひとつが、ウェッサン島のランポール湾でした。

ウェッサン島といえば、番組でも描かれる通り強風と荒波で知られる場所です。その一方で、島の周囲には海が広がっています。

農業や大規模な産業を発展させにくい離島にとって、海そのものを資源として利用する海藻養殖は、新しい可能性を持つ産業でした。

1983年に島の養殖協同組合と研究機関がワカメ養殖を開始

ウェッサン島でのワカメ養殖は、個人が試しに育てたという規模ではありません。

当時の資料によると、1982年にウェッサン島で養殖協同組合が設立され、当初は貝類などの養殖にも取り組んでいました。そして1983年末、フランス国立海洋開発研究所の流れをくむ研究機関と協力し、食用海藻の養殖へと進んでいきます。

学術誌「ICES Journal of Marine Science」に掲載された研究でも、1983年からブルターニュ地方の複数地点でワカメのロープ養殖試験が始まり、その後ウェッサン島でも継続されたことが記録されています。島内の施設で苗を育て、海へ移す方法まで試されていました。

つまりウェッサン島とワカメの関係は、一時的な話題ではなく、フランスで食用海藻産業を育てようとしていた時代の重要な実験のひとつだったわけです。

1991年には島で年間250トン規模の海藻を生産

さらに興味深いのが、その後の生産量です。

1990年代初頭のブルターニュ地方の資料では、1991年にウェッサン島で生産された海藻は合計約250トン。そのうち約40トンがワカメだったと記録されています。

250トンすべてがワカメだったわけではなく、ほかの食用海藻も生産されていました。

島で海藻を育て、加工し、食品として販売する取り組みが、実験段階から産業へ広がっていた様子が分かります。

漁業や農業が簡単ではないウェッサン島で「海藻を育てる」という選択肢が生まれた背景を知ると、荒々しい自然を逆に利用する島民の工夫が見えてきます。

海藻の販売先として日本市場も重要だった

ここで日本とのもうひとつの接点が出てきます。

当時の資料では、ウェッサン島で生産された食用海藻について、日本市場が重要な販売先として意識されていたことも紹介されています。

日本では古くから昆布、ワカメ、海苔などを日常的に食べる文化があります。

一方、フランスで海藻を食材として本格的に扱う市場は現在ほど大きくありませんでした。そのため、海藻をよく食べる日本は魅力的な市場だったのでしょう。

「日本のワカメがフランスへ渡った」という一方向の話だけではなく、フランスで育てた海藻を日本の食文化につなげようとする動きまであったのが面白いところです。

ワカメは「地域資源」である一方、外来種という側面もある

ワカメにはもうひとつ重要な側面があります。

フランスではワカメは外来種です。

養殖や船舶などを通じて生息域を広げ、現在ではヨーロッパ各地で見られるようになりました。DORISも、フランスで養殖されたワカメが自然環境へ広がった経緯を紹介しています。

食材として価値がある海藻である一方、生態系の視点では外来生物として扱われるという二面性があります。

1980年代には「新しい海産物」として期待されたワカメですが、その後は海洋環境への影響も含めて考えられる存在になりました。

ウェッサン島のワカメ史は、離島の産業振興だけでなく、人間が生物を世界各地へ移動させてきた歴史として見ても興味深いテーマです。

実用情報|ウェッサン島では現在も海藻が地域産品のひとつ

現在のウェッサン島観光局も、島で見つけられる地域産品のひとつとして海藻を紹介しています。島内では海産物や羊肉などとともに、海と結びついた食品が地域の魅力になっています。

ただし、1980〜90年代に行われていたワカメ養殖と、現在販売されているすべての海藻商品を同じものとして考えるのは避けたほうがよいでしょう。

旅行で訪れる場合は、「日本との歴史的なつながりを持つ島の海藻」という視点で地域産品を見てみると、単なるお土産以上に面白く感じられそうです。

まとめ

ウェッサン島と日本には、意外にも「海藻」という具体的な接点があります。

1983年には島でワカメの養殖試験が始まり、1991年には島全体で約250トンの海藻が生産され、その中にワカメも含まれていました。さらに日本市場も販売先として意識されていた記録が残っています。

荒波と強風に囲まれた島で、海を新しい産業に変えようとした島民たち。その歴史を知ると、「世界で開け!ひみつのドアーズ」で描かれる日本とのつながりを、さらに深く楽しめます。

参考リンク


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