生まれてすぐオストメイトになった10歳の少女が「隠さない」と決めた夏
2026年10月2日放送のNHK大阪『かんさい熱視線「10歳の決断 少女と家族の日々」』では、生まれてすぐにストーマ(人工肛門)を造設し、オストメイトとして暮らしてきた北陸の10歳の少女と家族の日々が描かれます。
両親はこれまで娘を守るため、ストーマのことを周囲へ伝えずに生活してきました。しかし10歳になった少女自身が「もう隠し事は嫌」と考え、ストーマの存在が見える形でモデルに挑戦。友人にも自分のことを伝えようとします。家族にとって、本人の意思を尊重することと、周囲の反応から娘を守ることの間で向き合う夏になりました。
この記事でわかること
- オストメイトとストーマの基本的な意味
- 10歳の少女がモデルへ挑戦した背景
- 若いオストメイトが学校生活で抱える課題
- 日本オストミー協会が行う若い世代への支援
10歳の少女は生まれてすぐストーマを造設したオストメイト
今回の主人公は北陸で暮らす10歳の少女です。
病気のため、生まれてすぐに腹部へ排泄口となるストーマを造設しました。番組では具体的な氏名や病名を前面に出すのではなく、少女自身がストーマのことを周囲へ伝えるかどうか、そして家族がその決断とどう向き合うのかを追います。
日本オストミー協会によると、病気や障害などによって腹壁に造られた便や尿の排泄口を「人工肛門・人工膀胱」といい、総称して「ストーマ」と呼びます。
ストーマを持つ人が「オストメイト」です。
排泄はストーマ装具と呼ばれる専用の袋などを使って管理します。
ストーマ自体には排泄を我慢する括約筋がないため、装具を用いながら日常生活を送ります。厚生労働省も、ストーマ装具を適切に使用することで、オストメイトは社会生活へ参加できると説明しています。
「もう隠し事は嫌」モデル挑戦が大きな転機に
少女の家族は、これまでストーマの存在を周囲へ伝えずに生活してきました。
子どもを守りたいという両親の考えがある一方、成長するにつれて本人自身が「自分のことをどう伝えるのか」を考える時期が訪れます。
10歳になったこの夏、少女は大きな決断をしました。
ストーマがあることを明らかにすることになるモデルへ挑戦し、友人たちにも自分のことを伝えようと考えるようになったのです。番組は、その決断を後押ししたい両親と、不安を抱える両親の両方の姿を記録しています。
ここで重要なのは、ストーマを「隠すこと」と「見せること」のどちらかが正解という話ではありません。
誰に、いつ、どこまで伝えるのかは本人によって異なります。
日本オストミー協会の若い世代向け活動でも、「学校生活」「日常生活」と並んで「カミングアウト」が具体的な相談テーマとして挙げられています。
少女が自分で決断したことに、今回のドキュメンタリーの大きな意味があります。
ストーマは外見だけでは分かりにくい
オストメイトについて理解するうえで知っておきたいのが、ストーマは外見だけでは分かりにくいという点です。
厚生労働省は、オストメイトについて「外見ではわかりづらい内部障害」であり、社会的な理解が十分に進んでいない部分があるとしています。
洋服を着ていれば、ストーマ装具は外からほとんど分からないこともあります。
一方で、
- 学校での着替え
- 体育や水泳
- 宿泊行事
- トイレ
- 入浴
- 友人へ伝える場面
などでは、本人がストーマについてどう説明するのか考えなければならないことがあります。
特に子どもの場合、自分自身がストーマを理解していく時期と、友人関係が大きく広がる時期が重なります。
今回の少女が10歳で「自分らしさを出していきたい」と考え始めたことは、身体の管理だけではない、成長の中での新しい段階でもあります。
若いオストメイト向けには学校生活の情報も用意されている
日本オストミー協会は、成人だけでなく、小児から若い世代のオストメイトを対象にした情報提供も行っています。
その一つが『ストーマと生きる~若いオストメイトのためのガイドブック~』です。
医師や皮膚・排泄ケアに関わる専門職による解説に加え、若いオストメイトの体験がまとめられています。
扱われているテーマには、
- 学校生活
- 仕事
- 恋愛・結婚
- 妊娠・出産
- 日常生活
などがあります。
また、日本オストミー協会には若い年代を対象とした「20/40フォーカスグループ」もあります。
ここでは学校生活や職場、日常生活、カミングアウト、パートナーとの関係など、若いオストメイト特有の悩みを共有する活動が行われています。
オストメイトにとって必要なのは、装具の扱い方だけではありません。
「誰に話すのか」「どう説明するのか」「学校で困ったとき誰へ相談するのか」といった生活上の問題も重要になります。
ストーマがあっても入浴や外出はできる
ストーマを初めて知った人が抱きやすい疑問の一つが、日常生活にどの程度の制限があるのかという点です。
日本オストミー協会は、ストーマがあっても日常生活を送るための具体的な方法を公開しています。
例えば入浴では、自宅なら本人の状態に合わせ、ストーマ装具を付けたままでも、外してでも入浴できます。
公衆浴場では装具を付けた状態で入浴し、事前に排泄物を処理しておくなどの方法が紹介されています。
厚生労働省も、適切にストーマ装具を装着した状態であれば、公衆浴場を利用することに衛生上の問題はないと周知しています。
これは今回のドキュメンタリーを見るうえでも大切なポイントです。
ストーマがあること自体が、学校へ行くことや外出、スポーツ、入浴などを一律にできなくするわけではありません。
むしろ周囲がストーマについて知らないことや、誤解があることが、本人の行動を狭めてしまう場合があります。
ストーマ装具の費用には公的な給付制度がある
オストメイトの生活には、排泄物を受けるストーマ装具や、皮膚を保護する用品などが必要になります。
日本オストミー協会によると、身体障害者手帳を取得しているオストメイトは、市町村からストーマ装具や対象となるストーマ用品の給付を受けられる制度があります。
ただし、
- 給付対象となる用品
- 月額の基準額
- 自己負担
- 所得制限
- 申請・更新方法
などは自治体によって異なります。
利用する場合は、居住する市区町村の障害福祉担当窓口で確認する必要があります。
ストーマ生活は医療機関だけで完結するものではなく、福祉制度、学校、家庭、地域など複数の支援とつながっています。
「伝えるかどうか」は本人が決める問題
今回の『かんさい熱視線』で最も大きなテーマになっているのは、ストーマそのものの医療的な説明だけではありません。
これまで両親が守ってきた娘が成長し、自分自身で「伝えたい」と意思を示したことです。
親にとっては、娘の選択を応援したい気持ちがある一方、そのことで傷ついたり、偏見を受けたりしないかという不安もあります。
番組は、どちらかを正解として描くのではなく、少女の決断を前に揺れる家族の時間を追います。
日本オストミー協会の若い世代向け活動でも「カミングアウト」が一つのテーマとなっていることから、周囲へ伝える問題は、この少女だけに限ったものではありません。
自分の身体について誰に話すのか。
どこまで話すのか。
話さないことを選ぶのか。
それは本人が決めることです。
10歳の少女がモデルへ挑戦する今回の物語は、「ストーマを見せる勇気」だけではなく、自分の身体について自分で選択し始める一人の子どもの成長を描くドキュメンタリーでもあります。
オストメイトについて相談・情報収集できる場所
オストメイト本人や家族は、日本オストミー協会の公式サイトからストーマ生活に関する情報を確認できます。
主な内容は次の通りです。
- ストーマの基礎知識
- ストーマ用品
- 入浴など日常生活の工夫
- 福祉制度
- 若いオストメイト向けガイド
- 全国の支部情報
- ピアサポート
2026年には、オンラインでオストメイト同士が交流できる「オンラインピアサポートサロン ライトハウス」も運営されています。協会員でなくても対象となる回が設けられています。
まとめ
2026年10月2日の『かんさい熱視線』で描かれるのは、生まれてすぐオストメイトとなった10歳の少女と家族です。
両親はこれまでストーマの存在を周囲へ伝えずに娘を育ててきました。しかし少女自身が「もう隠し事は嫌」と決め、ストーマの存在を明らかにするモデルへ挑戦します。
オストメイトは、ストーマ装具を使いながら学校、仕事、外出、入浴などの社会生活を送ることができます。一方で、外見では分かりにくい障害だからこそ、周囲へ伝えることへの悩みや、理解不足による壁もあります。
親が娘を守ることから、娘自身が自分について選ぶことへ。
「10歳の決断」は、ストーマと暮らす家族だけの物語ではなく、子どもが自分の身体や生き方について意思を持ち始めたとき、家族がどう寄り添うのかを見つめる記録です。
参考リンク
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