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木を伐らない林業は育林特化!株式会社中川の仕組みと6時間労働【気づきの扉】

企業・新技術

「木を伐らない林業」で山を育て直す株式会社中川

2026年10月2日放送のテレビ朝日「気づきの扉」では、「木を伐らない林業」がテーマになります。和歌山県田辺市で、この言葉を掲げて育林に取り組んでいるのが株式会社中川です。

木材を伐採して販売することを中心にするのではなく、伐採後の植林や下刈り、森林管理など「木を育てる部分」に特化した会社です。林業の働き方も大きく変え、6時間労働や大型ドローンの導入などを進めています。

この記事でわかること

  • 「木を伐らない林業」が何を意味するのか
  • 株式会社中川が育林に特化した理由
  • 6時間労働や大型ドローンを導入した林業の働き方
  • 日本各地へ広がる新しい林業モデル

株式会社中川は伐採後の山を育てる「育林」の会社

出典:株式会社中川公式サイト

株式会社中川は、和歌山県田辺市に本社を置く林業会社です。

「私たちは『木を伐らない』林業の会社です」と掲げ、主力事業を育林に置いています。現在の事業は大きく、

  • 育林事業
  • 教育事業
  • 林業コンサルティング
  • 森林管理
  • 育苗
  • カーボンニュートラル関連事業

などへ広がっています。

ここで注意したいのは、「木を伐らない」という言葉が、森林の木に一切手を加えないという意味ではないことです。

林業は、木を伐採して終わりではありません。

伐採した場所へ再び木を植え、苗木を育て、下草を刈り、必要な森林管理を続けて、次の山を作っていく必要があります。

株式会社中川が重点を置いているのは、この**「植えて育てる工程」**です。

伐採後に木が植えられない山が会社設立のきっかけ

株式会社中川が「木を伐らない林業」を始めた背景には、森林の再造林問題があります。

木材を販売するため木を伐採しても、その後に植林されなければ、次の世代へ森林資源をつなぐことができません。

一方、植栽はすぐに収入を生む仕事ではありません。

株式会社中川の公式サイトでは、木を伐って収益を得ることが優先され、将来への投資となる植栽が後回しになることや、林業従事者の減少によって植栽へ人員を回しにくくなっていることを、事業を始めた背景として説明しています。

そこで創業者の中川雅也さんが着目したのが、伐採ではなく育林そのものを事業にするという発想でした。

株式会社中川は2016年8月に設立されています。

「木を伐る会社」ではなく、木を伐ったあとの山を専門に育てる会社という役割を作ったのです。

年間約80haを植林する「木を伐らない林業」

取り組みはかなり大きな規模まで広がっています。

林野庁が紹介した株式会社中川の実績では、

  • 森林経営計画:約4,300ha
  • 植林:年間平均約80ha
  • 下刈り:年間約250ha
  • 保育間伐:年間約150ha

とされています。

植えれば終わりではありません。

植えたばかりの苗木は、周囲の草木に負けたり、野生動物の食害を受けたりする可能性があります。そのため、下刈りや防護柵設置などを続けながら森林を育てていきます。

株式会社中川は、自社で苗木を育てる育苗にも取り組んでいます。

地域で採取したどんぐりから苗木を作り、それを再び地域の山へ植える活動も進めてきました。

6時間労働で林業の働き方そのものを変えた

株式会社中川でもう1つ特徴的なのが、森林だけではなく林業で働く人の環境まで変えようとしていることです。

林野庁は同社の取り組みとして、

  • フレックス6時間労働
  • 給料査定
  • 給料公開
  • 林業DX
  • 運搬用大型ドローン

などを挙げています。

林業は山の斜面を歩き、苗木や資材を運ぶなど身体的な負担が大きい仕事です。

そこで株式会社中川は、単に人を増やすのではなく、仕事のやり方そのものを変えてきました。

環境省のグッドライフアワードでも、6時間労働や運搬用大型ドローンなどによって労働負担を軽減し、女性も現場で働ける環境づくりを進めた点が紹介されています。

「人が来ない林業」から、働きたい人が集まる林業へ変えることも、木を伐らない林業の重要な部分です。

大型ドローンで苗木や資材を山へ運ぶ

山仕事では、資材を運ぶだけでも大きな負担になります。

そこで株式会社中川は、2019年から運搬用大型ドローンを開発・活用してきました。

ドローンというと森林を上空から撮影するイメージがありますが、ここでの役割は運搬です。

人が重い苗木や資材を抱えて険しい斜面を何度も往復する作業を機械に任せることで、身体への負担を減らせます。

労働力不足への対応だけではありません。

これまで体力的な理由で林業現場へ入りにくかった人も働ける可能性が広がります。

昔ながらの山仕事へデジタル技術を入れ、仕事そのものを組み直しているのです。

地域のどんぐりから山を再生する

株式会社中川の活動では、地域住民が森林づくりへ関われる仕組みも作られています。

環境省は、耕作放棄地などを利用して地元で拾ったどんぐりを育苗し、地域の学校などとも連携している取り組みを紹介しています。

木を植える苗を遠くから買ってくるだけではなく、

地域でどんぐりを拾う
↓
地域で苗木へ育てる
↓
地域の森林へ植える

という循環です。

苗木代が地域の外へ流れていくのを抑えながら、子どもや住民が森林へ関わるきっかけにもなります。

株式会社中川はこの考え方を「育林は育人」という言葉でも表現しています。

山を育てることと、人を育てることを別々に考えていないのが特徴です。

「木を伐らない林業」は和歌山から全国へ広がる

株式会社中川の仕組みは、田辺市だけで完結していません。

環境省によれば、同社でインターンや従業員として林業を学んだ人たちが、複数の県で「木を伐らない会社」を起業しています。

林野庁も、全国各地で同様の林業会社が起業できるよう、ビジネスモデルやノウハウを伝えている点を紹介しています。

つまり株式会社中川が作ろうとしているのは、自社だけが成長する仕組みではありません。

植えて育てる仕事そのものを事業として成立させ、そのモデルをほかの地域へ広げることです。

森林問題は和歌山県だけの課題ではありません。

全国の林業地域で「伐ったあとを誰が育てるのか」という問題があるからこそ、この仕組みには広がる余地があります。

日本サービス大賞で農林水産大臣賞を受賞

「木を伐らない林業」は外部からも評価されています。

第5回日本サービス大賞では、株式会社中川の「関係人口が持続可能な里山を再生する『木を伐らない林業』」が農林水産大臣賞を受賞しました。

評価されたポイントには、

  • 持続可能な森林管理
  • 地域外からの関係人口づくり
  • 雇用創出
  • 里山の景観保全
  • 災害対策
  • 新しい林業モデルの全国展開

などがあります。

さらに2025年度にはグッドデザイン賞BEST100にも選ばれています。

単なる植林会社ではなく、森林、雇用、地域経済、働き方を一体で再設計していることが評価につながっています。

株式会社中川の実用情報

  • 会社名:株式会社中川
  • 所在地:和歌山県田辺市文里2丁目32-7
  • 設立:2016年8月25日
  • 代表取締役:田中崇
  • 創業者:中川雅也
  • 主な事業:育林、育苗、森林管理、教育、林業コンサルティング
  • コンセプト:「木を伐らない林業」
  • 社訓:「育林は育人」

現在の会社概要では従業員34人とされ、育林事業だけでなく教育や森林サービス、カーボンニュートラル分野まで事業を広げています。

まとめ

「木を伐らない林業」とは、山へ何も手を加えないことではありません。

株式会社中川が実践しているのは、伐採後の植林、育苗、下刈り、森林管理など「次の森林を育てる仕事」を事業として成立させる林業です。

さらに6時間労働、大型ドローン、地域で育てる苗木、林業体験などを組み合わせ、森林だけでなく働き方や地域との関係まで変えてきました。

2026年10月2日の「気づきの扉」で掲げられる「木を伐らない林業」という言葉。その背景を知るうえで、株式会社中川が和歌山県田辺市で続けてきた「育てる林業」は、従来の林業とは違う視点を見せてくれます。

参考リンク


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