記事内には、広告が含まれています。

春日診療所は揖斐川町春日地区唯一の診療所 総合診療と訪問診療で暮らしに伴走【ぎふスペシャル】

地域・施設

春日診療所が守る山あいの地域医療と「病気だけを診ない」総合診療

2026年10月2日放送の『ぎふスペシャル「地域を診る、人生を診る。」小さな診療所の記録』では、岐阜県揖斐川町の山あいで地域医療を担う春日診療所の日々が描かれます。春日地区で唯一の診療所として、外来だけでなく訪問診療や介護・福祉との連携まで担い、患者の病気だけでなく生活や家族背景にも目を向けてきた医療機関です。

人口減少が続く地域で、これまでと同じ医療体制を維持することは簡単ではありません。診療所の存続と地域の暮らしを両立させるため、現場では対面診療、訪問診療、オンラインを組み合わせながら「地域に何を残すのか」という選択に向き合っています。

この記事でわかること

  • 春日診療所が揖斐川町春日地区で担っている役割
  • 所長・菅波祐太医師が地域医療を志したきっかけ
  • 外来・訪問診療・介護をつなぐ「総合診療」の特徴
  • 人口減少の中で診療所が直面する地域医療の課題

春日診療所は揖斐川町春日地区で唯一の診療所

出典:春日診療所公式サイト

春日診療所は、岐阜県揖斐郡揖斐川町春日六合にある無床診療所です。

町が開設し、公益社団法人地域医療振興協会が運営しています。現在の管理者・所長は菅波祐太医師で、内科、小児科、外科、整形外科、皮膚科を掲げています。

最大の特徴は、春日地区で唯一の診療所であることです。

診療所が入っているのは「かすがモリモリ村」と呼ばれる複合施設。診療所だけが独立して存在するのではなく、保健センターやデイサービス、居宅介護支援事業所などが同じ場所に集まっています。

さらに春日美束地区には出張診療所があり、週1回の診療も行われています。

都市部のクリニックのように「特定の病気を治療して終わる」のではなく、医療・保健・介護をつないで地域の生活そのものを支える役割を担っている診療所です。

菅波祐太医師は大学時代の山間部診療所との出会いから地域医療へ

現在、春日診療所の所長を務める菅波祐太医師は鳥取大学出身です。

地域医療へ進む大きなきっかけは、大学3年生のときに訪れた島根県の山間部でした。

公衆衛生を学ぶ中で地域の診療所を訪れ、複数の医師と診療所が協力して地域を支える姿に接します。

そこで菅波医師が知ったのは、地域医療は「1人の医師がすべてを背負う医療」ではないということでした。

医師同士だけでなく、住民や地域のさまざまな職種と支え合う。その関係に触れたことが、地域医療を志す転機になっています。

卒業後は地域医療振興協会に参加し、東京北社会保険病院、現在の東京北医療センターで初期研修を経験しました。

研修の一環で揖斐川地域を訪れ、現場の医師やスタッフと働いたことをきっかけに、後期研修でも地域医療を選択。その後、揖斐川町で長く診療を続けてきました。

2019年のインタビュー時点ですでに、揖斐川地域での診療は8年に及んでいました。

現在も春日診療所の所長として地域医療を担っています。

病名だけでなく生活や家族まで診る「総合診療」

春日診療所が掲げる大きな柱が総合診療です。

診療所の公式サイトでは、体調が悪いときに「まずはじめに相談する場所」であり続けること、そして「あらゆる問題に対応すること」を大切にするとしています。

対象は特定の年代や病気に限られません。

  • 風邪や腹痛などの日常的な症状
  • 高血圧などの慢性疾患
  • 子どもの診療
  • けがや外科処置
  • 健康診断
  • 予防接種
  • 高齢者の健康管理

など、日常生活の中で生じるさまざまな健康問題への入口となっています。

春日診療所が特徴として掲げているのが、「あなたにあわせた医療」です。

同じ病気でも、患者によって暮らしている環境や家族構成、価値観は異なります。

薬を処方して数値だけを改善すれば解決する人もいれば、通院手段や家族の介護、食事、仕事まで考えなければ治療を続けられない人もいます。

そのため、本人だけでなく家族や専門職とも相談しながら治療方法を考えていくことを重視しています。

『ぎふスペシャル』の「地域を診る、人生を診る。」というタイトルは、この診療所が掲げてきた総合診療の考え方そのものと重なります。

訪問診療では患者の「暮らしている場所」へ医師が向かう

春日診療所では外来診療だけでなく、訪問診療や往診も行っています。

1人で通院することが難しい患者の自宅へ医師が定期的に訪れ、計画的に健康状態を確認する仕組みです。年齢や病気による制限を設けず、春日地区だけでなく隣接地域にも対応しています。

現在の診療体制では、月曜、木曜、金曜の午後などを訪問診療や訪問看護に充てています。

自宅へ行くことで、診察室だけでは分からないことも見えてきます。

どのような家で暮らしているのか。

家族がどこまで介護できるのか。

薬をきちんと管理できる環境なのか。

食事や移動で困っていることはないのか。

地域医療では、こうした生活背景も治療を考えるうえで重要になります。

菅波医師も過去のインタビューで、地域に長く関わることで患者一人ひとりの全体像を理解し、その人に合わせたケアを提供できる点を地域医療の特徴として語っています。

医療・介護・福祉を「1つの地域」でつなぐ

春日診療所は単独で地域医療を完結させようとしているわけではありません。

「かすがモリモリ村」には、

  • 診療所
  • 保健センター
  • デイサービス
  • 居宅介護支援事業所

などが集まっています。

さらに必要に応じて、薬剤師、訪問看護師、ケアマネジャー、介護施設、民生委員、専門医療機関などとも連携します。

診療所から車で移動できる範囲にある二次医療機関ともつながり、専門的な検査や治療が必要な場合には紹介する体制があります。

春日診療所の役割は、大病院と同じ設備を備えることではありません。

地域住民が最初に相談できる場所となり、自分たちで対応できることは継続して診る。一方で専門的な治療が必要になれば、その人に合った医療機関や福祉サービスへつなげます。

「春日診療所に行けば、次につないでもらえる」。

その入口を地域からなくさないことが、山間部の医療では重要になります。

1人の患者を長く診ることで生まれる関係

大規模病院では、病気や診療科によって担当医が変わることがあります。

一方、地域の診療所では同じ医師が患者を長期間診続ける機会が多くなります。

菅波医師は、地域医療には「1人の患者をずっと見続けること」「地域に関わり続けること」に意味があると語っています。

長く診ていれば、検査数値だけでなく、その人がどんな人生を歩んできたのかも少しずつ分かってきます。

以前は何の仕事をしていたのか。

誰と暮らしているのか。

何を大切にしているのか。

どこまで治療を望んでいるのか。

菅波医師は、こうして一人ひとりに合わせる医療を「超個別ケア」と表現しています。

春日診療所公式サイトにも「生まれてから最期まで継続的に関わる立場だからこそ必要な役割がある」と記されています。

番組タイトルにある「人生を診る」とは、病気だけで人を見るのではなく、患者が過ごしてきた時間も含めて向き合う姿勢を示しています。

人口減少で「今まで通り」を続けることが難しくなる

一方、春日診療所が置かれている環境は大きく変化しています。

『ぎふスペシャル』では、人口減少と経営面の問題によって、現在の医療体制をそのまま維持することが難しくなっている現状も描かれます。

患者が減れば診療所の収入は減ります。

しかし患者数が少なくなっても、地域に暮らす高齢者にとって医療の必要性までなくなるわけではありません。

むしろ運転免許の返納や身体機能の低下によって遠くの病院へ行くことが難しくなれば、身近な診療所の重要性は増していきます。

そこで課題になるのが、

「利用する人数が少ない医療を、どのような形なら維持できるのか」

という問題です。

番組では、従来の対面診療だけでなくオンライン診療も導入され、大きく変わる現場の中で何を残すべきなのかが記録されています。

効率だけを優先すれば、診療所まで移動する回数は減らせます。

一方で、地域医療が長年築いてきた患者との関係や、対面だから分かる生活の変化まで同じように守れるのかという課題もあります。

春日診療所が向き合っているのは、新しい技術を使うか使わないかだけではありません。

限られた人員と財源の中で「地域医療の何を守るのか」を考える局面です。

春日診療所の診療・アクセス情報

春日診療所の基本情報は次の通りです。

  • 名称:揖斐川町春日診療所
  • 所在地:岐阜県揖斐郡揖斐川町春日六合3420
  • 施設:かすがモリモリ村内
  • 管理者・所長:菅波祐太
  • 運営:公益社団法人地域医療振興協会
  • 開設者:揖斐川町
  • 診療科:内科、小児科、外科、整形外科、皮膚科
  • 病床:無床
  • 電話:0585-58-0011
  • 午前診療:9:00~12:00
  • 休診:水曜日・日曜日・祝日
  • アクセス:揖斐駅からバスで約30分、「かすがモリモリ村」下車すぐ
  • 駐車場:あり・無料

午後には訪問診療などが行われ、曜日によって診療体制が異なります。受診前には最新の診療時間を公式サイトで確認するのが確実です。

まとめ

春日診療所は、岐阜県揖斐川町春日地区で唯一の診療所です。

病気だけを診るのではなく、患者の生活、家族、価値観まで含めて考える総合診療を掲げ、外来診療、訪問診療、介護・福祉との連携を通じて地域住民の生活を支えてきました。

現在の所長・菅波祐太医師が地域医療を志した原点も、学生時代に訪れた山間部の診療所でした。医師1人ですべてを支えるのではなく、多職種や地域住民と協力して一人の患者を長く診る。その考え方は現在の春日診療所にもつながっています。

しかし人口が減り続ける地域では、これまでと同じ医療をそのまま残すことは難しくなっています。

対面診療、訪問診療、オンラインという異なる方法をどう組み合わせるのか。

「診療所を残すこと」だけではなく、「住民が安心して暮らせる医療をどう残すのか」。春日診療所の日々は、全国の人口減少地域がこれから向き合う課題にもつながっています。

参考リンク


気になる生活ナビをもっと見る

購読すると最新の投稿がメールで送信されます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました