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名古屋城木造復元は完成時期未定 バリアフリー・石垣・膨らむ事業費|誰のための名古屋城か

地域・施設

名古屋城の木造天守復元は現在どこまで進んでいるのか

2026年9月30日未明(テレビ愛知表記:9月29日深夜1時30分)放送の「誰のための名古屋城か~木造復元計画のゆくえ~」では、長期間にわたって進展が見えにくい名古屋城天守の木造復元事業に迫ります。

2026年9月時点でも木造天守の完成時期は示されていません。大きな論点となっているのが、史実に忠実な木造復元とバリアフリーをどう両立するか、天守台石垣をどう保存するか、そして建設開始前から発生し続ける木材保管費などの事業費です。

この記事でわかること

  • 名古屋城木造天守の完成時期と現在の進捗
  • バリアフリーをめぐり議論が続く理由
  • 石垣保存が木造復元で重要になる理由
  • 2026年度に計上された事業費と木材保管費

名古屋城木造復元の完成時期は2026年9月現在も未定

出典:テレビ愛知「誰のための名古屋城か~木造復元計画のゆくえ~」

名古屋城の木造天守がいつ完成するのかについて、2026年9月現在、具体的な完成時期は示されていません。

かつては2022年12月の竣工が予定されていました。しかし石垣の保存、文化財としての手続き、バリアフリー設備など複数の課題が重なり、当初の工程どおりには進みませんでした。現在も木造復元そのものに向けた検討や石垣保存対策などが続いています。

現在の鉄骨鉄筋コンクリート造の天守閣は1959年に再建されたものです。老朽化と耐震性への対応から2018年5月7日に閉館し、内部へ入れない状態が続いています。

つまり2026年時点では、

  • 現天守は2018年から閉館中
  • 木造天守の具体的な完成時期は未定
  • バリアフリー設備の検討を継続
  • 石垣保存対策を継続
  • 復元用木材を保管中

という状態です。

テレビ愛知の番組も、完成時期が見えないまま時間と費用が積み重なっている点を大きなテーマとしています。

最大の論点の1つがバリアフリーと「史実に忠実な復元」の両立

木造復元計画で長年議論されているのが、天守内部のバリアフリーです。

名古屋市は、江戸時代の天守を外観だけでなく内部の意匠や構造も可能な限り史実に忠実に復元する方針を掲げています。その一方で、障害の有無にかかわらず多くの人が内部を観覧できるよう、バリアフリー設備を加える必要があるともしています。

市が現在検討している設備には、

  • スロープや段差解消
  • 手すりや足元灯
  • 垂直昇降設備

などがあります。

2022年には昇降技術を公募し、株式会社MHIエアロスペースプロダクションの提案を最優秀者として選定しました。柱や梁など木造天守の主要構造を大きく変えずに昇降設備を導入し、史実性とバリアフリーの両立を目指す考えです。

しかし、設備をどの階まで設置するのかを含めて合意には至っていません。

名古屋市の広沢一郎市長は2026年6月の会見で、市側が昇降設備の設置階を議論しようとしている一方、障害当事者側から大型エレベーターを設置しない理由について意見が出ており、すぐに一致点を見いだすのは難しいとの認識を示しました。

8月の会見では、小型昇降機をどの階まで設置するかについて、2026年度中に一定の方向性を示すことを目途としながらも、確定した期限ではないと説明しています。

2023年の市民討論会を経て2026年に対話が再び進む

バリアフリーをめぐる議論では、2023年6月に開催された市民討論会で、一部参加者から差別用語を含む発言がありました。

名古屋市はその後、検証委員会による検証を実施し、2025年5月には最終報告を踏まえて、それまでの天守閣整備事業の進め方について総括しています。

2026年には当事者参画の場での協議が再開されました。

7月には、予定していた8月の会議を開催する代わりに、木造天守全体のバリアフリーについて個別ヒアリングを行う方針が示されています。

テレビ愛知の番組は、こうした障害当事者と市との対話も取材しながら、「史実に忠実な城」と「誰もが利用できる城」をどのように両立させるのかを取り上げます。

石垣も木造復元を左右する重要な課題

もう1つの大きな課題が天守台の石垣です。

名古屋城は国の特別史跡であり、木造天守だけを新しく建てれば終わる事業ではありません。

既存の石垣そのものが歴史的な遺構であるため、調査と保存を進めながら、その上や周辺で大規模な工事を行う方法を慎重に検討する必要があります。

名古屋市は現在も有識者による「石垣・埋蔵文化財部会」などで検討を続け、2026年度にも石垣保存対策工事を進めています。

2026年度予算では、石垣保存対策として2億7725万円が計上されています。

バリアフリー問題が注目されやすい一方で、文化財としての石垣を守りながら天守復元を進めることも、完成時期を決めるうえで避けて通れない要素です。

木造天守に使う木材はすでに調達され保管が続く

興味深いのは、本体工事の開始を待つ一方で、木造復元に使用する木材の調達がすでに進んでいることです。

名古屋市は2018年から木材の製材を開始しました。

2022年1月時点で調達済みとされた主な木材は、ヒノキ1367本、マツ692本、ケヤキ12本の計2071本。愛知県、岐阜県、奈良県、高知県などの倉庫で保管されてきました。

適切な環境で保管すれば10年、20年が経過しても品質には影響しないと名古屋市は説明しています。

ただし、保管には当然費用が発生します。

2026年度予算では、木材の保管だけで1億1495万3000円が計上されています。

建物の完成時期が決まっていなくても、すでに準備した木材を維持するための支出は続いていることになります。

2026年度の名古屋城天守閣特別会計は約9億8618万円

名古屋城木造復元にどれくらい費用がかかっているのかも、番組を見るうえで押さえておきたいポイントです。

2026年度の名古屋城天守閣特別会計予算は9億8618万1000円。前年度の6億4461万2000円から53%増えています。これは木造天守全体の最終的な総事業費ではなく、2026年度1年間の特別会計予算です。

主な内容は、

  • 天守閣の整備:4億2182万2000円
  • 石垣保存対策:2億7725万円
  • 木材の保管:1億1495万3000円
  • 木造天守閣の昇降技術開発:1089万円
  • 木造復元に向けた機運醸成:8000万円

などです。

本格的な木造天守の建設が始まっていない段階でも、調査・設計・保存対策・木材管理・バリアフリー技術などに費用が必要になっています。

テレビ愛知が番組で「事業費は増加」と取り上げている背景には、こうした状況があります。

なぜコンクリート天守を木造に復元するのか

そもそも名古屋城は、なぜ現在の天守を改修するのではなく、木造で復元しようとしているのでしょうか。

江戸時代の名古屋城天守は1612年に完成しました。

1930年には城郭として国宝第1号に指定されましたが、1945年の空襲で天守や本丸御殿など多くの建造物が焼失します。

現在の天守は、市民からの寄付などを受けて1959年に鉄骨鉄筋コンクリート造で再建されたものです。

一方、名古屋城には戦前に作られた実測図や写真など、失われた天守を詳しく知ることのできる資料が数多く残っています。

名古屋市は、こうした資料を使えば外観だけでなく内部の構造や意匠まで史実に沿って復元できるとして、木造復元を進めています。復元によって特別史跡名古屋城跡の価値を高め、歴史的・文化的空間を体感できるようにすることを事業の目的としています。

つまり木造復元計画には、「古い姿に似せた新しい城を建てる」という以上に、詳細な史料をもとに失われた歴史的建築を再現するという考え方があります。

2026年の名古屋城は「建てる前の課題」を解く段階

2026年9月時点の状況を整理すると、木造天守の建築工事が本格化する前に解かなければならない課題が残っています。

バリアフリーでは、史実に忠実な復元と昇降設備をどこまで両立させるのか。

石垣では、国の特別史跡を守りながら工事をどう進めるのか。

さらに、すでに調達した大量の木材を完成まで適切に保管していかなければなりません。

市は木造復元の方針を維持し、2026年度も設計・石垣保存・昇降技術などに予算を計上して事業を進めています。一方で、完成時期はまだ決まっていません。

「誰のための名古屋城か」という番組タイトルは、まさにこの状況を象徴しています。

歴史的な価値をどこまで忠実に残すのか。障害のある人もない人も利用できる施設をどう実現するのか。そして長期間にわたる事業費をどう考えるのか。

名古屋城木造復元は、単なる城の建て替えではなく、文化財保存、バリアフリー、公共事業という複数の課題が交差するプロジェクトになっています。

まとめ

名古屋城天守の木造復元は、2026年9月現在も具体的な完成時期が示されていません。

現在の天守は耐震性などの問題から2018年5月7日に閉館。木造復元では当初2022年12月の完成が計画されていましたが、その工程は実現せず、現在も検討と保存対策が続いています。

大きな課題は、バリアフリー、石垣保存、事業費です。

特にバリアフリーでは、史実に忠実な木造天守と昇降設備をどう両立させるのかについて協議が続き、市は2026年度中を目途に小型昇降機の設置階について一定の方向性を示す考えです。

さらに2026年度だけでも名古屋城天守閣特別会計には約9億8618万円が計上され、石垣保存や木材保管にも費用が発生しています。

テレビ愛知「誰のための名古屋城か~木造復元計画のゆくえ~」は、完成した新しい名古屋城を紹介する番組ではありません。

完成へ向かう途中で立ち止まっている名古屋城を通して、歴史を残すこと、誰もが利用できること、公共事業として進めることをどう両立させるのかを見つめるドキュメンタリーです。

参考リンク


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