苫小牧で再会した兄弟漁師、その先にあった最盛期の毛ガニ漁
2026年10月5日放送のNHK総合「鶴瓶の家族に乾杯」では、北海道苫小牧市で以前出会った兄弟漁師を再訪し、最盛期の毛ガニ漁へ密着します。前回、笑福亭鶴瓶さんが港で出会ったのは、インドネシア人の漁業従事者に網の補修を教えていた兄弟でした。今回は普段の港での姿から一歩踏み込み、実際の漁へカメラが入ります。
苫小牧がある胆振地方では、毛ガニの主な漁獲時期は6月から8月。北海道ではメスを獲らず、オスでも甲長8cm未満は海へ戻すなど、厳しい資源管理のもとで毛ガニ漁が続けられています。
この記事でわかること
- 苫小牧周辺の毛ガニ漁が行われる時期
- 毛ガニを獲る「かにかご漁」の仕組み
- メスや8cm未満を海へ戻す資源管理
- ホッキ貝だけではない苫小牧漁業の特徴
苫小牧がある胆振地方の毛ガニ漁は6〜8月
北海道の公式情報では、毛ガニの漁獲時期は地域によって大きく異なります。
主な時期は、
- 胆振:6月〜8月
- 日高:12月〜翌4月
- 網走:3月〜8月
- 宗谷:2月〜5月
- 十勝・釧路:1月〜3月、8月〜12月
となっています。
つまり、「北海道の毛ガニは冬だけ」というわけではありません。
海域ごとに漁期をずらしながら漁が行われており、苫小牧周辺では夏が重要な毛ガニの季節です。
10月5日の「鶴瓶の家族に乾杯」で「最盛期の毛ガニ漁」へ密着するのも、この胆振地方ならではの季節があります。
毛ガニは海底へ沈めた「かご」で獲る
北海道の毛ガニ漁で使われる代表的な方法が「かにかご漁」です。
餌を入れたかごを海底へ沈め、餌に寄ってきた毛ガニが中へ入ったところを引き揚げます。
北海道立総合研究機構が紹介する毛ガニ漁の例では、長いロープへ多数のかごを取り付け、数十〜100mを超える水深へ設置します。
船上では、
- かごを引き揚げる
- 毛ガニを取り出す
- 大きさや性別などを確認する
- 餌を交換する
- 再びかごを海へ投入する
という作業を次々に進めます。
ただ引き揚げれば終わりではありません。
波のある船上で、大量のかごを扱いながら毛ガニを瞬時に選別していく仕事です。
獲れた毛ガニを全部持ち帰るわけではない
毛ガニ漁で特に重要なのが、船上での選別です。
北海道では原則として、
- メスは漁獲しない
- オスでも甲長8cm未満は漁獲しない
という規制があります。
甲長とは、カニの甲羅を縦方向に測った長さです。
北海道立総合研究機構によると、オスの毛ガニが甲長8cmの漁獲サイズになるまでには、およそ5年以上かかると考えられています。
漁獲サイズになるまで何年も必要だからこそ、小さな毛ガニをその年に獲り尽くさず、海へ戻して次の年につなげます。
メスを守ることも、次の世代を残すうえで重要です。
「堅ガニ」を見極める選別も重要
大きさだけで商品価値が決まるわけでもありません。
脱皮した直後の毛ガニは甲羅が柔らかく、身入りも十分ではないため、漁業現場では甲羅の状態を確認しながら選別します。
北海道の毛ガニ漁では、甲羅がしっかりした「堅ガニ」を市場へ送り、条件に合わないものを放流する取り組みも行われています。
漁師は甲羅の大きさ、性別、堅さなどを次々と判断します。
テレビで船上の作業を見る際は、「どれだけ大量に獲れたか」だけでなく、「その中からどれを残してどれを海へ返すか」という選別にも注目すると、毛ガニ漁の見え方が変わります。
毛ガニを守るため漁獲できる量そのものも管理
北海道では、サイズと性別だけでなく、毛ガニの漁獲量についても管理が行われています。
北海道立総合研究機構は、過去に獲り過ぎによって毛ガニが減少した経験を踏まえ、
- メスを獲らない
- 小さなオスを獲らない
- 漁獲できる量をあらかじめ決める
といった資源管理が行われていると説明しています。
毛ガニは成長に時間がかかる生き物です。
そのため、その年に多く獲ることだけを優先すると、数年後の漁へ影響します。
漁師にとって「海へ返す」ことも仕事の一部なのです。
苫小牧はホッキ貝だけでなく100種類以上の魚介が水揚げ
苫小牧の海産物として特に有名なのはホッキ貝です。
苫小牧漁業協同組合はホッキ貝の水揚げで知られますが、北海道の公式紹介によると、苫小牧では年間100種類以上の魚種が水揚げされています。
代表的な魚介には、
- ホッキ貝
- 毛ガニ
- 秋サケ
- スケトウダラ
- カレイ類
- ツブ類
- マツカワ
などがあります。
2024年の苫小牧市の魚種別生産高では、毛ガニは全体の9.4%を占めました。ホッキ貝に次ぐ地域水産業の重要な魚種の1つであることが分かります。
「ホッキ貝の町」という印象だけでは見えてこない、多様な漁業が苫小牧にはあります。
兄弟漁師との出会いは2025年の苫小牧旅
今回の密着には前段があります。
2025年10月20日に放送された「鶴瓶の家族に乾杯」で、笑福亭鶴瓶さんと元バレーボール日本代表の栗原恵さんが苫小牧市を訪れました。
鶴瓶さんが港へ入った際に出会ったのが、仲良く働く兄弟漁師です。
当時、兄弟はインドネシアから来た人たちに網の補修方法を教えていました。NHKの公式配信ページでも、「仲良し兄弟漁師から聞いた漁業の世界の意外な変化」としてこの出会いが紹介されています。
偶然の出会いだった兄弟を、番組が約1年後にもう一度訪ねる。
今回は港で話を聞くだけではなく、最盛期の毛ガニ漁という彼らの仕事の現場へ密着します。
漁業を支える外国人との仕事も前回描かれた
前回の放送で印象的だったのが、兄弟漁師とインドネシア人の漁業従事者が一緒に作業する姿です。
港では、兄弟が網の補修方法を教える場面が紹介されました。
漁業は船に乗って魚を獲る時間だけで成り立つ仕事ではありません。
網や漁具を整備し、船を準備し、帰港後の水揚げや次の漁へ向けた作業を続けます。
毛ガニ漁でも、かごの引き揚げ、選別、餌替え、再投入を限られた時間の中で連携して行う必要があります。
10月5日の密着では、前回の「港で出会った兄弟」という姿から、海の上で漁を続ける漁師としての姿がより深く描かれることになります。
苫小牧の毛ガニを支える海は太平洋
毛ガニは北海道全域で同じ環境に暮らしているわけではありません。
北海道によると、毛ガニはオホーツク海と太平洋側に多く、水深150mより浅く、水温15℃以下の砂・砂泥質の海底などに生息します。
苫小牧は太平洋に面した港町です。
沖合では毛ガニだけでなく多様な魚介が獲れ、地域の漁業を支えています。
港から見れば同じ海でも、季節によって獲る魚介や漁法が変わります。
夏の毛ガニ漁が終われば、秋にはサケやシシャモなど別の漁業の季節へ移っていきます。
漁師は1年を通じ、海の変化と魚介の時期に合わせて仕事を組み立てています。
毛ガニを食べるなら覚えておきたい「旬は地域で違う」
実用面で覚えておきたいのは、毛ガニには北海道全体で共通する1つの旬があるわけではないことです。
北海道各地で漁期が異なるため、長い期間にわたり道内のどこかで毛ガニが水揚げされます。
苫小牧を含む胆振地方は6〜8月。
その一方で日高では冬から春、網走では春から夏と、時期がずれています。
「冬の北海道だから毛ガニ」「夏だから旬ではない」と単純には言えません。
産地を見ることで、その毛ガニがどの海域から届いたのかも分かります。
苫小牧漁業協同組合の基本情報
苫小牧の水産業を支えているのが苫小牧漁業協同組合です。
- 名称:苫小牧漁業協同組合
- 所在地:北海道苫小牧市汐見町1丁目1番13号
- 設立:1949年8月3日
- 組合員数:107人
- 正組合員:98人
- 准組合員:9人
- 代表理事組合長:伊藤信孝
人数などは苫小牧市が公表している2025年3月31日時点の情報です。
漁協では漁業権の管理や水産業振興など、地域漁業を支える幅広い活動を行っています。
まとめ
2026年10月5日の「鶴瓶の家族に乾杯」で密着するのは、北海道苫小牧市で働く兄弟漁師と最盛期の毛ガニ漁です。
前回の旅では港で偶然出会い、網の補修を行う姿が紹介されました。今回は、その兄弟が実際に海へ出る仕事へ踏み込みます。
苫小牧を含む胆振地方では、毛ガニの主な漁獲時期は6月から8月。
獲れた毛ガニをすべて持ち帰るのではなく、メスや甲長8cm未満のオスは海へ戻します。成長に5年以上かかる毛ガニを将来へ残すため、漁獲量そのものも管理されています。
テレビに映る大漁の毛ガニの向こうには、「獲る技術」だけでなく「残す技術」もあります。
漁師が船上で1杯ずつ選別し、条件に合わない毛ガニを海へ返す。その積み重ねによって、苫小牧の夏の漁が次の年へつながっています。
参考リンク
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