大予言で知られるノストラダムスが残した「甘い仕事」
2026年10月5日放送のNHK Eテレ「グレーテルのかまど ヘンゼルのスイーツ!タイムトラベル」では、番組15周年を記念して、人類が何千年にもわたって追い求めてきた甘味の歴史を振り返ります。
その歴史の中に登場する意外な人物が、ノストラダムスです。
日本では「大予言」の人物として知られていますが、16世紀フランスで医師として活動したノストラダムスは、化粧品や香料だけでなく、果物を砂糖やはちみつで保存する方法についても本を書き残しました。
「グレーテルのかまど」では2017年にもノストラダムスを取り上げ、彼が残したマルメロのゼリーをもとに、宝石のようなフランス菓子「パート・ド・フリュイ」を作っています。
この記事でわかること
- ノストラダムスが残した「化粧品とジャム論」の内容
- パート・ド・フリュイとはどんなお菓子なのか
- ノストラダムスとマルメロのゼリーの関係
- 16世紀に砂糖を使った保存食が持っていた意味
ノストラダムスは「化粧品とジャム論」を残していた
ノストラダムスの本名はミシェル・ド・ノートルダム。1503年に生まれ、16世紀のフランスで医師や占星術師として活動した人物です。
予言集で有名になる一方、食や美容についての実用的な知識も文章に残しました。
フランス国立図書館には、1555年にリヨンで出版された著作が所蔵されています。
この本は大きく2部に分かれ、第1部では顔を美しく見せるための化粧品や香料、第2部ではさまざまなコンフィチュール、つまり果物などを保存する方法が記されています。砂糖だけでなく、はちみつや煮詰めたワインを利用する記述も確認できます。
現在は日本語で「化粧品とジャム論」などと紹介されることがあります。
予言書とはまったく違う、ノストラダムスのもう一つの顔です。
マルメロのゼリーがパート・ド・フリュイにつながる
2017年10月2日に放送された「グレーテルのかまど」では、「ノストラダムスのパート・ド・フリュイ」がテーマになりました。
そこで取り上げられたのが、ノストラダムスの著作に記された「マルメロのゼリー」です。
マルメロは黄色く熟す果実で、西洋かりんとも呼ばれます。生のままでは硬く渋みもあるため、加熱してジャムやゼリーなどに加工して利用されてきました。
番組ではマルメロのジャムをペースト状にし、ペクチンとグラニュー糖を加えて煮詰め、水あめも加えて固めのゼリー状に仕上げています。
さらにブドウを使った層を重ね、固まった後に表面へ砂糖をまぶして仕上げました。
完成した菓子が、フランスの伝統的な砂糖菓子「パート・ド・フリュイ」です。
パート・ド・フリュイは果物の味を凝縮したフランス菓子
パート・ド・フリュイは、果物のピューレや果汁に砂糖を加え、ペクチンの働きで固めた菓子です。
見た目はグミに近いものの、果物そのものの風味を強く感じられるのが大きな特徴です。
表面にはグラニュー糖をまとわせることが多く、光を受けると小さな宝石のように輝きます。
「グレーテルのかまど」で作られたものも、固めた生地を角形に切り分け、断面まで砂糖をまぶす仕上げでした。
砂糖には甘さを加えるだけでなく、果物を長く利用するための保存という重要な役割もあります。
冷蔵庫のない時代にとって、旬の果物を砂糖とともに煮詰めて保存する技術は、現代以上に意味のあるものでした。
16世紀の砂糖は今とはまったく違う存在だった
現在なら砂糖はスーパーで簡単に買えます。
しかしノストラダムスが生きた16世紀ヨーロッパでは、砂糖は今ほど身近な食品ではありませんでした。
だからこそ、果物を砂糖やはちみつで加工する技術は、単なるお菓子作りではなく、貴重な食材を保存し利用する知恵でもありました。
ノストラダムスの本にも、さまざまな果物のコンフィチュールを作る方法が収録されています。フランス国立図書館に残る1555年版にも、第2部が各種のコンフィチュールを扱う内容であることが明記されています。
甘味の歴史をたどると、「おいしいから砂糖を入れる」という現代の感覚だけでは見えない世界が浮かびます。
砂糖は保存技術であり、薬や健康、美容とも近い場所に存在していたのです。
医師ノストラダムスだから「美容」と「食」が同じ本に入った
現代の感覚では、化粧品とジャムを同じ本にまとめることに少し違和感があります。
しかしノストラダムスの著作を見ると、第1部が化粧や香料、第2部が果物などの保存法という構成になっています。
当時は食、薬、香料、美容の境界が現在ほど明確ではありませんでした。
ノストラダムス自身も医師として活動しており、植物や果物、香料などを扱う知識が一つにつながっていました。
「未来を予言した人物」というイメージだけでは見えてこない、16世紀の実務家としての姿です。
予言者より先に「レシピを書く人」という顔を見ると面白い
ノストラダムスという名前を聞けば、どうしても予言が先に浮かびます。
しかし1555年の著作には、未来の出来事ではなく「どう作るか」という具体的な技術が書かれています。
果物を煮る。
砂糖やはちみつを加える。
適切な状態まで煮詰めて保存する。
500年近くたった現在でも、ジャムや果実菓子を作る基本的な考え方と重なる部分があります。
だからこそ「グレーテルのかまど」がノストラダムスをスイーツの歴史の中に置くと、非常に面白い存在になるのです。
15周年のタイムトラベルで再び登場する意味
2026年10月5日の「ヘンゼルのスイーツ!タイムトラベル」では、古代のはちみつから現代の砂糖まで、人類が甘いものを求めてきた歴史を振り返ります。
その中で名前が挙がるのが、清少納言、ナポレオン、そしてノストラダムスです。
一見すると共通点のない人物たちですが、甘味を通して見るとそれぞれの時代がつながります。
清少納言の時代には氷そのものが貴重なぜいたく品。
ノストラダムスの時代には、砂糖を使って果物を保存する技術。
そしてナポレオンの時代には、砂糖をどう大量に確保するかという大きな社会の動きへ発展していきます。
1つのお菓子から歴史を見る「グレーテルのかまど」らしさが、15周年企画に凝縮されています。
まとめ
ノストラダムスは予言だけを残した人物ではありません。
1555年には、化粧品や香料とともに、果物を砂糖、はちみつ、煮詰めたワインなどで加工する方法を記した著作を出版しています。
「グレーテルのかまど」では2017年にその著作をひもとき、マルメロのゼリーから「パート・ド・フリュイ」を作りました。
宝石のような小さな砂糖菓子の背景には、果物を保存し、おいしく食べ、暮らしに役立てようとしてきた人間の知恵があります。
2026年10月5日の15周年企画でノストラダムスが再び登場することで、「大予言の人物」ではなく、500年近く前に甘味のレシピを残した人物という意外な一面にも注目です。
参考リンク
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