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情報通信研究機構NICTの毎秒450テラビット光通信と6G研究!世界記録を生む次世代通信【ザ・バックヤード】

テクノロジー・科学

NICTが研究する「2030年代の通信」は暮らしをどう変えるのか

2026年10月7日放送のNHK Eテレ「ザ・バックヤード 知の迷宮の裏側探訪」で訪れるのは、国立研究開発法人情報通信研究機構「NICT(エヌアイシーティー)」です。

NICTは、スマートフォンやインターネットのさらに先を見据え、Beyond 5G(6G)、光通信、サイバーセキュリティなどを研究する日本の情報通信分野の中核的な研究機関です。

なかでも注目したいのが、都市にすでに敷設されている光ファイバを使い、毎秒450テラビットという大容量伝送に成功した研究です。既存光ファイバを使った伝送容量の世界記録を更新しており、次世代通信を支える重要な成果となっています。

この記事でわかること

  • NICTが達成した毎秒450テラビット光通信の仕組み
  • 既存の光ファイバを使いながら通信容量を増やせた理由
  • Beyond 5G・6Gで2030年代の暮らしがどう変わるのか
  • 家庭のIoT機器にも迫るサイバー攻撃とNICTの研究

NICTは既存光ファイバで毎秒450テラビットの世界記録を達成

公式動画:NICT「Beyond5Gの実現をリードする最先端の研究開発」
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NICTを中心とする国際共同研究グループは2026年6月、英国ロンドン市内に実際に敷設されている光ファイバを使い、毎秒450テラビットのデータ伝送に成功しました。

特に重要なのは、研究室だけの特殊な環境ではなく、都市で使われている既設の光通信インフラを利用した点です。

実験で使われたのは、ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのキャンパスとデータセンターを結ぶ光ファイバ。往復39kmの区間を利用しています。

通信容量を増やすために採用されたのが、光ファイバの中で利用する波長帯を大きく広げる方法でした。

現在の商用光通信で広く利用されるC帯・L帯だけではなく、新たにO帯・E帯・S帯も加えています。

その結果、利用する周波数帯域は42.4テラヘルツに拡大。1,273波長もの光信号を組み合わせ、毎秒450テラビットという大容量伝送を実現しました。

新しい光ファイバへ全部交換しなくても高速化できる可能性

この研究が大きな意味を持つ理由は、「通信量が増えたから街中の光ファイバを全部交換する」という方法だけに頼らなくて済む可能性があることです。

動画配信、クラウドサービス、生成AI、自動運転、遠隔医療などが広がれば、ネットワークを流れるデータ量はさらに増えていきます。

そこで既存の光ファイバを生かしながら、これまで十分に利用されていなかった波長帯まで使えるようにすることができれば、大規模な設備更新を抑えつつ通信能力を高められます。

NICTは今回の成果について、大規模な設備投資を伴わずに既設光通信インフラの伝送能力を大幅に拡大する道を開くものとしています。

NICTでは以前から光ファイバの大容量化を進めてきました。

2025年には、標準的な太さに近い19コア光ファイバを使い、毎秒1.02ペタビットを1,808km伝送する世界記録も達成しています。

1本の光ファイバの中に複数の通信経路を作る「空間多重」と、使用する波長帯を広げる技術。その両面から、将来の通信インフラを大容量化する研究が進んでいるのです。

Beyond 5G・6Gが目指すのは「スマホが速くなる」だけではない

NICTが研究するBeyond 5Gは、一般的には6Gにつながる次世代情報通信基盤です。

5Gで重視されてきた高速・大容量、低遅延、多数同時接続をさらに発展させるだけではありません。

通信できる場所そのものを地上から空、海、宇宙へ広げたり、現実空間とデジタル空間をより密接につないだりすることも重要な研究テーマになっています。

NICTが描く2030年代の未来社会では、通信は「人がスマホを操作したときに使うもの」だけではなくなります。

家や街、車、ロボット、ドローン、さまざまなセンサーが常時つながり、必要な情報を交換しながら自律的に動く社会です。

たとえば家庭で不足しているものをシステムが把握し、購入先を探し、物流システムと連携してドローンなどが届ける。こうした世界を支える土台が、大容量で途切れにくい次世代ネットワークです。

ドローンや空飛ぶ基地局まで通信網の一部になる

現在の携帯電話ネットワークは地上の基地局が中心ですが、Beyond 5Gでは通信エリアをさらに広げる研究も進められています。

その代表例の1つが「HAPS」です。

HAPSは成層圏を長時間飛行する無人航空機などを通信基地局として利用する構想で、地上設備だけでは電波を届けにくい場所へ広い通信エリアを提供できます。

災害によって地上の通信設備が使えなくなった地域や、山間部、海上などへの通信提供にも期待されています。

さらにNICTでは、衛星やHAPSへ搭載可能な小型光通信端末による毎秒2テラビットの空間光通信にも世界で初めて成功しています。

つまり6G時代の通信網は、地面に建つ基地局と光ファイバだけではありません。

地上、空、宇宙にある複数の通信システムを組み合わせ、場所を問わず大容量通信を利用できるネットワークへ発展しようとしています。

通信が便利になるほど家庭のIoT機器も攻撃対象になる

ネットにつながる機器が増える一方で、重要になるのがサイバーセキュリティです。

NICTは2026年7月、総務省、警察庁と共同で、家庭用IoT機器を悪用する「レジデンシャルプロキシ」への注意を呼び掛けました。

家庭のルーターやネットワークカメラ、動画ストリーミング端末などが本人の知らないうちに悪用され、第三者の通信を中継する装置になるケースがあります。

NICTの観測では2026年1月以降、1日最大約2万7,000のIPアドレスがレジデンシャルプロキシの出口として観測され、国内でも少なくとも数万台規模が存在すると推定されています。

さらにNICTのサイバー攻撃観測システム「NICTER」が2025年に観測したサイバー攻撃関連通信は約7,010億パケットに達し、観測開始以降で過去最多となりました。

家庭用ルーターや監視カメラなど、利用者が異常に気付きにくいIoT機器も攻撃対象になっています。

通信技術の研究とサイバーセキュリティ研究を同時に進める必要がある理由が、ここにあります。

情報通信研究機構NICTとは

NICTは、情報通信分野を専門とする国立研究開発法人です。

現在のインターネットを便利にする研究だけではなく、そのさらに先を見据えた研究を幅広く行っています。

主な研究分野には、

  • Beyond 5G・6G
  • 光ファイバ通信
  • 衛星・宇宙通信
  • サイバーセキュリティ
  • 量子通信・量子暗号
  • AI・多言語翻訳
  • 宇宙天気
  • 電磁波・センシング技術

などがあります。

研究成果を論文の中だけにとどめず、企業や大学などと連携して社会実装につなげている点も特徴です。

スマートフォン、データセンター、AI、ドローン、衛星、IoT機器。

一見すると別々に見える技術も、それらを安全につなぐ「通信」がなければ機能しません。NICTは、その通信基盤そのものを研究する場所です。

実用情報

NICTの次世代通信研究を理解するとき、押さえておきたいポイントは次の通りです。

  • 組織名:国立研究開発法人情報通信研究機構
  • 英語名:National Institute of Information and Communications Technology
  • 略称:NICT
  • 読み方:エヌアイシーティー
  • 主な研究分野:情報通信、Beyond 5G・6G、サイバーセキュリティ、量子通信、AIなど
  • 2026年6月の成果:既設光ファイバで毎秒450テラビット伝送
  • 利用周波数帯域:42.4テラヘルツ
  • 使用した光信号:1,273波長
  • 実証場所:英国ロンドン市内の既設光ファイバ
  • 研究が目指す時代:2030年代以降の次世代通信社会

まとめ

情報通信研究機構NICTが進めているのは、単に「今より速いインターネット」を作る研究ではありません。

2026年には都市に敷設されている既存光ファイバを使い、毎秒450テラビットという世界記録を達成。さらに空や宇宙まで含めたBeyond 5G・6Gの通信網、そしてそのネットワークを守るサイバーセキュリティまで研究しています。

2030年代には、家、車、ロボット、ドローン、衛星などが当たり前のようにつながる社会が想定されています。

その未来を実現するために必要なのが、「大量の情報を一瞬で、安全に、途切れず届ける」通信技術です。

現在使っている光ファイバの性能をさらに引き出す研究も、その未来へ向かう重要な一歩となっています。

参考リンク

・NICT「都市の既設光通信インフラで毎秒450テラビット伝送の世界記録を実証」

・NICT Beyond 5G(6G)基金事業

・NICT「家庭用IoT機器を悪用するレジデンシャルプロキシの現状」


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