雨水でラーメンがおいしくなる!福井工業大学・笠井利浩教授の研究
2026年10月12日放送の『カズレーザー&石井亮次も知らない神研究!シャーベル賞』に、福井工業大学の笠井利浩(かさい・としひろ)教授が登場します。
研究テーマは「ラーメンが美味しくなる水」。その正体は、適切に集めて浄化した雨水です。
笠井教授の研究室では、雨水が持つ超軟水という特徴を生かし、だしの風味を引き立てる「雨水ラーメン」を開発しました。
2025年11月22日には福井市で試食会を開催。「麺屋 天水堂」の名前で提供されたラーメンは、約150人が訪れたイベントで好評を集めました。
しかし、これは単なる変わったラーメン作りではありません。
雨水を飲み水として活用する技術の開発、長崎県五島列島での水供給システムの整備、雨水から作った飲料の商品化など、長年の研究が1杯のラーメンにつながっています。
この記事でわかること
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「雨水ラーメン」の正体と「麺屋 天水堂」の取り組み
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超軟水の雨水がラーメンの味に与える特徴
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笠井利浩教授が雨水研究を始めたきっかけ
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長崎県赤島での水供給システムと雨水飲料の開発
雨水ラーメン「麺屋 天水堂」は2025年に福井市で提供

福井工業大学環境学部環境食品応用化学科の笠井研究室は、2025年11月22日、福井市で雨水を使ったラーメンの試食会を実施しました。
このラーメンは、雨の日に集めた水を適切に浄化・管理し、料理に使える状態にしたものです。
大学の研究紹介資料では、ラーメンを提供した取り組みが「麺屋 天水堂」として紹介されています。
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名称:麺屋 天水堂「雨水ラーメン」
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研究者:福井工業大学・笠井利浩教授
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提供日:2025年11月22日
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開催地:福井県福井市
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特徴:雨水の超軟水特性を生かした和風ラーメン
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来場者:約150人
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提供形態:研究成果を紹介する試食イベント
ラーメン作りには、以前ラーメン店で働いていた共同研究先の関係者も協力しました。
出来上がったのは、だしの風味を生かした優しい味わいの一杯です。
試食した人からは、甘みや澄んだ味わいを評価する声が寄せられ、スープを最後まで飲み干す参加者も多くいました。
研究に参加した学生の杉林さんも、こってりしすぎない和風ラーメンとして、その食べやすさを紹介しています。
雨水ラーメンは、単なる料理の試作にとどまらず、水の価値を味覚から体験してもらう取り組みになりました。
雨水は「超軟水」!ラーメンのだしに向いている理由
雨水ラーメンの特徴は、水の硬度にあります。
水の硬度は、主にカルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分の量によって決まります。
ミネラル成分が少ない水は軟水、多い水は硬水と呼ばれます。
雨水は地中の岩石や土壌を長く通過していないため、一般的にミネラル成分が少なく、非常に軟らかい水です。
こうした水には、日本料理のだしを取るうえでも特徴があります。
昆布などに含まれるうま味成分は、水の硬度によって抽出のされ方が変わります。特に軟水は、昆布のうま味を引き出すのに適しているとされています。
笠井研究室が着目したのも、雨水の超軟水という性質でした。
ラーメンの味は、麺や具材だけでなく、スープに使う水によっても変わります。
今回の雨水ラーメンでは、その特徴を生かして、だしを感じやすい優しい味わいに仕上げました。
ただし、雨水ならどんなラーメンでもおいしくなるという意味ではありません。
水の種類と、だしの材料や調理方法との組み合わせが重要です。
笠井利浩教授が雨水の研究を始めたきっかけ
笠井利浩教授は、1968年に京都府で生まれました。
山口大学で資源工学を学び、その後、大学教員として研究活動を続けてきました。
現在は福井工業大学の教授として、雨水の活用技術や環境問題に取り組んでいます。
笠井教授が雨水の研究に進むきっかけとなったのは、農業への取り組みでした。
研究者として進む道を模索していた時期に、長く変わらない、人間の生活の根本に関わるものを研究したいと考えた笠井教授。
その対象として選んだのが米作りでした。
耕作放棄地を購入し、田んぼ作りから始めて、数年かけて稲作に取り組みました。
そして、水路の掃除をしているときに夕立に遭遇します。
そこで、米を育てるために欠かせない水の源が雨であることに着目しました。
普段は当たり前のように降ってくる雨を、生活を支える重要な資源として捉える。
この発想が、後の雨水利用システムや飲料開発につながっていきます。
長崎県・赤島で3年かけて作った雨水供給システム
笠井教授の研究で大きな成果となったのが、長崎県五島市の赤島で進められた「五島列島赤島活性化プロジェクト」です。
赤島は、水道水の供給がなく、生活用水を雨水に頼ってきた島です。
島の暮らしを支えるには、雨水を安定して集め、安全に使える状態にする仕組みが必要でした。
そこで笠井教授は、学生や他の研究室と協力し、2017年から雨水供給システムの整備に取り組みました。
作業は3年間にわたり、段階的に進められました。
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1年目:雨水を集めるための土地の整備と集水設備の設置
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2年目:3トンの雨水タンクを2基設置
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3年目:島の宿泊施設まで約100mの配水管を整備
この取り組みでは、雨水を集めるための設備「雨畑」を設け、タンクにためた水を浄化して供給する仕組みを構築しました。
配管の埋設や設備の設置なども、学生たちと協力して進めています。
雨水は、雨が降った瞬間に流してしまうものではなく、適切に集めて蓄えることで生活を支える資源になります。
赤島での取り組みは、その考え方を実際の生活環境で形にしたものでした。
雨水から「あまみずドリンク」を開発
赤島での水供給システムに続き、笠井教授が取り組んだのが、雨水の飲料化です。
その成果が「あまみずドリンク」です。
福井工業大学では、笠井研究室を中心に、デザイン分野の研究室などとも協力し、雨水から飲料を作るプロジェクトを進めました。
2022年には、大学構内で集めた雨水を浄化して飲料の原料とし、地元の飲料メーカーと協力して約7,200本を製造しました。
開発された飲料は次の3種類です。
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あまみずウォーター
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あまみずソーダ
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あまみずサイダー
集めた雨水は、飲料に使えるように処理され、必要な水質基準を満たしたものです。
この取り組みの目的は、雨水を使った珍しい飲み物を販売することだけではありません。
飲むという身近な体験を通じて、雨水が利用できる資源であると知ってもらうことでした。
「あまみずドリンク」は試験販売やイベントでの提供も行われ、雨水利用を広く伝える活動に活用されています。
そして、飲料からさらに料理へと用途を広げた取り組みが、2025年の雨水ラーメンでした。
雨水を飲める水に変える浄化技術
雨水は自然に降ってくる水ですが、降った雨をそのまま飲んでよいわけではありません。
雨が地面や建物に触れると、ほこり、汚れ、微生物などが混入することがあります。
そのため、飲料や料理に使うには適切な集水・浄化・水質管理が欠かせません。
笠井研究室では、雨水の集め方や浄水方法の開発を続けています。
雨水飲料の開発では、集めた雨水をろ過・浄化し、水質検査を行ったうえで飲料の原料にしています。
雨水ラーメンでも、集めた雨水を適切に処理・管理した水が使用されました。
大切なのは、雨水の特徴を利用することと、安全に飲用できる水にすることは別の技術的課題であるという点です。
一般家庭の雨水タンクにたまった水を、そのままラーメンのスープや飲料に使用することは避ける必要があります。
笠井教授の研究は、水質管理を前提に、雨水の利用範囲を広げようとするものです。
雨水タンク「PURE EDEN」など実用技術にも発展
笠井教授の研究成果は、食べ物や飲み物だけではありません。
雨水を貯留して生活に役立てる設備の開発にも広がっています。
その1つが、デンカアステック株式会社と共同開発した壁掛け式雨水タンク「PURE EDEN(ピュアエデン)」です。
この製品は、建物の壁面などの空きスペースを利用して設置できる雨水タンクで、トイレの洗浄水などに雨水を使用することを目的としています。
2024年度のグッドデザイン賞も受賞しました。
また、雨水タンクをIoT技術で遠隔監視・制御するシステムの開発も進められています。
こうした技術は、平常時の節水に加え、災害時の生活用水確保などにも関わるものです。
飲用目的の雨水と、トイレ洗浄などに使う生活用水では、必要な水質や設備が異なります。
笠井教授の研究では、利用目的に応じた技術を開発することで、雨水をもっと身近な資源に変えようとしています。
雨水ラーメンの販売・店舗情報
雨水ラーメンを食べてみたい人にとって気になるのが、提供場所です。
確認できる開催実績は次のとおりです。
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企画名:麺屋 天水堂「雨水ラーメン」
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主催・研究:福井工業大学・笠井研究室
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試食会開催日:2025年11月22日
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開催地域:福井市
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内容:適切に浄化した雨水を利用する和風ラーメンの試食
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店舗形態:研究成果を紹介する試食イベント
「麺屋 天水堂」は、この研究活動に関連して紹介された名称です。常設のラーメン店として営業していることを示す情報ではありません。
この企画の魅力は、飲食店としての話題性以上に、研究技術を実際の食べ物として体験できる点にあります。
まとめ
笠井利浩教授が研究する「ラーメンがおいしくなる水」の正体は、適切に浄化された超軟水の雨水です。
2025年11月には、雨水の特徴を生かした「麺屋 天水堂」の雨水ラーメンが福井市で提供され、だしの風味を生かした味わいが参加者から評価されました。
この研究の背景には、田んぼ作りから始まった水への関心、五島列島・赤島での雨水供給システム、そして「あまみずドリンク」の開発があります。
普段は流してしまう雨を、水道水とは別の新しい資源として利用する。
1杯のラーメンには、そんな笠井教授の長年の研究成果が詰まっています。
参考リンク
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