京都・宇治の宝蔵院は600円のラーメンで約6万枚の経典版木を守る寺
京都府宇治市の黄檗山宝蔵院(ほうぞういん)では、1杯600円の「寺そば」を提供し、その収益の一部を国の重要文化財「鉄眼版一切経版木」の保全に役立てています。
寺そばは、肉や魚などの動物性食材を使用しないヴィーガンラーメン。2022年10月13日に販売を開始し、現在は土曜日・日曜日を基本に、11時から14時まで1日30食限定で提供しています。
2026年10月11日放送のテレビ大阪『日経スペシャル もしものマネー道 もしマネ』では、重要文化財を守るためにラーメン販売へ乗り出した宝蔵院の取り組みが紹介されます。
宝蔵院が所蔵しているのは、江戸時代の僧侶・鉄眼道光(てつげんどうこう)が完成させた約6万枚の木版印刷用の版木。そのうち4万8275枚が国の重要文化財に指定されています。
しかし、収蔵棚の老朽化や版木の劣化が課題となり、保存環境の改善には多額の費用が必要です。
そこで住職の盛井幸道(もりい・こうどう)さんが始めたのが、文化財保護のための「鉄眼プロジェクト」でした。
この記事でわかること
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宝蔵院「寺そば」の料金・営業時間・予約方法・アクセス
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動物性食材を使わない600円の精進ラーメンの特徴
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鉄眼禅師が17年かけて完成させた約6万枚の経典版木
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盛井幸道住職が始めた文化財保護と寺そば誕生の背景
宝蔵院の寺そばは600円!土日限定・1日30食で提供

京都府宇治市にある宝蔵院の「寺そば」は、2022年から提供されている寺院独自のラーメンです。
一般的なラーメンと異なり、豚骨や鶏ガラ、魚介類などの動物性食材を使用していません。
植物性食材だけで仕上げたスープに、季節に合わせた味付けと色鮮やかな具材を組み合わせています。
寺そばの基本情報
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商品名:寺そば(ヴィーガンラーメン)
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通常料金:600円
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大盛り(1.5玉):700円
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提供時間:11:00〜14:00
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基本営業日:土曜日・日曜日
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提供数:1日30食限定
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予約:予約なしでも利用可能
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電話予約:予約客優先
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電話番号:0774-31-8026
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場所:京都府宇治市五ケ庄三番割34-4
2025年6月から、営業日が従来の木・金・土曜日から土・日曜日へ変更されました。
ただし、臨時休業や季節休業があります。2026年10月の個別営業日は、訪問前に宝蔵院の営業案内で確認してください。
また、寺そば以外にも、もち米入りひじきの炊き込みごはんを1パック200円で提供しています。
こちらは1日11パック限定です。
寺そばのスープは昆布・椎茸など11種類の植物性食材で作る
寺そばの特徴は、動物性食材を使用しないことです。
スープには昆布、椎茸、大根など、11種類の植物性食材が使われています。
さらに、白醤油、日本酒、みりん、砂糖などを組み合わせています。
寺そばは、一般的な精進料理の考え方を取り入れながら、現代の人にも親しみやすいラーメンとして考案されました。
もう1つ特徴的なのが、季節によって味付けが変わることです。
寺そばの季節別の味
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春:淡口しょうゆ味
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夏:塩味
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秋:濃口しょうゆ味
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冬:味噌豆乳味
冬には、味噌と豆乳を組み合わせた「カルボナーラ風」のラーメンも提供されています。
2026年8月の寺院のお知らせでは、9月の秋分の日頃から秋の濃口しょうゆ味へ切り替える予定が案内されていました。
このように季節で味が変わるため、訪れる時期によって異なる寺そばを楽しめます。
5色のトッピングは仏教の教えに由来する
寺そばは、具材の盛り付けにも仏教の文化が取り入れられています。
黄檗宗では、仏前のお供えなどに「五色(ごしき)」を用いる伝統があります。
基本となる色は、青・黄・赤・白・黒の5色です。
これらは仏教において、お釈迦様の身体の色を表すものとされています。
寺そばでは、その5色を表現するために、次のような具材を使用しています。
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メンマ
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トウモロコシ
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わかめ
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白キクラゲ
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糸トウガラシ
さらに、料理の仕上げには「馬告(マーガオ)」と呼ばれる台湾の香辛料も使用しています。
馬告は独特の爽やかな香りを持つスパイスで、スープの風味にアクセントを加えます。
寺そばは、単に肉や魚を使わない料理ではありません。
仏教の五色という文化を、見た目からも感じられるように仕上げた料理です。
1杯600円の売上が重要文化財の保全活動につながる
宝蔵院が寺そばを提供する最大の目的は、重要文化財の保全です。
宝蔵院には、江戸時代に作られた「鉄眼版一切経版木」が保存されています。
版木とは、文字や絵を木の板に彫り、紙へ印刷するために使うものです。
現在は印刷技術が発達していますが、江戸時代には書物を大量に複製する重要な技術でした。
宝蔵院には約6万枚もの版木が残されています。
その中には国の重要文化財に指定された4万8275枚も含まれています。
しかし、文化財を維持するためには、保存場所の管理、収蔵棚の更新、調査、修復などに費用がかかります。
現在の収蔵庫は1961年に建てられた建物で、長年使用してきた版木の収蔵棚が老朽化しています。
また、適切な方法で保管しなければ、木製の版木が反ってしまうなどの問題も生じます。
こうした課題に対応するため、宝蔵院は寺そばの売上から必要経費を差し引いた分を、文化財の保全保護活動に役立てています。
ラーメンを食べるという身近な行動が、約350年前の文化財を未来へ残す支援につながる仕組みです。
鉄眼禅師は17年かけて仏教の経典を木版印刷した
宝蔵院の歴史は、江戸時代の僧侶・鉄眼道光の活動に始まります。
鉄眼は、仏教の経典を広く世の中に伝えたいと考えていました。
当時、日本で経典を広めるためには、手で書き写すなど、多くの時間と労力が必要でした。
そこで鉄眼が目指したのが、木版印刷による大量の経典の製作です。
師である隠元禅師から寺地を与えられ、1669年に現在の宝蔵院につながる蔵板所と印刷所を設けました。
しかし、膨大な数の版木を製作するには、多額の資金が必要でした。
鉄眼は全国を行脚して寄付を募り、事業を進めました。
その途中、大きな飢饉に見舞われます。
鉄眼は、集めた資金を困窮した人々の救済に使いました。
しかも、そのような救済活動は2度に及びました。
そのたびに資金集めをやり直しながら、経典の製作を続けたのです。
最終的に、発願から17年を経た1678年に版木が完成しました。
この版木によって作られた経典が「鉄眼版一切経」です。
鉄眼はその後、1682年に53歳で亡くなりました。
その墓は現在も宝蔵院にあります。
約6万枚の版木は明朝体と400字詰め原稿用紙にもつながる
鉄眼版一切経版木は、仏教の歴史だけでなく、日本の文字文化を考えるうえでも重要な存在です。
宝蔵院に保管されている版木には、一定の規格があります。
版木の主な特徴
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縦:約26cm
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横:約82cm
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厚さ:約1.8cm
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材料:奈良・吉野の桜
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版木の総数:約6万枚
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国指定重要文化財:4万8275枚
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経典の総巻数:6956巻
版木の両面には、整然と文字が彫られています。
片面には、20字×10行の文字列が左右に2つ配置されています。
この形式は、現在の400字詰め原稿用紙の規格につながるものとして紹介されています。
さらに、使用されている書体は、現在の明朝体につながる書体です。
普段何気なく読んでいる本や新聞、文章作成に使う文字の歴史にも、鉄眼版一切経は関わっています。
約6万枚の版木は、江戸時代の仏教文化を伝えるだけでなく、出版や印刷の歴史を知るための資料でもあります。
盛井幸道住職が2020年に「鉄眼プロジェクト」を開始
重要文化財を守るため、宝蔵院では2020年6月1日に「鉄眼プロジェクト」を始めました。
中心となったのが住職の盛井幸道さんです。
このプロジェクトの目的は、収蔵されている版木を適切な状態で保存し、次の世代へ引き継ぐことです。
具体的には、老朽化した収蔵棚の更新や、すべての版木を確認する悉皆調査などを目指しています。
しかし、数万枚に及ぶ版木の保存作業には大きな費用が必要です。
その資金を確保するため、宝蔵院ではさまざまな活動に取り組んできました。
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文化財に関する講演や法話
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収蔵庫の特別拝観
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文化行事やイベント
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寄付の募集
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寺そばの販売
その中でも、多くの人が気軽に参加できる取り組みとして生まれたのが、寺そばです。
専門知識がなくても、ラーメンを食べることを通して文化財保護に参加できる仕組みとなっています。
2022年に寺そばが誕生!ボランティアが支えるお寺の飲食事業
寺そばの提供が始まったのは2022年10月13日です。
メニューを考案したのは、宝蔵院で活動するボランティアスタッフでした。
お寺ならではの料理として、動物性食材を使わない精進ラーメンを作り上げました。
寺院で食べる料理として親しみやすい「寺そば」という名称を付け、1杯600円で提供を開始しました。
この事業では、料理の提供そのものだけでなく、寺院の歴史や保存している文化財を知ってもらうことも大切にしています。
ラーメンを食べに訪れた人が、宝蔵院の存在や鉄眼禅師の活動を知るきっかけにもなります。
2026年現在、寺そばは1日30食限定です。
大量に販売する飲食事業ではありませんが、寺院と訪れる人々が新しい形でつながる活動として続けられています。
宝蔵院の収蔵庫は通常非公開!特別拝観で見学する仕組み
寺そばを目当てに宝蔵院を訪れる際には、文化財の見学についても知っておきたいことがあります。
宝蔵院の「鉄眼版一切経版木収蔵庫」は、通常は一般公開されていません。
これは、約6万枚に及ぶ貴重な版木を保存している施設だからです。
宝蔵院では、特別公開日を設けて収蔵庫を案内することがあります。
過去の特別拝観では、1人500円の拝観料で版木の説明を受けられる機会が設けられていました。
ただし、寺そばの営業日に必ず収蔵庫を見学できるわけではありません。
文化財の特別公開が行われる日程は、宝蔵院の公式サイトで案内されます。
寺そばの利用と文化財見学は、別々に予定を確認することが大切です。
宝蔵院へのアクセスは京阪黄檗駅から徒歩2分
宝蔵院は、京都府宇治市にある黄檗宗大本山萬福寺の塔頭寺院です。
塔頭とは、大きな寺院の境内や周辺に設けられる小寺院のことです。
宝蔵院の基本情報
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寺院名:黄檗山宝蔵院
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読み方:おうばくさんほうぞういん
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所在地:京都府宇治市五ケ庄三番割34-4
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電話番号:0774-31-8026
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最寄り駅:京阪宇治線「黄檗駅」
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京阪黄檗駅から:徒歩約2分
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JR奈良線「黄檗駅」から:徒歩約4分
車でのアクセス
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京滋バイパス「宇治東IC」から約5分
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京滋バイパス「宇治西IC」から約10分
宝蔵院は萬福寺に隣接する場所にあります。
萬福寺には、中国・明朝様式の影響を受けた建物や数多くの文化財があり、2024年には主要な建造物が国宝に指定されました。
寺そばを目的に訪れる場合も、近くの萬福寺とあわせて歴史を知ることができます。
寺そばの料金・予約・営業日の実用情報
寺そば
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料金:600円
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大盛り:700円
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営業時間:11:00〜14:00
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基本営業日:土曜日・日曜日
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1日の提供数:30食
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予約:不要、電話予約優先
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予約・問い合わせ:0774-31-8026
追加メニュー
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もち米入りひじきの炊き込みごはん:200円
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提供数:1日11パック限定
訪問時の注意事項
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臨時休業や季節休業あり
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売り切れ次第終了
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季節によってラーメンの味が変更
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収蔵庫の見学は通常営業とは別に案内
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営業予定は宝蔵院公式サイトで確認
30食限定のため、確実に寺そばを食べたい場合は、事前に電話で営業日と予約状況を確認すると安心です。
まとめ
京都府宇治市の宝蔵院では、国の重要文化財「鉄眼版一切経版木」を守るため、1杯600円の精進ラーメン「寺そば」を提供しています。
寺そばは、動物性食材を使わず、昆布や椎茸などの植物性食材を中心に作られたヴィーガンラーメンです。
営業は土日を基本とし、1日30食限定。季節によってスープの味が変わることも特徴です。
宝蔵院に収蔵される版木は約6万枚。そのうち4万8275枚が国の重要文化財に指定されており、保存設備の老朽化に対応する必要があります。
約350年前に鉄眼禅師が17年かけて完成させた文化財を、現代では1杯のラーメンを通して守ろうとしている。
これが宝蔵院の「寺そば」に込められた取り組みです。
参考リンク
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