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日本女子大学のチョコレート官能評価!松尾栞奈さんが解明した甘味・苦味・渋味の関係【どえらい大学。】

どえらい大学。

日本女子大学のチョコレート研究!おいしさを科学する官能評価の世界

NHK Eテレで2026年10月15日に放送される『どえらい大学。』では、日本女子大学のユニークな研究活動が紹介されます。そのなかで東京ホテイソンのたけるさんが体験するのが、食品業界でも活用されている「官能評価」です。

官能評価とは、人間の味覚や嗅覚などを使って、食品の特徴を調べる評価方法のことです。

日本女子大学では、チョコレートの甘味・苦味・渋味の関係を研究し、2024年に日本官能評価学会の学会優秀発表賞を受賞した実績があります。

この研究を中心となって進めたのが、大学院生の松尾栞奈さんです。

普段何気なく食べているチョコレートのおいしさには、甘さや苦さが複雑に影響し合う仕組みが隠されています。

この記事でわかること

  • 日本女子大学で研究されている官能評価の仕組み

  • チョコレートの甘味・苦味・渋味について判明したこと

  • 学会優秀発表賞を受賞した松尾栞奈さんの研究と経緯

  • 官能評価を学べる研究室と食品開発への応用

官能評価とは人間の五感を使って食品の特徴を調べる技術

日本女子大学で官能評価を行う研究者の公式写真

出典:日本女子大学 JWU Times

官能評価とは、食品の味、香り、見た目、食感などを、人間の感覚を利用して評価する方法です。

食品には糖分や塩分など、機械で数値化できる成分があります。しかし、成分の量が分かっただけでは、人間が実際にどのような味を感じるのかを十分に説明できません。

例えば、同じような甘さを持つ食品でも、苦味や香りが加わると、食べたときの印象は変わります。

そこで重要になるのが、人が実際に味わって評価する官能評価です。

食品研究では、評価する条件をそろえ、複数の参加者から得た結果を分析することで、個人の感想だけでは分からない特徴を調べます。

日本女子大学の研究では、この方法を使ってチョコレートの味の成り立ちを追究しています。

チョコレートは甘味と苦味を混ぜると味の強さが変化する

日本女子大学の研究で明らかになったのは、チョコレートの甘味・苦味・渋味が、それぞれ独立して感じられるわけではないということです。

2024年の学会で発表された研究では、次のような結果が得られました。

  • 甘味と苦味:混ぜ合わせると、それぞれの味の強さが弱まる

  • 甘味と渋味:混ぜ合わせると、それぞれの味の強さが弱まる

  • 渋味と苦味:渋味が苦味を強める作用を持つことを示唆

  • カカオ分の違い:濃度によって甘味・苦味・渋味の強さに差が生じる

ここで重要なのは、単純に砂糖の量だけでチョコレートの甘さが決まるわけではないという点です。

苦味や渋味との組み合わせによって、人が感じる甘さの強さも変化します。

特に興味深いのは、渋味と苦味の関係です。甘味には苦味を弱める方向の作用がある一方で、渋味には苦味を強める方向の作用が示されました。

チョコレートの味を考えるには、それぞれの成分だけでなく、組み合わさったときの感じ方まで調べる必要があるのです。

17人が2回ずつ評価したチョコレート研究の実験方法

今回の研究では、実際のチョコレートを食べ比べるだけではなく、味の特徴を再現した溶液が使われました。

研究対象となったのは、次の3種類です。

  • 甘味:スクロース

  • 苦味:カフェイン

  • 渋味:テオブロミン

まず、カカオ分70%のチョコレートを基準に、これらの味に相当する溶液を調製しました。

それぞれを単独で味わった場合と、複数を混ぜ合わせた場合とを比較し、味の強さがどう変化するかを調べています。

甘味の場合は、甘味のみの溶液を基準として、甘味と苦味、甘味と渋味、3種類すべてを混ぜた場合を比較しました。

苦味と渋味についても同様に調べ、さらにカカオ分60%・70%・80%に相当する条件での違いを確認しています。

評価には研究室の学生17人が参加しました。

1人につき2回ずつ実施し、合計34回分のパネル評価データを集めています。

このように条件を細かく分けることで、どの味の組み合わせが感じ方に影響しているのかを調べられるようになります。

なぜ本物のチョコレートではなく味覚溶液を使ったのか

研究方法の大きな特徴は、チョコレートそのものではなく、味覚溶液を用いたことです。

実際のチョコレートには油脂が含まれており、その性質によって苦味や渋味の感じ方が緩和されます。

さらに、チョコレート特有の香りも味の印象に影響します。

そのため、実物を食べるだけでは、甘味・苦味・渋味が互いにどう作用しているのかを切り分けることが難しくなります。

松尾さんは、こうした影響を取り除き、根本にある味の働きを詳しく調べるため、味覚溶液を利用しました。

つまり、研究の目的は好きなチョコレートを決めることではありません。

チョコレートをおいしいと感じる仕組みのうち、味そのものの相互作用を解き明かすことにあります。

食品開発でも、商品の味を改良するときには、甘味料を増減するだけでなく、苦味や香り、食感など複数の条件を考える必要があります。

官能評価は、そうした設計を科学的に考えるための重要な手段です。

松尾栞奈さんがチョコレート研究を始めたきっかけ

この研究を進めた松尾栞奈さんは、2025年6月に公開された大学のインタビュー当時、日本女子大学大学院家政学研究科食物・栄養学専攻の2年生でした。

松尾さんが日本女子大学に関心を持ったのは、高校1年生のころです。

大学のパンフレットを見た際、大好きなチョコレートについて研究していることを知りました。

食べ物を単に味わうだけでなく、科学的に研究できることが進路選択のきっかけになったのです。

入学後は、調理学や食品学、食品包装学などを学び、大学院へ進みました。

学部生のころには、チョコレートでコーティングされたアイスバーについて研究していました。

しかし、大学院進学に際してそのテーマを後輩に引き継ぎ、新しい研究課題を探すことになります。

そこで着目したのが、食品のおいしさの根本となる「味」でした。

チョコレートの研究は幅広く行われているものの、甘味・苦味・渋味の混合作用には、まだ十分に明らかになっていない部分がありました。

松尾さんは、その関係を詳しく調べる研究に取り組みました。

2024年に日本官能評価学会の学会優秀発表賞を受賞

研究が評価されたのは、2024年11月9日に開催された日本官能評価学会2024年大会です。

発表テーマは「3種の味覚溶液の混合作用に関する官能評価について」。

発表者は、松尾栞奈さん、当時助教だった平井智美さん、飯田文子教授の3人です。

この研究が学会優秀発表賞を受賞しました。

発表では、味覚溶液を使ってチョコレートの甘味・苦味・渋味の相互作用を分析した成果が示されています。

松尾さんは50分間のポスター発表を通じて、多くの研究者から質問や助言を受けました。

大学院での研究を発展させるうえでも、重要な機会となった受賞でした。

松尾さんが目指しているのは、食品の味や香りを解明し、おいしさを感じる理由を科学的に説明できるようにすることです。

その知識を将来の食品開発にも役立てたいという目標を持っています。

飯田文子教授の研究室ではチョコレート以外の食品も研究

松尾さんの研究を指導した飯田文子教授は、日本女子大学食科学部食科学科で、調理学・食味評価学・食生活学を専門としています。

研究分野には、食品官能評価のほか、牛肉、チョコレート、チョコレートアイスバーなどがあります。

研究の中心にあるのは、人がおいしいと感じる食品の特徴を明らかにすることです。

例えば、牛肉では調理方法によるうま味成分の違いが研究対象となっています。

チョコレートについても、カカオ豆の違いと味の特徴などが研究されています。

こうした研究は、味を作り出す材料や製法を考える際にもつながります。

日本女子大学の食科学科では、食品学・調理学・栄養学の3分野を軸に、実験や実習を通して食品に関する知識を学べます。

食品の研究開発や品質評価に関心がある人にとって、官能評価は大学で学べる専門技術の1つです。

家庭でもチョコレートの味の違いを観察できる

官能評価の考え方は、普段のお菓子選びにも応用できます。

例えば、カカオ分の異なるチョコレートを食べ比べる際、単純に好き嫌いだけで判断するのではなく、感じた特徴を分けて記録します。

観察するポイントは次のとおりです。

  • 甘味の強さ

  • 苦味の強さ

  • 渋味の感じ方

  • 口の中に残る味

  • 香りの印象

  • 口溶けや食感

同じ条件で少量ずつ味わい、評価を記録すると、自分がどの特徴を好んでいるのかを整理しやすくなります。

もちろん、家庭での食べ比べは、大学で行われる厳密な官能評価とは異なります。

それでも、普段の「おいしい」という感覚を具体的な言葉に分けて考えることは、食品研究の面白さを知る入り口になります。

実用情報

  • 研究機関:日本女子大学

  • 関連学科:食科学部食科学科

  • 研究分野:調理学・食味評価学・食生活学

  • 関連研究者:飯田文子教授

  • 学会受賞:日本官能評価学会2024年大会・学会優秀発表賞

  • 研究テーマ:3種の味覚溶液の混合作用に関する官能評価について

まとめ

日本女子大学のチョコレート研究では、人間の感覚を利用する官能評価によって、甘味・苦味・渋味の複雑な関係が調べられています。

松尾栞奈さんらの研究では、甘味と苦味、甘味と渋味を混ぜ合わせることで、それぞれの味の強さが弱まることが明らかになりました。

また、渋味が苦味を強める作用も示され、2024年には学会優秀発表賞を受賞しています。

身近なチョコレートを入り口に、食品のおいしさを科学的に解明する。日本女子大学の官能評価研究は、普段の食生活と食品開発をつなぐ興味深い研究です。

参考リンク

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