オバケ調査は物件の不安を見える形にするサービス
人が亡くなった部屋だと知らされたとき、「清掃や修繕は済んでいるのか」「夜に異常は起きないのか」と不安になる人は少なくありません。オバケ調査は、事故物件に調査員が滞在し、映像や音、温度などを記録して、入居者や所有者が感じる不安の軽減を目指すサービスです。『気づきの扉(事故物件の価値回復…「オバケ調査」)(2026年8月7日)』でも取り上げられ注目されています。
この記事でわかること
・オバケ調査で実際に確認する内容
・カチモードと児玉和俊さんの経歴
・調査料金と証明書が発行される条件
・事故物件の告知義務との違い
NHK【所さん!事件ですよ】怪談が令和で大進化!実話怪談・タクシーツアー・調査の現場へ|2025年6月7日放送
オバケ調査は事故物件の室内環境と異常の有無を確認するサービス
結論からいうと、オバケ調査は幽霊の存在を科学的に証明する検査ではありません。
事故物件に調査員が最低一晩滞在し、映像、音声、電磁波、温度、湿度、風の動きなどを記録して、室内で説明しにくい現象や設備上の異常が起きていないかを確認する民間サービスです。
調査では、目に見えないものだけを探しているわけではありません。
室内の汚損や破損が適切に修復されているか、臭いが残っていないか、生活を始められる状態になっているかといった、現実的な部分も確認されます。
カチモードは、調査の目的を大きく次の2つに分けています。
・室内の汚れ、臭い、設備、建物構造などに関する物理的な不安の確認
・人が亡くなった経緯や、その後に行われた対応が分からないことによる精神的な不安の軽減
「オバケ」という名前だけを見ると、怪談や心霊調査を想像しやすいかもしれません。
しかし、実際には事故発生後の対応を確認し、物件を再び貸したり使用したりするための情報を整理する、不動産コンサルティングに近い役割があります。
たしかに、名前だけ聞くと少し変わったサービスに感じます。ところが、所有者や入居希望者の立場で考えると、「異常はありません」と口頭で言われるだけでなく、どのような調査を行ったのかを資料で確認できることには一定の安心感があります。
運営するカチモードと児玉和俊さんはどんな人物なのか
オバケ調査を提供しているのは、株式会社カチモードです。
カチモードは心霊調査だけを行う会社ではなく、事故物件を中心とした不動産コンサルティング会社です。
物件内で死亡事故が発生した際の対応として、次のような業務を扱っています。
・安否確認
・遺族の探索や連絡
・特殊清掃
・遺品整理や遺品買取
・リフォーム
・供養
・入居者の再募集
・事故物件の運用に関する提案
代表を務める児玉和俊さんは、2007年から約15年間、賃貸不動産管理の仕事に携わり、7,000室を超える物件の管理に関わってきた人物です。
1979年生まれで、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、相続支援コンサルタントなどの資格を持ち、2022年12月にカチモードを設立しました。
児玉和俊さんがオバケ調査を始めた背景には、死亡事故が起きた部屋が、清掃や修繕を終えても「何か起きるのではないか」という心理的な抵抗から避けられ、空室や家賃低下につながる問題があります。
人が亡くなった事実そのものは変えられません。
一方で、事故後に何が行われたのか、室内がどのような状態なのか、夜間に異常が確認されたのかを資料として示すことはできます。
個人的には、ここがこのサービスを理解するうえで大切だと感じます。オバケがいるかどうかを断定するのではなく、分からないことを1つずつ確認し、物件への漠然とした不安を小さくしていく取り組みと考えると分かりやすいでしょう。
サーモグラフィや電磁波測定で確認する項目
オバケ調査では、調査員が物件内に最低一晩滞在し、複数の機器を使って室内の変化を記録します。
公式に示されている主な調査項目は、次のとおりです。
| 調査項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 映像録画 | 人や物の動き、光、影などの変化 |
| 音声録音 | 物音、設備音、外部から入る音 |
| 電磁波調査 | 室内の電磁波数値の変化 |
| 温度・湿度調査 | 急な温度変化や湿度の偏り |
| 風力調査 | 窓や換気設備、隙間からの空気の動き |
| 室内確認 | 臭い、汚損、破損、設備や建物の状態 |
サーモグラフィが使われる場合は、室内の表面温度の違いを画像として確認できます。
ただし、温度が低い場所が映ったからといって、すぐに心霊現象だと判断できるわけではありません。
壁の断熱状態、窓からの冷気、エアコン、換気口、水道管、日当たりなどによっても温度差は生じます。
電磁波についても同様です。
電化製品、配線、分電盤、無線機器などが数値へ影響することがあります。そのため、通常と違う数値が出た場合は、その場の設備や周辺環境と照らし合わせて考える必要があります。
また、夜中に聞こえる足音のような音が、実際には給排水管の伸縮音や隣室の生活音だったということも考えられます。
初めて住む部屋では、小さな音でも気になりやすいものです。特に事故物件だと知らされていれば、普段なら気にしない音まで怖く感じてしまうかもしれません。
調査の価値は、珍しい数値を見つけることだけではなく、不安に感じる現象を建物や設備の問題として説明できるか確認することにもあります。
オバケ不在調査証明書はどんな場合に発行されるのか
調査後には、調査結果をまとめた証明書と報告書が発行されます。
カチモードでは、調査の結果、オバケと判断するような異常を発見できなかった場合に、異常がなかったことを示す証明書を発行しています。
一般にオバケ不在調査証明書と呼ばれているものです。
報告書には、次のような内容が記載されます。
・事故が発生した経緯
・調査時の室内状況
・映像や音声の確認結果
・温度、湿度、電磁波などの測定値
・異常な数値が出た場合の状況
・再募集や物件運用に関する提案
ここで注意したいのは、証明書が「幽霊は絶対に存在しない」と科学的に保証するものではないことです。
調査を実施した時間と方法の範囲で、異常と判断される現象を確認できなかったことを示す資料と考えるのが適切です。
また、証明書が発行されなかったからといって、ただちに心霊現象が確認されたと決まるわけでもありません。
機器の不具合、周辺環境、設備の異常、調査の中断など、さまざまな事情が考えられます。判断に迷う結果が出た場合は、何が記録され、どのような説明がされたのかを報告書で確認する必要があります。
たしかに「不在証明」という言葉を見ると、何も存在しないことを完全に証明したように感じます。
実際に依頼するときは、証明書の名称だけで判断せず、調査日時、使用した機器、測定場所、確認された現象、再調査の必要性まで読むことが大切です。
調査料金は8万円+税からで依頼前に見積もりを確認する
カチモードが公表している料金は、次のとおりです。
| 内容 | 公表料金 |
|---|---|
| 相談 | 無料 |
| 新規のオバケ調査 | 1日8万円+税 |
| 再調査 | 1日5万円+税 |
| 特殊物件調査 | 1日8万円+税から |
新規調査の対象として、建物所有者、管理会社、入居者などが挙げられています。
調査費用には、報告書と証明書の発行料金が含まれます。
ただし、表示料金だけで全国どこでも依頼できるとは限りません。
物件の所在地や調査内容によっては、次の費用が別途発生します。
・調査員の移動費
・宿泊費
・複数日にわたる調査費
・特殊な機器や作業に関する費用
・現場状況に応じた追加料金
追加費用が発生する場合は、事前に見積書が提示されると案内されています。
依頼方法は、公式サイトの調査依頼・無料相談フォーム、または記載されている電話番号からの問い合わせです。
実際に選ぶなら、最初の相談時に次の点を確認したいところです。
・合計金額はいくらになるか
・調査は何時間行われるか
・何人の調査員が来るか
・どの部屋や共用部分を調べるか
・どのような機器を使用するか
・報告書と証明書はいつ届くか
・異常が出た場合に再調査が必要か
・キャンセル料はいつから発生するか
・入居中でも依頼できるか
・管理会社や所有者の許可が必要か
入居者が自分で依頼したい場合も、勝手に機器を設置したり調査員を入れたりせず、賃貸借契約や管理規約を確認した方が安全です。
特に共用廊下、屋根裏、設備室、隣室との境界部分などを調べる場合は、所有者や管理会社の許可が必要になる可能性があります。
証明書があっても事故物件の告知義務が自動的に消えるわけではない
オバケ不在調査証明書が発行されても、人の死に関する告知義務が自動的に消えるわけではありません。
ここは誤解しやすいため、特に注意が必要です。
証明書は、カチモードが行った民間調査の結果をまとめたものです。
一方、不動産取引で過去の死亡事案を伝える必要があるかどうかは、死因、発生場所、特殊清掃の有無、経過した期間、売買か賃貸か、購入希望者や入居希望者から質問されたかなどによって判断されます。
国が示している主な考え方は、次のとおりです。
・自然死や日常生活中の不慮の事故死は、原則として告げなくてもよい
・ただし、発見が遅れて特殊清掃や大規模な処置が行われた場合は別の判断になる
・賃貸住宅で自死や他殺などが発生した場合、概ね3年が経過した後は原則として告げなくてもよいとされるケースがある
・売買には賃貸と同じ「概ね3年」の目安が示されていない
・買主や借主から質問された場合は、経過期間にかかわらず回答が必要になる場合がある
・社会的影響が大きいなど、相手が把握しておくべき事情があれば告げる必要がある
つまり、オバケ調査を行ったことと、宅地建物取引業者が行う告知の判断は別の問題です。
調査証明書は「事故がなかったこと」や「告知しなくてよいこと」を証明する書類ではありません。
個人的には、この記事の中でいちばん大事なのがこの点です。
安心材料として証明書を活用することはできますが、事故の事実を隠すための書類として扱ってはいけません。
所有者が売却や再募集を考えている場合は、証明書だけで判断せず、管理会社や宅地建物取引士へ次の点を確認する必要があります。
・どの出来事を告知書へ記載するのか
・どの範囲まで説明するのか
・特殊清掃の実施を伝える必要があるか
・共用部分で起きた出来事も対象になるか
・購入希望者や入居希望者から質問された場合にどう答えるか
判断が難しい事例では、不動産取引に詳しい弁護士への相談も検討した方がよいでしょう。
売却前や入居前に利用するときの注意点
オバケ調査は、所有者、管理会社、入居者のどの立場で利用するかによって、確認すべき点が変わります。
所有者や管理会社が依頼する場合
事故後の清掃や修繕が完了しているかを先に確認します。
臭いや汚損、床下への浸透、害虫、設備の故障などが残っている場合は、オバケ調査よりも特殊清掃や修繕を優先する必要があります。
また、調査を行ったからといって、必ず元の家賃で入居者が決まるとは限りません。
周辺相場、築年数、立地、間取り、事故の内容なども入居判断に影響します。調査費用と、空室期間や家賃低下による損失を比較して考えることが大切です。
入居希望者が証明書を見る場合
証明書の有無だけで判断せず、次の内容を確認します。
・いつ調査したのか
・事故からどのくらい後に調査したのか
・どの範囲を調べたのか
・特殊清掃や修繕は終わっているか
・死亡原因と発見までの期間
・臭いや設備面の問題は残っていないか
・再調査が行われているか
事故物件は相場より家賃が安い場合がありますが、すべての物件が大幅に安くなるわけではありません。
通常の家賃とほとんど変わらない場合は、設備、立地、初期費用なども含めて、ほかの物件と比較した方が納得しやすくなります。
現在の入居者が依頼する場合
物音や温度変化が気になっても、すぐに心霊現象と決めつけないことが大切です。
まずは、換気扇、給湯器、エアコン、配管、冷蔵庫、建物の収縮音、隣室の生活音などを確認します。
設備の故障や漏電、水漏れ、ガスの異常などが疑われる場合は、心霊調査よりも先に管理会社や専門業者へ連絡してください。
安全に関わる問題を「オバケかもしれない」で済ませないことが重要です。
オバケ調査が向いている人と慎重に考えたい人
オバケ調査が向いている可能性があるのは、次のような人です。
・死亡事故後の物件を再募集したい所有者
・入居希望者へ事故後の対応を具体的に説明したい管理会社
・室内の異常や設備上の原因も含めて確認したい人
・口頭説明だけでなく、測定結果をまとめた資料が欲しい人
・事故後初めて部屋へ泊まることに強い不安がある人
一方、慎重に考えたいのは、次のような場合です。
・人が亡くなった部屋には理由を問わず住みたくない
・証明書があれば事故の事実を告知しなくてよいと思っている
・設備故障や健康被害の可能性を心霊現象だと考えている
・調査を行えば必ず家賃や資産価値が戻ると期待している
・科学的に幽霊の不在を完全証明してほしい
・調査費用や追加料金を確認していない
人が亡くなった部屋だと分かっただけで強い不安を感じることは、決して不自然ではありません。
証明書を見ても気持ちが変わらない人に、無理に事故物件をすすめる必要はないでしょう。
反対に、事故の内容、清掃や修繕、室内環境、家賃などを確認したうえで納得できる人にとっては、調査報告書が判断材料の1つになる可能性があります。
オバケ調査を利用するかどうかは、「オバケを信じるか」という話だけでは決められません。
何が不安なのかを明確にし、その不安が設備点検、特殊清掃、告知内容の確認、夜間調査のどれで解消できるのかを考えることが大切です。
参考リンク
・国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」
・『告知事項あり。その事故物件で起きること』著者プロフィール
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