秋の花粉症で果物や野菜を食べたあとに口がかゆくなる理由
春だけのものと思われがちな花粉症ですが、8~10月にはブタクサやヨモギなどの花粉が飛び、食べ物との意外な組み合わせで症状が出ることがあります。『あさイチ 上野界わいブラリ旅(2026年9月3日)』でも扱われるのが、秋の花粉症と食物アレルギーの関係。メロンやスイカなどを食べた直後に口がかゆくなる「PFAS」の仕組みと注意点を整理します。
この記事でわかること
- 秋の花粉症と食物アレルギーがつながる理由
- ブタクサ・ヨモギと関連する食べ物
- 口のかゆみだけで済まない場合の注意点
- 加熱すれば食べられることがある理由
秋の花粉症でメロンやスイカを食べると口がかゆくなることがある
(出典:第一三共ヘルスケア「食物アレルギー、大人になってから発症することもあるの!?」)
花粉症のある人が特定の果物や野菜を生で食べた直後、唇や舌、口の中、のどにかゆみやしびれ、腫れを感じることがあります。
これは**花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)**と呼ばれる食物アレルギーの一種です。
原因は、花粉に含まれるアレルゲンと、果物や野菜に含まれるたんぱく質の構造が似ていること。花粉に反応するIgE抗体が、似た構造を持つ食物にも反応する「交差反応」が起こります。
つまり「花粉を吸った直後に果物を食べたから起こる」という単純なものではなく、花粉に対してアレルギーを持つ体が食べ物の成分にも反応してしまうことがポイントです。
ブタクサ花粉はメロン・スイカ・キュウリとの関連が知られている
秋に注意したい代表的な花粉の1つがブタクサです。
ブタクサはキク科の植物で、秋の花粉症の原因として知られています。日本ではブタクサやヨモギなどのキク科花粉が、主に8~10月に飛散します。
ブタクサ花粉との交差反応が知られているのが、ウリ科の食べ物です。
- メロン
- スイカ
- キュウリ
夏から秋にかけて普通に食卓に並ぶものばかりなので、花粉症とは結びつきにくいところが厄介です。
「メロンを食べるとのどが少しイガイガする」「スイカを食べるとなぜか口の中だけかゆい」という人でブタクサ花粉症もある場合は、PFASが関係していることがあります。
ただし、ブタクサ花粉症だからといって、これらの食品を一律に避ける必要があるわけではありません。症状が出た食品を自己判断で食べ続けないことが大切です。
ヨモギ花粉ではセロリやニンジンとの交差反応がある
もう1つ秋に飛散する代表的な花粉がヨモギです。
ヨモギもキク科で、道端や空き地など身近な場所に生育します。
ヨモギ花粉では、セリ科の野菜との交差反応が知られています。
- セロリ
- ニンジン
ブタクサのメロンやスイカとは食品の種類が異なるため、「秋の花粉症=果物だけ注意」と考えないほうがよさそうです。
一方で、花粉と食品の対応表は「その花粉症なら必ずその食品で症状が出る」という意味ではありません。
花粉への感作状況や反応するアレルゲンは人によって異なるため、自分が実際にどの食品を食べたときに症状が出たのかが診断では重要になります。
食べて数分以内の「口の違和感」が特徴
PFASでは、生の果物や野菜を食べたあと比較的すぐに症状が現れるのが特徴です。
よくみられるのは、
- 唇がかゆい
- 舌がピリピリする
- 口の中がかゆい
- のどがイガイガする
- 唇や口の中が腫れる
といった口からのど周辺の症状です。
多くは口腔周辺にとどまり、自然に軽快することがあります。こうした症状が中心となるため、「口腔アレルギー症候群(OAS)」という名称も使われます。
「ちょっとピリピリするだけだから体質だろう」と繰り返し食べている人もいるかもしれませんが、食物を食べるたびに同じ症状が起きる場合は軽視しないことが大切です。
加熱すると食べられる人がいるのはアレルゲンが変化するため
PFASには少し変わった特徴があります。
生では症状が出るのに、加熱したものなら食べられる場合があることです。
PFASに関係する一部のたんぱく質は熱や消化に弱く、加熱すると構造が変化してアレルギー反応を起こしにくくなります。
例えば、生のリンゴで口がかゆくなっても、リンゴジャムやアップルパイでは症状が出ない人がいます。
ただし「加熱すれば絶対に安全」という意味ではありません。
原因となるアレルゲンの種類によっては強い症状につながることもあるため、症状が出た食品を自分で加熱して食べられるか試すのは避け、医師と相談するのが安全です。
PFASは若い世代でも珍しい症状ではなくなっている
PFASはごく特殊なアレルギーというわけではありません。
国立成育医療研究センターが東京の17歳の青少年458人を分析した研究では、11.2%にPFASが認められました。
原因食品として多かったのは、
- リンゴ 45.1%
- キウイ 41.2%
- パイナップル 39.2%
でした。
この数字は秋の花粉だけを対象としたものではありませんが、花粉症と食物アレルギーが別々の問題ではないことを示す興味深い結果です。
子どものころは平気だった果物や野菜で、成長後に口のかゆみを感じるようになるケースもあります。
呼吸が苦しい・全身に症状が出る場合は「口だけのアレルギー」と考えない
PFASでは口のかゆみ程度で終わるケースが多い一方、まれに全身性のアナフィラキシーが起こることがあります。
特に注意したいのは、
- 息苦しい
- ゼーゼーする
- のどや胸が強く締めつけられる
- 全身にじんましんが広がる
- 繰り返し吐く
- ぐったりする
- 意識がぼんやりする
といった症状です。
強い呼吸困難や意識障害などがあれば、緊急性があります。医師からアドレナリン自己投与製剤を処方されている人は指示された方法で使用し、119番通報が必要です。
口の中だけの軽い症状を何度も経験している場合でも、アレルギー科などで相談すると、原因花粉と食品との関係を整理しやすくなります。
秋になったら「鼻」だけでなく食べた直後の変化も覚えておきたい
秋にくしゃみや鼻水が出る人にとって、ブタクサやヨモギへの対策はおなじみでも、果物や野菜まで関係することは意外に知られていません。
特に覚えておきたいのは、ブタクサとメロン・スイカ・キュウリ、ヨモギとセロリ・ニンジンという組み合わせです。
もちろん、該当する花粉症の人全員に食物アレルギーが起きるわけではありません。
ただ、毎年決まった果物や野菜を食べた直後に口やのどがかゆくなるなら、「好き嫌い」「刺激が強かった」で済ませず、花粉との交差反応という視点を持っておくと原因にたどり着きやすくなります。
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