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MUSとは何か|検査で異常なしでも続く不調と受診先【TVシンポジウム】

健康・生活

「異常なし」と言われても症状が消えるわけではない

NHK Eテレ「TVシンポジウム 見えない不調が問いかける『治す』からウェルビーイングへ」(2026年9月6日放送)で取り上げられるMUS。頭痛、めまい、倦怠感、動悸などが続いているのに、検査では原因を特定できない状態を指す言葉です。

MUSは病名ではなく、まして「気のせい」という意味でもありません。この記事では、MUSの考え方、受診先、医師に伝える情報、見逃してはいけない症状まで整理します。

この記事でわかること

  • MUSが病名ではない理由
  • 検査が正常でも不調が続く背景
  • 原因不明の不調を相談する診療科
  • 受診前に記録しておきたい情報

MUSは診断名ではなく症状を捉えるための概念

MUSは「Medically Unexplained Symptoms」の略で、日本語では「医学的に説明のつかない症状」などと訳されます。不定愁訴と重なる場面もありますが、特定の病気を示す診断名ではありません。

番組に出演する國松淳和医師も、MUSは医療者側が症状をまとめるために使う概念であり、患者に「MUSです」と伝えるだけでは解決にならないと説明しています。

MUSでみられる症状は多岐にわたります。

  • 頭痛や頭重感
  • めまい、ふらつき
  • 長引く倦怠感
  • 動悸や息苦しさ
  • 手足のしびれや痛み
  • 胃の不快感、腹痛、吐き気
  • のどの詰まり感
  • 集中力の低下
  • 睡眠の不調

重要なのは、検査で原因を確認できないことと、症状が存在しないことは別だという点です。痛みやだるさで仕事、家事、外出ができないなら、その生活上の支障も診療の対象になります。

原因と症状が1対1にならないケースがある

医療機関では、症状から疑われる病気を絞り、診察や血液検査、画像検査などを行います。しかし、すべての不調が1つの病気や1つの検査数値で説明できるわけではありません。

例えば「だるい」という症状には、貧血、甲状腺の病気、感染症、薬の副作用、睡眠不足、栄養状態、月経や更年期に伴う変化など、さまざまな要因が関係します。そこに長時間労働、家族の介護、人間関係、経済的不安などが重なることもあります。

個々の要因は検査の基準値を大きく外れなくても、複数重なることで強い不調になる可能性があります。そのため番組では、絡まった糸を1本ずつ解くように、治療できる問題と生活上の負担を整理する考え方が紹介されます。

一方、最初の検査で病気が見つからなかったからといって、その後の変化まで無視してよいわけではありません。新しい症状が加わった場合や、症状が明らかに悪化した場合は再評価が必要です。

最初の相談先はかかりつけ内科や総合診療科

症状が1つに絞れる場合は、その症状に対応する診療科が基本です。強い月経痛や月経周期と連動する不調なら婦人科、耳鳴りを伴う回転性めまいなら耳鼻咽喉科、手足の麻痺や言葉の出にくさがあれば脳神経系の診療科が候補になります。

次のような場合は、かかりつけ内科や総合診療科が相談先になります。

  • 頭痛、めまい、倦怠感など複数の症状がある
  • 何科に行けばよいかわからない
  • 複数の診療科を受診しても全体像が整理されていない
  • 検査結果をまとめて見直してほしい
  • 生活習慣や服薬を含めて相談したい

大病院の総合診療科では、紹介状が必要だったり、紹介状なしでは選定療養費がかかったりする場合があります。いきなり遠方の専門外来を受診するより、まず地域の医師にこれまでの経過を整理してもらう方法もあります。

「心の問題」と決めつけない全人的な診療が重要になる

ストレスや心理状態が身体症状に影響することはありますが、「検査が正常だから精神的なもの」と直結させるのは適切ではありません。

体、心、生活、社会環境を同時に見る「生物・心理・社会モデル」では、身体疾患を確認しながら、睡眠、食事、働き方、家庭内の役割、孤立、不安なども診療情報として扱います。

心療内科は、ストレスとの関連が強い身体症状や心身症を扱う診療科です。ただし、最初からすべてをストレスのせいにするのではなく、必要な身体評価を受けたうえで連携することが大切です。

治療目標も「すべての症状をゼロにする」だけではありません。

  • 眠れる日を増やす
  • 短時間の外出を再開する
  • 仕事や家事の負担を調整する
  • 症状が悪化する条件を把握する
  • 不安なく相談できる医療機関を決める

こうした生活機能の回復も、ウェルビーイングにつながる重要な目標です。

実用情報|受診前に用意する症状メモ

診察では、次の情報を1枚にまとめておくと経過を共有しやすくなります。

  • 最も困っている症状
  • 症状が始まった時期
  • 1日の中で強くなる時間
  • 症状が軽くなる条件と悪くなる条件
  • 仕事、家事、睡眠、食事への影響
  • 月経周期との関係
  • 現在飲んでいる薬、漢方薬、サプリメント
  • これまで受けた検査と結果
  • 受診した医療機関と説明された内容

突然の激しい頭痛、片側の手足の麻痺、ろれつが回らない、強い胸痛、呼吸困難、失神、歩けないほどのめまいなどがある場合は、MUSと自己判断せず救急要請を検討してください。緊急性に迷う場合は、実施地域では救急安心センター「#7119」に相談できます。

まとめ

MUSは「病気がない」という宣告ではなく、現時点の検査だけでは症状を十分に説明できない状態を表す概念です。

必要な病気の確認を続けながら、睡眠、食事、月経、服薬、仕事、家族関係などを含めて全体を整理することが改善の手がかりになります。症状が変化したときは以前の「異常なし」にこだわらず、改めて医療機関へ相談することが大切です。

参考リンク


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