京都・南禅寺の水路閣はなぜドラマに映える?国宝となった琵琶湖疏水を歩く
2026年9月13日放送のNHK「えぇトコ」では、内藤剛志さんととよた真帆さんが京都市左京区の水辺を巡ります。中でも注目したいのが、サスペンスドラマのロケ地としておなじみの南禅寺水路閣です。
赤レンガのアーチが連なる独特の景観は、単なる撮影スポットではありません。水路閣を含む琵琶湖疏水施設は2025年に国宝となり、しかも現在も京都へ水を運び続けている「現役の都市インフラ」です。番組で触れられる「北へ流れる水路」の理由までたどると、京都の街づくりそのものが見えてきます。
この記事でわかること
- 南禅寺水路閣が2025年に国宝となった理由
- サスペンスドラマなどのロケ地に使われてきた作品
- 琵琶湖疏水が京都で南から北へ流れる理由
- 水路閣の場所とアクセス、現在の南禅寺拝観情報
南禅寺水路閣は2025年に正式に国宝となった
公式動画:京都市「琵琶湖疏水施設 国宝・重要文化財への指定について」
南禅寺の境内を横切るレンガ造りの南禅寺水路閣は、1888年(明治21年)に完成しました。
全長は約93.2m、高さ約9m。琵琶湖から京都へ引いた第1疏水から、蹴上で北へ分かれる「疏水分線」の水を通すためにつくられた水路橋です。
そして2025年8月27日、琵琶湖疏水施設24か所が国の重要文化財となり、そのうち、
- 第一隧道
- 第二隧道
- 第三隧道
- インクライン
- 南禅寺水路閣
の5か所が正式に国宝に指定されました。
大きなポイントは、古いから国宝になったというだけではないことです。
京都市によると、琵琶湖疏水は西洋の土木技術を取り入れながら明治中期につくられ、舟運、かんがい、防火、水力発電、水道など、多くの用途を担いました。
明治維新後、東京への遷都によって活力を失いつつあった京都を再生する都市基盤として整備された巨大プロジェクトだったのです。
さらに、これらは過去の遺構として保存されているだけではありません。
琵琶湖疏水は現在も水道や発電などで使われ、京都の暮らしを支える現役の施設です。歴史的価値と実用性が現在までつながっていることが、水路閣を見るうえで大きなポイントです。
赤レンガの14連アーチが南禅寺の境内を横切る
水路閣を象徴するのが、連続するレンガ造りのアーチです。
日本遺産「琵琶湖疏水」の公式サイトでは、水路閣について、レンガ造りの14連アーチを使った延長約93mの水路橋と紹介しています。
赤レンガの間に石造りの白いラインを入れ、上部にはロンバルディア帯と呼ばれる装飾も施されています。
一見するとヨーロッパの古い水道橋のようですが、建っているのは禅寺である南禅寺の境内です。
明治時代にこれほど西洋的な構造物を寺の中につくるとなれば、景観との調和は大きな課題でした。
そこで設計に携わった田辺朔郎は、周囲の寺院景観に配慮したデザインを採用しました。
完成から130年以上がたった現在では、赤レンガの水路閣そのものが南禅寺を代表する風景の一つになっています。京都市公式観光情報でも、東山の景観に溶け込んだ構造物として紹介されています。
南禅寺水路閣はサスペンスドラマだけではない有名ロケ地
番組では、内藤剛志さんが水路閣でサスペンスドラマの一場面を再現します。
確かに、この長いアーチの連なりと少し薄暗いレンガの空間には、刑事ドラマやミステリーに似合う独特の雰囲気があります。
京都市メディア支援センターが公開している正式なロケ実績を見ると、水路閣ではこれまでに、
- 「松本清張 黒革の手帖」
- 「anego-アネゴ-」
- 「初雪の恋 ヴァージン・スノー」
- 「クローズド・ノート」
- 「鴨川ホルモー」
- 「未解決の女 警視庁文書捜査官~緋色のシグナル~」
- 劇場版「きのう何食べた?」
などが撮影されています。
刑事ドラマだけでなく、恋愛作品や映画にも使われているのが面白いところです。
同じ場所でも、アーチの奥行き、光の入り方、季節によってまったく違う表情になります。
特にアーチを正面から見ると、同じ形が何重にも奥まで連なります。そのため画面に自然な遠近感が生まれ、登場人物を立たせるだけでも印象的な構図になります。
「京都らしい寺院」と「明治の西洋建築」が一つの画面に共存することも、水路閣がロケ地として長く使われてきた理由の一つでしょう。
「北へ流れる水路」は琵琶湖疏水の分線だった
番組紹介の中で気になるのが、「北へ流れる水路」という言葉です。
京都の川といえば、一般的には北から南へ流れるイメージがあります。
ところが水路閣を通るのは自然河川ではなく、人の手で計画された疏水分線です。
第1疏水の水は蹴上まで来ると一部が分岐し、南禅寺、若王子、吉田山、高野、下鴨方面へ向かいます。
つまり、水路閣の水は南から北へ流れているのです。
この分線はもともと、水力利用や農業用水、防火用水などを沿線へ届けるためにつくられました。
さらに水路を北へたどっていくと、現在の「哲学の道」へとつながります。
南禅寺水路閣と哲学の道は別々の観光名所のように見えますが、実はどちらも琵琶湖疏水という一本の水の流れでつながっているわけです。
水路閣を生んだ琵琶湖疏水が京都を変えた
琵琶湖疏水の建設は、京都の近代化を語るうえで外せない事業でした。
第1疏水は琵琶湖の水を大津から京都へ運ぶ約20kmの水路として整備され、1890年(明治23年)に完成しました。
疏水の水は単に飲み水として利用されたのではありません。
舟で人や物を運び、農地を潤し、防火用水として使われ、さらに水力発電にも利用されました。
蹴上には日本初の事業用水力発電所が建設され、その電力は京都の産業発展や、日本で初期の電気鉄道の運行にもつながっていきます。
現在、私たちが南禅寺で眺める優雅なレンガのアーチは、当時の京都が生き残るためにつくられた巨大インフラの一部分でもあります。
「きれいなロケ地」だけで終わらず、その上を現在も水が流れていると知ってから見ると、水路閣の印象はかなり変わります。
番組に登場する南禅寺豆腐も琵琶湖疏水とつながる
「えぇトコ」では、水路閣だけでなく「疏水が生んだ絶品豆腐」も紹介されます。
番組の取材を受けたことを公式に発表しているのが、京都・南禅寺の南禅寺豆腐屋 服部です。
同店は、内藤剛志さん、とよた真帆さんが実際に訪れて南禅寺豆腐を取材したことを公式サイトで明らかにしています。
南禅寺周辺には湯豆腐文化が根付いています。
今回の番組では、ロケ地巡りだけでなく、琵琶湖から運ばれてきた水が地域の食や庭園、暮らしへどのようにつながってきたのかも描かれます。
水路閣から豆腐、庭園へと話が広がるのは、すべての中心に「水」があるからです。
南禅寺水路閣の場所とアクセス
南禅寺水路閣は、京都市左京区の南禅寺境内にあります。
- 所在地:京都府京都市左京区南禅寺福地町
- 最寄り駅:京都市営地下鉄東西線「蹴上駅」
- 蹴上駅から南禅寺まで:徒歩約10分
- 水路閣:南禅寺境内
- 南禅寺境内、方丈庭園、三門などはそれぞれ拝観条件が異なるため、訪問前に公式サイトで最新情報を確認するのがおすすめです。
なお、2026年9月現在、南禅寺境内の南禅院は工事延長のため2027年春まで拝観停止となっています。
南禅寺境内、方丈庭園、三門は通常通り拝観できます。
水路閣を中心に歩くなら、蹴上駅から「ねじりまんぽ」を抜けて南禅寺へ入り、水路閣から疏水分線を意識しながら哲学の道方面へ向かうと、番組で紹介される「水の京都」を実感しやすいコースです。
まとめ
南禅寺水路閣は、レンガ造りの美しい京都のロケ地であると同時に、京都近代化の象徴でもあります。
1888年に完成した水路閣は130年以上を経た今も疏水の水を通し続け、2025年8月には琵琶湖疏水の第一隧道、第二隧道、第三隧道、インクラインとともに正式に国宝となりました。
そして水路閣を流れる水は蹴上から北へ向かい、やがて哲学の道へ続いていきます。
「えぇトコ」で内藤剛志さんがサスペンスシーンを再現する場所として見るだけでも十分印象的ですが、ロケ地・国宝・現役の水路という3つの顔を知ってから訪れると、赤レンガのアーチがさらに面白く見えてきそうです。
参考リンク
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