18歳で入舟寮を巣立った都晴人さんが向き合った「本当の自立」
NHK『Dearにっぽん「18歳 僕の“自立” 〜大阪 児童養護施設の半年〜」』が、2026年9月13日に放送されます。舞台となるのは大阪市港区の児童養護施設「海の子学園 入舟寮」。高校卒業と同時に施設を出て働く道を選んだ18歳の都晴人さんと、長く寄り添ってきた職員の半年間を追ったドキュメンタリーです。今回の放送は6月21日に放送された回の再放送となります。
番組で描かれたのは、料理や仕事、住まいを自分でこなせるようになることだけではありません。「人に頼らないこと」を自立だと考えてきた都さんが、周囲との関係を改めて見つめていく過程でした。
そして放送後の2026年8月、入舟寮を卒園した都さんは施設長とともにトークイベントにも登壇しています。施設を出たところで物語が終わったわけではありません。
この記事でわかること
- 都晴人さんの2026年夏時点の現在
- 都さんが暮らした海の子学園 入舟寮の場所と特徴
- 入舟寮が行っているアタッチメントや自立支援
- 番組で描かれた「人に頼ること」と自立の関係
都晴人さんの現在|3月に卒園し8月には自立を語る側に

都晴人さんは2026年3月に入舟寮を卒園しました。
番組では、高校を卒業して施設を出た後、4月から社会人としての生活を始める様子まで紹介されています。担当職員の馬場さんとの連絡は退寮後も続き、5月の連休には入舟寮へ里帰りし、初任給でジュースを持って訪れました。
さらに新しい動きがあったのが8月です。
2026年8月3日、里親支援センターウェルこころが主催したトークイベントに、18歳になった都さんが「入舟寮の卒園生」として登壇しました。隣には入舟寮施設長の城村威男さんが座り、「児童養護施設からの自立とは何か」をテーマにそれぞれの立場から話しています。
海の子学園によると、卒園からまだ数か月ながら、都さんはこれまでの経験や現在の思いを自分の言葉で語ったといいます。
施設を出る前には「できるだけ自分ひとりで生きていきたい」と考えていた都さん。それが数か月後には、自分自身の経験を人前で語り、社会的養護や自立を考える場に参加しているところまで確認できます。
番組だけで終わらず、その後の姿まで公式情報が出ている点は、この回を見るうえで知っておきたいところです。
海の子学園 入舟寮は大阪市港区にある児童養護施設
都さんが中学生の頃から暮らしていたのが、社会福祉法人 海の子学園が運営する「入舟寮」です。
施設の基本情報は次の通りです。
- 施設名:海の子学園 入舟寮
- 種別:児童養護施設
- 施設長:城村威男さん
- 所在地:大阪府大阪市港区池島3-7-18
- 電話:06-6571-1000
- 定員:80人
- 本園:4つの生活グループ
- 地域小規模児童養護施設:3か所
現在の公式サイトでは、本園のほかに地域の中で暮らす小規模施設も運営していることが紹介されています。職員も児童指導員や保育士だけでなく、家庭支援専門相談員、心理療法担当職員、自立支援担当職員、看護師など多職種で構成されています。
児童養護施設は、単に子どもが暮らす場所ではありません。
こども家庭庁も、児童養護施設について、安定した生活環境を整えながら生活指導や学習指導、家庭環境の調整などを行い、子どもの成長と自立を支援する施設と位置づけています。
入舟寮が重視する「アタッチメント」とライフストーリーワーク
入舟寮の支援で特徴的なのが、生活技術だけではなく人との関係を築く力を重視していることです。
公式サイトでは、養育支援の柱として次のような取り組みを掲げています。
- アタッチメントを重視したケア
- 「安心感の輪」子育てプログラム
- 独自のGTワーク
- ライフストーリーワーク
- 失敗からリカバリーする力を育てる支援
- 子どもの問題を整理する包括的アセスメント
「アタッチメント」は、困ったときに安心して誰かを頼れるような人間関係とも深く関わる考え方です。
入舟寮では2016年度から「サークル・オブ・セキュリティ(安心感の輪)」のプログラムを導入。過去から現在までの自分自身の経験を整理していくライフストーリーワークにも施設として取り組んでいます。
番組で都さんと職員が向き合った問題も、この考え方と重なります。
自炊ができる。仕事も自分で探せる。ひとり暮らしの準備もする。
一見すると十分に「自立している」ように見えます。
しかし職員が心配していたのは、都さんが何でも自分だけで解決しようとしていたことでした。
エコマップで見えた「頼れる人がいない」という課題
番組の大きな転機になったのが、都さんが取り組んだエコマップ作りです。
エコマップでは、自分を中心に置き、周囲にいる家族、友人、職場、支援者などとのつながりを図にして整理します。
ところが都さんが作ったエコマップでは、入舟寮の職員たちも自分のすぐ近くには配置されていませんでした。
ここに、職員の馬場さんが抱いていた不安が表れていました。
都さんは就職先についても、施設職員に相談することなく自分で決めていました。何かを自分で決められる強さがある一方で、困ったときに誰かへ助けを求めることが難しい状態でもあったのです。
そこで馬場さんは、都さんが以前暮らしていた施設の元担当職員と再びつながる機会をつくり、さらに入舟寮の卒園生とも引き合わせました。
社会に出た後の暮らしについて、実際に経験した先輩から話を聞く時間も設けられています。
「ひとりでできるようにする」のではなく、「困ったときにつながれる人を増やしてから送り出す」。
入舟寮の自立支援が目指すものがよく表れた場面でした。
退寮するまでではなく退寮した後まで支える
児童養護施設からの自立で重要なのは、施設を出る瞬間だけではありません。
初めての仕事でつまずくこともあれば、住居やお金、人間関係など、それまで施設職員と相談できた問題を自分で判断しなければならない場面が増えていきます。
こども家庭庁のガイドラインでも、施設退所を控えた段階から退所経験者との座談会を開いたり、退所後を見据えた継続的な相談支援を行ったりする取り組みが示されています。
入舟寮でも3月の年間行事として「自立支援研修」を実施。社会に出ている卒園生の話を聞く機会を設けています。
実際、入舟寮公式サイトに掲載されている別の卒園生インタビューには、一度就職したものの仕事が続かず、施設へ戻って職員に支えてもらいながら次の仕事を探した経験も紹介されています。
施設を出たら関係が終わるのではなく、戻って相談できる関係を残しておくことも自立支援の一部だと分かります。
都晴人さんにとって「自立」はどう変わったのか
番組の始まりで都さんが考えていた自立は、「人に頼らず自分の力で生きること」に近いものでした。
料理も自分でする。弁当も作る。就職先も自分で決める。
その姿には確かな生活力があります。
一方で、馬場さんたちが伝えようとしていたのは、誰にも頼らないことだけが自立ではないということでした。
かつて自分を支えてくれた人と再び会う。
施設の卒園生から話を聞く。
退寮しても馬場さんと連絡を取り続ける。
連休には入舟寮へ帰る。
そうしたつながりを持ったまま社会へ踏み出す姿まで、番組は描いています。
そして卒園から約5か月後には、都さん自身がトークイベントに登壇しました。
海の子学園はイベント報告の中で、「自立」に明確な答えはなく、一人ひとりに何が必要なのかを本人と支援する側の双方が考え続けるテーマだと記しています。
この言葉は『Dearにっぽん』で半年かけて描かれた内容そのものとも重なります。
海の子学園 入舟寮の施設情報
入舟寮について確認できる実用情報です。
- 名称:海の子学園 入舟寮
- 所在地:大阪府大阪市港区池島3-7-18
- 運営:社会福祉法人 海の子学園
- 種別:児童養護施設
- 施設長:城村威男さん
- 電話番号:06-6571-1000
- 定員:80人
- 支援内容:生活支援、心理的ケア、自立支援、家庭支援など
一般の宿泊施設や見学施設ではありません。施設への問い合わせや支援、採用などについては、海の子学園公式サイトで案内されています。
まとめ
NHK『Dearにっぽん「18歳 僕の“自立” 〜大阪 児童養護施設の半年〜」』に登場する都晴人さんは、2026年3月に海の子学園 入舟寮を卒園し、社会人としての生活を始めました。
入舟寮を離れた後も職員との関係は続き、5月には施設へ里帰り。そして8月には、今度は卒園生として施設長の城村威男さんとトークイベントに登壇し、「児童養護施設からの自立」を語っています。
番組が描く自立は、すべてをひとりでできるようになることだけではありません。
困ったときに相談できる人を知り、自分から助けを求められること。そして施設を離れても、人とのつながりを切らずに社会の中で生きていくこと。
都さんと入舟寮の職員が半年間かけて探した「自立」の姿は、卒園後の現在にもつながっています。
参考リンク
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