銀座の老舗寿司から生まれた「軍艦巻き」の革新
2026年10月2日放送の「ザワつく!路線バスで寄り道の旅」では、綾瀬はるかさん、長嶋一茂さん、高橋茂雄さん、ウエンツ瑛士さんが東京・赤坂と銀座を巡り、「常識を覆した日本の技術」を体験します。銀座では老舗寿司店を訪れ、現在では寿司店で広く定着している“ある品”の発祥にも触れます。
銀座を代表する老舗寿司店「銀座久兵衛」が公式に発祥として伝えているのが、ウニなどを海苔で囲んで握る「軍艦巻き」です。
いまでは回転寿司でも高級寿司店でも当たり前に目にする形ですが、もともとは通常の握りでは扱いにくかった食材を、おいしく美しく提供するために生まれた工夫でした。久兵衛の歴史をたどると、軍艦巻きは単なる新メニューではなく、江戸前寿司の可能性そのものを広げた発明だったことが見えてきます。
この記事でわかること
- 銀座久兵衛が軍艦巻きを生み出した理由
- 初代店主・今田壽治と1935年創業からの歴史
- 銀座本店の現在の価格と予約方法
- 北大路魯山人との交流から続く「伝統と革新」
銀座久兵衛の軍艦巻きは1940年代に初代店主が考案

銀座久兵衛では、1940年代に初代店主・今田壽治が「軍艦巻き」を初めて考案した歴史を公式に伝えています。
きっかけとなった食材がウニでした。
握り寿司は一般的に、酢飯の上に切り身などのネタをのせます。しかし、柔らかく形が崩れやすいウニは、そのままシャリの上にのせるだけでは扱いにくい食材です。
そこで考案されたのが、シャリの側面を海苔でぐるりと囲み、その上にウニをのせる方法でした。
海苔が壁の役割を果たすため、形の定まりにくい食材でも寿司として提供できます。この形が船の「軍艦」を思わせることから、軍艦巻きとして広がっていきました。
久兵衛は、この技法によって従来は寿司ネタとして扱いにくかった食材をおいしく提供できるようになり、現在では一般に広く浸透していると説明しています。
軍艦巻きの価値は、ウニを食べやすくしたことだけではありません。
イクラをはじめ、小さな粒状の食材や柔らかな具材など、それまで握りでは形にしにくかったネタを寿司へ取り込めるようになりました。
「ネタをシャリの上にのせる」という握り寿司の基本形から一歩離れ、海苔を“器”として利用する。この発想によって寿司の表現できる食材の幅が大きく広がったのです。
銀座久兵衛本店のランチは8,250円から、予約は電話・オンラインに対応
銀座久兵衛の銀座本店・新館は、東京都中央区銀座8丁目にあります。
現在の主な昼のにぎりメニューは次の通りです。
- 「織部」8,250円
握り10貫・巻物・椀 - 「唐津」11,000円
握り11貫・巻物・椀・果物または水菓子 - 「久兵衛」16,500円
突出・握り16貫・巻物・椀
鮨懐石は25,300円から用意されています。
夕食のにぎり「久兵衛」は16,500円。夜の時間帯には別途サービス料10%が加算されます。
店舗情報は以下の通りです。
- 店名:銀座久兵衛 銀座本店・新館
- 住所:東京都中央区銀座8-7-6
- 営業時間:11:30~14:00、17:00~22:00
- 定休日:日曜・月曜(祝日の月曜を含む)、盆・年末年始など
- 電話:03-3571-6523
- 新橋駅から徒歩約5分
- 銀座駅から徒歩約8分
昼の席は11:30の予約を受け付けており、それ以降は空席状況に応じた案内となります。
予約は電話のほか、一休レストランやMy Concierge Japanを利用したオンライン予約にも対応しています。
銀座久兵衛は1935年に今田壽治が創業
銀座久兵衛の原点は1935年12月1日です。
初代店主の今田壽治は、それ以前に銀座木挽町の寿司店「美寿志」で修業しました。「久兵衛」という店名も、修業時代に呼ばれていた愛称に由来しています。
そして銀座8丁目に自らの店を開きました。
創業当初から今田壽治が大切にしていたのが、一貫一貫を職人の心で握るという姿勢でした。
店内で客を待つだけではなく、顧客の自宅へ出向いて寿司を握る出張料理にも取り組みます。銀座という土地で政財界や文化人などとのつながりを築きながら、久兵衛の寿司は知られるようになっていきました。
現在の株式会社久兵衛も創業年を1935年としており、銀座本店のほか、オークラ東京、ホテルニューオータニ、京王プラザホテル、帝国ホテル大阪などへ店舗を展開しています。
「伝統を守る」だけではなく新しい寿司を作り続けてきた
久兵衛の歴史で興味深いのは、老舗でありながら新しいものを積極的に取り入れてきたことです。
軍艦巻きは、その象徴ともいえる存在です。
それまでの握り方に食材を合わせるのではなく、「この食材をおいしく食べてもらうには、寿司の形そのものをどう変えればいいのか」と考えた結果、新しい寿司の形が誕生しました。
その姿勢は店舗づくりにも表れています。
かつて建築家の前川國男に店舗設計を依頼し、早い時期から冷房を導入するなど、客がカウンターで快適に寿司を味わえる環境づくりにも取り組みました。
現在の本店も近代数寄屋造りをコンセプトとしており、東京都建築士事務所協会の東京建築賞で優秀賞を受賞したことが久兵衛の公式沿革に記されています。
寿司そのものだけでなく、「寿司をどう味わってもらうか」という体験まで変えてきたことが、90年以上続く久兵衛の特徴です。
北大路魯山人との交流が寿司の表現をさらに広げた
1950年代になると、銀座久兵衛は陶芸家で食通として知られる北大路魯山人と交流を深めました。
その交流から、白身魚に柑橘類をしぼるといった新しい技法や発想が寿司へ取り入れられていきます。
久兵衛では現在も魯山人の器を受け継いでおり、銀座本店4階には「魯山人ミニギャラリー」も設けられています。
軍艦巻きも、柑橘を使った白身魚も、共通しているのは昔ながらの形だけに固執しなかったことです。
江戸前寿司の技術を守りながら、新しい食材、新しい食べ方、新しいサービスを取り込む。その積み重ねが現在の久兵衛につながっています。
2代目、3代目へ受け継がれた銀座久兵衛
1985年には今田洋介が2代目店主となりました。
昼と夜のメニューを店頭で分かりやすく示すなど、伝統的な高級寿司店でありながら時代に合わせたサービスへ改革していきます。
2012年には今田洋介が厚生労働省の「現代の名工」に選ばれ、寿司文化振興への功績も評価されました。
現在は3代目の今田景久へ継承されています。
久兵衛は2025年に創業90周年を迎えました。軍艦巻きを生み出した初代から3代目まで、変わらず続いているのは、伝統を固定された形として守るのではなく、新しい時代へ合わせながら受け継ぐ考え方です。
銀座久兵衛へ行く前に知っておきたい予約・利用情報
銀座本店で食事をする場合は、特に予約条件を確認しておくと安心です。
- 昼の予約は原則11:30
- 11:30以降は空席状況に応じて案内
- 個室・貸切は昼11,000円以上、夜16,500円以上の料理から
- 個室・貸切では別途室料などが必要
- 夜はサービス料10%
- 当日キャンセル料は昼1人5,000円、夜1人10,000円
- 個室・貸切・10人以上は1週間前からキャンセル料が設定されている
価格や営業日は変更される場合があるため、予約時には最新情報を確認してください。
まとめ
銀座久兵衛は1935年、初代店主・今田壽治によって銀座8丁目で創業しました。
その歴史の中でも特に大きな革新が、1940年代に考案された軍艦巻きです。
通常の握りでは扱いにくかったウニを、シャリの周囲を海苔で囲むことで寿司として美しく提供する。この小さな発想から生まれた形は、その後イクラなど多彩な食材へ広がり、現在では日本中の寿司店で定番となっています。
「ザワつく!路線バスで寄り道の旅」が10月2日に掲げるテーマは「常識を覆した日本の技術」。寿司という伝統料理の中でも、当たり前だった形を変えることで新しい定番を生み出した軍艦巻きは、日本の食文化に残る興味深い革新のひとつです。
参考リンク
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