片桐萌絵がつくる「観光客ではなく祭りの担い手になる」仕組み
2026年10月4日放送の『がっちりマンデー!!』に登場するのが、とらでぃっしゅ株式会社代表の片桐萌絵(かたぎり・もえ)さんです。
2004年生まれ、愛知県奥三河出身。広島大学に在学しながら20歳で会社を設立し、地域外の人が祭りを「見る人」ではなく「担う人」になる仕組みを事業化しました。
自身も国指定重要無形民俗文化財「花祭」の担い手。幼いころから祭りの中で育った経験を、人口減少時代の祭りを残すビジネスへ変えた学生起業家です。
この記事でわかること
- 片桐萌絵さんの年齢・大学・出身地などの経歴
- 20歳で「とらでぃっしゅ」を起業した理由
- 地域外の人を祭りの担い手にする「渡り衆」の仕組み
- 花祭の担い手から全国の祭りを支えるまでの転機
片桐萌絵は広島大学に通う「お祭りオタク」の学生社長

出典:とらでぃっしゅ公式サイト
片桐萌絵さんは、とらでぃっしゅ株式会社の代表取締役です。
現在も広島大学総合科学部総合科学科に在籍しながら、全国各地の祭りや民俗芸能を巡り、担い手不足や情報発信といった課題の解決に取り組んでいます。
主な経歴は次の通りです。
- 2004年:愛知県奥三河地方に生まれる
- 2023年:愛知県立時習館高校を卒業
- 2023年:広島大学へ進学
- 2023年:任意団体「とらでぃっしゅ」を創立
- 2025年2月:キャンパスベンチャーグランプリ全国大会で経済産業大臣賞・ビジネス大賞
- 2025年4月24日:とらでぃっしゅ株式会社を設立
- 2026年:JCI JAPAN TOYPで参議院議長奨励賞を受賞
会社の所在地は広島県東広島市。民俗芸能の保存・活性化に関するコンサルティングを事業の柱としています。
一般的な大学生起業とは少し違うのが、片桐さん自身が祭りの外からやってきた人ではないことです。
生まれ育った家庭そのものが、祭りを担う側でした。
3歳から700年続く「花祭」の舞い手になった
片桐さんの原点は、愛知県奥三河に伝わる「花祭」です。
花祭は愛知県北設楽郡の東栄町や豊根村などに伝承される神事芸能で、国の重要無形民俗文化財に指定されています。
片桐さんは花祭を担う家に生まれ、幼いころから祭りの中で育ちました。
日本経済新聞系の「NIKKEI THE PITCH」によると、歴史的に女性が舞うことが認められていなかった中、人口減少などを背景に片桐さんは3歳で舞うことを許されました。同媒体では、長い歴史を持つ花祭で女性が舞った初めての例として紹介されています。
現在も、片桐さんは東栄町古戸地区の花祭で現役の担い手を続けています。
祭りは年に1度だけ参加するイベントではありません。
本番までに舞を覚え、練習し、道具や会場を準備し、地域の人たちが長い時間をかけて作り上げていきます。
幼いころからその内側にいた経験が、後に「祭りを見る人ではなく、担う人を増やす」という事業につながっていきます。
15歳で祭りが消えたことが大きな転機になった
片桐さんにとって大きな転機となったのが、新型コロナウイルスの流行でした。
15歳だったころ、各地で祭りが相次いで中止され、自身が暮らしてきた日常から祭りが突然なくなりました。
東広島市の起業支援拠点「ミライノ+」のインタビューでは、片桐さんは花祭の担い手の家に生まれ、コロナ禍による祭りの休止を経験したことが、その価値を強く意識するきっかけになったと紹介されています。
高校時代には愛知県立時習館高校へ通いながら、日本各地の祭りについて自分で調査を続けました。
当初描いていた進路も、祭りとはまったく違います。
片桐さんは検事を目指し、京都大学法学部への進学を志望していました。その後、2023年に広島大学総合科学部へ進学します。
ここから、人生が再び祭りの方向へ動き始めます。
広島大学で見つけた1枚のチラシが起業への入口に
広島大学へ入学した片桐さんは、キャンパスで岡山県西粟倉村の大学生向け研修プログラムを知ります。
この研修への参加を通して、自分の出身地ではない地域でも、祭りや伝統文化に関わることができると実感します。
つまり、「地域の祭りは地元住民だけで守らなければならない」という前提を変えられる可能性に気づいたのです。
2023年には任意団体「とらでぃっしゅ」を立ち上げます。
さらに東広島市安芸津町の三津祇園祭では、地域の保存会と連携した活性化プロジェクトを実施しました。
祭りに興味を持つ大学生などが地域へ入り、単なる見物客ではなく、本番に向けた練習や準備にも関わる形を作っていきました。
ここから生まれた考え方が、現在の事業の中心となる「渡り衆」です。
「渡り衆」は都会の人も祭りの主役になれる仕組み
「渡り衆」は、地域外に住む人が各地の祭りへ参加し、祭りを実際に担うネットワークです。
普通の観光では、旅行者は祭りを見る側です。
一方、渡り衆では地域へ足を運び、祭りによっては事前の練習や準備から参加し、本番では地域住民と一緒に祭りを作る側へ入ります。
参加者は祭りの当日だけ訪れるのではなく、地域の人と交流しながら関係をつくっていくことが大きな特徴です。
2026年には広島県内を中心に、
- 大土山田楽大花田植
- 壬生の花田植
- 三津祇園祭
- 甲山廿日えびす
- とよひら神楽競演大会
- 乙九日炎の祭典
- 男崎神社秋季大祭
など、さまざまな地域の祭りや民俗芸能で参加機会が設けられています。
甲山廿日えびす体感ツアーでは、参加費は1人3,000円、高校生以下は無料。参加後は祭りコミュニティ「渡り衆」へ登録する仕組みになっています。
祭りを見るためにお金を払うのではなく、地域文化の担い手として参加する体験そのものをサービスにしている点が特徴です。
渡り衆は約500人、目指すのは10万人規模
「渡り衆」のネットワークはすでに約500人規模に広がっています。
片桐さんが中長期的に描いているのは10万人規模です。
そのために進めているのが「お祭り魂育成塾」。
参加者が祭りの練習へ入り、本番で実際に担い手となり、その後の交流まで含めて地域との関係を築いていきます。
このモデルが広がれば、人口の少ない地域だけで祭りの人数を確保する必要がなくなります。
都市部で生活しながら、毎年特定の地域の祭りへ通う人がいてもいい。複数地域の祭りを渡り歩く人がいてもいい。
片桐さんが作ろうとしているのは、「住民」と「観光客」の間にある新しい祭りとの関わり方です。
20歳でとらでぃっしゅ株式会社を設立
片桐さんは2025年4月24日、20歳で「とらでぃっしゅ株式会社」を設立しました。
会社名にも、祭りや民俗芸能を「好きな活動」だけで終わらせず、継続可能な事業にする考えが表れています。
事業では担い手づくりだけでなく、
- 民俗芸能の保存・活性化支援
- 祭りへの参加者募集
- 情報発信・SNS運用
- インバウンド対応
- 地域や企業との連携
- 商品開発
- イベント企画
- 講演・教育活動
などを展開しています。
祭りを保存するには、行政や保存会の補助だけでなく、地域でお金が回る仕組みも必要になります。
だからこそ、伝統文化とビジネスをあえて切り離さないのが片桐さんの活動の特徴です。
学生ビジネスコンテスト全国大会で経済産業大臣賞
とらでぃっしゅの事業は、学生起業の世界でも評価されています。
2025年2月25日に開かれた「第21回キャンパスベンチャーグランプリ全国大会」では、片桐さんが最高賞となる経済産業大臣賞とビジネス大賞を受賞しました。
さらに2026年には「JCI JAPAN TOYP 2026」で参議院議長奨励賞を受賞。
主催する日本青年会議所は、花祭の担い手としての活動や、20歳で起業し民俗芸能とビジネスをつなげている取り組みを評価しています。
全国から602人がエントリーした2026年度のTOYPで、文化分野の活動が表彰されました。
「保存する」から「続けられる文化」へ
祭りの担い手不足は、単純に若者の人数を増やせば解決する問題ではありません。
地域に住む人口そのものが減れば、毎年祭りを運営する人数を地域内だけで確保することは難しくなります。
そこで片桐さんは、「地域の外にいる祭り好き」を担い手に変えようとしています。
祭りを一度見に行って終わるのではなく、また同じ地域へ行く。練習へ参加する。地域の人と知り合う。そして本番では自分も祭りを作る。
その関係が続けば、住所は違っても祭りを支える一員になることができます。
幼いころから花祭の内側で育った片桐さんだからこそ、「舞台を見る楽しさ」だけではなく、「舞台を作る側にいる面白さ」を事業として外へ開いているのです。
とらでぃっしゅ・渡り衆の参加情報
とらでぃっしゅでは、公式サイト内で祭りや参加募集を公開しています。
主な情報は次の通りです。
- 会社名:とらでぃっしゅ株式会社
- 代表取締役:片桐萌絵
- 所在地:広島県東広島市鏡山2丁目313
- 設立:2025年4月24日
- 事業:民俗芸能の保存・活性化に関するコンサルティング
- 祭り参加:「渡り衆」公式サイトから募集情報を確認可能
- 参加費:祭り・企画ごとに異なる
2026年秋以降も、広島県内を中心に祭りや神楽関連の参加企画が掲載されています。
まとめ
片桐萌絵さんは、2004年に愛知県奥三河で生まれ、幼いころから「花祭」の担い手として育ってきました。
15歳でコロナ禍による祭りの休止を経験し、広島大学への進学後に地域外から祭りへ関わる可能性を発見。2023年に「とらでぃっしゅ」を始め、20歳だった2025年に株式会社化しました。
現在取り組んでいる「渡り衆」は、祭りを見に行くだけだった人を、地域と一緒に祭りを作る担い手へ変える仕組みです。
地域の人口が減っても、地域外から毎年通う仲間が増えれば祭りをつなぐ道は残ります。
2026年10月4日の『がっちりマンデー!!』で注目される片桐さんの仕事は、「昔から続いているものをそのまま守る」のではなく、祭りへ参加する人の範囲そのものを広げることで伝統を次の世代へ渡していく挑戦です。
参考リンク
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