一条工務店の耐水害住宅は家を浮かせて守る!水位3mの洪水実験【ホンマでっか!?TV】
カテゴリー:暮らし・防災
洪水に逆らわず「家そのものを浮かせる」という水害対策
2026年10月7日放送の『ホンマでっか!?TV』では、豪雨が増える日本で進む新しい水害対策が取り上げられます。
住宅分野ですでに実用化されているのが、一条工務店の「耐水害住宅」です。最大の特徴は、洪水によって建物へ大きな浮力がかかる状況で、無理に地面へ固定するのではなく、家そのものを安全に浮上させる「浮上タイプ」が用意されていること。水位3mを再現した実大実験まで行われています。
この記事でわかること
- 一条工務店「耐水害住宅」の浮上タイプの仕組み
- 洪水でも家が流されない係留装置
- 水位3m・約3000トンの水を使った実大実験
- 実際に住宅として採用されている現在の状況
一条工務店「耐水害住宅」は洪水時に家そのものを浮かせる
公式動画:一条工務店公式「耐水害住宅 オーナー様インタビュー」
一般的な住宅では、洪水によって建物の周囲の水位が上昇すると、床下や玄関、窓などから水が入るだけでなく、建物自体に大きな浮力がかかります。
一条工務店の「耐水害住宅」は、「浸水」「逆流」「水没」「浮力」という4つの危険に対策した住宅です。
なかでも特徴的なのが「浮上タイプ」。
住宅を敷地の四隅に設けた係留装置とつなぎ、周囲の水位が上昇した際には、建物を船のように浮かせます。
水に浮くこと自体を防ごうとするのではなく、浮力を利用して住宅を水面へ持ち上げ、水没による被害を避ける考え方です。
家が浮いても流されない「係留装置」がポイント
当然ながら、住宅をただ水へ浮かせるだけでは危険です。
洪水の流れによって住宅が移動すれば、元の敷地から流失したり、別の建物へ衝突したりする可能性があります。
そこで浮上タイプでは、住宅と敷地を「係留装置」でつないでいます。
船を港へ係留するのに近い仕組みで、住宅が浮き上がった状態でも大きく流されないよう保持します。水位が下がると建物も下降し、元の位置へ戻る構造です。
一条工務店では、浮上中に漂流物が住宅の下へ入り込んだ場合についても検証。障害物を取り除き、給排水管を復旧する方法まで確立しています。
単に「浮く家」というアイデアだけで終わらせず、水が引いた後に住宅を再び使うところまで考えられています。
水位3m・約3000トンの水を使って実物大住宅を実験
耐水害住宅では、実物大の住宅を使った大規模な実験も行われています。
一条工務店は防災科学技術研究所の大型降雨実験施設などを利用し、一般的な仕様の住宅と耐水害住宅を建設。
約3000トンもの水を使って豪雨や洪水を再現しました。
さらに2020年10月には、水位3mまで上昇させる実大浸水実験を実施しています。
住宅の1階部分が大きく水に囲まれる規模ですが、浮上タイプは水位に合わせて建物が持ち上がり、係留された状態を維持しました。
洪水対策住宅というと、玄関や窓から水を入れない防水性能が注目されがちです。
しかし水深が大きくなるほど、住宅には浮き上がろうとする力そのものが加わります。
その段階まで想定して「浮力を利用する」というのが、この住宅の大きな特徴です。
「浮かせない」スタンダードタイプもある
耐水害住宅には、もう1つ「スタンダードタイプ」があります。
こちらは家を浮かせません。
建物が浮上するほど水位が高くなる前に「床下注水ダクト」からあえて床下へ水を入れます。
水の重さを住宅側へ加えることで、建物を持ち上げようとする浮力へ対抗する仕組みです。
つまり一条工務店は、浮力への対策として2つの方法を用意しています。
- スタンダードタイプ:床下へ水を入れ、その重量で家が浮くのを防ぐ
- 浮上タイプ:浮力に逆らわず、家そのものを安全に浮かせる
建築地や住宅の仕様などによって、対応できる内容は異なります。
玄関や窓からの浸水だけではなく排水管の逆流にも対策
耐水害住宅が対策しているのは浮力だけではありません。
豪雨時には、住宅の外から玄関や窓を通って水が入るだけでなく、下水などから排水管を逆流して水が侵入することがあります。
そのため、
- 床下換気口からの浸水を抑えるフロート弁
- 玄関や窓など開口部の水密性向上
- 排水管からの逆流を防止する仕組み
- エアコン室外機など設備機器の水没対策
- 建物へ加わる浮力への対策
を組み合わせています。
住宅そのものだけではなく、水害後も電気や給水・給湯などを使える状態へ戻しやすくすることまで考えられています。
最大1時間300mmの豪雨を再現できる施設でも検証
実大実験が行われた防災科学技術研究所の大型降雨実験施設では、最大で1時間300mmという非常に激しい雨を再現できます。
一条工務店はこの施設を利用し、実際の住宅へ豪雨を降らせる試験も実施しています。
一般的な仕様の住宅では床下換気口や玄関、窓などから水が入りましたが、耐水害住宅では床下・室内への浸水を防ぐ結果が確認されています。
研究用の小型模型ではなく、人が実際に暮らす大きさの住宅を造って検証してきた点が特徴です。
実験住宅ではなく実際に建てられている
「家を浮かせる」と聞くと研究段階の特殊住宅にも思えますが、耐水害住宅はすでに実際の住宅として採用されています。
2023年3月末時点で、一条工務店は耐水害住宅の申し込み棟数が約2100棟に達したとしています。
一条工務店の実例では、過去に浸水を経験した人や、河川に近い土地、冠水リスクを考えて住宅を建てる人などが浮上タイプやスタンダードタイプを採用しています。
「水害が起きた後に修理する」のではなく、住宅を建てる段階から洪水被害を減らす考え方です。
日本建築学会賞などを受賞
耐水害住宅の技術は外部からも評価されています。
2020年には環境省の「気候変動アクション環境大臣表彰」、2021年には「ジャパン・レジリエンス・アワード」の準グランプリ金賞、2022年度にはグッドデザイン賞を受賞。
さらに2023年には「日本建築学会賞(技術)」を受賞しています。
建物への水の侵入だけでなく、逆流、水没、そして家自体へ働く浮力まで含めて対策した点が特徴となっています。
水に浮く車「FOMM ONE」も開発されている
住宅だけではありません。
日本のFOMMが開発した小型EV「FOMM ONE」も、緊急時に水へ浮く耐水害設計を採用しています。
4人乗りの小型EVで、道路冠水などの緊急時には車体が浮き、独自の車輪構造によって低速で水面を移動できる仕組みです。
ただし、水陸両用車として普段から水上を走る車ではありません。
FOMM自身も、水上移動は緊急時に限った機能としています。
「水を完全に防ぐ」だけでなく、水に囲まれた状況ではあえて浮力を利用するという発想が、住宅と自動車の両方で現実の技術になっています。
まとめ
一条工務店の「耐水害住宅」は、洪水時に家が浮いてしまう危険まで想定した住宅です。
特に「浮上タイプ」では、洪水の浮力に逆らわず家そのものを浮かせ、敷地四隅の係留装置によって流失を防ぎます。
実物大の住宅を使い、約3000トンの水や水位3mの洪水まで再現して検証され、すでに実際の住宅として採用されています。
豪雨から住宅を守る方法が「高く建てる」「水を入れない」だけではなく、「必要なら安全に浮かせる」という段階まで進んでいます。
参考リンク
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