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山北天空大橋は川面125m・全長771m!350tの巨大作業車と特殊工法【地上120mに橋を架ける仕事人】

ものづくり

山北天空大橋は神奈川県の巨大アーチ橋!350tの移動作業車を使って地上125mに建設

「山北天空大橋(やまきたてんくうおおはし)」は、神奈川県山北町の河内川に建設されている、川面からの高さ約125m、最大橋長771mの巨大なアーチ橋です。

新東名高速道路の新秦野IC~新御殿場IC間に位置し、国内最大級の「バランスドアーチ橋」として建設が進められています。

2026年10月11日放送の中京テレビ『地上120mに橋を架ける仕事人』では、この難工事に携わる技術者たちに密着。重さ約350tの巨大な移動作業車を高所で移動させ、橋の部材をつないでいく仕事が取り上げられます。

驚くのは、重さ350tの巨大な作業設備が、最大38度も傾いたアーチの上を少しずつ移動していくことです。

険しい山の谷間という特殊な地形に対応するため、鹿島建設と大成建設の共同企業体が、さまざまな技術を組み合わせて建設を進めてきました。

また、現場近くには無料で見学できる「山北事業PR館」があり、巨大橋の建設方法を模型やVRで体験できます。

この記事でわかること

  • 山北天空大橋の場所・高さ125m・橋長771mの構造

  • 350tの巨大移動作業車が38度の斜面を進む仕組み

  • 鹿島建設と大成建設が挑んだ特殊な橋の建設技術

  • 山北事業PR館の無料見学・予約方法・アクセス

山北天空大橋は川面から125m!日本最大級のバランスドアーチ橋

公式動画:日テレNEWS「地上120mに橋をかけろ!天空のスゴ腕仕事人」テレビ放送映像

山北天空大橋が建設されているのは、神奈川県足柄上郡山北町川西です。

丹沢山地の険しい地形を流れる河内川に架けられ、新東名高速道路の一部となります。

山北天空大橋の基本情報

  • 正式名称:山北天空大橋

  • 工事中の名称:河内川橋

  • 所在地:神奈川県足柄上郡山北町川西

  • 道路:E1A 新東名高速道路

  • 区間:新秦野IC~新御殿場IC

  • 上り線の橋長:771m

  • 下り線の橋長:692m

  • 川面からの高さ:約125m

  • 最大支間長:220m

  • 橋脚の最大高さ:88m

  • 構造:鋼・コンクリート複合バランスドアーチ橋

  • 発注者:NEXCO中日本

  • 施工:鹿島建設・大成建設共同企業体

橋の長さは上り線と下り線で異なり、長い方は771mあります。

また、川面から道路までの高さは約125m。一般的な高層ビルの30階程度に相当する高さです。

周辺は急峻な山々に囲まれ、橋脚を建てるための平らな土地も限られています。

こうした厳しい条件に対応するため、通常とは異なる特殊な構造と施工方法が採用されました。

350tの巨大作業車が38度の斜面を移動する

山北天空大橋の建設で特に注目したいのが、約350tもの重量がある移動作業車です。

橋のアーチ部分を造るための設備で、コンクリートの型枠や作業用の足場などを備えています。

通常、コンクリート橋を造る際には、移動作業車を比較的水平な場所で組み立て、少しずつ前方へ動かして工事を進めます。

しかし、山北天空大橋の場合は条件が大きく異なります。

アーチの基部付近には最大38度という急な傾斜があります。

その斜面に350tの作業車を設置し、コンクリートの施工が終わるたびに次の作業位置へ移動させなければなりません。

移動作業車の主な特徴

  • 重量:約350t

  • 設置場所:アーチの上

  • 最大傾斜:約38度

  • 役割:コンクリートの型枠や作業足場を保持

  • 移動方法:設置用と移動用の2種類の脚を使い分ける

この作業車には、設置するときに使う脚と、移動するときに使う脚があります。

移動時には脚を踏み替えるようにして、巨大な設備を前へ進めていきます。

想像を超える重量の構造物を、急斜面で安全に動かすための仕組みです。

鹿島建設の技術者たちにとっても、これほど大きな作業車を急勾配のアーチ上で移動させる工事は、過去の経験だけでは対応できない挑戦でした。

バランスドアーチ橋は左右の重さを釣り合わせながら造る

山北天空大橋に採用されている「バランスドアーチ橋」は、左右のバランスを保ちながら橋を造る構造です。

アーチ橋とは、弓のような曲線を描く構造によって、橋にかかる荷重を支えるものです。

山北天空大橋の場合、川の上に足場を大量に設置することが難しいため、橋脚を起点にアーチ部分を少しずつ張り出していく方法が採用されました。

この技術は「トラス張出し工法」と呼ばれます。

橋脚から両側へバランスよく部材を伸ばしながら、アーチを組み立てていきます。

工事の基本的な流れ

  1. 急斜面に橋脚の基礎を造る

  2. 高い橋脚を建設する

  3. 橋脚から左右へアーチ部材を張り出す

  4. コンクリートと鋼材を組み合わせる

  5. 移動作業車を前方へ進める

  6. 工程を繰り返してアーチを延ばす

  7. 橋の中央部分を接続する

特に重要なのが、左右の重量バランスです。

片側だけが大きく伸びてしまうと、橋脚や建設中の構造物に偏った力がかかります。

そのため、施工中も構造の安全性を確認しながら、慎重に工程を進める必要があります。

この工法によって、川の中へ大規模な仮設足場を設けることを抑えながら、巨大な橋を建設できます。

コンクリートと鋼材を組み合わせた特殊な構造

山北天空大橋では、コンクリートと鋼材の両方を使用しています。

それぞれの材料が持つ特徴を生かし、巨大なアーチ橋を支える仕組みです。

橋の下側にあるアーチリブは、主にコンクリートで構成されています。

一方、アーチの上側にある補剛桁や斜吊材には鋼材を使用しています。

主な構造部材

  • アーチリブ:橋を下から支える曲線状のコンクリート部材

  • 補剛桁:道路を支え、構造全体を安定させる部材

  • 斜吊材:斜め方向に配置される鋼製部材

  • 鉛直材:上下の構造をつなぐ部材

  • 橋脚:橋全体の荷重を地盤へ伝える構造物

コンクリートは圧縮される力に強く、鋼材は引っ張られる力に対応しやすい特徴があります。

山北天空大橋では、それぞれの材料を適切な場所に配置することで、大きな橋を合理的に支えています。

また、工事中に必要となる斜めの部材の一部は、完成後も橋の構造として利用されます。

仮設専用の部材をできるだけ減らし、完成後の構造と兼用する工夫です。

こうした設計が、大規模な橋梁工事の効率化にもつながっています。

アーチの施工ブロック数を23から16へ減らす工夫

巨大な橋を造る際には、コンクリートを一度にすべて打設することはできません。

そこで、一定の長さごとに工事を進める「ブロック施工」が行われます。

山北天空大橋では、アーチ部分の1ブロックの施工長を最大6.5mに大型化しました。

その結果、当初23ブロックを想定していた施工区間を、16ブロックへ減らす計画となりました。

施工方法の主な改良

  • 1ブロックの施工長:最大6.5m

  • 当初の施工ブロック数:23

  • 改良後のブロック数:16

  • ブロック数の削減:7

  • 目的:施工期間の短縮と高所作業の効率化

1ブロックを施工するたびに、コンクリートの打設や部材の緊張作業、移動作業車の前進などを行います。

そのため、施工する回数を減らすことは、全体の工程を短縮するうえで重要です。

また、橋脚の工事では鉄筋や型枠をあらかじめユニット化する方法も採用しました。

現場で1本ずつ組み立てる作業を減らすことで、高所での作業を効率化し、安全性の向上にもつなげています。

高さ100mのインクラインで工事車両を運ぶ

山北天空大橋の難工事は、橋そのものを造る作業だけではありません。

建設現場へ資材や重機を運ぶことも大きな課題でした。

現場は急斜面に囲まれており、大型トラックが通れる道路を簡単に造ることができません。

そこで導入されたのが「インクライン」です。

インクラインは、斜面に沿って大型の荷物や車両を上下させる運搬設備です。

山北天空大橋の工事では、高低差約100mに対応する巨大なインクラインが設置されました。

工事用インクラインの特徴

  • 高低差:約100m

  • 最大積載重量:約90t

  • 用途:工事用車両や資材の運搬

  • 運搬方法:車両を台車に載せて斜面を移動

コンクリートミキサー車などを車両ごと運搬することで、資材を積み替える作業を減らせます。

山の斜面で道路を整備する負担を抑えながら、建設現場に必要な機材を運び込む仕組みです。

350tの巨大作業車が橋のアーチ上を移動する技術に加え、約90tを運べるインクラインも、この難工事を支える重要な設備となっています。

鹿島建設・大成建設が国内最大級の橋を建設

山北天空大橋の施工を担当しているのは、鹿島建設と大成建設による共同企業体です。

発注者はNEXCO中日本です。

鹿島建設は、国内外でダム、トンネル、橋梁、高層建築などを手がけてきた総合建設会社です。

今回の現場では、施工方法の検討だけでなく、安全管理や作業手順の改善にも取り組んできました。

2024年に鹿島建設が公開した工事紹介では、三浦信幸総合所長や柑本慎一郎工事課長代理らが、特殊な構造への対応や施工の工夫について語っています。

なかでも課題となったのは、一般的な橋梁工事で使用する施工方法を、そのまま適用できないことでした。

急な斜面、長大なアーチ、非常に重い移動作業車。

それぞれの問題を解決しなければ、次の工程へ進めません。

2026年10月11日の『地上120mに橋を架ける仕事人』では、NEXCO中日本の秋山渉工事長や、鹿島建設の大塚康晴さんら工事関係者の仕事が取り上げられます。

約9年に及ぶ建設の中で、専門技術を持つ人々が協力してきたことも、この橋の大きな特徴です。

山北天空大橋の名前は1022件の応募から決定

現在の正式名称「山北天空大橋」が決まったのは、2025年9月15日です。

それまでは工事中の名称として「河内川橋」が使われていました。

橋の名称は、山北町の町制70周年記念事業として一般公募されました。

2025年2月1日から募集が始まり、合計1,022件の応募が集まりました。

その中から選ばれたのが「山北天空大橋」です。

名前には、建設地の山北町と、河内川の上空約125mに架かる雄大な姿が表現されています。

また、「大橋」という言葉には、日本最大級のバランスドアーチ橋という特徴も込められています。

2025年9月15日には工事現場で名称発表式典が開かれ、正式名称として発表されました。

山北町の新しいランドマークとなる橋です。

2026年8月時点でも工事が続く新東名の重要区間

山北天空大橋は、新東名高速道路の新秦野IC~新御殿場IC間に位置します。

この区間は、険しい山岳地帯を通るため、橋梁やトンネルが数多く建設されています。

2026年8月末のNEXCO中日本の公表資料では、橋梁工事の進捗は完成延長ベースで87%となっています。

2026年8月末の主な工事進捗

  • 橋梁:31橋のうち26橋が完成

  • 橋梁の完成延長:7.7km/8.9km

  • 橋梁の進捗率:87%

  • トンネル:14本のうち12本が完成

  • トンネルの完成延長:21.2km/24.6km

  • トンネルの進捗率:86%

この時点で、山北天空大橋は施工中の主要橋梁として掲載されています。

2027年度の開通を目指して整備が進められてきた区間ですが、トンネルや橋梁などの工事がすべて終わらなければ道路を供用できません。

山北天空大橋のアーチ部分の接続と、高速道路としての完成・開通は別の工程です。

橋をつないだあとにも、道路として利用するための施工や設備整備が必要になります。

山北事業PR館では橋の工事を無料で見学・体験できる

山北天空大橋の建設技術に興味を持った人は、近くにある「山北事業PR館」で工事について学ぶことができます。

NEXCO中日本が設けた施設で、山北町内の新東名高速道路建設について詳しく紹介しています。

館内には、工事の進捗状況を紹介する映像やジオラマ、タッチパネルなどがあります。

また、山北天空大橋の建設過程をVRで体験できる展示も設けられています。

山北事業PR館の基本情報

  • 施設名:山北事業PR館

  • 所在地:神奈川県足柄上郡山北町湯触322-1

  • 場所:河内川ふれあいビレッジ内

  • 入場料金:無料

  • 見学時間:約1時間

  • 利用方法:事前予約制

  • 予約電話:0463-80-5600

  • 電話受付:平日9:00〜17:30

見学できる曜日・時間

  • 火曜日:13:30、14:30、15:30

  • 水曜日:10:00、11:00、13:30、14:30、15:30

  • 金曜日:10:00、11:00、13:30、14:30、15:30

見学は無料ですが、必ず事前予約が必要です。

インターネット予約の場合も、申し込み時点では仮予約となり、確定メールが届いて予約が成立します。

VR体験は7歳以上が対象で、7歳から13歳までの子どもは保護者の同意が必要です。

アクセス

  • 車:国道246号の清水橋交差点から県道76号へ進む

  • バス:富士急モビリティ「宮原入口(神奈川県)」から徒歩約8分

なお、山北事業PR館は工事を紹介する施設です。実際の橋の建設現場へ自由に立ち入れるわけではありません。

山北天空大橋の場所・規模・見学情報

橋の基本情報

  • 正式名称:山北天空大橋

  • 旧名称:河内川橋

  • 場所:神奈川県足柄上郡山北町川西

  • 橋長:上り771m、下り692m

  • 高さ:川面から約125m

  • 最大支間長:220m

  • 構造:鋼・コンクリート複合バランスドアーチ橋

  • 発注:NEXCO中日本

  • 施工:鹿島建設・大成建設JV

工事を学べる施設

  • 山北事業PR館

  • 料金:無料

  • 見学:約1時間

  • 予約:0463-80-5600

  • 展示:ジオラマ・工事映像・VR体験

テレビ放送

  • 番組:地上120mに橋を架ける仕事人

  • 放送日:2026年10月11日(日)

  • 放送時間:16:59〜17:25

  • 放送局:中京テレビ

まとめ

山北天空大橋は、神奈川県山北町の河内川に建設されている、日本最大級のバランスドアーチ橋です。

上り線の橋長は771m、川面からの高さは約125m。新東名高速道路の未開通区間に位置しています。

建設では、約350tの巨大な移動作業車を最大38度のアーチ斜面で移動させる特殊な工法が採用されました。

さらに、約90tまで運搬できるインクラインや、コンクリートと鋼材を組み合わせる構造など、さまざまな技術が活用されています。

鹿島建設と大成建設の共同企業体が、この難工事を進めています。

近くにある山北事業PR館では、無料で橋の構造や建設方法を学べるほか、VRを使った体験も楽しめます。

約125mの高さに巨大な橋を架けるため、重さ350tの設備を少しずつ動かす。山北天空大橋は、現代の日本の橋梁建設技術を象徴する大規模プロジェクトです。

参考リンク


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