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藤井進也の脳波選曲C-BMIと武田圭史研究室の300機ドローン技術|どえらい大学。

技術・サイエンス

慶應義塾大学SFCで生まれる脳波選曲と未来のドローン技術

2026年10月17日放送のNHK Eテレ『どえらい大学。』では、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)を訪ね、従来の学問の枠にとらわれない研究を紹介します。

注目したいのが、音楽と脳の関係を研究する藤井進也(ふじい・しんや)准教授と、ドローンなどの先端技術を研究する武田圭史(たけだ・けいじ)教授です。

藤井准教授の研究グループは2026年、イヤホン型脳波計を利用し、その人が強い感動を覚える音楽を自動選曲する「C-BMI」の研究成果を発表しました。

一方、武田教授の研究室では、学生たちが300機のドローンを使ったショーの企画・制作・運営に取り組んできました。

番組では、かけるだけで人の名前がわかるメガネ、初音ミクの3Dアニメーション研究、クラゲとギターを組み合わせた音楽づくり、脳が喜ぶDJシステムなども登場します。

※放送後詳しい内容が分かり次第追記します。

この記事でわかること

  • 藤井進也准教授の経歴と音楽神経科学に進んだきっかけ

  • 脳波で感動する音楽を選ぶ「C-BMI」の仕組みと研究成果

  • 武田圭史研究室が取り組む300機のドローン技術

  • 慶應義塾大学SFCで進むメガネ・3Dアニメーション・音楽研究

藤井進也と武田圭史が登場!慶應SFCのユニークな研究

慶應義塾大学SFC「Sky Bookmark」ドローンショー公式映像

公式動画:慶應義塾大学SFC・武田圭史研究室

慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパス(SFC)は、神奈川県藤沢市にある研究・教育拠点です。

総合政策学部、環境情報学部、大学院政策・メディア研究科などが置かれ、既存の学問分野を横断しながら、社会の問題を発見し、解決するための研究に取り組んでいます。

今回登場する研究者の1人が、環境情報学部准教授の藤井進也さんです。

藤井さんが専門とするのは、音楽神経科学と音楽身体科学。音楽を聴いたときに脳の中で何が起きているのか、なぜ人はリズムに合わせて身体を動かすのかといったテーマを研究しています。

もう1人が、環境情報学部教授の武田圭史さんです。

武田研究室では、ドローンや生成AI、映像表現、VR・ARなどの先端技術を組み合わせ、新しい表現方法や実用的なシステムの開発に取り組んでいます。

番組ではAマッソの加納さんがキャンパスを訪問し、こうした研究の現場を紹介します。

脳波で鳥肌が立つ音楽を選曲!藤井進也のC-BMIとは

藤井進也准教授の研究で注目されるのが、2026年1月に成果が発表された「Chill Brain-Music Interface(C-BMI)」です。

これは、音楽を聴いているときの脳波を利用し、その人にとって強い感動を生みやすい楽曲を選ぶシステムです。

好きな音楽を聴いたとき、思わず鳥肌が立つほど感動した経験がある人もいるでしょう。

音楽を聴いて生じるこうした強い快感は、音楽神経科学の研究対象になっています。

しかし、感動する音楽は人によって違います。

ある人が鳥肌を立てるほど感動した曲でも、別の人にとっては特別な反応が起きないことがあります。

藤井さんたちの研究グループは、この個人差に着目しました。

従来の音楽推薦サービスでは、再生履歴や好みのジャンル、楽曲同士の類似性などを利用することがあります。

C-BMIは、それらとは異なり、音楽を聴いている本人の脳波データを選曲へ反映させる点が特徴です。

実際の研究では、イヤホン型の脳波計を使い、音楽に対する反応を計測しています。

C-BMIの仕組み!脳波と音楽の特徴から好きな曲を予測

C-BMIでは、音楽の特徴と脳波から読み取った反応を組み合わせ、個人に合わせたプレイリストを作ります。

研究の流れは次のようなものです。

  • 音楽の音響的な特徴を分析する

  • 音楽を聴いている人の脳波を計測する

  • 脳波から音楽に対する快感度を推定する

  • 音響特徴と脳波の情報で予測モデルを更新する

  • 強い快感が得られると予測した楽曲を選曲する

重要なのは、脳波を一度測定して終わりではないことです。

音楽を聴いている間に得られる情報を使い、予測モデルを更新していく仕組みが組み込まれています。

研究グループは、この方法で作成したプレイリストと、別の条件で作成したプレイリストを比較しました。

その結果、脳波情報を反映して快感を高めるように選曲したプレイリストでは、比較対象に対して鳥肌感の発生回数や主観的な快感評価が有意に高まることが確認されました。

つまり、単に好きな曲を推薦するだけでなく、音楽を聴いているときの反応を使うことで、個人に合わせた感動体験を高められることが示されたのです。

この研究成果は、2026年1月に国際学術誌『iScience』に掲載されました。

C-BMIを開発した研究チームと実用化への展望

C-BMIは、藤井准教授1人の研究ではありません。

慶應義塾大学の研究者や、脳科学技術に取り組むVIE株式会社の関係者らが共同で開発しました。

主な研究メンバーは次のとおりです。

  • 藤井進也:慶應義塾大学環境情報学部准教授、研究の責任著者

  • 近藤聡太郎:慶應義塾大学環境情報学部訪問研究員、論文の筆頭著者

  • 惠谷隆英:慶應義塾大学SFC研究所上席所員

  • 榊原佑奈:慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科博士課程

  • 成瀬康:VIE株式会社社外取締役

  • 今村泰彦:VIE株式会社CEO

  • 茨木拓也:VIE株式会社CNTO

研究では、音楽を聴いている本人の反応に合わせて選曲する方法の有効性が検証されました。

将来的な応用先として期待されているのは、音楽配信サービスやエンターテインメントだけではありません。

音楽療法やウェルビーイングに関する分野への応用も研究上の展望として挙げられています。

ただし、今回の成果は音楽による快感や鳥肌感について検証したものであり、病気の治療効果が確立したことを意味するものではありません。

現段階で重要なのは、音楽に対する人間の感情反応を脳波から捉え、個人ごとに選曲を調整する技術が実証されたという点です。

藤井進也はドラマー出身!京都大学からハーバード大学へ進んだ研究人生

藤井進也さんの研究人生を理解するうえで欠かせないのが、ドラマーとしての経験です。

藤井さんは京都大学総合人間学部を卒業し、京都大学大学院で博士号を取得しました。

一方で、アンミュージックスクール京都校のドラムス科マスターコースを特待生として修了しています。

音楽の演奏と科学研究。この2つを並行して続けてきたことが、現在の専門分野につながっています。

研究の出発点となったのは、優れたドラマーの身体運動に対する関心でした。

一流のドラマーは、なぜあれほど速く正確にリズムを刻めるのか。

藤井さんは、熟練したドラム奏者の身体運動を研究テーマとし、2010年には京都大学で「熟練ドラム奏者の最速リズム運動制御機構」に関する博士号を取得しました。

その後、研究の舞台を国内外へ広げます。

  • 2005年:京都大学総合人間学部卒業

  • 2010年:京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了

  • 2011年~2013年:ハーバード大学医学部関連の医療研究機関で博士研究員

  • 2013年~2015年:カナダ・トロント大学サニーブルック研究所で博士研究員

  • 2015年~2016年:東京大学大学院教育学研究科特任助教

  • 2016年:慶應義塾大学環境情報学部専任講師

  • 2019年:同学部准教授に就任

  • 2023年:科学技術振興機構「さきがけ」研究員を兼任

ドラマーの身体運動から始まった研究は、次第に音楽と脳の関係へと広がっていきました。

現在は、リズムを感じる脳の働き、音楽に対する感情反応、人間の音楽性がどのように生まれるのかといったテーマにも取り組んでいます。

演奏する側の経験を持つ研究者だからこそ、音楽の技術と人間の感覚を両方の視点から捉えられるところが、藤井さんの研究の特徴です。

武田圭史研究室の300機ドローンショー!学生が約1年かけて制作

番組に登場するもう1人の研究者、武田圭史教授は、ドローンや情報セキュリティなどの先端技術を専門としています。

武田研究室の特徴は、技術を研究するだけではなく、実際に動くシステムや作品として形にするところにあります。

その代表的な取り組みの1つが、2025年の慶應義塾大学SFC「第36回七夕祭」に向けて準備されたドローンショーです。

この企画では、学生たちが約1年間をかけて準備を進めました。

  • 企画名:Sky Bookmark

  • 制作:武田圭史研究室の学生チーム

  • 使用機体:300機

  • 制作期間:約1年

  • 予定会場:慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス

  • 企画内容:多数のドローンを制御して夜空に光の演出を描く

ショーは七夕祭のテーマである「栞」にちなんで「Sky Bookmark」と名付けられました。

300機のドローンを使い、空中にさまざまな形を表現する構成でした。

2025年7月の七夕祭では雨天のため本番のショーは中止となりましたが、リハーサルで撮影された映像が公式に公開されています。

番組では、新たに番組をイメージしたスペシャルドローンショーも紹介されます。

多数の機体を使った表現には、個々のドローンを正確に飛行させるだけでなく、全体の動きを組み合わせる技術が必要です。

学生が企画から制作、運営まで関わることにより、プログラミングや映像表現に加え、実際の運用を通じた技術的な課題にも向き合っています。

人の名前がわかるメガネと初音ミクの3Dアニメーション研究

慶應SFCの特集では、音楽やドローン以外にもさまざまな研究が登場します。

その1つが、かけるだけで人の名前がわかるメガネです。

人の名前を覚えたり、必要な情報をその場で確認したりする行為を、身に着ける機器によって支援するという、日常生活に近いテーマです。

また、初音ミクの3Dアニメーションに関する研究も紹介されます。

初音ミクは、音声合成技術から発展し、音楽や映像、バーチャルライブなど幅広い分野で活用されてきた存在です。

3Dアニメーションの研究では、コンピューター上に人物の姿や動きを表現する技術が重要になります。

そして、もう1つのユニークな話題が、クラゲとギターを組み合わせた音楽づくりです。

生き物と楽器という異なる対象を組み合わせることで、これまでとは違う音楽表現を探る研究が紹介されます。

いずれも、一般的な学問分野の分類だけでは捉えきれない、SFCらしい研究テーマです。

慶應SFCの研究が目指す未来!技術と人間の感覚を結びつける

今回取り上げられる研究には、共通する特徴があります。

それは、技術そのものを開発するだけでなく、その技術を人間の生活や表現にどのように結びつけるかという視点です。

藤井進也さんの脳波選曲研究では、脳の反応という客観的なデータを利用し、個人の感動体験に合う音楽を選ぶことに挑戦しています。

武田圭史研究室では、ドローンや映像技術を使って、多数の機器による新しい空間表現に取り組んでいます。

メガネ型の機器や3Dアニメーション、音楽表現の研究も、人間の行動や感覚と先端技術の関係を考えるものです。

こうした研究を通じて、慶應義塾大学SFCでは、分野の異なる知識を組み合わせながら新しい価値を生み出す取り組みが進められています。

まとめ

2026年10月17日放送の『どえらい大学。』では、慶應義塾大学SFCで進められている音楽科学、ドローン、映像表現などの研究が紹介されます。

特に藤井進也准教授が携わる「C-BMI」は、音楽を聴く人の脳波を利用し、その人に合った感動体験を生み出す選曲技術です。

藤井さん自身もドラマーから研究者へと歩み、京都大学、ハーバード大学、トロント大学などでの研究経験を経て、音楽と脳の関係を探究してきました。

また、武田圭史研究室の学生たちが取り組んだ300機のドローンショーは、大学の研究を実際の表現へと発展させる取り組みの1つです。

音楽、脳科学、ドローン、映像技術。異なる分野が結びつくことで生まれる研究の魅力が詰まった放送です。

参考リンク


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