うるう秒廃止の仕組みと2027年から変わる世界の時間
うるう秒は2027年5月20日から実質的に廃止されます。 地球の自転と原子時計のずれを1秒単位で調整してきた制度ですが、コンピューターや通信システムの障害を防ぐため、国際的なルールが変更されることになりました。
2026年10月26日放送のNHK総合『みみより!解説』でも、うるう秒廃止の理由と時刻の決まり方が取り上げられる予定です。
廃止によって日本の時計が突然1時間ずれるわけではありません。新制度の仕組みと日常生活への影響を解説します。
うるう秒は2027年5月20日から廃止!2035年との違い
2026年10月15日、フランスで開催された第28回国際度量衡総会(CGPM)で、うるう秒を実質的に廃止する決議が採択されました。
新しいルールが適用されるのは、2027年5月20日です。
これまで、原子時計に基づく協定世界時(UTC)と地球の自転に基づく世界時(UT1)のずれは、0.9秒以内に保つことになっていました。
新制度では、この許容範囲を最大3,600秒、つまり1時間に拡大します。
重要なのは、2027年5月20日に時計を1時間進めたり、遅らせたりする制度ではないということです。
時刻のずれをその都度1秒ずつ修正する方法をやめ、長期間連続した時間を使えるようにする変更です。
なお、2022年の国際度量衡総会では「2035年までに制度を見直す」という方針が決まっていました。
その後の検討で実施日が具体化し、2026年の総会で2027年5月20日からの新制度への移行が正式に決定しました。
情報通信研究機構(NICT)は、今回の変更によって少なくとも今後数世紀にわたり、UTCで不連続なうるう秒調整が不要になると説明しています。
うるう秒とは?なぜ1秒を足していたのか
うるう秒は、地球の自転による時間と原子時計による時間のずれを修正する仕組みです。
昔の人々は、太陽や星の動きから時間を決めていました。しかし、地球の回転速度は常に一定ではありません。
一方、現代の時間の基準となる原子時計は、セシウム原子の性質を利用して極めて正確に時間を刻みます。
この2つの時間は、少しずつずれていきます。
そこで1972年に導入されたのが、うるう秒制度でした。
例えば、日本では2017年1月1日の午前9時直前に、次のような調整が行われました。
- 午前8時59分58秒
- 午前8時59分59秒
- 午前8時59分60秒
- 午前9時00分00秒
通常は存在しない「60秒」を追加することで、1日を1秒長くしたのです。
1972年の導入から2017年までに、うるう秒は27回実施されました。
なお、4年に1度を基本として2月29日を追加する「うるう年」とは別の制度です。
うるう年は地球の公転に合わせて暦を調整する仕組みですが、うるう秒は地球の自転と原子時計のずれを補正するためのものです。
なぜ廃止する?スマホやコンピューターへの影響
うるう秒が廃止される大きな理由は、デジタル社会におけるシステム障害のリスクです。
コンピューターは、基本的に時間が連続して進むことを前提に処理を行っています。
ところが、うるう秒が挿入されると、通常とは異なる時刻が発生します。
これが原因で、プログラムによっては時刻の処理に不具合が起こる可能性があります。
実際、2012年のうるう秒実施時には、一部のコンピューターでCPU使用率が急上昇したり、ウェブサービスに障害が生じたりする事例が報告されました。
特に影響が懸念されるのは、次のような分野です。
- 金融取引:売買の順序を極めて正確に記録する必要がある
- 通信ネットワーク:多数の機器で時刻を同期させる必要がある
- 交通システム:運行管理や予約システムで正確な時刻が求められる
- 電力設備:制御や監視のために時刻同期を利用する
- 人工衛星・宇宙開発:観測や通信で高精度な時刻情報を利用する
さらに、地球の自転速度の変化によって、将来は1秒を減らす「負のうるう秒」が必要になる可能性も指摘されています。
これまで実施されたのは1秒を追加する調整だけで、削除する調整は経験されていません。
こうした問題を回避するため、世界共通の時刻を連続的に運用できる制度へ移行することになりました。
日本の時計はどうなる?スマホの設定変更は必要?
うるう秒が廃止されても、一般家庭で使っている時計やスマートフォンに、突然大きな変化が起こるわけではありません。
日本標準時(JST)は、協定世界時(UTC)より9時間進んだ時刻です。
例えば、UTCが午前0時なら、日本では午前9時になります。
新制度が始まっても、この9時間の時差が突然変更されるわけではありません。
そのため、一般の利用者が廃止に合わせて時計を1時間ずらす必要はありません。
スマートフォンやパソコンの時刻を自動設定している場合も、今回の制度変更だけを理由に、今すぐ設定を変更する必要はないと考えられます。
ただし、時刻同期に関係する機器やソフトウェアを管理する事業者には、新しい運用に対応するための確認が必要になる場合があります。
また、うるう秒の廃止は、地球の自転と時計のずれを無視するという意味ではありません。
天文学や測地学では、今後も地球の自転を観測し、必要な時刻情報を利用し続けます。
つまり今回の変更は、私たちの生活時間を大きく変えるものではなく、社会を支える時刻システムを安定させるための見直しといえます。
まとめ
うるう秒は2027年5月20日から実質的に廃止され、地球の自転と協定世界時のずれを最大1時間まで許容する新制度に移行します。目的は通信や金融などのシステム障害を防ぐことです。日本の時計が突然1時間ずれるわけではなく、一般家庭で特別な設定変更を行う必要もありません。
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