MujinのフィジカルAIが変える物流現場
Mujin(ムジン)のフィジカルAIは、荷物の形や位置、積み付け先の状態を読み取り、その場に合わせてロボットの動きを調整する技術です。商品が整然と並んでいない現場でも、状況を判断して作業を進められる点が大きな特徴です。
2026年11月6日放送予定のテレビ東京系『ガイアの夜明け』では、Mujinの物流現場での取り組みが紹介される予定です。ここでは、すでに実用化されている技術と、2026年10月29日に本稼働した「イオン川口東XD」での活用例を紹介します。なお、同施設が放送で取り上げられるかどうかは確定していません。
詳しい内容が分かり次第追記※放送後します。
Mujinはどんな会社?何を開発している?
株式会社Mujinは、2011年7月に設立された日本のロボット技術企業です。本社は東京都江東区辰巳3丁目8番5号。共同創業者はCEOの滝野一征氏とCTOのロセン・デアンコウ氏で、産業用ロボットを知能化するコントローラや自動化システムを開発しています。
工場や物流倉庫では、同じ場所に置かれた物を繰り返し動かすだけでなく、形・重さ・置き方が毎回違う商品を扱わなければなりません。Mujinは、ロボットにこうした変化へ対応する判断能力を持たせ、扱える作業を広げています。
フィジカルAIは従来の産業用ロボットと何が違う?
従来の産業用ロボットは、あらかじめ教えられた位置や手順に従う作業を得意としていました。商品が少しずれたり、荷物の積み方が変わったりすると、動作の見直しが必要になることがあります。
一方、フィジカルAIはカメラやセンサーから得た情報を使い、目の前の状態に合わせて作業方法を選びます。Mujinでは、現場の状況を認識するAIと、安全で正確な動作を計画する制御技術を組み合わせています。AIの判断だけに頼らず、現実のロボットを安定して動かす仕組みを重視しているのが特徴です。
イオン川口東XDでは何を自動化した?
埼玉県川口市のイオン川口東XDは、イオンとイオングローバルSCM、Mujinが共同で進める次世代物流モデルの拠点です。2026年10月29日に本稼働し、イオンとして初めて、店舗別の仕分けから混載積み付けまでの一連の工程を自動化しました。
「混載積み付け」とは、サイズや重さの異なる複数の商品ケースを、店舗ごとの出荷用カートラックなどに組み合わせて積む作業です。重い箱を下にする、荷崩れしにくい順番を考えるといった判断が必要で、長く人手に頼ってきました。
この拠点では、混載パレタイズロボットと商品の供給順序を整えるケース順立てシャトルラックを組み合わせ、出荷する店舗に応じて荷物を積み付けます。単に箱を運ぶだけでなく、どの順番で積むかを計算しているのです。
箱がずれたり荷崩れしたりしても動ける理由
ロボットは出荷予定から積み付け計画をシミュレーションし、3Dビジョンで実際の荷物の状態を確認します。積み付け途中で箱の位置がずれたり、荷姿が変化したりしても、現在の状態に応じて動作を調整し、作業を続ける仕組みです。
Mujinの混載パレタイザーは、商品の寸法や重量だけでなく、ロボットアームが周囲にぶつからずに動けるかも考慮します。これにより、人がその都度ロボットの動作を教え直す負担を小さくできるようになっています。
WESはロボットだけでなく人の作業も管理する
イオン川口東XDには、WES(倉庫運用管理システム)も導入されています。これはロボットアーム、無人搬送車(AGV)、シャトルラックと、現場で働く人への作業指示をつなぐ仕組みです。
店舗ごとの出荷情報や締切時刻に合わせて商品を流す順序を調整し、設備の稼働状況や作業の進み具合をリアルタイムで確認できます。つまり「ロボットが人の作業をすべて置き換える」のではなく、ロボットと人が分担して動く物流センターをつくっているのです。
この技術が広がると何が変わる?
さまざまな商品を店舗ごとに分けて運ぶ食品スーパーの物流では、箱を持ち上げて積む身体的負担が大きく、作業量も日によって変わります。フィジカルAIが変化に合わせて動ければ、人手不足への対応や、重い荷物を扱う作業の負担軽減につながる可能性があります。
ただし、イオン川口東XDの全工程が無人化されたわけではありません。人への作業指示までWESで管理することからも、現段階では人と設備の連携が前提です。導入による人員削減率や費用対効果について、ここで断定できる具体的な数値はありません。
フィジカルAIそのものの基本や、配達・警備分野での応用は、フィジカルAIで配達・警備ロボットはどう変わるのかでも紹介しています。
まとめ
MujinのフィジカルAIの強みは、荷物の状態を見ながらロボットの動作を柔軟に変えられることです。イオン川口東XDでは、店舗別仕分けから混載積み付けまでを自動化し、WESで人と設備の作業も連携しています。人手不足への対応を考えるうえで、すでに現場で動く技術として注目されます。
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